※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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499話 時代最強の悪

 鎧を纏い、身体強化した出久の拳が悠を後退させた。

 

 その一撃は、悠の余裕の構えを解かせるには充分だった。片手だけを前に出していた悠が、さらにもう片手を腰から顎元に拳を添えて、立ち方も地面をしっかり掴むように歩幅が広がった。

 

「シィイッ!」

 

 対する出久も、吐瀉物を、吐かされた事からより頭が冷えたのか、先程の単調な攻撃から本来の戦い方を取り戻した。

 

 強大な、自分より強い相手には真正面から向かわない。呼気と共に放った右のジャブから、悠の斜め前に踏み込み回り込み右のローキックを放つ!

 

 悠はそれを片足を上げ回避したが、その片足になった瞬間、もう片方の足を引き寄せて倒しにかかった!

 

「ふんっ!」

 

 笑みは崩さず、足を引き寄せられた悠は手を地面に着きながら蹴りで反撃!その蹴りを出久は掴み、悠をそのまま振り回して瓦礫剥けて投げつけた!

 

 悠は投げ出されたが、紫炎を手足から数瞬発火させて体勢を立て直し、難なく着地して甥っ子に嬉々として言い放った。

 

「いい!素晴らしいな!独学でここまで来たか!叔父さんは嬉し━━」

「今更叔父さんぶるなヴィランがぁ!!」

 

 何を貴様はいきなり現れて、叔父らしい言葉を吐くか!そんな権利は一切無いのだと、土煙を上げた凄まじい脚力で一気に悠の下へ踏み込み、拳を叩き込む!

 

 さっきまで弾いていた悠も、腕を交差させ防御で拳を受け止めようとした刹那、出久の姿が目の前で消えて驚く!

 

「上かっ!」

「イーヴル・ヒールクラッシュ!!」

 

 突撃フェイントから、一気に自らを引き寄せで吊り上げ視界から消えて放たれる必殺の踵落とし!!通常の人間なら、掛かるGに耐えきれぬ軌道を、因子で人を外れた緑谷出久だからこそ可能にした超軌道変化の一撃!!

 

 だが!それすらも悠は反応して交差した腕を掲げら手首で受け止める形で防いだ……。

 

「ぬぉお!?」

「圧しつぶれろぉ!!」

 

 しかし防げても、威力に耐え切れるかは話が違う!人外に変わり果てた肉体が産んだ威力が地面に伝わり、悠の片膝が着きながら巨大なクレーターを作り上げた!

 

 ここだ!!力任せながら作れた隙を逃してはならないと、もう片方の足を出久は振り抜いた。

 

 脛が悠の顔面に叩き込まれ、その肉体は浮き上がり、錐揉み回転しながら地面に叩きつけられた!ようやく、ようやくまともに一撃が入ったと着地した出久は、残心して構えを取った。

 

 対して悠は……口端から血を流し、鼻血を流し、明滅する空の景色に笑みが溢れた。

 

「あは、はは!はーーはっはっはっはっはっ!!」

「!?」

 

 気でも触れた様に笑う叔父に、出久は後ずさる。笑いながら上体を起こして、ふらつく事無く立ち上がった悠は、口の中の血と涎を吐いて、鼻血を拭って出久を見つめた。

 

「嬉しいなぁ……十数年前に泣いて木の幹を殴っていたお前が……拳の握りを教えてやったお前が……ヒーローとなって!俺の前に立ちはだかるなんて!まだこの世も捨てた物じゃないなぁ!」

「……えっ?」

 

 叔父の語りに、緑谷は驚いた。そして……思い出してしまった。

 

 那歩島での公安主導による、ヒーロー育成実習……ナインに一度追い詰められて意識を失った中、過去をその目で見た。

 

 個性でいじめられ、泣きながら、ヒーローになりたい気持ちが行く当てなく木の幹を叩かせた。

 

 痛いばかりの手を見て、拳の握り方を教えてくれた大人……父と似た雰囲気のその男は……正しく目の前に居たのだ。

 

 つまりは、目の前のこの巨悪であり、叔父の緑谷悠は……緑谷出久がヒーローを目指す道標を刻んだ人間でもあったのだ。

 

「さて……もう残り時間も少ない、だから出久よ……叔父さんも本気を見せる事にしよう、楽しい一時をくれた甥っ子へのお礼にな!」

 

 そんな衝撃の事実に晒された出久に、叔父の悠はそう言った。最高の一時への返礼は、最強の悪の本気で応えることにすると……そう宣言した悠は両手の拳を握りしめ、眼前に交差させ力を込めた。

 

 ━━瞬間!!

 

「!?」

 

 救助に専念していた、シンリンカムイも!

 

「な、なんだこの禍々しい気配は!!」

 

 同じくベストジーニストも!

 

「いかん!?逃げなさい緑谷くん!!」

 

 膝をつき、二人の戦いを見ていたウォッシュも!

 

 その凄まじく、禍々しい気配を感じ取った!

 

 眼前の出久に至っては、目を見開き、叔父の身体を包み込む紫色の炎から放たれる熱風に晒された、鎧の上から熱を感じ取るほどであった。

 

 何よりもその闘気が!かつて戦った死柄木弔やAFOよりも強大かつ禍々しい物だった!!

 

「せっかくだ、甥っ子に習い……俺もこう言ってやろう!」

 

 紫炎が、悠を飲み込んでいく。やがてその肉体が、人から離れて異形に変わりゆく中……悠は甥っ子の遊びに付き合うように言い放った。

 

「変身」

 

 強大な風と共に、紫炎は消え去った。

 

 その中心に現れたのは……額から巨大二本の角を生やし、肌は紫色に染まった姿。両腕前腕から結晶のような棘が生えて肘にまで並び伸び、手足の指は鋭い爪が伸びていた。

 

「そ、そんな……」

 

 さながらその姿は……地獄の悪魔か、はたまた鬼か!!そんな異形に姿を変えた悠は、口を開き出久へ言い放つ。

 

「俺の本気、耐えて見せろ……出久よ!」

 

 その台詞から、果たしてコンマ数秒あったか分からない。出久の前に悠は音も無く……いや、音を置き去りにしたスピードで出久の胴体にアッパーカットを叩き込んだ。

 

 出久の肉体を包む鎧が砕け散り、構成する組織が再生する時間も追いつかず、打ち上げらた出久が、空に浮き上がることも許さぬと悠は追いつき、背後へ回り込み背中へ回し蹴りを放った。

 

 弓形になった出久の肉体が吹き飛び、既に鎧は砕け散り……生身の姿となって、吹き飛んだ出久が道路を、水切りの石の様に跳ね転がる。

 

 それにも追いついた悠が、宙舞う出久に右手を振りかぶり……容赦なくその顔面へ拳を振り下ろし地面に叩きつけた。

 

 その一撃は……道路を深々と陥没させ、周囲の車までもが跳ね上がり、神奈川県全体で『震度6弱』の地震が測定される程の威力であった。

 

 




なお、威力に関しては。

叔父さんの本気の一撃<神野オールマイトのユナイテッドステイツオブスマッシュ(原作)

である。
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