【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
世界総人口の約八割が何らかの特異体質を持った超人社会。
その世界において、廃れて行った物があった。その中の一つにスポーツがある、人智を超えた個性の発現により、個性次第で過去の名選手を超える事ができた。
超人によるより過激、エキサイトな新しいスポーツの始まりもあり、古きスポーツは衰退の一途を辿る。
『武術』もまた、そうだろう。悲しきかな、磨いた技術であれ、あまりに膨大な『個性』の力の前には無力、何より生まれながら個性により戦える新時代の人間からすれば、それを体得する理由も無い。故に……消えたとまでは言わないが、格闘技や武術もまた伝承、継承する者は減っていったのは事実である。
その中で彼は、化石を掘り起こすかのように、それらを見つけだして、幾度も試し、理解しようとした。ネットの海に散らばった、未だ個性無き時代の戦いの映像を研究し、自らに組み込んで行ったーーのだが……。
「遅いわーーー!」
「ぐばぁあはぁあーーー!?」
職場体験二日目の早朝……緑谷出久、天井に体がべったり張り付く勢いでぶん殴られて臨死体験に至る。そのまま粘着力を無くしたシールの様に剥がれ落ちて床に落下し、潰れたカエルのようになっていた。
「か、掠りもしないなんて、クソ……」
「休憩じゃ小僧、朝餉にするぞ」
「は、はいい」
朝の特訓たる組み手を切り上げ、食事をとる事に。冷凍鯛焼きをレンチンして食べるのがグラントリノは好きらしい、学生の食べざかり、ヒーローの訓練を積む緑谷に取っては食い出が無いが、それに付き合っていた。後で近場のコンビニに買いにでも行こうかと、たい焼きを齧りながら、節々の痛みに顔を歪めた。
「しっかしお前さん、頑丈さだけはあの正義馬鹿の若い頃よりもあるのう、どこで身につけたそのタフネス」
「えっと、崖へ自らダイブして身体を打ちつけて……オールマイトの若い頃、ですか?」
「奴は正義馬鹿でお前は努力馬鹿……所々似ておるのうお主ら……」
「どんな感じだったんですか?」
「お前さんと同じじゃ、ひたすら実践を叩き込んで、立ち上がってきたよ……」
オールマイトも、この人に潰れた蛙にされてたのか、想像つかない……と思ったが、自分が警察に連行された時、引き取りに来た鶏ガラ男のオールマイトの姿に、それなら想像できるなと納得した。
「ああ、あの個性を使わない痩せたオールマイトなら、何か想像つきますね」
そう言って、最後の一個のたい焼きを遠慮していると、グラントリノはそれを取り半分に割り、頭側を渡しながら言った。
「なんじゃお前さん、正統後継者なのに、正義馬鹿の個性の事、教えてもらっておらんのか?」
「いえ……何も……というか、僕はオールマイトを継ぐ気はありませんよ」
「あの正義馬鹿……後継者を選んでおきながら何も話しておらんとは……え?」
「うん?」
「お前さん、継がんのか……?オールマイトの個性」
「いやいや……こんな奴がオールマイトなんて正義の象徴を継ぐとか無いでしょう……個性を継ぐ?」
「ううん?」
お互い、情報の行き違いや勘違いの果て、話が噛み合わないと睨み合い、2人して同じ事を頭に浮かべた。
『『あの人(あの正義馬鹿)報連相全くできてない(おらん)じゃないか』』と。
空にいい笑顔で浮かぶオールマイトの顔を浮かべて、互いに情報整理が必要だと、師弟は話をする事にした。