【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「訪問の目的は?」
「短期留学です、ロサンゼルスのヒーロースクールに、ビザはこちらです」
「宿泊先は?」
「えっと、ここのサービスアパートメントに」
「滞在期間……あ、三ヶ月か、帰りのチケットは?」
「こちらに」
時は遡り数日前、ロサンゼルス空港税関。緑谷出久はガチガチに緊張しているのを隠しながら、税関職員の眼差しに耐えていた。
アメリカの税関の厳しさは凄まじい。やましい事や所作を見せれば容赦無く通さないと聞いていた緑谷は、心配になりながらも税関の眼差しと質問に答えて従順に従っていた。
「荷物にフルーツや肉類は?」
「一切入れてません」
「危険物は?」
「持ってません」
「お金はどれくらい持ってきてる?」
「あー……大体二千ドルになります」
所持金まで聞かれるとは……Iアイランドやオセオンでも無かったぞと思いながら、職員は緑谷のパスポートにハンコを叩きつけた。
「ようこそロサンゼルスへ、良き時間を」
「あ、はい、ありがとうございます」
パスポート諸々を返却された緑谷、これで終わりかと思えば今度はI・アイランド並みの全身スキャン、指紋登録までされてようやく荷物受け取りのコンベアに辿り着き、税関申告に通された。
「カバンを開いて?」
「はい」
一応……フリーズドライの味噌汁と、パックのご飯を入れていたが、これは緑谷もちゃんと調べて大丈夫な物だと確認した。肉類は持ち込みはできないのだが、アメリカにおいてはインスタントやフリーズドライでも、肉のエキスが入っていたら没収、罰金対象となる。
税関職員が成分表やらを確かめ、ようやく頷いてカバンへ無造作に放り投げた。
「次の方」
態度悪いなぁと緑谷は感じたが、オセオンでもこうだったなと、改めて日本の税関の丁寧さは余程のものだったのだと理解した。
旅行カバンを詰め直し、ようやく緑谷は初めて……アメリカの大地を踏み締めた。約半日の空の旅を終え、緑谷は背伸びをして辺りを見回す。
ここがアメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス……かつてのオールマイトが鍛錬に選んだ地。時差ぼけに眠気も感じたがそれよりも気分が高揚していた。
「さて、アパートメントまでは……確か地下鉄でダウンタウンに……」
さぁ雄英が紹介してくれたアパートメントまで行こうと、宿泊先までの地図と生き方を広げてどうだったかと時差ボケ頭で緑谷は眺めていると……。
「イズクーー!」
「うん?」
誰かが僕の名前を呼んだ。緑谷出久に、アメリカ人の知り合いは居ないはずだ、だから一瞬空耳かと思って地図に視線を下ろした刹那。
「久しぶり!イズク!!」
「どぉあああああ!?」
真横からアメフトタックルじみた衝撃を受けて、緑谷は早速アメリカロサンゼルス空港の床に転倒した。
「あたたたたた……だ、誰だ一体……」
痛みに呻き、瞼を開いた先には……。
金髪のグラマラスな美女が、笑って緑谷を見下ろしていた。
一瞬、緑谷は彼女が誰か分からなかった。それ程までに、彼女の容姿がより大人びていたからだ。
「え……メリッサ……?」
「一年ちょっとぶり、イズク!あはぁ!身長もだけど身体が大きくなってる!マイト叔父様に鍛えられたからかしら!」
「うわぁ!?」
緑谷の首に両腕が絡まり押し付けられる、彼女のアメリカンサイズバストに時差ボケは消え去った。周りからも感動の再会を果たした恋人かとみられ始めたところで、緑谷は赤面しながらメリッサに尋ねた。
「あ、えと、メリッサ……さんはどうしてここに?I・アイランドでは?」
「もう、イズク……なんでさん付け?呼び捨てにしなよ」
「わかった!メリッサ……なんでロサンゼルスに?」
呼び捨てをやめたら余計腕に力を入れてきたので、改めて呼び捨てにしてようやく腕は離れた。そして彼女は得意気に鼻を鳴らして笑顔で答える。
「マイト叔父様からイズクがアメリカ修行するってパパ伝手に話を聞いてね、ロサンゼルスの事分からないだろうイズクをサポートしてやれってマイト叔父様から頼まれたの!」
まさかの、オールマイトからの計らいであった。聞いてなかったがそうなのかと、緑谷は納得するのだった。
「それは……ありがたいな、オールマイトも言ってくれたら良かったのに」
「ねー?さ、イズク着いてきて、パパのお下がりだけど私の車でアパートまで案内するわ」
笑うメリッサにそのまま手を引かれ、緑谷はロサンゼルス空港から外に飛び出した。
「運転免許取ったんだ、メリッサ」
「ええ!アカデミー在学中に、この車すごいでしょ?昔パパがマイト叔父様と乗ってたヒーローモービルをリペアしたのよ、イズクが乗ってる席にマイト叔父様は乗ってたの」
「おおう……それ言われたら緊張してきた」
空港からシャトルバスに乗り、駐車場にてメリッサの運転する赤い車体のヒーローモービルに搭乗し、緑谷はロサンゼルスの街並みを眺める。
一月の昼間のロサンゼルスは、真冬の日本と違い寒くない、薄手の長袖でも過ごせる気温だった。しかしオープンカーから叩きつけられる風は少々冷たかった。
「明日から学校でしょ?まだ時間もあるし……せっかくだからイズクが見たそうな観光地に連れてってあげるわ」
「えっ、いいのわざわざ?」
「これからイズクが修行して過ごすんだから、少しくらい地理を知っておくべきだわ、というわけで……行くわよ!」
取り立てと思えないハンドル捌きを見せるメリッサ、あまりに慣れてるなと緑谷は首を傾げ、メリッサに尋ねた。
「免許取り立て……なんだよね?」
「ええ、正確には本免許のね!アメリカでは週によるけど15歳半から練習できて、16歳で暫定免許っていう制限付きが取れるの、私はI・アイランドで乗ってたのよ」
「へー……知らなかった」
「日本は18からだもんねー」
なる程、15歳半から練習できるのか、ある意味羨ましいが事故したら訴訟が大変だったよなと、それを考えたらおいそれと運転できないなとも緑谷は思うのだった。
「着いたよ出久、絶対ここ行きたい場所だったでしょ?」
「こ、ここは!!」
しばらく街中を走り、駐車場に停まって降り立ったのはハリウッドの一区画……その建物には観光客も居て、巨大な二つの像が出迎えていた。
『アメリカヒーローズサンクチュアリ』
プロヒーローという職業が生まれ、アメリカヒーロービルボードチャートの上位10名に名を刻んだヒーローのみが、この場所に銅像を建てられ飾られる。
つまり、ここに飾られたヒーロー達は、アメリカを代表するヒーローという事だ。
「まさか、こうも早くこの場所に来れるなんて!」
「ほら行きましょう、マイト叔父様の若い時代の銅像もあるのよ!」
そして……かつてのオールマイトも
また、この場所に銅像を飾られている。腕を引かれるがままに踏み入った先で、幾つものアメリカ歴代トップ10の銅像に、緑谷の目も久々のヒーローオタクモードの輝きが浮かんでいた!
「キャプテンセレブリティ!数年前日本に来てたんだよなぁ……今は確か離婚訴訟中とかだっけ?」
「どうだったかしら、ほらイズク!あのヒーロー!」
「スカイクロウラー!アメリカNo.4!日本人で2人目のビルボードチャートUS10位に入ったヒーロー!このアイシールドかっこいいなぁ!」
ヒーロー達の銅像に興奮する緑谷は、さながら憧れに興奮する幼な子そのもので、メリッサも思わず笑ってしまう。
しかし、そんな緑谷も……この銅像の前でははしゃぐよりも、その雄大さに言葉を失った。
「これが……日本には無い、ヤングエイジ・オールマイト……全米No.1に上り詰めた時の、最も若く強かった時代の……!」
日本のオールマイトの石像、銅像は、全国各地に建造されている。しかしそのどれもが……日本に凱旋して後の姿しかないのだ。
アメリカの、この聖域にのみだけ。
全盛期かつ最強の時代の、若きオールマイトの石像は建てられている。鍛え上げられた肉体と、若々しく力強い笑みまで再現されている……決して緑谷達の世代は見る事叶わない全盛のオールマイトはそこに居た!
「かっちゃんに、写真送ってやろ……よろこぶぞー」
写真OKのマークもあり、これはいい土産になると、緑谷はスマホのカメラでかつてのオールマイトを撮影した。
メリッサ・シールド(19歳)
ヒロアカ劇場版『2人の英雄』にて登場したキャラクター。オールマイトのかつての相棒であり、世界的科学者デヴィット・シールドの愛娘。
このセキアカ次元では、緑谷久とデイヴの口約束により緑谷出久の『婚約者』として登場した。最初こそ、あくまで父親同士の口約束だったが、I・アイランドで『無個性』で差別されたメリッサと、恐ろしい個性で迫害を受けた緑谷は惹かれあう。緑谷自身も『初めて自分からキスをしようとした女性』はメリッサである。
その後、I・アイランドのテロへ立ち向かい、オールマイトと共に父を助けた姿に脳を焼かれ、本当に婚約者として緑谷に恋愛感情を抱いた。
以降は『ヒーロースーツ:シン』や『イーヴルマジン』の開発にも協力して名前しか出てなかったが、このアメリカ留学編における現地サポーターとして、かつての父とオールマイトのように、緑谷出久をサポートする事となる……筈なのだが、それだけではないようだ。
なお、この約2年近くで一気に成長しており、ヤオモモ超えのバストサイズとなっている。