【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
さて、本来の目的は留学であるので観光はそれまでと、メリッサの車がたどり着いたアパートメントに早速入った。
「ここが留学中のアパートメントよ、どうかしら?」
「えぇ……学生の使うアパートじゃないくらい豪勢……間違えてない?」
「間違えてないわ、ちゃんと雄英とロサンゼルス・ヒーローファクトリー管轄のアパートメントよ」
1-Aアライアンスの部屋とは比較にならない、分譲マンションなのではという広さに間違えてないのか尋ねたが、あっているとメリッサは笑った。洋室が三つあり、リビングダイニングキッチン完備、洗濯機も浴室も新しい。
ベランダに出た緑谷は、広がるロサンゼルスの景色を眺めて、いよいよ明日からここで留学生活が始まるのかと。
「イズク、じゃあ荷物整理したら買い出ししましょうか」
「あ、うん、わかった」
しばらく景色を眺めていたが、荷解きをせねばと緑谷は、キャリーケースに向かった。と、ここでスマホが鳴った、通話アプリには『オールマイト』と表示されている。緑谷は即座に通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『おお緑谷少年!無事着いたみたいだね!今のロサンゼルスは夕方くらいかな!』
アメリカロサンゼルスと日本の時差は約16時間、ロサンゼルスが夕方なら、日本は翌朝で既に始業式が終わった頃かと、キャリーケースを開きながら緑谷はオールマイトと話す。
『飛行機もだがアパートまで迷わなかったかい?何せキミの知らない土地だからね?私も昔は迷ったものさ』
かつての自分もロサンゼルスの街に迷ったものだと過去を嬉々としてオールマイトは語る。その有様が想像できるなぁと、緑谷はスマホ越しに笑いながら大丈夫だったと報告した。
「ああ大丈夫ですよ、現地でメリッサさんが案内してくれまして……オールマイトも人が悪いなぁ、まさかわざわざメリッサさんに留学のサポートをお願いしてくれるなんて」
メリッサを寄越したのはオールマイト、それはメリッサから聞いた話だ。しかし……しばらくオールマイトからの返答が止まった。
『え?待って、メリッサが居るのかい?』
「へ?はい、居ますけど……」
『いや、確かにサポートを頼んだけど彼女には悪いから通信でと……』
「えっ?」
オールマイトは、緑谷の近くにメリッサが居る事に驚いていた。確かに、彼女へロサンゼルスでの留学サポートを頼みはしたが、それは通信での話であり、直接来訪してではない筈だと。
『私からもデイヴに確認してみるよ、まぁともかく、しっかり三ヶ月頑張ってね緑谷少年!』
「あ、はい、頑張ります」
話はこちらでも聞いておくとオールマイトは言うと、激励と共に電話は切れた。何やらあちこちで食い違いがあったのかと考えながら、緑谷はメリッサがまだ居るリビングに向かった。
「ふんふんふーん」
「えっ」
だが、そんな彼女は玄関の方に居て……何やらキューブのボタンを押すと、光に包まれてそこからキャリーケースが現れていた。
超圧縮技術……メリッサが在学中に開発していた、物質を圧縮しコンパクトにする技術である。緑谷がかつて着ていた『シン』にも一部分流用されていた技術であり、盗用までされる超技術だ。
それを使ってキャリーケースを運んでいたらしいが……。
「えっと……メリッサ?」
「どうしたの、イズク?」
「その……キャリーケースは?」
「私のだけど?」
「えっと……もしかして隣の部屋も借りたの?」
サポートのためとは言え、隣の部屋まで借りたのかなーと苦笑いしながら確認を取る緑谷に、メリッサはにっこり笑った。
「まさか?そんな無駄遣いするわけないよ、私も三ヶ月ここに住むから」
「……え?」
「三ヶ月、よろしくねイズク?」
緑谷の処理容量を超えた情報が一気に叩きつけられた。
メリッサは現地のサポートではなく、通信で僕をサポートする筈だったし、ロサンゼルスに来るはずはなかった。しかしメリッサはここに居る、現地サポートをする為に。
そしてメリッサは、緑谷がアメリカ留学の間同じこのアパートに住むと言った。
つまりは……。
『三ヶ月の同棲生活』と言う事である。
「ダメかな……久々に会えたから……」
倫理的に駄目に決まっている。しかし、ダメと言えないカラクリは既に組み上げられていた。アメリカでは外国人の唐突な宿の変更に厳しく、場合によっては強制送還すらあり得るのだ。
何より……赤面しながら潤んだ眼差しを向けられ、緑谷出久が耐えれるかと言われたら……。
「だ……駄目……」
「えっ?」
「じゃあないです、はい」
耐えられる訳がない。彼もまた男子なのだから!緑谷の了承に、ぱぁあ!と笑顔を見せてメリッサは緑谷に駆け寄り抱きしめた。
「ありがとうイズク!じゃあ荷解きが終わったら買い出しに行きましょう!夜ご飯は私が作るからね」
「わ、わーい、楽しみだなー」
ああなんて事だ、留学生活がまさかの同棲までついてきた。これバレたら退学で済むのかと、魂が抜けかける緑谷をよそに、メリッサはキャリーケースを自室の用室へ運び始めた。