【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
転校生だとか、留学生だとか、紹介の後の流れとなると、休み時間中に校内の案内が学園ものの流れとなるだろう。
大概その役目は、情報通なおせっかい焼きだとか……学園の派閥争いやらカーストをひっくり返す為に声を掛けて来る狡猾な輩が居たりする。(緑谷出久の脳内図書館データベースにおける、古い海外青春ドラマや映画、海外のゲームに基づく)
「……誰も話に来ない」
それが、全くと言っていいほどなかった!紹介が終わり、席について、時間割を確認しながら緑谷は誰一人話にかけに来ず退出したり移動を始めるクラスメイト達に、少々戦慄した。
あれか、アジア人差別というやつか?英語が変だったか?オセオンでは通じたがアメリカではダメなのかと、緑谷は席を立ち上がる。
カバンからこの学園のマップと、自らの時間割を照らし合わせ、緑谷は自らの授業がある教室へと向かった。
さて、今回緑谷出久が留学する、アメリカはロサンゼルスのヒーロースクール『ロサンゼルス・ヒーローズファクトリー』において、いかにして学ぶかの流れを説明しよう。
そもそもの話、アメリカと日本では授業形態から単位に関しても全く違う、それは雄英と姉妹校のこの学校も同様である。では、いかに統合性を取り、緑谷は三学期の単位を取るかというと、雄英高校から送られた『必修授業表』を参考にする。
これは、現在の雄英二年生三学期の勉強範囲と、ロサンゼルス・ヒーロースクール(以降L.H.Sと表記)のカリキュラムを照らし合わせ、3ヶ月以内に参加すべき授業項目、授業数が表記されていた。
緑谷は、3ヶ月間の間に必ずこの必修授業表の項目を埋め尽くさねばならない。もしできなかった場合、帰国時に再試、最悪留年すらあり得る。
これに加え、日本でしか受けられない『現代文』や『日本史』『世界史』と言った範囲は、前もって指定された範囲を自習にて学習し、雄英から送られる筆記テストを受ける必要まであった。
遊びに来たわけではない、この学舎でお前は強くなりに来たのだと、改めて目的を忘れぬように、道標は用意してくれていた。
「一時間目はヒーロー史か、えーっと……どの教室だ?」
その教室の案内もなく、マップを頼りに緑谷は歩き回る。厳しいのは開始ブザーが鳴ったら参加は認められない、遅刻は許されないのがアメリカの学校というやつらしい。
焦りを流石に隠せない緑谷、ただでさえ校内もなかなか広いので、しばらく彷徨くと。
「留学生、ヒーロー史の教室探してる?」
「え?」
声を掛けてきた者が居た。金髪に眼鏡の優男と、ドレッドヘアの黒人が並んでいた。
「そうだけど……」
「よく辿り着いたな、この教室な?誰も案内してくれなかったか」
ドレッドヘアの生徒が親指で教室を指差し、入れよと案内してくれた。助かった、緑谷は初日一時間目から、危うく遅刻しかける難から逃れたのである。
「ありがとう、助かった……確か同じクラスの」
「マイケル、マイケル・サンダース、こっちはビル・マグワイヤー」
「よろしく、大戦の英雄」
黒人ドレッドはマイケル、そして金髪眼鏡はビルと名乗り右手を差し出してきたので、緑谷はそれぞれと握手を交わした。
「どうも改めて、イズク・ミドリヤです……正直誰も声かけてくれなかったから……差別かと思ったよ、歓迎されてないかと」
もしかしてアジア人差別?ジョークはこんな感じでいいのかと緑谷は笑いながら尋ねれば、ビルはとんでもないという驚きを見せた。
「違うよ!キミってほら……有名じゃないか、AFOとトムラ・シガラキを倒した男で、一度世界を救ったオセオンの英雄だからさ?恐れ多くなってたんだよ」
ここに来て、緑谷は死柄木に関しては、日本で度々言われてはいたが、オセオンのヒューマライズ事件に関しては初耳だったので目を見開いた。
「……あれってそこまで話題になった話?」
「マジかよおい、世界中にお前と糞イカレ教祖フレクトのラストバトル流されてたんだぞ?」
「あー……そう言えば、そうだった」
確かそんな事口走っていたし、ニュースにもなっていたなと思い返した。この辺りの根回しで普通にそのまま学生であれたのは、恐らく根津校長やオールマイトが働いてくれたからだろうと、改めて感謝が心に浮かぶのだった。
「だからさ、留学でキミが来たのが驚きなんだよ、日本政府から勅命を受けて極秘任務で来たんじゃあないかって」
空き席についたビルが、まさかキミが留学に来る事自体、クラスは驚きなんだと言った。その理由もまたぶっ飛んでいて、政府抱えの極秘任務で留学生として、拠点にこの学校を選んだのではと。
「は、え?何故そうなるの?」
「留学しに来た理由がわからなぇんだよ、いやマジな話、ショートやダイナマイトとかがステップアップの為に来たなら分かるけど……イズクは強いからさ」
マイケルも、轟や爆豪がさらに強くなる為に留学へ来たなら分かるが、元々から強い緑谷が何故留学に来たのかまでわからないという始末だった。だから、日本政府の極秘任務で来たなんて思っているらしい。
「……その強さが欲しくて僕は留学しに来た、ヒーローの本場アメリカで学び、鍛える為に」
緑谷の宣言に、マイケルとビルは顔を見合わせ、冗談だろと驚きの顔で同時に言い放った。
「「これ以上強くなって何する気なの(なんだよ)?」」
「弱いから強くなりに来たんだ、2ヶ月前に、日本でボコボコにされたんだよ、ヴィランに」
「「キミ(お前)が!?」」
「そうだよ!悪いか!!」
「「そんなヴィランが今この世に居るの(かよ)!?」」
「居たんだよ!日本トップヒーロー誰一人止められなかった!というか何!?キミら僕の強さ過剰に評価してない!?」
こっちはまだ高二の学生だぞ!オールマイトかエンデヴァーと同格かと思ってらっしゃる!?緑谷の言葉にビルが、なんとここで反論してきたのである。
「イズク、このサイト知ってる?」
彼はタブレットを取り出してキーボードで文字を打ち込み、何やらサイトを緑谷に見せつけた。
「……このサイトは?」
「このサイトはGlobal Hero Power Rankingsって言って、非公式だけど有志の世界のヒーローファン達が世界中の現役ヒーローの"強さ"をランキングしているんだ」
「そんなサイトがあるのか……知らなかった」
ヒーローオタクとしては、それは気になるな知らなかったとマジマジとランキングサイトを見つけた。非公式ながら戦闘力に割り振られたランキング、ヒーローの強さ談義は不毛ながらやはり男の子なので語りたくもなるなと、そのサイトを見ると、ビルは指差した。
「ほらここ、キミは去年下半期時点でランキングはNo.8に番付されてるんだよ」
「……冗談でしょ?」
ビルに指差されたランキングには、確かに緑谷出久の名が刻まれていた。まだ仮免の、学生ヒーローでありながらである。
「因みにショートとダイナマイトも3〜40位にあるぜ、あの日本での戦いで活躍した学生は、軒並み名前が載るくらいに凄まじかったしな」
さらに、爆豪や轟まで名前が刻まれているとなれば、よりこのランキングの信憑性が高まった。有志の非公式ながら結構な信頼度があるやつかと、緑谷は口元を手で覆った。
「色々言いたい事あるけど……昼食の時にまた話をしていい?詳しく聞きたい」
「もちろんいいよ」
「俺からも当時の話聞きたいしな」
流れや始まりはどうであれ、緑谷は留学先で早速、話し相手を得たのだった。