【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「貴様かレックス!!よくも俺を前にしてその様を見せたな!!」
空から現れた深紅に宝石散りばめたヒーロースーツを纏った金髪のアメリカン少年に、バルトマン先生はふざけてんのかと近寄った。
いや、それはそうだよなと、緑谷は横のマイケルに、こいつがまさか例の問題児か?と目配せで尋ねると、マイケルもそうなんだよイズクと呆れ顔で示した。
「そう怒らないでよサー・バルトマン?確かにヘリには乗り遅れたがこうして自らの力で、時間内に授業の集合場所に辿り着いた、僕には授業を受けて単位を得る権利がある、それを先生は阻害したり認めないなんて事はしないだろ?」
「ぐく……」
だが僕は始業時間には間に合っただろ?問題児の揚げ足取りに、バルトマンは苛立つが実際間に合っているのだ、自らの力……というか自家用ヘリ?はまるでこの後も、彼を乗せるのが当たり前と学校の輸送ヘリより離れた場所へ着陸していた。
「……参加を許可する」
「センキュー、サー」
「とっとと整列しろ!」
許可を得るや問題児、レックスはウィンクして感謝する。緑谷はそのキザったらしさに……かつて同じクラスに居た青山優雅と同じ物を感じ取った。
もしも青山優雅がアメリカかぶれだったら、こうなっていたのかもしれない。フランスかぶれでよかったかもと、前を通り緑谷の横に並ぶレックスを横目に見上げた。
でかい、障子くんが身長187cmだが、それ以上。2m超え……かつてのマッスルフォームのオールマイトが過った。筋肉量は全然だが金髪と、その笑みがどうもオールマイトがちらつき、緑谷の心中に靄がかかった。
何故こんな奴に、その気配を感じ取ったか、レックスは緑谷を見下ろした。
「おや?知らない子だね、どちら様だい?」
気障ったらしい声だった。その質問に、無視をするほど緑谷は子どもでもないので、淡々と返した。
「イズク・ミドリヤ、今日から留学で日本の雄英から来た、同じクラスだ」
名を名乗った緑谷だったが、レックスはそれを聞いてあーと、同じように淡々と返す。
「そうなんだ、まぁ覚える事もないだろうけどよろしく頼むよ」
きみの名前なんて覚える気は無い、そう言われた緑谷だが、そうですかとは言わずに止めて会話はここで終わり、バルトマン先生の腕時計からブザーが鳴り、即座に彼は止めて参加者の生徒に言い放つ。
「授業を開始する!本日は街中を想定した救助訓練!!全員駆け足!!」
バルトマン先生の号令に、参加者役20名が、その背中に追従し走り出した。
今回の実習訓練は、この擬似的に建設された摩天楼の中での救助訓練だった。"今日来たばかりで流れが分かりません"などという泣き言は許さないとばかりに、バルトマンは構う事無く内容を説明する。
「想定内容はヴィラン集団の局地テロ行為!お前たちはこの戦火の中取り残された要救助者のダミーを回収し、安全地帯に運びだせ!、この浮島の区域を二つに分け、割り振ったチームAとチームBで救助し、そのタイムも競う!」
人数を半分に分けた、救助活動競争。ゲームじみているが、時間は大事だ。1秒が助けを待つ人の命を左右する現場、早いに越した事はない。
「チームのメンバーはこの通り!現地ヒーローとのチームアップを想定し、協力し、1秒でも早く助けて見せろ!位置につけ!」
空中に映し出された映像に、名前と顔写真が映る。緑谷はBチームでマイケルと同じである、そして……問題児レックスはAチームだった。
位置につけと、そのスタート地点は分からないので、マイケルの後を追う。緑谷のアメリカでの初実習が!いよいよ始まった!
「次!!」
「早ぇ!?もうダミー何個だイズク!!」
マイケルが横切った緑谷を見て絶句して声を上げた。
初実習、緑谷の日本で培った経験は確かに生きた。エンデヴァー事務所で培った経験は……このアメリカのヒーロースクールでも通用するどころか、同じチームの生徒達を驚かせた。
ニューヨークを模した摩天楼の間を飛翔し、目視でビーコンを確認して即座に回収、引き寄せで多人数を一気に、しかし無下に扱わず慎重かつ早く!現実の災害を想定しろ、場所が変われどやる事は変わらないと、緑谷は自らに言い聞かせ真面目に実習をこなす!
「凄いスピード……オールマイトの下で鍛えられているわけだわ」
一方、道路からその姿を見上げるチームメイトが1人。
アルビノじみた白い肌の彼女もまた、負けてられないと駆け出して、その姿を麗しい白き虎に変えて街を疾走した。
「終わったか!ひよっことは思えん速さだ!演習のダミー相手ならの話だがな!」
約10分程度、両チームが指定区域内の救助ダミー全てを救出し終えると、バルトマン先生は即座に集合して評価を始めた。
早いがそれはダミー相手だ、現場とは違うが及第点だと語る。
「だがこの10分で、何もしなかったし助ける市民を見つけられずに走り回ってた奴も居るようだ!その目は節穴か!」
空中に浮かび上がる映像、そこに記されたのはA.Bチーム両方の、全救助ダミー回収までの時間と、誰が何人救出したかのスコアだった。
各区域には200体、計400体のダミーがあったらしい。各チーム10人なら、1人20人は助ける必要がある計算になる。
緑谷は引き寄せの個性を利用し、一気に運んだりした。その結果……。
「すげぇなイズク……83人も回収したのか」
緑谷のスコアはBチームトップの83人!マイケルはそのスコアを見て驚き、Bチームもどよめきが出た。雄英から来た大戦の英雄、その実力は確かな物だと示されただろう。
だが、それよりもだ……緑谷が驚愕した事実がそこには刻まれていた。
「112人……だって……!」
Aチームのスコア表トップに、レックスの名前が刻まれていたのだ。
そのスコアは112人!緑谷は涼やかな顔で映像を見上げるレックスの横顔を見ると、気付いたらしいレックスは笑って言い放つ。
「僕ほどじゃあないがやるようだね留学生、だがこれが実力というやつだ」
緑谷は絶句する他なかった。
何故か、この救助した人数と完了した時間は……あまりにも有名な話があるからだ!
『10分で100人以上を救出』
この文面は、日本人に馴染み深いある伝説を語る上で外せない数値だ。
かつて、日本で起きた大災害……その際にオールマイトが救出した被災者の数と時間である!彼は10分間で100人以上を救い出し、そして1時間の救助活動で1000人以上を救い出した。
オールマイトの伝説の一つであり、大災害時におけるヒーローの救出活動における『理論値』扱いされているこの数値を、この男は体現したのだ!訓練のダミーであるとは言え!!
「……凄いな、アメリカ……!」
初日ながら来た甲斐があったと、緑谷はレックスに歯を見せ笑った。