【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「はい、じゃあ師匠、お互いの行き違いを纏めますと……まず僕はオールマイトを継ぐだの、継承者だの思ったのは、二代目襲名とかそういう意味だと思っていたこと」
「わしはあやつが、個性を譲渡する人間にお前さんを選んだから継承者と呼んでいたと勘違いしていた、しかも、個性の話すら知らんかった……」
湯呑みを2人して傾けて、茶を飲み息を吐く。
「報連相は大事ですね」
「じゃの……」
「しかしまぁ、オールマイトの個性が、受け渡しができるなんて……じゃあ、先代オールマイトが居たって事ですか?」
「正確に言うなら……先代ワン・フォー・オール継承者じゃ、それが個性の名前……正義馬鹿は8代目継承者じゃな」
そんな話、インタビューにもヒーローチップスのレアカードにも書いてなかったから、闇の深い話なんだろうなと、これ以上は尋ねる事をやめた。
個性『ワン・フォー・オール』それは、受け継がれ行く『聖火』の如き個性、その個性を継いだ者の力を、また次代に引き継ぎ、どんどん強力になっていく……まるで、ニチアサヒーローのバトンタッチのようだと緑谷はイメージした。
「先代から継承されたあいつは……5年前、いや今だと6年前の闘いに重傷を負い、サーナイトアイに引退を勧められたが、後継者を探し育つまで象徴として活動を辞めないと吐かして今に至る……」
「6年前の戦いって……え、毒々チェーンソー?」
「違う……」
それしか無いような、だがここも、所謂非公開情報だなと足を踏み入れはしなかった。
「しかしお前さん……どうして頑なにあやつを継がないと言うのだ、はっきり言って……わしはおまえさんなら納得するぞ」
今度はグラントリノから尋ねられた、そこまでお前が彼を否定し、遠ざかるのは何故だと。君もまた、オールマイトを尊敬しているのだろうと。緑谷は湯呑みを置き、茶を追加で注いで言った。
「象徴は……もっと清らかでなければなりません、僕なんてダメだ、こんな汚泥のような奴が、オールマイトを継ぐなんて……」
象徴に必要なのは、精錬潔白。緑谷はそう言う、故に自分はそれを満たしてはいないから、なってはならないのだと、かつてのオールマイトの先生に言った。
「おまえさんの個性のことか?」
「それを含めた、過去のやらかしですよ、ダメでしょ?次代のオールマイトが人殺しなんて、仮にも僕は……生き返らせられるとはいえ、人を殺してる……謝れば済む話ではない、確かにその時、その瞬間、僕には殺意があったのだから」
緑谷の個性『脊髄ぶっこ抜き』は、確かに引き抜いた相手は死ぬ、死ぬが……元に戻して『蘇生』まで可能な個性だ、たとえ生き返らせれようが、それでよかったでは済まない。
その瞬間『殺人』は成立しているのだから。
「ああそうか、僕は……それでヒーローになりたいのかも、殺した分の罪を、許して欲しいから……まぁ、ダメでしょうね、一生消えない罪、ですから」
グラントリノは茶を啜りながら、虚な目で語る弟子に思った。あまりにこの子は、何もかも背負いすぎていると。そして自分を許すなんて決してできない、自罰的な部分が強すぎると。
厄介な個性を抱え、理解されず、阻害されて、愛を知らず悪に走ったヴィランも居る中で、彼はあと少しを踏み越えなかった。
それをしたのが……あの正義馬鹿だ……。
「それだけは、あやつを褒めてやらんとの」
「え?」
「何でもないわい、これからまた訓練じゃ、せめて一撃、ワシに当ててみせい!」
「は、はい!」
全く……とんだ奴を連れてきたな、グラントリノはぐいい、と茶を飲み干した。