【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
緑谷出久が、L・H・F(ロサンゼルス・ヒーローズ・ファクトリー)に留学し、一週間が経った。
まだ一週間ながら緑谷はクラスに馴染み、必須授業を地道に学び、校外実習もこなし……変えれば自習しなければならない範囲をこなした。
はっきり言えば、エンデヴァーの下にインターンをしていた時以上に忙しい。しかし、それすらも苦と思う事は無かった、一日を越えるたびに強くなっていると思えるくらいには、ロサンゼルスでの日々は濃く、充実していたのだ。
そんな緑谷は、今学校ではなくロサンゼルスの、ある場所に来ていた。
「これがシールド・ラボ……デイヴさんの会社の支局か」
「さ、行きましょうイズク?遅くなったけど貴方への頼み事を改めて話したいの」
メリッサに誘われ、緑谷はその建物の入り口の自動ドアを潜った。
シールド・ラボロサンゼルス支局。
世界的個性研究者であり、サポートアイテムの発明家、デヴィッド・シールドが抱える研究所であり、サポートアイテム開発会社のロサンゼルス支局。
様々なサポートアイテムの会社があるが、アメリカのヒーロー達は、一度は絶対シールド・ラボ製にお世話になった事があると、シェア率も高い。緑谷出久のサポートアイテムの幾つかも、シールド・ラボ製が使われている。
自動ドアを潜り抜け、エントランスに入り……そのまま奥へ共に歩く。メリッサの姿を見て、手を挙げる者や頭を軽く下げる者も見かける中、自分は異物じゃないかとすら思うほどに場違いな感覚を緑谷は覚えた。
「ところでイズク、私が何故貴方のサポートを買って出たか、理由は分かるかしら?」
歩いていると、緑谷にメリッサから質問が飛んできた。此度の留学のサポートを自分が買って出た理由があるのだが、それは分かるかと。緑谷は、この一週間の彼女との同棲生活を振り返って……答えを言った。
「……僕との同棲?」
「半分正解」
メリッサが少し赤くなった。あ、半分正解なんだ、自惚れかもと思ったが当たってたのかと緑谷は少し照れた。今夜疲れがないならは、一緒に寝るの誘ってみようかなと緑谷は欲が出てきた。
「もう半分は……これよ」
やがて、たどり着いたドア。横のカードリーダーにカードを通し、網膜をスキャンして開いた先へ、メリッサは緑谷を通した。
また広い空間に出た、様々なPCと画面が何かを映し出し、今も何かを計算しているのか、緑谷が見て理解する事はできなかった。
「これは……!」
しかし、案内された部屋の最奥に鎮座する物を見て、彼女が留学のサポートを受けた理由を緑谷は理解するのだった。
ガラス越しに立つ、そのヒーロースーツ。かつて緑谷出久が、父の久からクリスマスに送られ、雄英を去り単独行動し、オールマイトにより破壊された、専用パワードスーツ。
『ヒーロースーツ:シン』
その機能性は、当時の緑谷出久が試しに動いただけで『自分の想像通り動けて逆に恐ろしい』とまで言わしめ、完全なるOFAを手にした緑谷出久の動きにすらも耐え抜いた強度まで有していた、学生が使うにはあまりに持て余すパワードスーツ。
それが、また目の前に現れたのだ。
だが、見た目も少し変わっていた。より鎧のように頑強に、分厚くなり、それでいてシルエットは……。
「映像でしか見た事無かったけど、これオールマイトのアーマーに寄せてる?」
AFOと死柄木との戦いで、オールマイトが来ていたアーマーのエッセンスが、少し入っていると緑谷が気付き、その通りとメリッサは人差し指立てて頷いた。
「そ、このヒーロースーツ、シン・ネクストはイズクのシンに記録された戦闘データと、マイト叔父様のエルクレス・パワードが記録した戦闘データをマッシュアップし、作り直したパワードスーツなの」
「オールマイトの……」
「複数の個性を扱っていたイズクなら、このスーツを使いこなせると思うわ、つまりはイズクにテスターをお願いしたいの、この留学期間を使ってね?」
緑谷は、大戦後にオールマイトが、無個性のままヒーロースーツとサポートアイテムを駆使してAFOと死柄木との合流を阻止したのを、退院後に改めて動画で見た。
感覚で、"OFAのつながり"で戦っていると感じてはいたが、動画で見たアーマーのオールマイトが肉薄する様は、たとえ個性失い無個性となっても、彼はやはり平和の象徴なんだと再認識させられた。
その彼が着ていた『エルクレス・パワード』に、自らが一人戦っていた時に着ていた『シン』を合わせた新たなパワードスーツ、そのテスターを頼む為にメリッサは緑谷の留学のサポートを買って出たのだ。
「さぁイズク、まずは生体登録から、そのデバイスに手のひらを押し付けて」
「おお……な、何というか……この手の動作はドキドキするね、ヒーローっぽい!」
ヒーロー大好き緑谷出久、この手の新しい力を手に入れる特別な儀式めいた、登録作業は幾つになってもワクワクすると、デバイスに手のひらを押し付けた。
『━━生体登録完了、緑谷出久を"マスター"として登録』
音声と共に、ガラス越しのアーマー達が粒子となり消えていき、デバイスが左右に開いた。そこからさらにシャッターが開き、宝石が埋め込まれたチェーンアクセサリーがそこに現れた。
「はい、じゃあ変身方法は貴方が"よく知ってる方法"だから、早速着てみましょうか」
アクセサリーを取り出したメリッサが、早速変身してみようと、その変身の仕方は分かるわよねと渡してきた。
緑谷は最初、いやいきなり渡されてもと言いかけたが……まさかとメリッサに尋ねた。
「いつ知ったの?父さんから聞いた?」
「貴方が単独行動中の娯楽で見てたヒーロードラマから、シンはそのあたりもデータ取ってたのよ」
あぁ、確かに着たまま待機している時に、ダウンロードしたやつを見てたなと、そこまで記録されてたかと苦笑した緑谷は、アクセサリーのチェーンを掴み頭上に掲げながら、円を描くように振り回した!
アクセサリーの光が頭上に円を描き、スーツのパーツが自動で緑谷に次々装着されていく!シンには無かった、自動装着システムは、緑谷が特に好きな特撮ヒーローの一つ『牙狼』シリーズにおける敵の一人『暗黒騎士呀』の変身シークエンスであった!
装着し、ヘルメット越しに映し出された部屋、バイタルから各パーツの状況、バッテリー残量が映し出された。
『どう、イズク?調子の方は?』
スピーカー越しに拾われたメリッサの音声に、緑谷はサムズアップした。
「着心地がいいや、と言うか……サイズとかも測ってた?」
ギチギチにぴったりでもなく、過剰な余分も無い。上の普段着からさらにアーマーを着た割にはその感覚も気にならないと歩いと見たり、手を握っては開きを繰り返す。いつサイズを測ったのかと単純な疑問を緑谷はメリッサに投げかけた。
「ああ、それも新機構の一つなの第八の機能"変身機構"に、第一の機能"レンタル"に使われる、自動調整システムよ」
「レンタル……?」
「そのスーツを他人に貸せるの、下限160〜上限200cmの人まで着れるように自動的にサイズ調整を行ってね?」
貸し付ける機能、そして変身機構はそれぞれ第一、第八のシン・ネクストの機能だと言って、緑谷ははっと気付く。
「この機能ってまさか……」
「それは、試験場で試してもらおうかしら、かつての相棒も待ってるわよ」
気付いた緑谷に笑って、メリッサはその先は自分でテストをして欲しいと、メリッサは付いてくるよう手招きするのだった。