【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
シールドラボ・ロサンゼルス支局テストスペース。こちらもまた、ヒーローのためのサポートアイテムを試す為にか、市街地を意識した箱庭であった。
さて、そうして出入り口をメリッサと出た瞬間である。路肩に早速見慣れないバイクが一台停止していた。
雰囲気とでも言うべきか、緑谷はそのバイクを見た瞬間ヒュッと息を飲み、嫌な汗が滲み出した。
『数ヶ月ぶりですねマスター』
そんな緑谷に、容赦無く男の音声が、シン・ネクストのスピーカーに響いた。緑谷は、頭を押さえ……弁解すべきか否かと悩み、謝るべきだなと言い訳をやめた。
「久しぶり、そしてごめんイーヴルマジン、父さんに預けたままだった」
『お久しぶりですねマスター、半年超えて7ヶ月ぶりかと……』
「……ちなみに、今機体はどこに?」
『私の機体は今日本の雄英高校サポート科の教材に、今こちらには新しいアメリカ対応の機体にまで、回線を介して移動してきました』
「……ほんっとうに、ごめんなさい」
本当にごめん、緑谷は日本で跨っていた物とは違うゴツい、ツアラーとでも言うのか、様々な装備がつけられた新たなイーヴルマジンを前にして謝罪した。
『イーヴルマジン』
ヒーロースーツ『シン』と共に、緑谷出久がクリスマスプレゼントに渡されたバイク型ヒーローモービルであり、それに内蔵されたAIの呼び名である。
ストリート、スポーツ、さらにロボットモードへ変形し、自動運転機能まで搭載されたヒーローモービルは、大戦の最中に緑谷久へ預けられた後、雄英高校サポート科の教材として再び預かられていたのだが……緑谷出久の頭からは完全に消え去っており、今日新たな機体にアメリカから回線を通じてダウンロードされていたのだった。
「これはイーヴルマジン改めて"イーヴルチェイサー"シン・ネクスト用かつアメリカのヒーローモービル規則、ヒーロー法に基づいて対応して作り上げたヒーローモービルよ」
そして……シン・ネクストと共に、新たな姿となったのがヒーローモービル『イーヴルチェイサー』と言う名前の、目の前にある大型バイクであった。
「エンジンは水冷並列4気筒400cc、日本のイーヴルマジンにはあったストリートとスポーツモードを廃してバイクモードとロボモードの2つに変えたわ、自動運転に姿勢制御も搭載、目玉はこれね」
つらつらと、日本のイーヴルマジンと違いを語るメリッサ、そのまま後部に取り付けられた巨大なサイドパックとリアボックスを指差して自信満々に笑う。
「このサイドパックとリアボックスには何が?」
「この左右のサイドパックとリアボックスは……かつてのマイト叔父様が着たエルクレス・パワードに搭載された装備が入ってるわ、一つ試しに展開してみましょうか、音声で……烈怒頼雄斗と呼んでみて」
「それは……」
緑谷出久は、オールマイトがいかな兵装をそのパワードスーツに搭載していたかは、映像で確認はした。
その兵装を全て『1-A組』の個性から来ていることも、そこから知った。メリッサの指示通り、緑谷は声を出して呼んでみる。
「……烈怒頼雄斗!」
イーヴルチェイサーの右サイトバックが勢いよく開き、ドローンが緑谷の右手に向かうや、自動で装着された!光を放ち、圧縮技術から解き放たれた大型の防護盾が展開される
「おおー……」
「一部イズクの使いやすいように形状や仕様は変えてるわ、また仕様書渡すから見といてね」
ヘルム越しながら、クラスメイトのヒーロー名を関する盾を眺めて緑谷は目を輝かせた。つまり、このシン・ネクストには……。
『歴代OFA継承者の変異個性を模した8つの機能』と『エルクレス・パワードに搭載された19の外付けサポートパーツ』によって構成されている。つまりは、緑谷出久自身合わせ……総勢28人のヒーローの力を宿した、超高機能ヒーロースーツという事になる!
「こんな凄まじいスーツを作り上げるなんて……いよいよサポートアイテムでヒーローになれる時代が来たのかもしれないなぁ……いや凄いよメリッサ、天才だよ」
「あははは、言い過ぎよイズク、でも会心の出来だから褒められて嬉しい」
掛け値ない賞賛をメリッサに言えば、彼女は頬を赤くしながらどうだ!とばかりに胸を張るのであった。
「さ、改めて動作テストを行いましょうか、イーヴルチェイサーの乗り心地も教えてほしいわ」
「了解、じゃあ改めてよろしく、イーヴル……マジンでいい?」
『AI名はそちらですので、あっていますマスター』
久方ぶりのイーヴルマジンとの会話をしながら、緑谷はシン・ネクストとイーヴルチェイサーのテストを始める為、いよいよ機体に跨るのだった。
『個性』は……プロヒーローの必須条件とも言えるだろう。
現在の世界の人口8割が、個性を有している超人社会で『無個性』は少数派である。世界では無個性者は『無能』の烙印を刻まれて、異形差別よりも酷い目に遭う事もあったのは事実である。
プロヒーローという職業が生まれ、憧れを抱いても……その身に『個性』が宿らねばスタートラインにすら立てない。個性ありきの仕事で、サポートアイテムこそ生まれるも、それらを頼りにするヒーローは、その安心に足元掬われ殉職、大怪我による引退という事態も珍しくは無かった。
それらもあり『サポートアイテム頼りのヒーローは、真のヒーローではない』という風潮は今でも存在している。
「果たしてそうか?いや、違う……ヒーローは、個性の有無でもサポートアイテムの有無でも無い」
学校の屋上から、空を見上げて五つの並ぶ飛行機雲を眺めながら、青年は呟く。
「誰かの助けになりたい、その小さくも高潔な魂からヒーローは生まれる、個性の有無では決して無い……闇を飛び交う蝙蝠の男も、鋼鉄の鎧身に纏う男も、その鎧とサポートアイテムとそれらを開発する頭脳と財産こそあったが、異星から着た鋼鉄の男や北欧神話の雷神の様にスーパーパワーは持っていない、かつての"復讐者"の名前を冠したヒーローチームにも、スーパーパワーを持たぬ弓使いと女スパイは、その身体能力と武器で活躍した」
飛行機雲が、それぞれ旋回して青年へ近づいてくる。やがて迫り、聴こえてくるジェットエンジンと風を切り裂く音が通過して、青年の髪や白衣、下に着込んだ背広をたなびかせた。
「そうだ、個性が必要な時代は終わった、これから……誰でもヒーローとなれる時代が来る、その後押しを僕がする、夢を諦めた子達に、僕が手を差し伸べるんだ」
日本国、某所……『扇廷院高等専門学校』屋上にて、斥野陽一は空舞う夢を託した5人の生徒達を見上げてつぶやいた。
・イーヴルチェイサー
イーヴルマジンの新形態……というよりは『アメリカのヒーローモービル規定と、ヒーロー法に合わせ、シン・ネクスト用に作り直した新たなイーヴルマジン』
日本のイーヴルマジンに搭載された『ストリートモード』『スポーツモード』を統合して『バイクモード』と『ロボットモード』のみにした。
また、リアボックス、左右サイトボックスにはエルクレス・パワードに搭載された機構を、シン・ネクスト用に合わせて作り替えた外付けサポートパーツが搭載され、装備者の音声でドローンとして呼び出して装着できる。
元ネタは仮面ライダーG3が乗るガードチェイサー
・イーヴルマジン(AI)
妄想Cv 井上和彦
ご存知、イーヴルマジン(バイク)に搭載された同名のサポートAI。大戦で父の久に出久が預けた後、雄英のサポート科教材として保管、授業に協力しており出久はすっかり忘れていた。(実は校内を普通に歩いていたり、ロボットたちの手伝いをしていたりも……)
出久がアメリカ留学する事を雄英内監視カメラから知り、回線を通ってメリッサの下に来るや、新たなイーヴルチェイサーに自ら乗り移った。
緑谷出久の安否を第一に考え、時には彼に意見、反目してでも守ろうとする、意思を持ったAIである。
実は……開発の際に緑谷久の人格をモデリングしている為『もう一人の緑谷久』でもあったりする。