【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
メリッサからシン・ネクストとイーヴルチェイサーを受け取り、緑谷はこの留学期間中にテスターとして、使い心地を確認する事になった。
とはいえ……ここまで高性能なヒーロースーツにヒーローモービルを渡されても、正直言えばある事態にやはり至ってしまう。
『使い続けたら、頼りっぱなしになる』
この事態だ。
アメリカ留学は自身を鍛え、よりヒーローとしてステップアップする為に行なっている。しかしシン・ネクストを使いすぎたら……と懸念はやはり生まれる。
だから、緑谷の中で線引きをする事にした。
シン・ネクストを使うのは『本当にもうさっさと簡単に終わりそうな事件』の時と『自分の力でも本当にどうしようもない事態』の時に使おうと。
前者はテスターとして、データを取るのは必要なので、そのテスト回数稼ぎに。後者は……果たしてあるか分からないが、基本的に緑谷は『自分の鍛えた実力』で、このアメリカ留学の授業も、実習も遂行しようと決めた。
「けどやはり、風を切り走る事はいいなと思うわけで〜」
『歩いて間に合う距離なのに何故チェイサーに?』
「バイクはそーいう乗り物なんだよイーヴルマジン、れでぃとぅごーかうんぜろー」
でもやはり……新しいバイクには跨って動かしたいのは男の子である緑谷出久!
早速登校にイーヴルチェイサーを出してL・H・Fへ、朝のロサンゼルスの道路をバイクで安全運転で走るのだった。ご機嫌に歌を口ずさみながら、L・H・Fの駐輪場がある裏口から侵入し、駐輪場を見つけしっかり足をつけスタンドを立ててヘルムを外した。
「おい、お前Aクラスのイズクだよな?」
「うん?」
ヘルムを抱えながら、校舎に向かう最中、巨体が道を塞いだ。レックスに匹敵する巨体……いや、筋量ならレックスよりあるかもしれないマッシブな男が緑谷の前に立ちはだかった。
「そうですけど……何かご用ですか?」
牛のツノを頭部に生やしたその少年は、緑谷を見下ろし言い放つ。
「今から俺と戦え」
「……はい?」
朝一から、誰かも分からない生徒に喧嘩を売られたのだった。唐突過ぎて一瞬フリーズしたが、緑谷はすぐに話を続けた。
「いや、何でですか?嫌ですよ……と言うか貴方は誰ですか?」
いきなり喧嘩を売られる意味も分からないし、そもそもキミは誰だと問いかけると、不機嫌そうに牛の角を持つ少年は名乗った。
「俺はエリック・バイソン、Bクラスだ」
名前を聞いて緑谷は思い出した!
こいつだ!確かマイケルとビルが言っていた『B組に居るジョックス的立ち位置の、アメフト部部長』だと!
「あー、キミがエリックくんか、なる程なる程……で?何故僕がキミと戦わなければならないわけ?僕キミに何かした覚えは無いんだけど……」
話したのもこの場が初めて、喧嘩売られるような悪口も、衝突も無い筈だがと、緑谷が彼に尋ねれば、エリックは苛立ちを込めながら言い放つ。
「お前がレックスとやり合って引き分けた、それだけで十分に俺は、お前をぶちのめす理由になるんだよ」
ぶちのめす、エリックは言い切った。言い切りやがったのだ、このテンプレアメフトジョックスは。朝一から面倒なと腕を組み、緑谷は何故、レックスと引き分けただけでぶちのめされなきゃいけないのかと尋ねた。
「はぁ?何でさ……」
緑谷の質問に、エリックは眉間に皺を寄せて言い放つ。
「分からねぇなら教えてやる、この学園に王は2人も3人も要らねぇんだよ、レックスと引き分けたテメェまで居られちゃ俺の立場が無ぇんだよ」
なる程と、緑谷はエリックの話に内心でため息を深く吐いた。つまりは、このエリック……自身のこのL・H・F内でのヒエラルキーにおける自らの階級、立場を自衛する為に喧嘩を売りに来たのかと。
レックスとエリックは敵対関係にあると、マイケルやビルから話は聞いていた。そのレックスと緑谷出久は互角の戦いを演じた、しかしそれ故にこのエリックは、自身の地位や立場が揺らぎかねない敵がまた1人現れた事になる。
だからつまり、このエリックがやろうとしている事は。
『転校してきた輩に在校生のヤンキーが、
調子乗るなとシメに来た』と言う図式そのものだった。
「そう、じゃあキミの勝ちでいいよ、僕は尻尾巻いて逃げたって事でさ?僕からしたら、喧嘩する理由無いし」
緑谷は、せっかくの新たなバイクによる登校のいい気分をぶち壊されたが、それでもまだ理性的に、降参して教室に行こうと横を通ろうとした。喧嘩しにこっちは留学しに来たわけでは無いのだからと通り過ぎようとした緑谷だったが……。
「な!?テメェこの黄色猿!!」
エリックは振り返り緑谷の肩を掴んだ。
一度はこちらが折れた、しかしそこまでしつこいならばと、緑谷は振り返りながら、エリックの足を右足で蹴り払いながら、更に踵側を個性で引き寄せて力を補助して足を払った!
「はうっ!?」
服の肩を掴むエリックの右手を捻り上げ、手首と肘、肩の関節を極めながら背中に乗る形となり、緑谷はエリックを見下ろしながら言い放つ。
「覚えとけ、イーヴルヒーローイズクの袖を掴むのは"自殺行為"だって事を」
緑谷は、次は折ると意味する様にエリックの頭部すぐ横を思い切り踏み抜き、セメントの地面を靴底の形に凹ませてから離した。
ああ、いい気分が台無しだと緑谷は鞄を抱えながら、校舎へ向かうのだった。