【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「合格」
オールマイトは、緑谷出久にそう宣言した。その顔は皆を安心させる自信に満ち溢れた象徴たる笑顔であれど、冷や汗だらだらであった。
「いや本当、ここまでキミの学校の生徒が苛烈だとは思わなかった……私の見込みが甘かった」
「ま、まだ……耐えますよオールマイト?約束は……はた……す……」
「そのなりで言われたら私も傷つくから!本当にすまない!このまま続けたらキミは受験どころじゃあなくなる!!というかキミ恨まれすぎだろ!?」
「擬似的に殺してますからねぇ、何回も……」
オールマイトが『合格』を告げたのは試験まで残り4ヶ月の事であった。最早ドクターストップならぬ、ヒーローストップの根負けだ。何しろ緑谷は……身体中に包帯からギブス、松葉杖を突いた姿という変わり果てた姿になっていたのだ。
これは想定外だった、今の子は苛烈でやりすぎだろうと、オールマイトはドン引きであった。
「くっそー……まさか学校の屋上から落とすとか、本気で殺しに来てるよクラスメイト……」
「それは最早殺人だぞ……さ、流石に警察へ言っても許されるぞキミ?ええと……キミの個性は身体能力や生命力が上がる個性とかじゃあないよね、その脊髄ぶっこ抜きも」
「だったら戻して蘇生もできない馬鹿力ですから……こんななりでも、鍛えてはいるんです」
少なくとも、学校の屋上から落とされて生還しているという生命力は、個性からでは無い鍛えた賜物などと吐かすあたり、余程彼は鍛えているらしい。
制服の上着だけを器用に脱いで、包帯に巻かれた肉体をオールマイトに見せつければ、それを目にした彼は思わず声を漏らした。
確かに、鍛えている……明らかに一般人……中学生の肉体より逸脱したボディラインが浮かぶ程に。
「オーバーワークを医者に指摘された事もあります……指導を聞いたりしながら、限界まで追い込んで鍛えました」
「どうしてそこまで……」
「憧れは……時にそれだけ盲目になってしまうんですよ、オールマイト」
オールマイトが緑谷と出会ってから数ヶ月……時折感じたあまりの純粋すぎる感情の危うさを幾度と感じたが、ようやくそれが何かを理解した。
『狂信』だ、自分という憧れを信じて疑わない狂気的な信仰……それが緑谷少年をここまで駆り立てていると、包帯だらけでなお笑う彼を見てやっと分かったのだ。
「わかった、わかったとも……兎に角まず、キミは体を癒したまえ、試験が怪我で受けられなくなったじゃあ目も当てられないからな」
「はい……休みます」
「よろしい」
こうして、緑谷出久のオールマイトとの約束は前倒しで果たされ、彼が全快したのはその1ヶ月後となった。そして……全快した1ヶ月後、緑谷は『かっちゃん以外にはきっちりお礼をした』と、オールマイトに語り、オールマイトは頭を抱えるのだった。