※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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528話 空を這う者 上

 まだ数日しか経ってないが、留学生活は退屈しないようだと緑谷は苦笑した。そして、雄英生って多分ヒーロー校として……多分全世界のヒーロー校からしても、やはりいい子が集まるんだなぁと実感した。

 

 普通喧嘩したら停学はされるだろうに、あの後先生から呼び出しも、クラスカウンセラーからの叱責も無いのだから。さながら、スーパーパワーに目覚めたナードの少年が、ジョックスにやり返しても全く呼び出しも警官も来ないヒーロー映画のご都合主義みたいだと、エリックの脊髄をぶっこ抜き、消火栓破壊の器物損壊までしてそれらが無いのは若干怖くもあった。

 

 あれか?当人同士裁判して解決してくれというやつか?アメリカは訴訟大国だし、実はエリックもアイーシャも既に訴訟手続きを始めているのだろうかと緑谷は、仕返しも何もして来ない二人が逆に怖くなって来た。

 

「というわけで、今日の実習はロサンゼルス市警との合同パトロールだ」

 

 それでも時間は止まらない、戻らない。今日の校外実習として、緑谷他参加者はロサンゼルスにある警察署前に来ていた。

 

 さて……日本のヒーローとアメリカのヒーロー、実は立場が両国では違う。

 

 日本におけるヒーローは簡単に説明するなら『警察の下に居る実働部隊』となるのだ。

 

 日本警察は、プロヒーローという職業が生まれてから『武力』から手を引き、それをヒーローに委託する形となった。拳銃こそ装備として配られているが、警官は"基本的に"個性使用を禁じられていたりと、ヴィラン相手の荒事はプロヒーローに任せている。

 

 その代わり……ヒーローは基本、現行犯以外に関しては警察の指示下にあり、命令や令状には従う必要がある。つまりはヒーローより警察の方が偉いのだ、実際。

 

 ただ、歩合制の報酬なので公務員ながら企業のスポンサー収入を得たり、私的な副業も許されているのが特権階級じみているだろうその様に見えてしまう。

 

 対してアメリカでのプロヒーローは、警察から独立している。公務員の一種として"プロヒーロー"は存在しており、免許制度も実は日本と違っていたりする。

 

 何よりヒーローは、アメリカ軍の戦力として数えられており、戦争となればその力を敵国に振るう事すらあり得るのだ。国をヴィランから守る盾であり、敵国に振るう剣でもあるのがアメリカプロヒーローである。

 

 そんなプロヒーローだが、アメリカでは日本と違い面白い制度がある。

 

 警察と共に行う共同パトロールだ。

 

 日本では実働ヒーロー、捜査警察と役割が分担されている。合同作戦はそれこそ、ヴィラン連合アジト突入や、死穢八斎會事件、大戦時くらい大規模なものでなければ行われない。

 

 対してアメリカでは、互いに独立してはいるが、パトロールも捜査も必要となれば即時連携、合同で行われる。

 

 特にこのロサンゼルスでは……。

 

「イズクにビリオンキングだね……今回合同パトロールを担当するジョン・カーター巡査だ」

「よろしくお願いします」

「よろしく、ミスターカーター?」

 

 黒人の恰幅な警官から、握手を求められて緑谷はしっかり握り返し、バディのレックスも笑って握手に応じた。

 

「ジャパニーズのイズクはご存知無いだろうが、ロサンゼルスの警察は人員不足、なおかつ信用されてない、仮免であれヒーローが居なければ目線も雰囲気も酷くなるから助かるよ」

 

「そうなの?レックス?」

 

 ジョン巡査から、ロサンゼルス警察は風当たりが強いと苦笑しながら語るので、緑谷はそうなのかとレックスに尋ねれば、得意気に彼は語り始めた。

 

「ロサンゼルスは警察の汚職や、人種差別事件のデモがあったからね?警察の信用が昔から低いのさ、だから慢性的な人員不足に悩まされているからヒーローとの連携を特にアメリカの中では重視しているんだ」

「それで……」

「だから、警察になるための審査基準も他より厳しいんだ"アメリカでプロヒーロー免許取るより、ロス市警になるのが難しい“と言われるくらいにはね?」

 

 なる程、警察と市民の遺恨が今も続いているのかと、華やかな町の蓋を剥がした内側を緑谷は見せられたように感じた。

 

「という事は……ジョン巡査はそのロサンゼルス市警の試験や審査を突破した選り抜きですか」

「よしてくれよ、プレッシャーになるからさ、気楽に行こうぜ?特に俺の今日の担当地区はそうでもしないとやってられねぇ」

 

 緑谷の期待の台詞にジョンはよしてくれと笑った。そんなプレッシャーの中で今日のパトロールはできないと、ジョンは何やら気が重いようで、緑谷は質問した。

 

「僕らのパトロール担当地区はどこになるんですか?」

 

 緑谷の質問に、ジョンはパトカーのドアを開けながら言い放つ。

 

「スキッドロウだ、キミたちは飛行が可能だったな?ならば空から追従してきてくれ」

 

 その地名を言った瞬間、レックスの顔から笑みが消えた。

 

「……いくら僕とイズクが優秀でも、そこに学生を行かせるとはね、校長も先生も加減を知らないみたいだ」

「そんなに危ない場所?」

 

 レックスの台詞に、緑谷も流石に確認をとった。日本の『危ない』とアメリカの『危ない』は全く違う……それこそスリル求めた観光客が踏み入ったら現地民から"死にたいのか!?"となるくらい意識の差はある……レックスは緑谷にその答えを提示した。

 

「ロサンゼルスで1.2を争う危ない場所さ、超常の後も、まだ解決していないホームレスと麻薬の巣窟だよ」

 

 

 

 

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