【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
アメリカに、ヒューマライズ再起の兆しあり!!
かつて世界をあわや混沌に落としかけた宗教団体にしてテロ組織が作った因子誘発剤(トリガー)が、ギャングに出回っている!
アメリカ政府はこれに対し、大事となる前にと、警察、アメリカ軍、ヒーローによる三面からの捜査を命じた!
仮に……このトリガーがまた国外へ流れれば、起こりうるやもしれない『ヒューマライズの再興』と、テロの再発を防ぐために警察も、アメリカ軍も、ヒーローも……そして、動員がかかった仮免許の学生ヒーロー達も、一丸となって捜査を行う事となった!
「人海戦術によるローラー作戦か、スマートさに欠けるよ」
「下手したらアメリカ全土にもう散ってるかもしれないんでしょ、足りないくらいなんじゃあないの?レックス」
L・H・Fの仮免持ち達は、この一件が一段楽、解決するまでは授業を停止し、捜査網に加わる事となった。
無論、実技以外は出席する姿がを見ない緑谷のバディであるレックスも例外でなく、L・H・Fの校内に設けられた捜査拠点に来ていた。
彼は言う、スマートではないと。人海戦術によるローラー作戦による炙り出し、人件費が無駄だと言うため息と文句に、アメリカ全土一斉捜査ならそれぐらいしなければならないのではと。
クラスメイト達は、集まった警察官と今ある情報の共有を行なっている。緑谷もそれを終えてスマホのメモに打ち込み、写真ファイルもダウンロードを終えていた。
「レックスも早めにしときなよ、後でやり忘れても知らないよ?」
バディではあるが、尻拭いはしないぞと釘を刺す緑谷。しかしレックスは顎に手を当てて、何やら閃くとスマホを取り出した。
「この事件、パンクスが関わっているんだろう?なら話は簡単だ、彼らに尋ねてみようじゃあないか」
「はぁ?」
突拍子もない話が、彼の口より出て来た。パンクスの事情はパンクスに聞けばいい、スマホを取り出したレックスに、まさか知人でもいるのかと緑谷は怪訝な顔をした。
「アンドリュー、迎えに来てくれたまえ」
だが、レックスが交わした言葉はその一言であった。迎えに来て……送迎を態々呼んだのかと緑谷は鼻歌を奏で始めたレックスを見ていると……。
「よーし!学生隊、準備ができた者から向かえ!決して無理はするな、手に負えないならプロヒーローへ救難信号を出すように!」
教員の号令と共に、L・H・Fの仮免持ち学生ヒーローが、校門から順次出発。飛行できる個性の者は空へ飛び上がった。ぐずぐずしてはいられないと、緑谷も向かおうとした。
「待ちたまえイズク、すぐに向かえが来るからさ、バディなのだから共に行こうじゃないか」
「出遅れるよ」
「出遅れないさ、むしろ僕が今から100mはリードしてみせるのだから」
逸る緑谷に、レックスが笑って落ち着けと余裕を見せる。まぁ待てと、そこまで焦る必要はないと緑谷を止めれば……やがて正門から、純白のリムジンが侵入して来た。
レックスと試合をした時に、彼が入場で使ったそれとはまた違うリムジンが、レックスと緑谷の側に停車するや、運転席からこれまたいかにもな、張り裂けそうなパツパツスーツ姿にサングラスをかけた黒人が出て来てレックスに会釈した。
「おぼっちゃま、お待たせしました」
「待ってないさ、いつも早い到着ありがとうアンドリュー、さぁイズクも乗りたまえ」
「え?あ、ちょっと!?」
アンドリューと呼ばれた彼のムキムキ執事は、後部座席を開ければ、レックスはさっさと乗れと押し込むように緑谷の背中を押した。押し込まれた先、リムジンの中は……いかにも金持ちが使うようなグラスに、酒瓶こそあれど、モニターが取り付けられていたりと少し様子が違った。
「さて、彼らが人海戦術を行う合間に、我々はスマートに解決へ向かおうじゃないか」
レックスは緑谷の後に乗り込むや、置いてあったヘッドセットを装着して、マイクに向かい語りかけた。
「フランソワ、各種SNSからロスのギャングのV.Logや投稿を新しい物から総当たりしてくれるかい?」
『ハァイ、レックスお安いご用よ』
スピーカーから流れた女性の声が、レックスの指示を艶やかに受ければ、リムジン内のモニターに次々と様々なSNSの投稿、映像までが映し出された。
「AIに調べさせてるの?」
まさか、彼もイーヴルマジン同様のAIでも持っているのかと緑谷は尋ねるが、レックスは思わず吹き出して笑った!
「あっはっはっは!違うよイズク!AIよりも優秀な僕の愛する女性、レックス・ベイブスの1人フランソワさ!」
AIじゃない、そんな物より優秀な愛する女性の1人だと、モニターをタッチすれば茶髪に、胸元を開けたシャツの女性が映り、こちらに笑顔で手を振って来た。
『ハーイ、レックスのフレンドのイズク?私はフランソワ・デュボア、レックス・ベイブスの1人で情報戦略の担当をしてるわ、貴方とはレックスとの試合でちょっと会ってるわよ?』
「あ、あの時リムジン開けてた1人!?」
『その通り、ここからは私が今回の事件の情報をかき集めていくからちょっと待っててね』
あの時、レックスと戦った時に侍らせていた1人かと緑谷は思い出した。そんな1人が『レックス・ベイブス』と名乗り、情報収集を任されていると語るので、つまりはと緑谷は更に尋ねる。
「レックスのサイドキックという事か」
「No!サイドキックではない、愛する女性の1人で協力者さ、呼び間違えはやめてくれたまえ?」
「ご、ごめん」
サイドキックとは違う、そこは呼び間違えないようとレックスの指摘に、緑谷は即座に謝った。
しかしだ……レックスは今『ギャングのSNSを調べる』と言ったが、緑谷はそんなとこから情報が集まるのかと、疑問が浮かぶ。
「レックス……思うんだが、そんなギャングがSNSが映像を上げたりするのか?流石に犯罪は隠すものだと思うんだけど……」
いくらなんでも、ヤクの取引を呟いたりとか、仲間内とのドラッグパーティをSNSには投稿しないだろうと緑谷の疑問は、レックスが今から粉々に打ち砕くのだった。
「イズク、今僕たちが捜査してるギャング……所謂ゲットーやハーレムといったスラムからのギャングには、チームだの関係なしにほぼ同じ特徴があるって知ってるかい?」
「え、何さ?」
「彼らは飢えていて、反骨精神が高く、自己顕示欲に権力欲が高い……貧困から抜け出す為にヤクを運んで、ラッパーとして大成を夢見て歌詞を書き、仲間内と稼ぎを散財してヤクに塗れて敵を斜に構えた銃で撃ち殺す、彼らはSNSを度胸比べに使ってるのさ、ヤバい取引で金を稼いだと、お前らより華やかに生きてる、その威光にひれ伏せ……ってな感じだろうね」
レックスの持論らしい、此度のギャングは自己顕示欲に塗れた奴らで、リテラシーなんてありはしないのだと。ヤクの取引に縄張り争いは日常で、法なんて平伏させるのが俺たちだと誇示するのが、今回の捜査相手だと。
「いくら何でも……そんな事あるの?流石にそんな開けっぴろげにそんな投稿するなんて」
『見つかったわよレックス、直近20件で、Vlogが8本、内3本に首や腕に注射痕を持つ人間が映ってたわ』
「嘘ぉ!!?」
「どうだいイズク、事実を見た気分は?」
画面が切り替わり、フランソワが見つけた各種SNSの投稿、写真、パーティやライブの動画に、チームの日常を撮影した動画と様々な情報が画面に映し出された。
その投稿内容も、濁せよ!となるくらいにはあからさまで、映画で見た"紙で筒を作り鼻で吸う"場面まで撮影して投稿しているのだから、口が塞がらなかった。
「えぇ……ここまであからさまにやるの?捕まるじゃん、てか捕まえろよ警察もヒーローも」
逆にここまで放置しているのは何故だと、さっさと捕まえしまえよとなるのは自明の理であった。
「捕まるさ、そして……捕まえられない時もある、それだけ彼らの武装も、個性だけでは危ういのがアメリカのヒーローとヴィランなんだイズク」
が、レックスはモニターに触りながら丸を囲ったり、更にはリスト化をしながら緑谷に言った。
「アメリカプロヒーローの殉職率は世界でも上位だ、プロヒーローになる前の仮免許で命を落とす事もあり得る、どんなに強いヒーローも……時にはマシンガンに撃たれて殉職する、余程防御と再生力長けた個性でもなければ、銃弾で死ぬのさ」
敵は、強い個性を持ち得る相手の時もある。しかしそれ以上に『銃火器』によるヒーローの殉職が多いとレックスは語る。個性だけではないそれらが、ヒーローの命を奪い、ヒーロー相手にも物怖じしない、画面に映し出されたギャングの有様を作り上げた。
アメリカヒーロー界、その命の軽さは……日本の比ではないと緑谷は叩きつけられた。
「……それで、どこから当たる?レックス」
これ以上言葉は必要無い、緑谷はレックスが纏め上げたギャングの所在のリストを見ながら尋ねた。
「ロングビーチを根城にしている、イースト・ヴィレッジギャングスタ・パンクス、そこに向かおう……フランソワ!情報は捜査本部に共有する為に僕名義で送信してくれたまえ!」
『了解レックス、気をつけてね』
集めた情報は、抜かりなくプロヒーローに送り、怪しいと見たロングビーチのギャング達を捜査するとレックスの決定に、緑谷は頷いた。