【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
緑谷出久は、その眼差しを見たのは二度目である。つい先日のスキッドロウで、自分とスカイクロウラーで対処したラッパーギャング……。
日本では見かけた事が無い眼差し……。
見てきた物が違う、景色が違う。
決してお前達とは、分かり合えるわけがないと、視線から全てがこちらを否定するような念が込められていた。
「帰んな、ヒーローごっこしてぇなら学校の近場のヴィラン捕まえてろ、今の俺の一撃はリアルでガチな一撃だ、テメェら仮免学生じゃ俺には勝てねぇよ」
怪我したくなければ帰れ、トレイヴォンのその台詞に緑谷とレックスは顔を見合わせた。そして笑みは浮かべず、レックスは首を鳴らして緑谷は手を組み指の骨を鳴らした。
「キミこそ言葉を慎みたまえ、我々はごっこ遊びで来たわけではない」
「その言葉、飲み込んだほうが良かったと後悔するよ」
プロヒーローが3人もやられて、怖くて逃げるなんてこの二人がするだろうか?するわけがない!ゆっくりと歩み寄り、そして一定の距離まで近づいた瞬間!
レックスは一気に踏み込んで真正面から右の拳を!
緑谷は上空に飛び、急降下で右の踵落としを!
「10キロストレイト!!」
「イーヴルヒールクラッシュ!!」
二人のスピードは確かに早かった!しかし!!
「ぶっ飛びなぁ!!」
その手足が到達する前に、トレイヴォンの足が床を踏み鳴らす!そして放たれたのは!
━━DOooOOMMmM!!━━
「何いぃ!?」
「うあぁああ!?」
先程遠巻きに聞いた、凄まじい重低音!!それがトレイヴォンから放たれ、緑谷とレックスの攻撃どころか、肉体も押し返される!
レックスはそのまま床を転がるも即座に立ち上がり、緑谷は空中で体勢を立て直し着地する!だが……。
「な、なんて凄まじい音だ!鼓膜破れそうだったよ!!」
「プロヒーロー達も、この重低音にやられたわけか!耳郎さんやプレゼント・マイクよりも……音が大きい!!」
アメリカプロが3人も倒れた、凄まじい威力では説明できない"超重低音"が、攻撃すら押し返して弾き返す衝撃波となって緑谷とレックスを押し返した!無論、鼓膜へのダメージが無いわけではない!レックスは余程効いたのか、左右の人差し指で耳の穴をぐりぐりと弄って耳鳴りを治そうとした。
大音量による音波攻撃は、緑谷もよく知っている。クラスメイトの耳郎響香の個性『イヤホンジャック』と、雄英教師の一人でありヒーロー、プレゼント・マイク(本名山田ひざし)の個性『ヴォイス』を、実習や訓練で幾度見てきたし食らった事もあった。
トレイヴォンが今放った重低音は……その二人よりも強い!!
「しかと聴きな?仮免学生、これがお前らヒーローに捨てられたスラムの叫び、この俺808 POUNDSの鼓動(ハートビート)だぜ?」
首にかけていたヘッドホンを、トレイヴォンが耳にかけ、身体を揺らし始め足がリズムとステップを刻む。それに呼応するかのように!トレイヴォンの肉体からリズミカルに重低音が響いて、ステージを!コンドミニアムを!!空気を揺らし出した!!
トレイヴォン・ショックリー!
アーティスト(ヴィラン)名!808POUNDS!
個性は……『超低音衝撃波(サブ・ロー)』!!
自らの心拍数や足踏みのリズムに合わせて、地鳴りのような超・強力な重低音衝撃波を周囲に叩き込む!
足踏みひとつでコンクリートは波打ち、並の建物や防壁なんて一瞬で粉々になっちまう破壊力!今居るコンドミニアムがまだ無事なのも『手加減してるから』って事だ!!
心拍数が上がって怒りが爆発すればするほど、そのデシベル数(音圧)は青天井に跳ね上がるってんだから笑えねぇぜ!
ちなみに、アーティストとしても成功して稼いでるギャングスタドリームの体現者の一人だ!
俺やイヤホン=ジャック以上の音響兵器っぷりだが、どーすんだイーヴルヒーロー!?(プレゼント・マイクの出張解説)
「なる程ね……ようやくだ……」
皮膚を叩き髪を揺らす音波振動、内臓すら揺らしてると感じるその音に、緑谷は笑った。
アメリカ留学して数日、実習に衝突で様々な者と対峙した。レックスも、エリックも確かに強かった。
けど、緑谷がこのアメリカで求めていた"相手"とは違った。
ヒーローを目指す者同士の切磋琢磨、それもまた確かに目的の一つだが。真の目的は目の前に現れた敵にあり!!
日本で敗北した、叔父であり最強のヴィラン『怨龍』!緑谷悠を倒すために!強さを求め渡ったこの地で緑谷が求めていたのが、この瞬間!!
日本には居ない強力凶悪なヴィランを撃ち倒し、成長の糧とする為に!!緑谷出久はアメリカに来たのだ!!
「ようやく強いヴィランに会えたんだ……早々に壊れないでよ?」
「……what's!?」
見開かれた瞼、その双眸の虹彩が紫から赤色に染まるや、緑谷の身体から紫色の闘気が溢れ出す!その冷たい無慈悲な闘気を目視したトレイヴォンは、一瞬リズムが狂い、重低音による揺らぎが止まった!
瞬間━━。
赤い瞳が光のラインを描いて移動の軌跡を作り上げ、トレイヴォンの間近まで緑谷は一気に間合いを詰め、狂気の笑みを見せつけるのだった!