【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「き、君は一体……ヒーロー……なのか?それとも……」
ヒーロー達が唖然とする中、1人マニュアルが尋ねて来た。それに対して緑谷は、これで顔も割れてない、誰かも分からないならと、少しそれを利用してみる事にした。
「今は……そんな名前だのを気にしている状況では無い、貴方には貴方の出来る事がある筈だ、火災の鎮火、避難誘導……ヒーローとして役割を全うすべきだ」
さも、味方であるという口ぶりでマニュアルに言うと彼は、はっと気付かされた。
「そ、そうだな……けど、ありがとう、化け物を倒してくれて」
「礼は要りません……それより、貴方は確か……相棒を探しているような声をあげてませんでしたか?」
違う、知っていた、彼がマニュアルというこの辺りに事務所を構えたヒーローで、飯田の職場体験先だというのを、さも、今先程声を上げたのを聞いた風に、聞いた。
「そうなんだ!雄英からの職場体験の生徒で、逸れてしまって……まさか、彼の兄はステインにやられたから、この隙に探しに行ったのかも……」
それを聞いた緑谷は肝が冷えた、やはりそのつもりだったかと拳を握る。そして、マニュアルに言った。
「分かった、飯田くんは私が探して必ず連れて帰る、貴方は避難と消火を」
振り返り、緑谷は懐から……このスーツを改良したと同時に頼んだある『ガジェット』を取り出した
拳銃らしきそれは、銃口に金属の大きな矢尻がつけられていて、それを近場のビルの壁に向けて撃つ。壁に命中し食い込んだのを確認し。緑谷はそれを引っ張った。
反動で……まるで引っ張り合いに負けたように地面から空中に引っ張り上げられた緑谷は空を飛び、すでに巻き取られた拳銃を、また違う壁に射出してさらにたかく空へと上り、ビルの上に消えていった。
「何故彼は、天哉くんの苗字を知っていたんだ?」
マニュアルは、疑問を抱きながらもすぐに消化活動を再開した。
「ああ……ああ!?あんのヴィランもどき!!マジかよ!!ふざけんな!!」
「あの子ども……更にまた強く……」
その様子を、首を掻きむしり見ていた者が居た。ヴィラン連合の首魁、死柄木弔と黒霧である。
ヒーロー殺しステインのヴィラン連合勧誘にほぼ失敗した死柄木は、そのステインの行う『活動』の妨害と保須市の蹂躙を行う為にわざわざ『先生』より脳無を3体も引き連れて来た。
なのに、2体が思った蹂躙も無く機能停止させられたのだ、その相手は雄英を襲撃時に、自らを死んだ方がマシだったと言うしかない、ダンプカーに追突されたような全身複雑骨折に追いやった、まだヒーローでも無いガキだったのだから!苛立ちも募る他なかった。
「こんなイレギュラーが……死柄木、ひとまず撤退を、見つかっては敵わん」
「くそっ、くそっ!!」
黒霧のワープゲートから撤退する、死柄木。実は…‥あと数秒遅れていたら目撃されていたという事実を2人は知らない、黒霧の緑谷に対してできてしまった恐怖が察知したのか、はたまた運が良かったかは分からない。
『誰かに見られていた気がする、しかし今は飯田くんを探さないと……』
緑谷は、新装備『グラップルガン』を懐にしまい、飯田を探し始めた。
緑谷の新しい装備『グラップルガン』これは様々なゲームのヒーローや主人公が似通った物を持っているが……無論、人間1人を引き上げれる代物ではない、あくまでこれは『個性』によって機能するガジェットだった。
射出した弾頭の杭が壁に食い込み、その建造物を『引っこ抜く』イメージをする、しかし『ありえない』というイメージが、逆に反動となり引っ張られるイメージとして作用し、浮き上がる事ができる。つまりは引っ張ったゴムが戻る反動のイメージである!
再び、高所から飯田を探す緑谷。彼は大丈夫だろうかと思いながら、不安を抱え飛翔し、また別のビルに滑空で飛び移る。
無事でいてくれ、道に迷ったとか、避難誘導していたとかであってくれと、違うビルへ乗り移り路地を確認した瞬間ーー。
眼下で、最悪な事態が起ころうとしていたのを見て、なりふり構わず緑谷は路地へ飛び込んだ。
「お前も……お前の兄も弱い……偽物だからだ」
飯田天哉は死の危機に瀕していた、左肩を刃に貫かれ、頭を踏みつけられている。兄を再起不能にした『ヒーロー殺し』ステインを見つけ、敵討ちにと怒りのままに対峙したが、その実力差によりこうまで追い詰められたのだ。
「黙れ悪党……脊髄損傷で下半身麻痺だそうだ……もうヒーロー活動は敵わないそうだ……!兄さんは……多くの人を助け導いてきた……立派なヒーローなんだ!お前が潰していい理由なんて無いんだ!!」
悔しさに無力感…‥怒り……それらを絞り出すように飯田は吐き散らす。
「僕のヒーローだ……僕に夢を抱かせてくれた!立派なヒーローだったんだ!許さない……殺してやるぅ……!!」
それは、死にゆく無念の、怨嗟の殺意になりステインへ向けられた。それに対してステインは、傍で本来狩ろうとしたらしいターゲットを指差し飯田に言う。
「あいつをまず助けろよ……」
なんだ唐突に、いきなりとステインを見上げた飯田だが、気づいてしまった、この男が何を言おうとしているのか。
「自らを顧みず他を救い出せ……己の為に力を振るうな……目先の憎しみに囚われ私欲を満たそうなど、ヒーローから最も遠い行いだ……」
この今の行いこそが、お前をヒーローという目標から遠ざけた。ステインは飯田の肩から刃こぼれした日本刀を抜いて、その刃についた血を舐めて言う。
「だから死ぬんだ……」
その瞬間、飯田の体はピクリとも動かなくなった。おそらくはステインの個性か、最早死は目前に迫っていた。
「じゃあな、正しき社会への供物」
「黙れ……黙れ……!」
悔しさに涙が流れる、このまま死ぬのか、兄の仇を討つどころか、返り打ちという無様な結末で自分は終わるのか。その悔しさと、走馬灯のように兄の顔が浮かびながら飯田は言うしかできなかった。
「何を言ったってお前は……兄を傷つけた犯罪者だぁ!!」
凶刃が振り下ろされかけた瞬間ーーステインは上空を見た。衣服のたなびく音か、それとも殺気の類に気付いたかは知らないが、それでも間に合わず、ステインの顔面に拳は叩き込まれて勢いよく転がった。
飯田の眼前に、見知った背中が現れる。ヒーローらしからぬ黒のスーツ、故にこの夜闇に溶け込んで、まるでその為に俺はここに居るのだと彼は直立する。
「み、緑谷くん……?」
「もう大丈夫、飯田くん……僕が……来た!!」