【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
77話 違うって本当はネイティヴさんが倒したんだって
早朝……職場体験を終えた緑谷は、久々に教室へ来て早々。真剣な面持ちで、動画を見ていた。その背後には轟、飯田も覗き込むように注視している。まだこの3人以外は、教室に来ていなかった。
「誰が……作ったんだろうね、この動画」
「消しては上げてのイタチごっこらしいが……」
「危ういな、これは……」
再生されているのは、職場体験中に対峙したステインを支持する喧伝動画であった。彼の言うヒーローのあり方、その活動、様々な雑誌やニュース記事に掲載された、どこから湧き出たか肉声を使い、英雄の様に崇めているのだ、しかも……ヴィラン連合所属の構成員として。
『英雄回帰』と呼ばれた思想、ヒーローは無償の献身と自己犠牲の果てに呼ばれる存在でなくてはならないという、原理主義を元に、蔓延る偽物を殺して来たのだと。
「この事から懸念されるのってさ、憧れ持って第二、第三のステイン気取りが現れる事だよね……メディアも煽るし……」
「そうだね緑谷くん……この動画を見て感化された奴らが、ヴィラン連合に集まるかもしれない」
「いいように利用されてるなステインも……」
3人は、唯一ステインの現れた現場に立ち会った人間で、今テレビニュースで流れているステインの特集、裁判所での証言、そしてこのアップロードされ続ける動画から意見交換をしていた。
「彼もまた、ヒーローのあり方に関しては確かにと、賛同こそあれど……手段を間違えた……僕もだ、私欲に力を使ってしまった……ヒーローから遠いと言われて仕方がない」
彼は殺人鬼でしかない、しかし言われてしまった、自分の行いの浅はかさは省みるしかないと、左肩を右手で触りながら飯田は言った。
「肩は大丈夫?」
「後遺症も無い、運が良かったのか……緑谷くん、改めて助けてくれてありがとう」
「礼なんていい、本当に心配したからさ」
飯田が無事だった、それだけで十分だと笑う緑谷。もうこんな無茶はやめてくれと願いを込めて笑った。
「いやしかし……緑谷、お前どうやってステインを倒したんだ?」
それはそうと、一体どう倒したのかとやはりそれは見てない轟は気になる所、いかにして倒したのかという質問に、緑谷は口を濁す。
「いや、ほら、言われたじゃん守秘義務って……ごめん」
自分の活躍はそもそも個性使用の違反、それを秘匿してエンデヴァーが捕まえた事になっている以上注意して話さなきゃいけないからと言わない緑谷だったが……。
「待った、緑谷くん、彼も目撃者だから知ってもいいと思うぞ?何が起こっていたか知る権利はあると思う」
飯田が、轟もまた当事者、知る権利はあると言われてしまった。
「ま、まぁ確かに……そう、なのかな?けど、説明するにしても、接敵して一瞬の隙をついたしかーー」
そうなのか?そうなのだろうか、納得はさせられてしまった緑谷は、自分が倒したにしても、グラントリノの下の修行で得た力を説明は難しいので、端折って話したのだがーー。
「え、ステイン倒したの、緑谷だったのか!?」
「「「!?」」」
それを聞いていた者が居た、話をする為朝早くに登校したが、まさかもう誰かが来たとは、そこに居たのは尾白猿夫だった。
「い、いつからそこに……」
「わ、悪い、今……いやでも、ワイドショーとかで、エンデヴァーが捕まえたにしては火傷もなかったとかあったから……本当なのか?」
聞かれてしまった……緑谷は立ち上がり、悲壮な顔で右手をわきわきさせ、飯田はメガネを光らせ、轟は冷気を吐き出す。
「聞かれたからには……君を始末しなければならない、今まで楽しかったよ尾白くん」
「わー!?待て待て!!黙るから、絶対誰にも言わないから!!」
教室のドアから出て壁に背中をぶつけ、命乞いをする尾白に近づく緑谷、そして扉を出た瞬間……ふと気配で斜め下を見た。
「お……おはよっす……緑谷」
耳郎響香も、扉越しに個性イヤホンジャックで聞かれていたのだった。