※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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第三期 林間合宿編
94話 麺、カウンター席


 死柄木弔は、目の前の白濁としたスープの香りと、横で麺を啜る少年とを見て、どうしてこうなったのかと戦慄していた。

 

 絶対的優位にあったはずが、逆に命を握られて、絶対絶命にまで覆されている。

 

「食べなよ死柄木弔、伸びるよ?」

 

「お前、何のつもりだ……」

 

「話をしたいとか言ったの、そっちでしょ?だから僕は席を用意したのだけど?」

 

 あっけらかんに、美味そうに、豚骨ラーメンを楽しむ緑谷出久。死柄木弔にとっては、オールマイトと同等のターゲットにまで憎らしい、まだヒーローですらないガキに御されている事態。

 

 誤算も誤算であった、兎も角逃げる隙を探さなければと、とりあえず頼んだラーメンは食べようと割り箸を割って啜った。

 

「……美味いな」

 

「でしょ、高菜入れたらさらに美味しいよ」

 

「いい、このまま食べる」

 

 それは……いずれ殺し合う運命の2人が、一時の間心を通わせた、その1日のうち一時間にも満たない出来事の話である。

 

 

 

 期末試験を終えた一年A組は、夏休み期間に行われる、林間強化合宿の準備に追われていた。赤点は連れて行かず補習と、相澤先生に尻に火をつけられ、必死に頑張ったが、結局はいつもの合理的虚偽であった。

 

 しかし、補習は補習……期末実技で先生に敗北した、砂藤切島組、上鳴芦戸組と……峰田と組んでミッドナイトと対峙したが、即眠らされた瀬呂の五名が林間合宿中に補習を受ける事となったのだ。

 

 しかし、試験を終えて強化合宿が待つならば、息抜きを兼ねて準備をしようとA組全員で木椰区ショッピングモールに行く事になったのだ。(かっちゃんと轟くんは所用で来れなかった)

 

 

 

「と、は、い、え……弱った、全部揃ってるんだよなぁ……もう」

 

 が、緑谷出久、実はもうしおりの必需品は全ていえにあるのだ。何せ修行の為山籠りに遠出が当たり前だったから、何なら富士の樹海に行って帰ってくるくらい、アウトドア慣れしているし用品も使い慣れた私物があった。じゃあ何故来たか?空気を読んだのだ、あと、見るだけでも楽しそうだから。

 

 というわけで、15:00に時計前集合を決めたので、2時間は好きにぶらつこうと緑谷は思ったのだ。他に何か補充するべきものがあったかなと考えた緑谷は、医療品や応急処置を買い足しておくかと、モール内のドラッグストアに向かった。

 

 背後から近寄る人影を、微かに感じながら。

 

 

 死柄木弔にとって緑谷出久は、オールマイトに次いで因縁の敵である。

 

 ヴィラン連合として雄英高校のUSJを、オールマイトを殺しに集めたヴィラン達と1匹の脳無を引き連れ襲撃したあの日に出会ってしまった。

 

 脳無を暴れさせ、ヴィランを暴れさせ、一年生を傷つけて殺して、オールマイトに見せつけそして来たところを殺してやろうと。

 

 だが、計画は全て才能ある一年と、緑谷出久に破壊された。理解ができなかった、まだヒーローでもない少年が『先生』の作り上げた脳無の脊髄を引き抜き、集めたヴィラン達を次々殺して行く。

 

 ヒーローは不殺、それが当たり前なのに、その入学ほやほやの生徒は簡単に命を奪って自分の前に立ちはだかった。

 

 そして……『先生』がわざわざ顔を出して治療しなければならない程にまで死柄木弔は痛めつけられた。ドン引きだった、オールマイトが殺しに来たのかと恐怖の声色が先生より出てくるし、黒霧は逃げる際に殺されかけて、写真を見るだけで震えが止まらなくなるくらいになった。

 

 保須市でもだった、ステインの邪魔をする為脳無三体を引き連れて暴れさせたら、内二体を肉塊に変え、ステインを瞬殺。メディアはエンデヴァーの活躍と報じたが、真実は全て緑谷出久の功績だと知っている。

 

 死柄木は考えた……。

 

『こいつは早々に退場してもらう必要がある』と。

 

 ゲームならば、二週目引き継ぎありでまともに戦える裏ボス、ノーミスクリアの果てに会える隠しキャラ、真・三国◯双の呂布だ。

 

 ハメ殺しか、条件を揃えて殺して退場するしかないと。

 

 そいつが木椰区ショッピングモールに来ていたから、死柄木はその背後に迫った。あとは自らの個性で、触れて崩壊させればいいと。

 

 ショッピングモールを歩き、その背を追う死柄木。

 

「は?」

 

 しかし、さっきまで追跡していたラフなTシャツジーパン姿が目の前から消えて、左右を確認した瞬間。

 

「動かないで、もし振り返った瞬間……貴方の喉仏を引きちぎって、睾丸を恥骨ごと砕いて、肋骨を二、三本折りながら体内から引きずり出して殺すから」

 

「ーーー!?」

 

 背後から感じた殺気に死柄木は硬直した。この雑踏に紛れて、こちらの後ろに回り込んできた!?そして殺し方の詳細が生々しい!

 

「お前さぁ……マジにヒーローの卵かよ……」

 

「そうだよ、何かご用があって来たの?死柄木弔……」

 

 死柄木弔は考えた、五本の指先さえ触れたら勝てる、この間合いなら勝てる、振り払うように振り返ればと苛立ちながら振り返りかけたが。

 

「はうっーー!?」

 

「ご存知?睾丸は簡単に潰れるよ?握りながら捻ると…‥パチンと音を立ててね?痛みでショック死しちゃう男性も居るんだって……個性で治せるお医者様も居るけど大枚積む必要があるらしいよ……」

 

 掴まれた、背後から睾丸をガッチリと。お前の命を、俺が今握っていると意思表示を込めて。

 

 力が、圧がゆっくりと加わっていく、吐き気が込み上げ息が上がる、振り返れ、触れてしまえば勝てるのだと死柄木弔は言い聞かせたが、出来ずに痛みを待つしかなかった。

 

 そしてパッと、力が抜けて緊張が解ければ、緑谷に肩を組まれて言われた。

 

「お腹空きませんか?昼まだなんで、食事でもしながらお話ししましょうよ」

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