【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
ここから拍車をかけて、ぶっこ抜きバースの緑谷少年の戦力は上がって行ったのだった。
合宿は始まった、特別教官プッシーキャッツの元、まず課せられた合宿の試練は『魔獣の森』
彼女らが用意した私有地の森林を、ピクシーボブの個性『土流』によって作られた土魔獣を切り抜けて、宿泊施設を目指せという課題。
魁とばかりに飛び降りた緑谷、そしてピクシーボブにより叩き落とされた他の面々は、彼を追う形で森を突き進む。
が……一向に緑谷の姿は見えないまま、昼ご飯のタイムリミットを遥かに超えて、夕方になりようやく緑谷以外のA組が宿泊施設へ到着した。
しかしーーそこに緑谷出久の姿は見えなかった。
「あれ……緑谷くん、まだ到着してないのか?」
「いやいや、もう中に居るんだよ、まさか1人で突き抜けちまうとはなぁ……」
飯田が姿が無いと疑問に思うが、切島が先に到着してるよあいつならと、確信とばかりにそう言う。
が……そんな言葉を切り捨てるかのように、慌ただしく宿泊施設から、プッシーキャッツの2人と相澤先生が出てきたのだ。その表情は3人して焦燥に染まっていた。
「口田、耳郎、到着してすぐで悪いが力を借りれるか、緊急事態だ」
「え、何?」
「どうしたんですか?」
この2人に声を掛けた相澤、2人は一体どうしたのかと尋ね、すぐに答えた。
「緑谷が熊に襲われた」
A組の面々に、戦慄が走った。
「言い訳はしないわ、しっかりその辺も見張ってたし、熊よけの鈴も、合宿1ヶ月前から見回りもした……けれども、それを掻い潜って、熊がこの森に来てしまったのよ、ごめんなさい」
ピクシーボブが申し訳なさそうにA組の面々に頭を下げる。話を聞けば、先に行った緑谷がピクシーボブのデバイスを超える範囲から離れてしまったのが原因だという、そこで他の面々も中々に手強く手が回らなかった為、ほんの少し目を離したら、姿が消えていたのだと。
その消えた周辺に、大きな熊の足跡があり、これはまずいと相澤先生に報告、今現在山狩準備に至る、というわけだ。
「でも……熊だよな……緑谷が熊に負けるか?」
が、ここで切島が、お前それを言うかと身も蓋も無い事を口にした。あいつなら熊くらい勝てんじゃね?と。
「切島くん、熊は……とても怖い生き物なんだ、いくら僕らに個性が宿ってても、自然のクマの強さは凄まじいんだ」
個性で動物と会話できる口田が真剣に熊の凶暴性と危険性を説いた。
「個性を持った人間が、蛮勇でクマに挑んで喰われた事故というのは、田舎ではたまにニュースに上がると聞いたよ、ヒグマなんてなれば昔は……痛ましい事件がいくつ上がるか」
飯田も勉強から知ったのか、熊害はこの超人社会でも十分事例があると切島にスマホを見せて事件の数々を見せた。
「だ、大丈夫だよね……緑谷くん、食べられてないよね!?こんなあっけなく、あんなに強い緑谷くんがーー」
麗日は自らに言い聞かせるように、大丈夫だ、大丈夫だと唱え続ける。
「兎も角、お前たち2人の力が頼りだ……緑谷を今から探す、安全はプッシーキャッツと俺が必ず守る……頼む」
口田と耳郎、2人の力で緑谷を探す。そうして2人が相澤とプッシーキャッツに連れられ、森に入ろうとした瞬間ーー。
「待って、先生……今、何か引きずる音が……」
自分達が出てきた場所から、引き摺る音が響いたと耳郎が止めた。それを聞いた瞬間相澤は捕縛布を構え、マンダリンとピクシーボブも構える。
耳郎じゃなくても、聞こえてきた引きずる音、相澤は下がってろと口田と耳郎を守るようにして前に立ち……。
ついにその姿が現れた!
「すいません先生!ルート外れちゃって!!」
そこに居たのは……2メートル級のヒグマを引きずる、血塗れの緑谷であった。
「「いや、普通逆!!」」
プッシーキャッツのマンダレイとピクシーボブが、同時にツッコミを入れた。
「うぇえ……実物見るとパねぇなこりゃ、死んでるんだよな……」
「これ相手にしたってマジかよ緑谷、しかも無傷だろ?浴びたのは返り血だけって」
「そー……これでもかってくらい拳と蹴りを叩き込んだ、久々にバイオレントラッシュ使わされたよ……」
宿泊施設前広場に、ブルーシートが広げられ、ヒグマの死体が置かれた。上鳴と切島が、その胴体に残った幾つもの拳の跡の痛々しさに唖然とした。
「本当……熊に縁でもあるのかな僕って、これで二回目だよ」
こいつ……今二回目って言ったか?以前にも熊と遭遇して勝ったのかと2人して聞き直したくなったが2人は聞くのをやめた。
「さーてと、殺した責任を取らないとね」
「え、責任を取る?」
「何する気だ?」
背後から喋っていた緑谷の方に2人が向けば、仰々しい刃物を携えて、彼はこう言った。
「食べるんだ、殺した責任として、美味しくいただいて感謝をする」
元々プッシーキャッツが初日の労いとして夕食が出されたが、そこへさらに一品、急遽加わる事になった。
緑谷が倒し、そして解体したヒグマ肉のまたぎ鍋である。
「脂が多いのですね、見た感じは」
皿へ鮮やかに盛られた熊肉の、脂の多さに八百万が感想を漏らして緑谷が説明した。
「熊は脂を食べるって言われてるくらいだからね、癖もあるから苦手な人は無理しなくていいから」
とは言え……全員食べ盛りである。他の様々な料理と共に熊鍋も肉が次々消えていく、中々に好評となった中、緑谷も小鉢によそった、その命に手を合わせて感謝して頂いた。