ーとある風紀委員の話ー
薄暗い部屋に響く浅い呼吸。酸素を取り込む筈のその行為が、今は艶かしい吐息となって空気に溶け込んでいく。
汗が頬を伝う。心臓の鼓動が早鐘を打つかのように、ドクンドクンと脈打っているのを感じた。
熱に浮かされた頭では正常な判断をする事さえ出来ない。ただ、目の前にある情欲の塊から目が離せなかった。
腰まで伸びた白く艶やかな髪。透き通るような白い肌を赤く高揚させ、少女は荒い呼吸を繰り返していた。
「……ヒナ委員長」
そう呟き、私はゆっくりと彼女を背中から抱き締め、下腹部から太腿へと、手を這わせていく。
ビクリと身体を跳ねさせ、甘い声が漏れ出る。生娘のような反応を見せる彼女を愛おしく思いながら、私は太腿の内側へと手を滑らせた。
そこは既に濡れそぼっており、下着の上からでも分かるくらいに熱を帯びている。ヒナ委員長が身を捩らせる度に、私の興奮度が増していく。
もっと虐めたい。辱めたい。そんな衝動に駆られるも、それはまだ早い。私は平静を装いつつ、ヒナ委員長に語りかける。
「大丈夫ですよ。ヒナ委員長。ゆっくり、ゆっくりでいいので、深呼吸してください」
幼子を諭すように、普段なら有り得ないこの状況を、さも普段通りのように振る舞い、ヒナ委員長を落ち着かせる。
何度か繰り返し呼吸をさせ、心拍数が安定してきた事を確認すると、私は再び彼女に語りかけた。
「その調子です。それでは、このまま続けていきますね」
そう伝え、再びヒナ委員長の秘所に触れる。今度は下着の中に手を滑り込ませ、直接その割れ目をなぞる。
「あっ……」
小さく声を漏らし、身体を震わせるヒナ委員長。私はそのまま指を上下させた。その度にヒナ委員長の口から甘い吐息が漏れる。
背中ごしに体温が上昇していくのを感じた。熱った身体から汗の匂いが鼻腔を刺激する。その芳しい香りに、頭がクラクラするのを感じながら、私はヒナ委員長の秘部に指を馴染ませ続けた。
分泌される愛液が、私の指を濡らし、潤滑油となる。ぬちゅり、くちゅりと厭らしい水音を響かせながら、私はヒナ委員長の敏感な部分を責め立てる。
ビクビクと震える身体。限界が近いのを察した私は、愛液に濡れた指先をヒナ委員長の秘部へと押し進めた。
ゆっくりと、傷つけないように、第一関節まで咥え込んだ所で、ヒナ委員長の様子を窺う。
「大丈夫ですか? 痛かったりしませんか?」
そう尋ねると、ヒナ委員長は小さく首を横に振った。私はそれを確認すると、更に奥へと指を押し進める。そしてそのまま第二関節まで入れ込んだ所で、一度動きを止めた。
指を伸ばしきった状態で、私の指の第二関節までがヒナ委員長の秘所の中に入っている。その状態で、私はゆっくりと指先で、膣壁の上部、指先で感じる僅かなざらつきを頼りに、ヒナ委員長の性感帯を刺激する。
その部分に触れた途端、ヒナ委員長の腰が跳ねた。同時に膣内がキュッと締まり、私の指を締め付ける。
快楽から逃げるように、ヒナ委員長は前のめりになるも、私はそれを逃さない。片手でヒナ委員長を抱き寄せたまま、刺激を与え続ける。
「逃げちゃ駄目ですよ」
耳元でそう囁きかけながら、更に強く指を押し付ける。そしてそのまま小刻みに振動させた。
「ひっ……あっ!! あ、あ、あぁぁっ!!」
ヒナ委員長が一際大きな声を上げる。ガクガクと身体を震わせる彼女に合わせ、膣内が激しく痙攣した。
その反応を確認した後、私はゆっくりと指を抜いた。そして、それと同時に、力が抜けたヒナ委員長は、抵抗する事も出来ずに床へ前のめりに倒れ込みそうになる。それを慌てて抱き抱えた。
「おっと」
何とか床に倒れる前に受け止める事に成功したものの、ヒナ委員長は私にもたれ掛かりながら、荒く呼吸を繰り返している。
汗ばんだ肌が密着し、互いの鼓動が伝わるような錯覚に理性がドロドロに溶かされそうになる。
このまま貪り尽くしてしまいたい欲求に駆られながらも、私はヒナ委員長を抱き上げると、ベットの上に寝かせた。
上下する胸に手を当て、その鼓動を感じながら、私は再度ヒナ委員長に語りかける。
「頑張りましたね、偉いですよ」
優しく頭を撫でながら、ヒナ委員長を労いの言葉を送る。すると、彼女は潤んだ瞳で私を見つめてきた。
そんな無防備な姿に思わず生唾を飲み込むも、グッと堪える。今はまだ、その時ではない。
私はそっとヒナ委員長から離れようとするも、ヒナ委員長の手がそれを許さない。私の腕を掴み、切なげな声で懇願してきた。
「先生……お願い」
もっといっぱい愛して……と、そう懇願するヒナ委員長に、私は笑みを浮かべる。今、ヒナ委員長の目には、私はシャーレの先生に見えているのだろう。
薬の影響か、それとも現実逃避をしているのかは分からない。情事の最中、ヒナ委員長は自分の相手をしている人物が誰であろうと、先生と認識しているのだ。
今のヒナ委員長の瞳には、私は映っていない。私は先生の代わりなのだ。
「……分かりました。ヒナ委員長が満足するまで、沢山愛して差し上げますね」
私はそう答え、ゆっくりとヒナ委員長の服を脱がせる。下着姿になった所で、今度は私が服を脱ぎ始めた。
「……先生」
そんな私の様子を、ヒナ委員長は熱っぽい瞳で見つめている。私は下着姿になると、ヒナ委員長に覆い被さった。
「先生……好き……」
私を受け入れつつも、うわ言のようにそう呟くヒナ委員長の耳元で囁く。
「私も大好きですよ」
そう言いながら唇を重ねる。舌を差し込み、絡ませると、ヒナ委員長の方からも積極的に応えてきた。
互いに唾液を交換し合う。時折漏れる吐息が艶かしい。私は唇を離すと、ヒナ委員長の首筋に吸い付いた。
「あっ」
小さな痛みを伴うそれに、ヒナ委員長が声を上げる。しかしそれは直ぐに甘い喘ぎへと変わった。
鎖骨付近から胸元にかけて、幾つも所有印を残していく。時折強く吸って痕を残す度に、ヒナ委員長の口から甘い吐息が漏れた。
「先生……もっと……」
そう言って、ヒナ委員長は私の頭を抱き寄せる。それに応えるように、私はヒナ委員長の背中に腕を回し、強く抱き締めた。
密着した身体から伝わる体温が心地良い。柔らかい肌の感触を楽しみつつ、ヒナ委員長の胸に口付けを交わす。
「んっ……ふっ……んん……」
舌先で胸の突起を舐め上げ、口に含む。優しく歯を立てると、ヒナ委員長の身体がビクンと跳ねる。抱き寄せる腕にも力が入るが、その力は弱々しく、かつての彼女とは程遠いものだった。
そんなヒナ委員長を、私は容赦なく攻め立てる。片方の胸を口で愛撫し、背中に回した手を、腰の付け根にある羽の生え際へと滑らせる。
羽の付け根を指先でなぞりつつ、今度は反対の胸を口に含み、同じように攻め立てる。
ヒナ委員長は、その刺激に身体を震わせながら必死に耐えていた。しかしそれも長くは続かない。やがて限界を迎えたのか、クタッと力が抜け、私に身を委ねてきた。
これ以上は身体の方が限界だ。
そして何より、私自身も本能のままにヒナ委員長を犯したいという欲望に、抗えなくなってきていた。
名残惜しさを感じつつも、ヒナ委員長をベットの上に寝かせると、私は情事の後片付けの為、水の入った桶と手拭いを持ってくる。
その間も、ヒナ委員長は余韻に浸っているようで、時折身体を震わせながら呼吸を整えていた。私はそんなヒナ委員長を起こさないよう注意しながら後片付けを済ませる。
仄かに昂った体温を感じながら、腕、足、そして身体と順番にタオルで拭き取り、最後に顔へと手を伸ばす。
「ん……」
ヒナ委員長の口から甘い吐息が漏れる。程よく冷たいタオルの感触が気持ち良いのだろう。その反応にドキリとするも、私は平静を装って作業を続ける。
柔らかな肌の感触を堪能しつつ、優しく顔を拭いていく。ヒナ委員長はされるがままだ。
やがて一通り拭き終わり、清めた身体の上に毛布をかけると、ヒナ委員長はモゾモゾと寝返りを打つ。
「んん……せんせい……?」
「はい。私はここにいますよ」
私の言葉に安心したのか、ヒナ委員長は瞼を閉じ、眠りにつく。そんな寝顔を見つめながら、私は静かに呟いた。
「おやすみなさい、ヒナ委員長。良い夢を」
覚める事のない夢を。終わりのない悪夢を。
薬に蝕まれ、快楽の虜となったヒナ委員長。そんな彼女が、この夢から覚める日は来ないだろう。
「先生……好き」
そう呟きつつ、スヤスヤと眠るヒナ委員長に、私はそっと唇を重ねた。
先生は今頃、貴女の身体を此処まで蝕んだ元凶を、血眼になって探している事でしょう。
自分を守る為に犠牲となった貴女の事を思い、そして、貴女を元に戻す為に必死になっている事でしょう。
先生の事だ。きっといつか、犯人を特定し、時間を解決する事だろう。
そして、もしかしたら私が、事件後もヒナ委員長に薬を盛っていた事に気付くかもしれない。
その時はその時だ。大人しく捕まろう。先生の怒り。そして、先生を愛するヒナ委員長からの罵倒を想像し、私は笑みを浮かべる。
先生はどんな表情を見せてくれるだろうか?
泣いてしまうかもしれない。はたまた、私を許してくれるかも……いや、それは無いか。
私が捕らえられれば、ヒナ委員長は、この薬の依存から解放される。
それと同時に、気付かされるのだ。
これまで貴女を愛した者は、先生ではなく私なのだと。
「ふふ……」
思わず笑みが溢れる。あぁ、楽しみだ。早くその時が来て欲しい。そして願わくば、全てを知ったヒナ委員長の、絶望に染まった表情を見てみたいものだ。
きっと、最高に美しい事だろう。その一瞬を想像しただけで、心臓が高鳴るのを感じた。
「愛していますよ、ヒナ委員長」
狂おしい程に、貴女の事を……。
部屋から出た後、携帯とイヤホンを取り出し、耳に装着する。
そして、携帯の画面を操作して、保存していた動画を流した。
流れ出た動画は、かつてヒナ委員長とシャーレの先生が監禁された際に、配信サイトにアップされたものだ。
薬漬けにされ、それでも尚、必死に先生を襲わないように努めたヒナ委員長の声と、ヒナ委員長を助けようと、必死になる先生の声。
2人が救助されるまでの26時間の記録。それを見て、私は笑みを浮かべる。
「良かったですね、ヒナ委員長。貴女は充分愛されているんですよ」
そう呟きつつ、私は携帯をポケットにしまい、イヤホン越しに2人の音声に意識を傾ける。
どの音楽よりも心地良く、どんな声よりも心に響く2人の声を聴きながら、私はゆっくりと、目を閉じた。