木ノ葉の中で暗躍する 作:しでの鳥
子どもの頃は王様になりたいとか偉くなりたいとか何も考えずにほざいていた。
上に立つ者には責任がついて回ると知ってからはそういうのに憧れるのは辞めた。
あくまで上に立つ事で発生するメリットだけを、甘い汁だけを吸いたいのであって責任とかはマジでいらないのだ。
甘い蜜だけを吸う裏の支配者。嗚呼、なんて甘美な響きだ。
とはいえ、そういった存在にも努力が必要不可欠なのは言うまでもない。
だから自分は努力して努力して媚び諂って――――結局夢半ばで車に轢かれて終わったのだ。
そして気が付いた時、NARUTOの世界に転生していたのだ。
最初は混乱したがすぐに事態を受け入れた自分は再び誓った。
この世界で今度こそ裏の支配者になってやろうと。
※
穢土転生という禁術がある。
死者を蘇らせて使役するという人の道に外れた外法だ。
この術が開発された当初は戦争が酷かった時代であり、相手の情報を引き出し自爆特攻させる使い方を使わざるおえない程に悲惨な状況だった。
後に三忍の一人であり我が師でもある大蛇丸やその部下がこの術を使って戦力増強をしたが、リスクこそあれどその使い方も正解の一つではあった。
だがもう一つこの術には使い道がある。
それは自分の言うことを何でも聞く奴隷にする事だ。
「取り敢えずはまあ、実験といこうか」
このNARUTOの世界に転生した僕こと風間落葉は木ノ葉隠れの里から離れたところに作った秘密の拠点で穢土転生の実験をしていた。
いつか来る本番、その前の練習としてある人物を蘇らせようとしている。尤もこの練習相手も本番が使えるようになれば問題無く支配下に置ける。
人として完全に蘇る転生術も既に完成してるし、後は柱間細胞を組み込んだうちはシスイの穢土転生を行えば完了だ。
とはいえ、だ。
折角何でも言うことが聞き、僕の命令を何でも実行する今の状態で出来る事はしておきたい。
うちはシスイを蘇らせた時に叛逆されないようにね。
「さて、穢土転生っと」
僕は穢土転生を行使。生贄となった子どもの身体に塵が纏わりつくのを見て笑う。
子どもの絶叫と共に覆った塵はやがて一人の少女と化す。
その少女の姿は原作における主人公のうずまきナルトの母親、うずまきクシナだった。
クシナの姿は死ぬ直前の姿ではなく年若い10歳の頃の、木ノ葉隠れの里にやって来た頃の姿と服だった。
「成功だ」
穢土転生体の改造、全盛期よりも若い姿での口寄せ。
それに成功した事に安堵の息を漏らして喜ぶ。
これが成功すれば穢土転生の改良も出来る。そう判断した僕は札をくくり付けたクナイを手に持つ。
「う、うぅ…………私は…………」
穢土転生て蘇った事で偽りの身体に自我が宿る。
しかし、今の彼女に用は無い。来るべき本番を迎えた後なら兎も角、今は逆らわれたくない。
もし叛逆されたとしても対応出来るように子どもの頃の姿で蘇らせたとらいえ、出来る限りそうなってほしくない。
意識を取り戻したクシナの背後に回り、制御用の札を括り付けたクナイを彼女の後頭部に沈めた。
「あっ、ぐぅ…………」
制御用の札が入った事でクシナの意識が完全に縛られる。
これで彼女は僕の言うことを何でも聞く状態になった。
最強幻術別天神があればこんな苦労もしなくて良いのだが、今はまだ我慢だ。
「さて、あとはシスイや労働用に十数人穢土転生すれば今の所は大丈夫だけど…………」
原作が始まるまで後5年。
うちはも壊滅したしやらなくちゃいけないことが沢山あり過ぎる。
人手は穢土転生体達で補えるようになったから楽にはなったが、時間まではどうにも出来ない。かといって穢土転生体を増やし過ぎると気付かれるおそれもあるし大量虐殺になる。
いや、穢土転生なんか使ってる時点ですでに手遅れか。
「取り敢えずクシナの制御は完璧だし、今の内にやれる事はやっておこう」
今の彼女から聞き出したいことは沢山ある。
うずまき一族特有の封印術は当然だし、人柱力や火影の妻として知った機密等様々。
しかし、それはそれとして愉しみたい事も結構ある。
何でも言うことを聞くようになった人妻をどのようにしたいか等、聞くまでもない事だ。
「クシナ。一先ず今着ている服を脱げ」
正気だったなら絶対に攻撃してくるであろう要求をし、自我を縛られたクシナは逆らわずに服を脱ぐ。
穢土転生の服だから塵芥でしかないが、ちゃんと脱ぐ事が出来ている。
そして一糸纏わぬ姿となったクシナを見て満足する。
「手を出すのは穢土転生じゃなく生身って決めてるけど、これはこれで悪くないね」
大人の姿の彼女が好みだが子どもの頃の彼女も悪く無い。
「クシナ。今こうして好きでもない男の前で裸を見せてるけど、どう思う? ああ、自我を縛ってるから考えられないか。なら自我を縛られていなかった場合、どのように考えるのかを答えて」
「…………恥ずかしい、ってばね」
「僕の事はどう思う?」
「…………今すぐ、殺してやりたいって思うってばね」
だよねー、と心の中で嘲笑う。
そりゃ好きでもない男に裸を見られた挙句、身体の自由を奪われてるわけなのだから。
一応顔を隠しておいて良かった。
「じゃあこれ着てあっちできみの封印術の知識と木ノ葉の機密を書いてね」
穢土転生体が着ていたものと同じものを渡し、次の作業に入る。
取り敢えず終わるまでの間は柱間細胞を調整したシスイや他数人を穢土転生し、クシナを人間として蘇生させる転生術の用意をする。
作業そのものは二時間程で終わり、シスイを残して作業を始める穢土転生達を見ているとクシナが戻って来た。
「うんうん。これがうずまき一族の封印術と木ノ葉の機密ね」
クシナの知識を全て記したそれに目を通し懐にしまう。
流石に彼女が亡くなってから8年も経ってるし、機密もそんな意味は無い。重要なのは封印術の方だろう。
まあそれはそれとして、これで彼女は用済みとなった。
とはいえ、用を失ったからそのままあの世に還すという気は無い。若い姿で蘇らせたのもこの後のお楽しみの為だ。
二度目の処女は僕が貰う。あるいは初めてのやり直しだ。
「じゃあ転生術を使ってクシナを蘇らせるか。シスイは蘇った瞬間に別天神を使ってね」
自分が開発した転生術は自分の命を浪費しないかわりに他者の命を使い、穢土転生との併用が前提だ。
生贄とする人間の数は十人で、一人蘇らせるのに全然釣り合ってない。
しかし、別に構わない。生贄とするのは忍びではない人間なのだから。
一般人を犠牲に忍びを蘇らせられるのなら安いものだ。
口寄せで呼び出した生贄十人を犠牲にクシナの身体が穢土転生から生来のものに変わっていく。
同時に彼女の人格を縛っていた札の効果が消滅し、うずまきクシナの人格が戻る。が、事前に待機していたシスイの別天神にかかり再び人形のようになってしまう。
これで完全に蘇ったうずまきクシナが自分の物になった。
「本当、無駄に手間がかかるね」
だがこれなら確実に一人の人間を意のままにする事が出来る。
一対一での別天神がどれだけ無法か、本当によく分かる。術にかかりさえすれば勝ち確なのだ。
無法っていうか本当に最強だ。
「シスイ、クシナに掛けてる別天神で今まで生きてきたうずまきクシナの記憶を思い出せないようにした上で僕に対する好感度が下がらないようにして」
別天神は相手の行動を自分の意思と思わせる事と仕込んだ命令通りに相手を動かす使い方の二種がある。
今回使うのは後者の方だ。
「後は波風ミナトに抱いていた想いを僕にも抱くようにして」
こうすればクシナは僕に対し好意的な目で見てくるだろう。
少なくとも僕にとって敵対的な行いはしない。まあ記憶を思い出せないようにしてるから再教育は必要だが。
さあ、僕の木ノ葉の里を支配する計画の始まりだ。