提督とLove - 愛に気付いてください -
やあ諸君、提督だ。
突然だが、今日も忙しい。
今回はお金の問題ではない。
足柄の活躍により、財政は大きく改善された。
レシートと帳簿を交互に睨みながら、いつもしかめっ面していた間宮さんの表情には笑顔が増え、伊良湖さんは胸を撫で下ろし、大淀明石の二人もスーパー特売周回の頻度がかなり減った。
…とは言え、未だに自転車操業であることは否めず、週一ペースで鎮守府総出の特売周回に励んでいるのだが。
───と話は少し逸れたが、今回忙しいのは『移籍』についての問題だ。
嬉しいことに、また新しい艦娘がこの鎮守府へ着任することとなった。
しかしながら、前回の足柄が諸事情により、とんとん拍子に話が進んだのに対して、今回はそうはいかなかったのだ。
練度はそれほど高くないが、明るく周りを引っ張るムードメーカーのような存在だったらしい。
そして何よりも大きな問題が、彼女が艦隊の花形─『戦艦』であるということだろう。
圧倒的な火力で深海棲艦を制圧することが可能な『戦艦』という艦種は、何処の鎮守府でも引く手数多なのだ。
そんな彼女が、この名ばかり鎮守府へ移籍を希望していると言うから大変だ。
関係者各位への頭下げや、利害の調整、損失の補填などのために各地を奔走し、鎮守府に帰れない日も多くあった。
そんなこんなで非常に忙しかったのであるが、その忙しさも本日の着任をもって終わりそうだ。
本人が異常なまでにこの鎮守府への移籍を望んでいるということで、この一件が尾を引くことが無さそうなのは唯一の救いである。
書き終えた今回の事案に関する報告書をダンボール書類入れへ突っ込み、ベッドへ横になる。
───机も椅子もまだ無い。
せっかく戦艦が着任してくれるというのに……。
全く威厳が出ないのは、悲しいことこの上ない。
だが今はそれよりも気になっていることがあった。
数分後にここへ来るであろう『彼女』のことだ。
職場環境は悪くなく、エリート出世コースだった。
にも関わらず、こんな辺境ワケあり鎮守府に来ようとする変わり者の戦艦とは、どのような艦娘なのだろうか?
足柄の時は表立って何か悪い噂を聞いたわけではなかったが、周囲の対応を見るに、何かしら裏があるのだろうなとは思っていた。
だが、今回はその様なことが全くない。
むしろ良い噂しか聞かないくらいだ。
正直、彼女がこの鎮守府への移籍を希望する理由など全く見えてこないのだが───
───と、思考に耽ていると、扉の外が何やらドタドタと騒がしいことに気付く。
「───ニングゥゥゥゥゥ~~~~~………」
騒ぎがどんどんとコチラへ近づいている。
なんだなんだと身体を起こし、立ち上がろうとしたまさに、その瞬間だった───
「ラアァァァァァァァァァッッッッッヴ!!!!!!!!!!」
───破壊せんばかりの勢いでドアがブチ破られ、白い塊がこちらへすっ飛んで来る。
その白い塊はクルクルと回転しながら飛翔し、ベッド上の自分へとクリーンヒットした。
上半身が吹き飛んだかと思うほどの衝撃が襲い掛かって来たものの、妖精さんベッドがクッションとなり、優しく受け止めてくれる。
幸いコチラも向こうも、ケガはなかったようだ。
モゾモゾと身体を動かし、どうにか起き上がる。
あの白い塊に抱き着かれているのだろうか、上半身が拘束されて全く動かない。
状況を確認しようにも、顔面にむにむに♡と柔らかい暴力を押し付けられ、目を開くこともままならない。
真っ暗で何も見えないし、呼吸もしづらい───
───って、痛っ! なんか服に付いている黄色い紐のような物が、チクチクと突き刺さって来てるのだが!!
どうにか引き剝がそうとするも、しっっっっかりと抱き着かれ、全く剝がせそうもない。
仕方なくグリグリと顔を動かし、谷間から上を見上げるように視界を確保する。
一気に明るくなった視界に、まず映り込んだのは栗色の髪をした美女だった。
彼女のダイヤモンドのような瞳と目があう。
すると彼女はキラキラとその
「Heeeeeeeeeey!! テートクぅ!!!
愛してマースっ!!! I love youデース!!」
───突然愛の告白をされてしまった。
………。
いや何を言ってるのか、全く分からない。
「そ、そんなァ!! 酷いデース!!
私はこんなにテートクの事を愛してるノニー!!」
その"愛してる"という部分が、全く分からないのだが…。
自分たちは初対面のはずなのに、そんなことを言われても戸惑うだけだ。
「Oh Shit?! 忘れちゃったんデスカぁー?!
〇年前の×月△日の佐世保鎮守府って言われて、何か思い出しまセンカ…?」
〇年前の佐世保……?
確か…その日は観艦式があって、自分も見に行っていた。
しかし、その時に逢った……?
観艦式で話した艦娘なんて居ないはずだぞ…。
───いや待て。
あの日、出ていた艦娘の中に『金剛』の名前があったはずだ…。
もしかして……?
「そうデース!! その『金剛』デース!!!
当時、コチラに来たばかりで、右も左も分かりませんデシタ……。
そんな
でもいざ式が始まって、最前列で観ているアナタが目に入った瞬間、そんなモノは吹き飛んだのデース!!
それはまさにThunder Struck…雷に打たれたかのような衝撃デシタ!!
あえて言うナラぁ…♡ "一目惚れ"デース!!」
そ、そうだったのか……。
観艦式が始まってから、やたらと目が合う気がしていたが、自分の自意識過剰ではなかったのか……。
とりあえず自分がこの鎮守府の提督だ、よろしく頼む……と金剛の胸から顔を覗かせ、自己紹介をする。
…冷静になって考えてみると、この恰好はあまりに情けなさすぎやしないだろうか?
だが眼前の彼女は、あまり気にしなかったようだ。
満面の笑みで返事をくれた。
「Oops!! テートクに会えたことが嬉しすぎて、自己紹介を忘れてマシタ!!
改めマシテ、英国で生まれた帰国子女の金剛デース!
ヨロシクオネガイシマース!!」
こうして、双方あまりにおかしな恰好で行われた自己紹介が終わり、金剛型一番艦戦艦『金剛』が戦列に加わったのだった。
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「「「「「「「いただきまーす!!」」」」」」」
時は移り変わり、今は夕食の時間だ。
まだまだ人数が少ないウチでは、皆で決まった時間に集まって食事をしている。
財政危機時代はかなりの貧乏メシ続きだったが、最近ではようやく一般家庭レベルのメニューにまで回復してきた。
しかし、今日はその"いつもの"よりも、かなり豪華になっている。
七人分ということで量こそ少ないものの、種類を多く作り、自分で自由に取り分けられるプチバイキングのようなモノが開催されているのだった。
何故そんなことをしているのかと言うと、伊良湖さんが足柄と金剛の着任祝い兼歓迎会を開けないかと提案してくれたのである。
自分は金剛関連の仕事で忙しかったため、ほとんど関われなかったが、伊良湖さんが中心となって準備を進め、見事にここまでの会を開くことが出来た。
───ちなみに余談ではあるが、その話を聞きつけた足柄により、人数分の豚ロース肉が発注され、人数分のカツカレーが食卓に並ぶこととなった。
バイキングって何だっけ。
それはさておき…。
今回の会は文句なしの大成功と言えるだろう。
既存メンバーと新任二人との交流は深まり、食事もカツカレー含め非常に美味しく、士気はうなぎ登りだ。
談笑している彼女たちの表情は、心なしかキラキラしているように見えた。
食べ過ぎたせいで少し重いお腹を擦りつつ、食休みも兼ねて食卓から離れ、全体を見渡してみる。
まず目に入ったのは、ノートを片手に全メニューを食べ比べている二人だ。
間宮と伊良湖は、今回の料理の更なる改良を行うべく、先程から熱心に議論を交わしており、その顔は真剣そのものだ。
こういう時くらい仕事を忘れて楽しいんでもいいのにとは思うが、彼女たちがやりたくてやっていることなのだ。こちらがあまり口を出すべきではないだろう。
───と早々に結論付け、別のテーブルを見る。
次に目に入ったのは大淀、明石、足柄の3人だ。
こちらは和気あいあいと談笑を楽しんでいる。
足柄はこの鎮守府のメンバーとして、上手く馴染めているようで何よりだ。
───馴染めているのは良いことなのだが…。
聞き耳を立てるようで悪いが、少し耳を澄ましてみれば、あまり食事の席に相応しくない会話が聞こえてくる。
やれ提督とのセックスで、何回イかされただの…。
やれ提督の精液は濃厚で美味しいから、明石も早くフェラをすべきだの…。
先程までは金剛を交えて、自己紹介や雑談をしていたのだが、いつの間にか猥談へと変わっていたようだ。
……もし駆逐艦娘が着任した時のことを考えると、あまりに教育に悪すぎるので、少しは謹んで欲しいものだ。
こちらについては後で注意しておくとしよう。
───だがまあ、良い光景だ。
何だかんだ言ってはいるが、まさしく『平和』という二文字が良く似合う。
外の世界は全くそうではないのだが、そう思う。
しかし、着任する艦娘が増えて遠征や夜警を務める者たちが出てきたら、この光景も見られなくなってしまうだろう。
そう考えると、少し寂しさも感じてしまうな───
───などと、未だ遠い未来の話に沈んでいると、用事から戻ってきたのであろう金剛とふと目が合う。
「Hey!! テートクぅ!! 楽しんでマスカー!!!」
独りでしょぼくれているのがバレたのだろうか?
元気よくこちらへスッ飛んできてくれた。
しかし今日の主役は君と足柄なんだから、楽しむべきはコチラではないだろうに。
「それはNoだヨー!!
大淀も明石も…間宮と伊良湖に、モチロン提督も!
全員が楽しんでくれなきゃイヤなんデース!!」
───な、なんて優しい娘なんだ……。
未だ猥談で大盛り上がりしているエロバカトリオ達に、是非とも彼女の爪の垢を煎じて飲ませてあげたい。
「あぁ♡ そう言えバ……♡
テートク♡ 一つ言い忘れたことがありマシタ…♡」
しみじみと感動している自分を他所に、金剛の
彼女は素早い動きで自分の真隣へ座ったかと思えば、その身をぐいっ♡とコチラへ寄せて来た。
彼女の整った顔がすぐ近くへ来る。
ドクンと心臓の跳ねる音が聞こえた気がした。
「皆が寝静まった
"アソコ"のドアロック♡ 外しておいてネ……?♡」
隣に座る金剛は、周りから見えぬよう身体をピッタリと寄せ、耳元で吐息たっぷりにそう囁く。
先程までの元気っ娘な金剛と今の淫猥な金剛とのギャップに股座がピクリ♡と反応してしまう。
「テートクぅ…♡ 大淀たちから聞きましたヨ…?♡
ココは時間と場所をわきまえずにSEXしホーダイの
彼女は未だ耳元で甘ぁ~い♡声を発しながら、こちらの股間をスリスリ♡と一撫でしてきた。
その刺激により、全身を熱い血液が循環し、一ヵ所に集まっていこうとしているのを感じる。
「でもぉ……♡
せっかく皆が準備してくれた
だから私が来るまでガマン…してくださいネ…?♡」
そう言うと金剛はスッと身体を放した。
コチラへ振り替える素振りもなく、大淀達のテーブルへ駆けていく金剛。
大淀達の輪に混ざっていく彼女の表情は元の元気っ娘の
つい直前まで彼女が居た場所をふと見遣る。
彼女が座っていた部分がじっとり♡と濡れているような気がした。
お待たせいたしました。
今までは二話を一気に投稿していましたが、今年の終わりほどまで試しに一週間に一話ずつ投稿してみようと思います。
その影響で今回はエロシーン無しとなってしまいましたが、その分次回約8000字のエロが襲い掛かって来る予定です。
ご期待ください。