ラブライブ! Another 一つ屋根の下で 作:伊崎ハヤテ
俺「あのシナリオを我が書き換えたのだ」
絵里「えぇ?!」
遊馬「絶対に許さねえぞ、ドン・サウザンド!」
絵里「あなた誰よ!」
いいじゃん。何もトラブルも起こらない展開になったって。その方が見ている人も、μ’sのメンバーにとっても幸せでしょうに。
今回のサブタイは遊戯王GX 第三期のOPです。あの歌詞のイメージで書きました。聞きながら読んで貰えると嬉しいかも。
『悠くん、入っていい?』
日が沈みかけた頃、引き戸越しに穂乃果の声が聞こえた。
「ん、いいぞ」
俺が許可すると穂乃果は静かに戸を開けた。いつも元気いっぱいの穂乃果にしてはやけに大人しい。こう言う時は決まって俺に相談したいことがある時だけだ。俺がベッドに腰掛けると彼女は床に座った。
「どうしたんだ?」
俺は穂乃果が話しやすいように微笑みながら彼女に問いかける。穂乃果はそれが嬉しいのか柔らかく笑う。
「良い知らせと悪い知らせがあるんだけど、どっちから聞きたい?」
洋画でよく聞きそうなセリフで穂乃果の話は始まった。こんな時は良い方から聞くのがセオリーだよな。
「じゃ、良い知らせから」
俺が答えると曇っていた表情が少し明るくなる。どうやらこれで正解だったみたいだ。
「あのね、ついにね、音ノ木坂学院の廃校が無くなりそうなの!」
「ってことは穂乃果たちのライブを見て、入学希望者が増えたってことか?」
「うん!」
「それはよかったじゃないか! 穂乃果の頑張りが実を結んだんだな」
俺は嬉しくて穂乃果の頭をわしゃわしゃと撫でた。穂乃果も嬉しそうにそれを受ける。
「で、今後はどうするんだ? スクールアイドル、続けるのか?」
俺の問いに穂乃果は迷った様に視線を落とす。
「どうしようかな、って迷ってたんだけど、続けてみようかな。ラブライブ出場にもリーチがかかってるし」
「ラブライブ?」「あ、悠くんにはまだ言ってなかったね。全国のスクールアイドルの頂点を決める、それがラブライブだよ」
穂乃果の大雑把な説明は相変わらず理解しづらいが、要はスクールアイドルのインターハイみたいなもんか。
「せっかく作ったμ’sだもん。皆とどこまでいけるか、試してみたいんだ」
「せっかく皆と仲良くなったんだ。ここで終わらせるのももったいないしな。いいんじゃないか」
俺が笑って賛成するが、穂乃果の表情はあまり良くはならなかった。
「でも、悠くんと一緒にいられる時間が少なくなっちゃう……」
なんだ、そんなことか。俺は優しく穂乃果の頬を撫でた。
「俺のことなら気にすんな。家に帰れば俺は居るんだ。二人っきりになるのはそれでいい。もしくは、練習が終わったら二人でデートにでも行こう」
デート、と言う言葉に頬を赤くする穂乃果。でも、何故いつもの笑顔とは、何か違う気がして。俺は尋ねた。
「んで、悪い知らせってのは?」
「ああ、うん……」
穂乃果の表情はまた暗くなってしまった。話すことに抵抗があるみたいだ。
「無理に話さなくてもいいんだぞ?」
「ううん、悠くんにも、聞いて欲しいの……」
穂乃果は意を決したのか俺を見つめながら説明し始めた。
「ことりが留学?」
「うん。文化祭の前からそんな話があったんだって……。海未ちゃんは知ってたんだって……」
廃校が撤回されて、はしゃいでた穂乃果達に告げられたことりの留学の話。それは穂乃果を落ち込ませるには十分な効果を持っていた。俺はそのことを言わなかったことりに憤りを感じる。
「ことりもことりだよな。何でそんな重要なことを今まで言ってなかったんだ」
「ことりちゃんは悪くないよ! ただ、このタイミングで言うしかなかったんだって。文化祭の前に言えば、私がライブに集中出来ないからって。ことりちゃん、すごく辛そうだった……」
「……」
穂乃果が風邪で倒れた時、ことりと二人きりで話した時を思い出す。
『ほのかちゃんのことよろしくね? 必ず幸せにしなきゃ駄目だよ?』
あの言葉ってこのことを指していたのか。今考えたって仕方ないな。
穂乃果の声は震えていた。
「私、どうしたらよかったのかな……。どうすれば、ことりちゃんのこと気づいてあげられたのかな……」
穂乃果は自分がことりのことを気づいてやれなかったことに後悔してるんだ。辛そうな顔で悩んでいるんだ。
俺はため息をつくと右腕を振りかぶった。
「穂乃果、歯ぁ食いしばれ」
「え?」
びしり。
「いたっ」
穂乃果の頭にチョップを軽くいれてやる。その後も何度もチョップを連打してやる。
「ちょ、ちょっと悠くん、痛いよ!」
「俺からの愛のムチだ」
「なにそれ、意味分かんないよ!」
少し涙目になりながら穂乃果は抗議する。少しは表情が緩んだみたいだ。
「前にも言っただろ。『もし』とか『たら』とか『れば』そんなん考えたって意味ないんだ」
「意味ないって?」
「ああ。『どうしたらことりのことを気づいてやれただろう』って考えても、もう実際に起きちまったんだ。後悔したってその事実は変わらない。その事実を受け止めることが大切なんだ」
「事実を、受け止める……」
んー、と首を傾げる穂乃果。ここは一つ、わかりやすく説明してやるか。
「穂乃果、一つ歴史の授業だ」
「え?」
「本能寺の変のことは知ってるよな。織田信長が明智光秀に謀反を起こされた事件な」
穂乃果は黙って頷く。穂乃果に伝わるかどうかわからないが、俺なりの伝え方で理解してもらうしかない。
「光秀軍に周囲を囲まれて、信長は何て言ったと思う?」
穂乃果は首を横に振った。
「『是非も無し』、だ」
「是非も無し?」
「仕方がない、って意味だ。信長は光秀に謀反を起こされたことを「仕方がない」って受け入れたんだ」
「受け入れる……」
「そう。『どうして謀反を起こされたんだ』とか『あの時光秀に優しく接してやればよかった』とか考えなかった。ただ目の前で起こったことを受け入れたんだ」
今の穂乃果に大事なことは、この事実を受け入れることだ。俺は自分の知識を総動員しながら穂乃果に説明する。
「で、信長は謀反を受け入れた上で、どうしたと思う?」
「自分の首を斬ったんだよね?」
「最終的にはそうしたけど、信長は『戦った』んだ。受け入れた上で『自分がどうしたいか』考えて行動した。一国の城主だから逃げる手筈だってあったかもしれない。逃げることだって出来たはずだ。でも信長は戦った。自分がそうしたいから戦ったって俺は考えてる」
俺は穂乃果の手を取り、空色の瞳を見つめる。気のせいか彼女の瞳が少し濁りかけているような気がした。そんな彼女は、俺は見たくなかった。
「本当に大事なことは、目の前で起きたことを受け入れて、受け入れた上でどうしたいか考えることだと俺は思う」
「受け入れて、考える……」
「そう。穂乃果はことりの留学って事実を受け入れて、どうしたい?」
俺は『ことりにどう言えばいい?』とまでは言わなかった。それは穂乃果が示す道だ。俺が示していい道じゃない。俺は穂乃果に道の歩き方を教えるだけだ。踏み出すのは穂乃果自身だから。
「穂乃果は……、一緒にいたい……。ことりちゃんと一緒にスクールアイドルをやりたい……」
穂乃果は立ち上がった。その瞳は決意にあふれていた。
「明日、ことりちゃんに伝えてくる。穂乃果の気持ちを。一緒にやりたいって正直に話すよ」
「おう。それでいいと思うぞ」
ありがとね、悠くん、と言う穂乃果の瞳は決意の他に何かが揺らいでいた。俺にはそれが引っ掛かった。穂乃果は俺に背を向け、部屋を出ようとしている。
「じゃあ穂乃果、もう行くね」
俺はここでの穂乃果の相談を思い出す。彼女の言葉のどこに違和感を覚えた? どこだ?
『文化祭の前からそんな話があったんだって……。海未ちゃんは知ってたんだって……』
「あ……」
海未にだけ知らされていた。ことりと海未、穂乃果は小さい頃からずっと一緒にいた幼なじみだ。俺よりもずっと深い信頼関係を築いているはずだ。でもことりは、『穂乃果がライブに集中出来ないから』と留学の話をしなかった。置き換えれば、『穂乃果は留学の事実を受け入れられない』とことりは考えたわけだ。ことりは穂乃果を信じていない形になる。
「穂乃果、ちょっとこっち」
俺は手招きして穂乃果をベッドの俺の隣に座らせる。
「俺の考えすぎならいいだけど、ことりに言われなかったことが一番ショックだったんじゃないのか?」
「っ!」
穂乃果の身じろぐ。図星か。
「あはは、バレちゃった?」
「なんとなく。穂乃果は顔に出すぎ」
穂乃果は俺の肩に身を寄せる。
「悠くんに言われて改めて考えた時にね、『ことりちゃんは、海未ちゃんには言って穂乃果には言ってくれなかったんだ』ってわかっちゃったんだ。ことりちゃんも言えなくて辛いってわかってる。だけど、穂乃果に何も言ってくれなかったって考えると……――」
穂乃果の肩が震えている。あの事実を受け入れるってことは、『ことりが自分のことを信じてなかった』ってことも受け入れるってことだ。それは穂乃果にとっては辛いことだ。
俺は穂乃果の肩を抱いた。
「ごめんな、俺が受け入れろって言ったばかりに、辛いこと考えさせちゃったな」
「ううん、悠くんは悪くないよ。穂乃果が、ことりちゃんに信じてもらえなかった、だけだから……」
穂乃果の声がかすれる。その瞳には涙が満ち満ちていて。穂乃果は俺の胸に顔をうずめた。
「ごめん、悠くん、少し、このままでいさせてくれる?」
「ああ。気が済むまで、いいぞ」
「っ、くうぅ……」
穂乃果は静かに嗚咽し始めた。俺のTシャツが徐々に湿っていく。俺は少しでも気が楽になるように穂乃果の背中を撫で続けた。
ひとしきり俺の胸元で泣いた穂乃果は落ち着くとゆっくりと身を離した。
「思いっきり泣いたらスッキリしちゃった。ありがとね、悠くん」
「いや、むしろ俺は謝らなくちゃいけないな。辛いことさせて――」
そこから先は言えなかった。穂乃果の唇が蓋をしたからだ。柔らかさと甘さが脳を駆け巡った。軽く俺の唇を吸うと穂乃果は離れて笑った。
「悠くんは謝らなくていーの。それだけ穂乃果のことを考えてくれた、これはそのお礼♪」
勢い良くベッドから立ち上がる。その瞳にはさっきのような陰りもない。
「気がついたら穂乃果、制服のままだ。着替えて来るね」
「ん。明日、頑張れよ」
俺の言葉に穂乃果はうん、とだけ呟くと出て行った。部屋に一人残された俺は唇を撫でた。まだ甘い感覚が残っている。
「とりあえずこのTシャツ、変えてくるか」
俺はTシャツを脱いで別のものに着替えると、脱衣所へと向かった。
俺「穂乃果ちゃん、キミと悠のR-18を見てみたいという声がいっぱい届いたよ」
穂「えぇ?!」
俺「実際僕も書いてみたいしね。さて、そんな感想を送って下さった方に一言お願いするよ」
穂「うぅ……、みんなのえっち……」
穂乃果ちゃん、ありがとうござました。読んでみたいという感想を頂いて、実際「マジで!?」とびっくりしました。R-18を制作してみようと思います。現在はHのシチュエーションを考え中です。悠は居候の身、両親がいる家ではしづらい。しかし穂乃果には制服を着たままHしてもらいたいし。どうしたもんか。ココこそ腕の見せ所。頑張って書きますよ。まずは描写の勉強の為にエロゲしなきゃ。
さて本編はことりの留学について。一期終盤の流れが苦手な僕は直接はアニメを見たことがありません。大まかな流れは知っていて、とある方の小説から詳しい経緯を知りました。ある意味、僕自身アニメを「受け入れ」られない臆病者です。
それでも、あの流れは本当に必要だったのかと考えてます。穂乃果には間違って欲しくなかった。ずっと笑顔でいて欲しかった。だから書きました。海未のSIDで彼女の覚悟は理解しています。ですが、暴力はいけません(某極東エリアチャンピオン感)あんな殺伐な流れになって欲しくない。そう思って書きました。
あの場面、穂乃果の立場から見ると、「ことりは自分のことを信じてくれてなかった」と考えるのではないか、ことりはある意味穂乃果を裏切っていると考え、このようなストーリーにしました。
このアニメの件で穂乃果へのアンチが出たと聞いています。ですがよく考えて欲しい。誰が悪いのか。あんな言動を穂乃果にさせた、脚本が原因だと考えています。穂乃果に無責任な発言をさせたのも、如月を沈めたのも、夢に見たからと吹雪を呼んだのも、全て花田が原因なのだと。穂乃果ちゃんを嫌うのは筋違いだと思います。
悠が穂乃果を励ます際に言った言葉、「『もし』とか『たら』とか『れば』とか――」このセリフを言った人。今日がその人の命日なんです。だからこの日に間に合う様に作りました。誰か当てられた方は僕と兄弟になりましょう。
長文失礼しました。
ご意見ご感想、Hのシチュエーションなど、お待ちしております。