ゼータという最初の猫生は、悲惨であった。
生まれた家は、裕福ではあった。
裕福な家庭であり、そこにいる家族にも愛されていた。
そう思っていた。
だが、ゼータを可愛がっていた家主が亡くなると、全員は目の色を変えていた。
その家にある遺産を目的に、動いていた。
それらを見て、嫌になったゼータは、外の世界に飛びだした。
外の世界は、残酷だった。
裕福な家に生まれたゼータにとって、日々の生活の糧である食事も、安心して眠れる寝床もなかった。
だからこそ。
「んっ、捨て猫か」
彼が、拾ってくれた事が、猫生にとっても幸福な事だった。
寿命は僅かだっただろう。
残酷な世界に生き残る為に。
命懸けだった日々。
それから逃れられた暖かさを、彼が与えてくれた。
その時になって、ゼータという猫は、彼に恋をしたのだろう。
種族の違いなど、頭にはなかった。
だが、ゼータは、残念ながら死んでしまった。
それは、残酷な世界で生き続けた故に。
そうして、ゼータは、二度目の生を受けた。
ゼータの、この世界では以前の猫ではなく、獣人へと生まれ変わったのだ。
獣人は、人間に近しい容姿を持ちながらも、身体機能に優れた存在として認知されている。
この世界は、以前の世界にはなかった技術があった。
以前のゼータの境遇に比べたら、裕福だろう。
だが、ゼータにとって、この世界は嫌で仕方なかった。
彼がいなかったから。
だけど、ゼータは、この世界で知った。
別の世界から、人間を呼び出す事が出来る事を。
それを利用している事を。
最初は、どうでも良かった。
だが、ふと考えた。
「彼も、来るのか」
それが、ゼータにとっては重要事項となった。
そして、ゼータは再び、彼と出会う為に。
自分と同じように、考えている者達が集っていた。
そして、彼が来た。
それが分かれば、行動は早かった。
彼を連れ出す。
殺されない為に、連れて行かれない為に。そして、愛して貰う為に。
故に。
「それ以外は、必要ないからね」
彼が見えない所まで離れた。
それを確認した後、邪魔した存在を。
「がぁぁ」「本当に、面倒な事をしたね」
殺した。
「きっさまぁ」「本当に大変だったからね、主が生き残る為に、色々と努力したのだから。まぁ、そのおかげでなんとかなったけど」
ゼータは、見下ろした。
「手柄を取る為に、新たな転移者の材料を求めた出世欲のあるお前をおびき寄せるのは大変だった。これから、主にこちらの信用を落とさないように行動するのも実に大変だった。けど、もうすぐそれが報われる」
ゼータは、その存在を見下しながら、笑みを浮かべた。
今となっては、その人物達に感謝していた。
お蔭で、主と一緒にいられる時間が出来たからだ。
それに、ゼータにとって大切な者を奪うような輩を許すつもりはない。
故に。
殺す事に躊躇なんてない。
「全ては我が主の為に」
次回作品の中心になる種族は?
-
天使
-
悪魔
-
吸血鬼
-
ロボット娘
-
エルフ
-
ドラゴン