突然、攫われた。
それは、本来だったら、困惑すべき事だろう。
「えっと、聞きたいのだけど」
「何?悪いんだけど、今は逃げる事を先決させたいんだけど」
バイクを運転している彼女は、俺に怒鳴りながらも、前を見ていた。
周囲は、次々と風景が変わっており、どこに向かっているのかも分からない。
だが、このままでは危ないというのは、何となく理解できた。
だからこそ、この状況で聞く事にした。
もしかしたら、この現状を変える事ができるかもしれないと思ったからだ。
「あの」「っ」
そうしていると、彼女は後ろを見た。
俺もまた振り返ると、そこには、かなり殺気のあるゼータが、こちらを迫っていた。
「かなり危険な様子ね、しっかりと掴まりなさい」
「あっ、だから」
俺の言葉を聞く前に、彼女は、さらにアクセルを捻った。
それは、かなりの速度であり、周囲の景色が変わるほどの速さだ。
そんな中、後ろから追ってくるゼータ達。
ザシュッ、という音が聞こえた。
それが一体何なのか、俺は理解できなかった。
何故なら、その音の正体は。
グサッ、という音が耳に届いた。
それから数秒後、再び同じ音が響いた。
それと同時に、後ろにあった気配が消えた。
そこでようやく分かったのだ。
何かが貫くような音と、何かを切り裂くような音がした事が。
それと共に、バイクが横転する。
「なっ」
そのまま、宙を飛んだ。
見つめた先には、バイクの車輪が破壊されたのが分かる。
そして、飛び出しながら、俺は。
「ふぅ」
それと共に、俺を受け止めたのは、ゼータだった。
「ゼータ」「主、ごめんね、攫われそうになって、とりあえず今は、あの泥棒猫を殺そうか」
そうして、ゼータは殺気を出している。
その先にいる少女もまた、手には銃を持っている。
まさか、ここで近代兵器が出て来るとは思わなかった。
「ゼータっ待て!」
俺の言葉に対して、ゼータはこちらを見つめる。
「何、主?同情は危険だよ」
「危険というよりも、ゼータ。彼女は敵じゃないよ」
「なんで、そう言えるの」
ゼータは、目の前にいる少女を睨みながら、俺に問いかける。
「彼女は、俺が攫われたと思い込んでいて、助けようとしてくれたんだ」
「…あんたは、転移者を武器にしようと考えていたんじゃないのか?」
「そんな事、冗談でも言うなよ」
その言葉に対して、ゼータは殺気を出しながら言う。
それも、かなりの。
「…どうやら、本当に違うみたいだね」
そんな様子を見てか、少女は銃を下ろす。
「とりあえず、互いに事情を聞こうじゃない」
次回作品の中心になる種族は?
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