師匠の、その言葉を聞いて、俺は疑問に感じた。
「その、ゼータの事を信じられないというのは一体」
「正直に言って、あいつはなぜそこまでしてお前を守ろうとしているのか疑問だ」
「あぁ、その、なんていうか、ゼータもまた元の世界では俺の飼い猫で、そのお礼だと言っていた」
その言葉に対して、師匠は疑問に思っていた。
「だとしてもだ、例え前世で世話になったからと言って、ここまでするか?」
「うぅん、元々、ゼータは前世は猫だった事もあって、人間と猫では倫理観が違うと話には聞いていたから」
「倫理観か」
俺の言葉を聞いた師匠は少し考えるような仕草をしてからこう言った。
しかしそれでもだ、と、 まるで納得がいかない様子だった。
そして俺もそう言われて改めて考えてみると違和感を覚えた。
この世界にきて初めて出来た仲間。
それは確かに猫の倫理観は分からないけれど、少なくとも、人になってまで守って貰わなくてもいい筈なのだ。
けれど。
「それでも、信じてみたいんだ。ゼータが助けてくれたのは事実だし、それに……」
「それに?なんだ?」
「いや、なんでもないよ」
それに俺自身、ゼータと出会えた事で、心強く感じる事が有った。
だから今はそれで良いと思っていた。
それから、それから……。
そして俺は自分の事を棚上げしてこんな事を言ってしまった。
「ただ、信じたい。それだけかもしれない」
「・・・この世界はかなり残酷だからな、もしかしたらという考えは持っておいた方が良いぞ」
「ありがとう、なんというか、師匠は良い人ですね?」
「俺としては、未だにフランの処女を奪ったお前を斬り刻みたい気持ちは変わらないがな」
「うっ、すいません」
そうして、師匠は、その剣先をこちらに向けていた。
それに関しては、否定する事が出来なかったで、素直に謝る。
「けど、それ以上に俺と同じ転移者で、同じ境遇だからこそ、出来る限り助けてやりたいと思っているからな」
その師匠の言葉を聞くと、俺は、改めてこの世界で生き抜く為の覚悟を決めた。
そしてそんな俺を見て師匠も覚悟を決めて、こういった。
「そうか、とりあえず、お前が向かう場所まで見守ってやるよ。どちらにしても、フランの奴が安心してくれた場所は見ておきたいしな」
こうして、俺は師匠の同意を得る事が出来た。
「それじゃ、これからよろしくお願いします」
「あぁ、任せてくれ。こう見えて、剣だけど強いからな」
そう言った師匠の言葉に俺は信じたいと、確かに思えた。
次回作品の中心になる種族は?
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