獣の国。
そこへと向かう道のりは、ある意味厳しかった。
森の中。
向かう為には、ほとんど地図はなく、獣道である。
だからこそ、俺達はゼータ達がいなければ、そこに辿り着く事は出来なかった。
やがて。
「ほら、ついたよ、ここだよ」
そうして、辿り着いた場所。
そこに広がっていたのは。
「これは」
そこに見えた光景は、自然の景色。
現代の日本では決して見られないような景色であった。
周囲を囲む木々は、まるで都会にある巨大な壁のように周囲に広がっている。
そしてその中を覗くと、そこには深い森が広がっている。
木漏れ日が差し込み、その中に見えるのは、少しだけ開けた空間に生えている一本の木だった。
しかし。
その周りに生えていた草花は、見たこともないようなもので、全てが青々としていた。
だが、それよりも目を引くものがあった。
それは……。
白い花畑だ。
一面に広がる白の花。
それが、その場所には咲いていたのだ。その光景はとても神秘的であり、どこか現実離れしたものだった。
「すげぇな……」
思わず呟いてしまうほどに、綺麗な風景が広がっていた。
「どうだい? 凄いだろ?」
そんな俺の言葉に対して、ゼータが自慢気に言う。
「こんな綺麗な場所に来れるなんて夢みたいです!」
「うん……こんな所があるんだね」
「…………」
それぞれが感動しているようで、声を上げている。
だが、それとは別に、師匠は、どこか周囲を見ていた。
「ゼータ、一つ聞きたい?」
「何かな?」
師匠は、そのままゼータに問いかける。
「この国での支配者はいるのか?」
「支配者ねぇ、ここは獣の国だからね。支配者なんていなくても、皆がそれぞれ好き勝手にやっているからね」
「そうか……では、お前達もそうだという事なんだな?」
「私達が? まぁ、そういう事になるかな?」
「…………」
師匠は、そこで黙ってしまう。
一体何を言いたかったんだろうか? 俺は不思議に思いながらも、他の三人と同じように、目の前に広がる光景に見入っていた。
「さて、そろそろ行こうか」
しばらくすると、そのままゼータの先導で向かう事にした。
向かった先、そこにあったのは、家。
それも。
「俺の家にそっくりなような」
それは、俺が、この世界に来る前に住んでいた家。
それにそっくりだった。
「まぁね、この家は、私達にとっても思い出深いからね、こうして建てるのには、結構苦労したんだよ。さすがに、向こうの世界のような家電はないけどね」
「そうなのか、けど、嬉しいよ」
俺も、その家に向かった。
向こうの世界では、学校にも、あまり居場所はない。
俺の居場所と言える場所。
親との仲が悪い訳でもないし、むしろいい方だと思う。
ただ、それでも俺は、家族の中で一人だけ違う存在だという事を自覚していた。
だからこそ、この場所がとても嬉しかった。
そして、中に案内される。
そこは、やはり、見慣れた俺の部屋と同じ間取りとなっていた。
違いがあるとすれば、テレビがないぐらいだろう。
すると、ゼータは。
「さぁ、旅で疲れただろう、ゆっくりと休もうじゃないか」
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