「どうかしたのかい? 主?」
そう、俺の方にゼータが笑みを浮かべながら尋ねてきた。
この異世界へと飛ばされた後、かつての愛猫と行為を行ってしまった。
それらの、あまりにも現実離れをしている事が何度も起きた事によって、俺の思考は朝の眠気も相まって、かなり曖昧であった。
「いや、その、なんというか、異世界というのが未だに信じられなくてな」
「まぁ、実際に私がここに来た時も似た感想だからね。主がそう思っても仕方ないよ」
そうしながら、この宿で出されている朝飯である魚のサンドイッチを摘まみながら、そう答えてくれた。
「それにしても、早く、この街から出なくて良いのか? その、このままじゃ」
「出るにしても、準備が必要だからね。何よりも、主達って、結構目立つから」
「目立つって、俺がか?」
言ってしまえば、俺はどこにでもいる普通の人間のはず。
周囲を見ても、俺と似た人はかなり見かけるはずなんだが。
「主は、この世界の事はあんまり知らないからね。この世界は、主が思っている以上に種族の差別が激しいんだよ。特に、転生者の特徴である黒い目はね」
「黒い目?」
そう、言われてみれば、この世界に来た際には、あの場にいたほとんどがまるで外人のような雰囲気をしていた。
「そっ、異世界から転移した人間と見分ける為にね。だからこそ、主には常に、これを付けて貰わないといけない」
そうゼータが渡してきたのは、眼鏡だった。
眼鏡を見ると普通のようだが、試しにかけてみる。
「これは?」
「眼鏡を通して、瞳の色を別の色に見せるようにするの。私と同じ紫色の目だから、目立たないと思うよ」
「そうなのか?」
それと共に、俺は眼鏡をかける。
「さて、主にはこれから少しだけ仕事をして貰わないといけないんだ」
「仕事?」
ゼータはそうしながら、俺の方へと詰め寄る。
「そっ、ある意味、主にしか出来ない事だよ」
そう、ゼータが言っていると。
「おい、ここで合っているか?」「あっ来たみたいだね」
話し合っている間に、聞こえた声。
見ると、そこに立っていたのは、1人の女性。
ゼータが、暗殺者やスパイを思わせる印象だとすれば、目の前にいる女性は、剣士。
そう思わせる人物であった。
鬣のような髪と褐色の肌に鍛え抜かれた肉体には戦いでの傷が点々としており、右目には眼帯を着用している。
「んっ、ゼータじゃないか、いきなり呼んでどうしたんだ?」「いやぁ、ギレーヌ悪いね、少しだけ頼み事があってね」
そう、ゼータは、その人物、ギレーヌを気安く呼ぶ。
「別にいいけどな、それで、依頼ってのは何なんだ?」
「別に、ただ少し護衛を頼みたくねぇ」
「護衛? お前がか?」
ゼータの言葉に対して、ギレーヌと呼ばれた女性は、首を傾げた。
それに対してゼータは首を横に振り。
「彼の護衛をね」
そう、ゼータは俺の方に指を指しながら言った。
「あんたが、こいつの護衛をするのか?」
「あぁ、そうだよ」
「……ふーん」
ギレーヌと言う女性は、値踏みするように俺を見る。
「ゼータ、何を企んでいる?」
「企むって、何をだい?」
「お前が何も考えずにこんな事をするはずがないだろ」
「酷い言い草だね、まぁ、確かにそうだけれども」
そう言って、ゼータは肩をすくめる。
「まぁ、ギレーヌにとっても良い話だと思うよ?」
「あぁ、私が?」
「そっ、ギレーヌにとっても、この方にとってもね」
そう言うと、ゼータは、俺の方へ顔を向ける。
「この方?」
「そうだよ、それにギレーヌも薄々気になっていたんでしょ?」
「はぁ、何を」
そうして、ゼータは、ギレーヌの耳元に何かを囁く。
「彼の臭い」
「っ」
その言葉を聞いた瞬間、ギレーヌの目つきが変わる。
「なっ何を言って」
すると、戸惑った様子でギレーヌは口を開く。
「おや、違ったかい?」
「ちっ違うって、なんでっそんな風に」
「それはね、私は彼と一晩、ずっとやったからさ」
「はぁっ、お前がっ!」
驚いたような表情をしたかと思うと、すぐさま警戒した表情になる。
「……本当なのか?」
そして、そのまま俺に尋ねるように尋ねてきた。
そんな様子に俺は首を縦に振る。
そうして、ギレーヌは、そのまま俺の方に近づく。
すると、臭いを嗅ぎ始める。
「えっ?」
その様子を見ていたあなたは困惑の声を上げるが、その間にも鼻を動かし続ける。
時折匂いを確認したりしながら嗅ぐこと数十秒後。
恐る恐るといった表情でこちらを見てきた。
「……なんだよ、こいつ」
そう、うっとりとした表情でこちらを見つめてくるので居心地が悪いのだが。
「それじゃ、夜にどう? ちょっと私は少し探りたい情報があるからね」
「えっ、ゼータ?」
「……分かった、夜にだな」
ギレーヌは、それと共に、そのまま去って行った。
残された俺とゼータは呆然と立ち尽くす。
「ぜっゼータ、さっきのはどういう事なんだ」
思わず尋ねてしまった。
「主の能力であるねこごろし、忘れたのかい?」
「あぁ、あれが」
あんまり役に立たなかった印象だったけど。
「あれはね、私達のような猫の獣人からしたら、君はとってもとっても魅力的に見えるんだよ」
そう、俺の方に体を預けながら言ってくる。
「その臭いは猫にとってはマタタビよりも強力な物でね、特に雌の場合はね」
そう言いながら、俺の股間を撫で上げる。
ギレーヌを見て興奮したのか、ズボンの上からでも分かるくらいに膨らんでいた。
それを指先でなぞる様に動かしていく。
その度に腰が引けてしまう程の快感が襲ってくる。
だが、ゼータの手つきは明らかにこちらを煽っていた。
「だからこそ、主には、あのギレーヌを堕として欲しいんだ」
「いや、昨日の行為が、その初めてなんだけど」
昨日の出来事を思い出しつつ言う。
「ふふっ、大丈夫、君はギレーヌが満足するまで付き合えば良いからさ。それに」
そう、耳元で囁くように言うと、こちらの耳元で囁く。
「主が赴くままにね」
次回作品の中心になる種族は?
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天使
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エルフ
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ドラゴン