※この作品はR-18です。

MODまみれの世界で爆乳ハーレム   作:はつのとうこ

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三十四話 間章 消失

 

 

「へー、こういう所もあるんだ……」

 

 リヒトはランドラマの大通りを抜けると、商業地区とは反対方向に足を運んだ。

 こちらは冒険者ギルドなどが方向とは違って、そこまで娼婦街の雰囲気が変わるものではなかった。しかし、店構えは大通りの娼館一辺倒とはかなり違う。

 端的に言い表すなら、そこは女性向けのアクセサリーやラグジュアリーな下着類、その他もろもろの小物など様々な『プレゼント』向けの商品が並んでいた。

 アーコや他の娼婦達から聞いた、娼婦達へと向けた贈り物ショップである。主に客の衣装の持ち込みの要望などで利用されるらしい。

 

「……お金は持ってきたし、足りるはず」

 

 珍しくリヒトは側に二人を連れていなかった。

 ルナジリオからは口を酸っぱく一人になるなと言われていたが、初めての贈り物くらい一人で用意してみたいのが男心というものである。リヒトはルナジリオとフゥリィにプレゼントを買うため、一人お忍びでこの商店街にやって来たのである。

 ちなみに二人は宿で待ってもらっている。素直に目的を告げても良さそうだったが──というかさりげなく伝えて来たのだが──やはりそれも男心であった。

 

「ふふ、二人とも喜んでくれるといいな……!」

 

 ちなみに何を買うのかは決まっていない。指輪……は最初にしては少しやり過ぎな気もするので、まずはネックレスなどはどうかなどと素人ながらに考えていたリヒトだった。

 左右に広がる露店に目を通すと、情報通りアクセサリー類が並んでいる。基本的に風俗目当てで来た客がキャストに対して身につけて欲しいと贈るパターンが多いらしく、通常の小物類よりも何処か桃色の雰囲気を感じさせる物が多かった。

 少し歩けば当然のようにブラジャーやパンティ、後は乳首ピアスなど、過激なものが店頭に並んでいた。

 

「これ、二人が着けたらエッチだなぁ……」

 

 胴体だけの木製のマネキンに、ちょうど乳頭あたりに銀色のリングがちょこんと付けられている。種類も豊富で、十字架をぶら下げるような物から、左右の乳首をチェーンで繋ぐような物まで多種多様だ。

 こんなものを付けてもらって、騎乗位で絞られたらどんなに気持ちいいだろうか。二人の揺れるデカパイの先端で、銀に輝くエロピアス。リヒトは妄想だけで股間を膨らませていた。

 

「お、おじさん、これって痛いのかな……」

 

 好奇心には勝てない。

 割りと買う気満々のリヒトは、唯一の懸念点だけを店員に聞く事にした。

 髭もじゃの店員は胡座をかきながら、ぽりぽりと鼻を掻いた。

 

「そうだなぁ、こういうのは元々付けてる女の子にしといた方がいいぜ。でもどうしてもっていうなら、この街には『事故った』時に備えて『治癒魔術師』も控えてるから、ダメ元で贈ってみる悪くないかもな」

 

「『治癒』魔術があれば痛くないの?」

 

「いや、当事者じゃねぇから勿論知らねえし、いてぇはいてぇらしいが、この街の女はそういうの喜ぶタイプが多いらしいからな。それに最悪『治癒』があれば乳首の穴くらいなら元通りだしよ」

 

「そっか、なるほどね……」

 

 確かフゥリィは『治癒』が使えたはずである。なんならその上の上位『治癒』魔法も数種扱える。

 断られるシーンは思い浮かばないが、後で二人に聞いてみようと決意する。

 

「じゃこの、チェーンのやつ、二セットください……」

 

「ほいよ。ほんならこれもおまけしとくぜ、下につけるピアスだ」

 

 店員は子綺麗な皮袋に詰めながら、同時に一つ銀色のピアスを手渡してくれる。

 

「下……?」

 

「そうそう、クリトリスにも着けるんだよ。この鎖のタイプなら乳首とまんこでじゃらじゃらさせられるぜ。鏡の前でバック突きとかするとたまんねぇぞ」

 

「……!?」

 

 エロの先輩として、リヒトは平伏するような気持ちだった。エロ師匠と言ってもいい。

 リヒトは初めて尊敬する人に出会ったような気分だった。

 

「おじさん、凄いね……」

 

「よせやい、照れるじゃねぇか」

 

 気前のいい店員はそのクリトリス用のピアスも二つ紙袋に入れて、手渡してくれる。

 リヒトはぺこぺこ頭を下げながら、値札通りの代金を渡す。三十ゴールド、意外とお手頃だった。

 

「そうだ、おじさん。ついでに何かいいアクセサリー知らない? プレゼントしたくて」

 

「普通のアクセサリー類ならこっちとは逆方向に行くといいさ、お上品なのが並んでる。こっちは奥に行くほどヤバいぜ」

 

「そ、そうなんだ、ありがとう……」

 

 どうヤバいのか非常に気になるところだったが、また今度三人で来ることにしよう。

 リヒトは改めて頭を下げると、言われた通り来た道を戻って反対方向に進む。確かに進めば進むほど下品なアクセサリからただの指輪やイヤリング、ネックレスなどが多く見られるようになった。

 最初からこっちに来ていれば余計な出費をせずに済んだかもしれない。けれども良い買い物には違いない、二人ならリヒトが頼めば断るはずもないので、今からビンビンに待ち遠しかった。

 そうして暫く、リヒトはあーでもないこーでもないと露店を見物していると、

 

「おや、もしかして『勇者』様かい?」

 

 ふと女の人に声を掛けられた。

 

 リヒトの進行方向に立ち塞がるようにして立っていたのは、アーコと似たようなビキニを身につけたグラマラスな女性だった。ルナジリオには勝るとも劣らない長身、メリハリのある身体付き、艶のある黒髪。

 一目でわかる、高級娼婦だ。

 顔立ちも非常に整っていて、眉の辺りにつけたリングピアスが特徴的だった。

 

「は、はい、そうです……『ロクサーヌ』の人ですか?」

 

「そうそう、『マザー』の店の従業員だよ、私は──と、そんな事はどうでも良いや、『マザー』からなるべく『勇者』様には優遇しとけって言われててね──こっちに来な♡」

 

 彼女は「んべっ♡」と舌を出すと、指で輪っかを作って何かを舐める動作をして見せつけてくる。ピアスの妄想もあり半勃ちだったペニスが硬くなっていく。

 あまり遅くなると二人を心配させてしまうという思いと、『マザー』の店の人なら是非とも奉仕されてみたいという思いの板挟みがリヒトを襲う。しかし美しい彼女からの誘いはちんぽに脳みそがついているリヒトにとっては弱点以外の何者でもなかった。

 

「──ほら、こっち。路地裏でまずはしゃぶってやるからさ♡」

 

「あ、あの……ちょっと……」

 

 リヒトの迷いを断つように、女性は手を引いて人気の少ない場所まで連れ込む。

 どうしようという気持ちが、徐々に早く気持ちよくなりたいという欲求に塗り潰される。『ロクサーヌ』での件もあるし、あまり身構える必要はないのかもしれない。あの場にはいなかった娼婦も多いと聞いている。いろんなおっぱいを味わいたいし、サクッと抜いてもらって帰ろうなどと考えるリヒトだった。

 

 

 そして、何度か薄暗い路地の角を曲がると──

 

 

 

「──お疲れ様だ、ぜっ……!」

 

「がっ、ぁっぁ……!?」

 

 リヒトの腹部に、長い脚がめり込む。

 空気が無理やり吐き出された。鳩尾に爪先が刺さって、唾液を撒き散らしながら後ろに倒れ込む。

 

「お前もお疲れ様──!」

 

「きゃっ──!?」

 

 リヒトはうずくまりながら、リヒトをここまで連れ込んだ女性の最期を目撃する。

 待ち構えていた黒ずくめの男は、娼婦の首元に短剣を突き刺すと、さくりと軽い音を立てて引き抜いた。彼女は悲鳴も上げずに倒れていく。

 

 何が何だか分からない。何が起こっている。

 

「げほっ、ごほっ……うぅ……」

 

 舌を引っ張られるような嗚咽を漏らしながら、殺人犯の顔を見上げる。

 どこかで見たことあるような服装、それに声。リヒトはなんとか顔を確認しようと、ノロノロと首を持ち上げた。

 

「よ、『勇者』サマ、楽しそうじゃねぇか、地獄に落ちろよ」

 

「ダイ……バー……」

 

 目の前に立っていたのは、忘れもしない。

 冒険者ギルドで出会った男、ダイバーであった。

 その表情は、怒りと憎しみに染まり切っている。

 明確な悪意が、リヒトに向けられた。

 

「……!?」

 

 リヒトは驚く。

 ダイバーの腰には、複数のMOD武器がぶら下げてあった。一つではない、複数だ。

 一体どうやって入手したのだろうか。

 

「じゃ、さいなら……ったく、殺せないのが残念だぜ」

 

「──『神の怒り』!!」

 

「おっと! そいつは抜かせねぇよ」

 

 慌てて腰に下げたハンマーを抜こうとするが、そこはただの少年と腐っても『Aランク』冒険者との差だった。加えてこちらは奇襲を受けた形である、反応は段違いだった。

 ものすごい勢いで手を掴まれると、拳が鼻っ柱にぶち込まれた。

 頭の中央まで衝撃が響き、神経の集中した鼻に激烈な痛みが弾ける。

 リヒトは地面に顔を激突させた。まだ意識はあったが、眉間に蹴りが追加で飛んできた。

 

「ぁ──ぃ──っ!?」

 

 抵抗しようとしていた気持ちが瞬時に萎える。

 ダメだ、勝てるわけが無い。

 痛みの強烈さが心をたやすく打ち砕く。

 『神の怒り』は発動してしまえば無敵だが、リヒトの従者達が突いた弱点──つまり効果時間外はただの鈍器である。発動させた後に倒すか、発動する前に倒すかして無力化すれば、驚くほどあっさりと負けてしまう。

 そんな事に気がついたところで、もはや手遅れだった。

 

「噂じゃ随分と活躍したそうじゃねぇか、勇者サマ。その物騒な武器も俺様が使ってやるよッ!!」

 

「ぁうっ──!?」

 

 ごん、と再び顔に靴の先端がめり込んだ。鼻が凹んだかのような勢いにのけ反り、後頭部を路地の壁に打ちつけた。

 

 痛みと衝撃で、今度はあっさりと、意識を手放した。

 

 リヒトの手から、買ったばかりのプレゼントがその場に落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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