リヒトには時間がなかった。
もう長くはないと、何人もの医者に言われたから。
一体自分はなんのために生まれてきたのか。何も分からない、短い人生だった。
だからリヒトは、最後の楽しみとして、自分の理想の世界を作り、そこで目一杯遊ぶことにした。
『OFS』というゲームは、それを可能にしてくれた。それを許してくれた。だから、人生を注ぐのに躊躇いはなかった。どうせ先の短い命だった
ゲームを理想のものにするため、多くの事を学習した。ゲームを改造する──
そうして、ネットに公開されている数多のお気に入りMODと、自作MODを組み合わせた最高のゲームをプレイしようとして──
リヒトは、気がつくとここにいた。
ーーーーーーー
「そっかー……ここが北部大陸なのか」
「はい、その通りです。マスターは何故このような場所に?」
「それは……よく分かんない」
問われたリヒトは、何も答えを持ち合わせていなかった。
ゲームをプレイしようとして、気がつけば森の中。熊に襲われて命からがら逃げていたというのが全てだ。だからリヒトは本当に何も分からない。
どうしてゲームの世界にいるのか。どうしてNPCの彼女が設定してもいないようなセリフばかり発言するのか。
どうして自分は生きているのか。
そんなことばかり考えてはろくな答えも出ず、説明出来ない今の状況に頭を悩ませる。
一つわかるのは、ここが物語の最初の地点という事だ。このゲーム──『OFS』の主人公は、プロローグの時点で森を歩いていると、途中何者かの襲撃にあって逃げる所から始まる。
その場所とは、つまりこの森の中だ。
だから自分はここに『スポーン』した。そう考えるのは自然だった。
一つ違和感があるのは、その襲撃イベントが丸々なかった事だ。気づけば自分はここにいた。それがよく分からない。
「あれ?」
とそこまで考えて、すぐ目の前を歩くルナジリオの事を考えた。
当然のことながら、彼女のような規制無視のスケベキャラが許されている筈がない。いくら海外ゲームのとはいえ、彼女はあまりに逸脱している。
その理由はもちろん、ネット上にある幾多の『エロMOD』とリヒトが自作した様々なデータのお陰だ。それら諸々のデータが組み合わさって、元々『OFS』にはいない存在の彼女が──MODとしてインストールされている。
だから彼女はこうしてこの世界に存在するのだ
そしてMODとしてインストールされているのは、何も彼女だけではない。
彼女がこうして居るという事は、即ちこの世界には他にも様々なMODが適応されているはずである。
「てことは、襲撃イベントが無かったのもMODの効果かな……」
そう考えると納得がいった。
MODというのは簡単に言ってしまえば、公式が作ったゲームにユーザー達が自作プログラムを打ち込む行為だ。公式が想定していない遊び方で無理やりゲームを遊ぶのである。当然不具合が発生するし、起動しなくなるなんてケースもザラにある。
となると新しいMOD入れるたびに影響調査を行い、MODの確認、テストプレイなんかをしなくてはならない。そんな中長いオープニングを毎度眺めるのは時間の無駄だった。
だから、キャラメイクを終えるとオープニングはスキップされてすぐに森の中に飛ばされる。リヒトが作った環境ではそうなっているのだ。
……そうなるとあの熊はなんだ、と考えたが、そういえばオープニングのすぐ近くに巣があったかもしれない。うっかりテリトリーに入ってしまったに違いない。
一人で納得するリヒトだった。
閑話休題。
「なるほど」
肝心のこの世界に来た謎はさっぱりだが、ここにいる理由はわかった。
リヒトは少しだけ前進した気分だった。
「……? どうかしましたか?」
リヒトの視線を受けて、ルナジリオがこちらを振り返る。
後はやはり、NPCである彼女がどうしてこんなにも人間的なやりとりを行えるか、である。本来であれば定型分を喋るしかない味方キャラクターが、どうしてこうも自然に、人間であるリヒトと会話出来るのか。それがわからなかった。
設定した文章を会話に組み込むことももちろんMODで可能だが──これはその範疇を超えている。もう一人の人間がいると言っても過言ではなかった。
訳がわからない。こればっかりはMODでもどうしようもないはずだ。
「──いや、なんでもないよ」
「そうですか?」
「……うん」
──と、色々考えてみるが、結局のところ、もうこの世界に来た理由などどうでもいい気がする。
理想のキャラクターである彼女と旅が出来ているこの状況。それがどれだけ幸せなのか。
リヒトは次第に現状を理解してその素晴らしさに気が付いた。もう生きているのか死んでいるのかも分からない状態だ、今を楽しまなきゃ損だろう。
しかも、だ。そんな彼女と、いつでもエッチできるのだ。輪をかけて幸福過ぎる。
期待で胸と股間を膨らませながら、リヒトは足場の悪い森を歩いていった。
「MODが入ってるってことは、アレもあるかな……ルナジリオ、少し寄り道してもいい?」
「それは構いませんが、道は大丈夫ですか?」
「あ、うん、それは大丈夫。ついてきて」
今度は逆にルナジリオの手を引いて森の中を進む。
小一時間ほど歩いて、なんとなくだがゲーム内での位置情報と照らし合わせることができた。ここは『OSF』の舞台であるゾッド大陸の北部に位置する、北部森林だ。ゲームと現実との縮尺が違っていて、五分歩けば端から端まで到達できるような森では無くなっていたが、ようやく脳内マップとすり合わせが終わった。
こうなってしまえば自分の庭みたいなものである。ゲーム後半のマップとなると記憶は多少あやふやだが、前半で訪れるロケーションの多くは覚えがあった。ズンズンと雪が残る森の中を歩く。
改めてゲームの中に自分がいる事に感動しながら、リヒトは思わず笑顔を見せた。
こんなことが現実であって良いのだろうか。いや、現実であろうとなかろうと構わない。この瞬間を全力で楽しむのだ。
それにいつもと違って今の自分の体は健康体そのものだ。走ったり飛んだり……セックスしたり、激しい運動にも耐えれる。それだけでも嬉しくて嬉しくて仕方ない。
つい小走りになりながら目的地へと進む。後ろで微笑ましいものを見るような彼女の視線を感じたが、リヒトはそれを受けても自分の気持ちを止めることは出来なかった。
「あった」
しばらくすると、大きな木の下の不自然な木箱が目に入った。誰かが置いたにしてもあまりに不自然な木箱だ。
すぐに近づいて、中を確認する。上蓋の部分を剥がすようにして押し上げると、そこにリヒトの想像通りのものがあった。
「これは、武器と……防具? ですか?」
「うん、そう。本当なら僕が使う予定だったけど……」
あるのは黒く細長い筒のような物と、これまた何処も隠す気の無さそうなビキニだった。
リヒトはビキニを端に追いやると、その黒い筒を手に取り、箱の中に散らばっている部品を適当に組み立てた。
それはあっという間に散弾銃のような形になった。これもMODで導入した、このファンタジー世界にはちょっとあり得ない火器である。とはいえ見た目は
当初の予定ではこの武器と装備を使い、女主人公の揺れるお尻とおっぱいを眺めながらルナジリオの戦闘をサポートするつもりだったのだが、今となってはこのビキニは使えない。自分につけたらとんだ変態になってしまう。
「だから防具は要らないかな……あ、上着とズボンは使えそう」
ルナジリオと似たようなコート。やたらと発色のいい赤色のそれに袖を通すと、それからなんの変哲もない黒いズボンも身につける。
着てみるとじんわりと身体が暖かい。特に設定した覚えはないが、これにも防寒の符呪がなされている。というか設定するときに片っ端から便利な符呪の設定を詰め込んだ気がする。それのせいだろう。
「まぁいいや、それから、魔石もここに入れるように設定したんだけど……あった。これか」
そして、手のひらに入るくらいの小さなウニみたいな小石を箱底から拾い上げた。透明な真珠のような色で、これは極小サイズのものだ。大きい物だと拳大の大きさやもっと大きいものもある。
試しに手元のショットガンに装填してみる。根本を折るようにして開くと、ソケットらしき部分に魔石を配置する。
「おお……」
途端に外側に彫られた魔法陣が淡く発光した。後は引き金を引けば魔法が発動するはずだ。
これで少しは自分も戦闘に加勢できる。まさか自分の身体を使って戦う羽目になるとは思っていなかったから、剣なり槍を手に持って斬り合うには恐怖があるが、これさえあればルナジリオを援護するくらいなら出来そうだ。
もしかしたらカッコいいところを見せれるかもしれない、なんて考えながら彼女の方を見ると、
「マスターとしては、こっちの方が好みですか?♡」
そこにはリヒトが先ほど退けた新しいビキニを身につけたルナジリオの姿があった。
コートもジーンズも脱ぎ捨て、ビキニだけの姿になった彼女だが、初期装備と大きく違って乳首もおまんこも隠す布地すら無かった。つまり完全にヒモだけでつくられたビキニで、何もかも丸出しだ。
その姿をどう形容すればよいのか。ビキニのようなヒモが彼女の体に纏わりついているが、本当に比喩ではなくヒモだけなのだ。布地がすっぱり切り取られていて、大事な部分が丸見えだった。
「んふ♡ これならいつでもマスターのおちんちんにご奉仕出来ますね♡♡」
ピンと勃起したルナジリオの乳首が、彼女の興奮度合いを表していた。
彼女は嬉しそうに自身の股の間に手を伸ばすと、陰唇を指でなぞる。
「……っ」
リヒトは思わず股間を膨らませた。
豊満すぎる肉体に食い込むようにして、スケベすぎるビキニがより彼女のいやらしさを強調している。
蛍光灯に集る虫のように、リヒトは自然と吸い寄せられると、そのままおまんこに手を伸ばす。
「ん♡ マスタぁ──♡」
さわりと、生え揃った金の陰毛を撫で付ける。
ルナジリオは目を細めて甘い吐息を吐き出すと、リヒトのその手を優しく捕まえて、股の間まで引っ張った。
湿り気のあるエロまんこが、リヒトの指を歓迎するように愛液を溢す。
「いつでもおまんこクチュクチュ出来ますし、いつでもおちんちんズボズボ出来ますよ♡ これからはこれを着ましょうか?♡♡」
リヒトはボーッとした面持ちで暫くちんぽを勃起させていたが、やがて首を横に振った。
「……やっぱりルナジリオにはいつもの装備がカッコよくてエッチで似合うから」
「ふふ、そうですか♡ 分かりました♡♡」
「……でも、たまには、その……」
リヒトがモニョモニョしながら最後に言葉を付け足すと、ルナジリオはだらしない笑みを浮かべた。
「んふふ、可愛いですねマスター♡♡ 分かりました♡♡ なら今夜はこの防具で愛し合いましょうね……♡♡♡」
リヒトは小さく頷いた。
しかし我慢できなくなって、その魅力的な乳首に吸い付いてしまった。
「あん♡」と嬉しそうなルナジリオの声を聞いて、「もうここでいっそ最後まで」と何もかも考えられなくなったリヒトだったが、彼女の「日が暮れてしまいますよ」という冷静な一言で我に帰った。
「ご不便をお掛けして申し訳ありません、マスター。宿屋についた際には、たっぷりと搾り取って差し上げます──♡♡」
乳輪の周りについたリヒトの唾液を指で拭うと、ルナジリオはそれを美味しそうに舐め取りながら微笑んだ。
リヒトは心身ともにメロメロになりながら、静かに彼女の言葉に従って村へと向かった。