「……あむっ、れろっ、れろっ……」
少女の姿で兄貴は俺の首筋を甘噛みして舐め始めた。その小さな舌で首筋を舐る。俺は快感が入り混じったこそばゆさに思わず声をあげてしまう。俺が声を上げる度に兄貴の目が鋭くなる。
「男のっ……うむっ……、声なんか………れろっ……、
それなら兄貴が舐めるのを止めれば良いが、兄貴からしてみれば不可抗力的にかつ性的な考えもなく男の身体を舐め回しているのだ。その為、お前が我慢しろよとばかり視線を送ってくる。
――塩分補給が思う様に出来ないこの監獄では仕方の無い事なのかもしれない。
ーーー
ああ、仕方が無いのだ。手荷物検査で脱獄の手助けになるような物を持ち込まないように一度裸に剥かれる。ケツの穴までもかっぽじるように見られる為、禁制品はおろか小石一つすら持ち込めない。そして、受付で荷物も全て預けて面会用の服に着替えた俺は悠々と塀の中に入り、面会室に通された。
しばらく待機していると、ショートボブに髪を乱雑に切りそろえた少女が入室してきた。少女の最たる特徴として頭には山羊角が切断状態であるが生えていた。そして、目付きが鋭く無愛想な印象を受ける。
しかしながら、そんな第一印象と裏腹に俺は目の前の人物が悪い人ではない事を理解している。目の前の少女は俺を見るなりニカッと笑う。
「よく来てくれたな」
その歳の少女にしては、少年のような低い声であった。
この少女は、元は男で仕事などで困った事があるとよく助けてくれる兄貴分的な存在で人情家である。しかしながら、元が凶悪な悪人面の為、人によく誤解される。
実際は疑いが強かっただけの殺人の『被疑者』であり、スケープゴートとして仕立て上げられただけで無実である。また、人権を無視した『改造人間用の弱体化処置』によって女体化してしまった兄貴。今でこそ人権侵害として問題となったそれを政府は隠蔽する為にも公司内部において疑いが晴れた今でも兄貴を塀の中に閉じ込めたままにしている。
それは昔から改造人間に風当たりが強いのも原因の一端なのかもしれない。
「兄貴、言われた通り、その………食べれる物を持ってきた」
「お、悪いな。毎食毎食、豆やらクズ芋やらの薄味のスープばっかりで腹にたまらなくてよ。ここまで、よく持ってこれたな、大変だっただろ」
そうなのだ、この監獄では人体実験をするにあたり他の囚人との差異が出ないようにきっちりと食事の管理がされているのである。動物実験などにおいても、温度や湿度など生育環境によって実験結果に差が出てしまう。人間においてもそれは当てはまり、飲食、就寝時間、運動量etcによって違いが出る為制限していると言われている。
実際の所、囚人の反逆を抑える目的であると俺は考えている。
「いいえ、今回の方法はそれ程でも有りません」
そう言って席を立ちズボンを下ろす。
「……っ、何やってんだ?お前!?」
「……これしか方法が無かったんです」
最初は袋詰めして胃の中に食べ物を隠す方法を考えた。たが、受付でレントゲンが撮られる為それは不可能。胃の中に消化が遅い食べ物を詰め込み鳥が雛に餌をやるように吐き戻し作戦で受付に行ったが、監獄にとっては既存の方法のようで直ぐに看破された。その為、ルーベンスの描いた『ローマの慈愛』の如く母乳が出る女性を連れてきたが当然の如く面会を断られた。最後の最後でこの方法だ。兄貴に俺の子供のタネを捧げるのだ。
「……」
そう腕を広げて語った俺に呆れを含ませた複雑そうな表情で兄貴はこちらを見つめる。
――自分の為に色々と頑張ってくれたけど、どう断ろうと。
形の良い眉を顰めていた。
「これがバレたら俺は次から玉無しで会う羽目になるかもしれないのです」
……そこまで、ここの職員たちは偏った面で全力なのだ。
「お前ってやつは…前々から思ってたけどやっぱりアホゥだな」
兄貴は半目で気狂いを見たような顔で見つめてくる。
「さぁ、兄貴。貴重なタンパク質源です。遠慮なく食べてください」
「……もういい、今日はもう帰って」
「何故です!?兄貴!?……何か問題でも?」
おかしい、一片の隙もない見事な計画だというのに…。
「オレは、男のアレを飲むくらいなら餓死した方がいい」
少女の体付きにしてはしなやかで栄養状態が足りていないように見受けられる。俺はそんな兄貴の過酷な状況を想像して涙ぐむ。そして、そんな兄貴に何もしてやれない自分に不甲斐なさを覚える。
「兄貴がどうしても嫌だとわかりました」
俺は自分の心臓の音がバクバクと鳴り響き、瞳孔が開くのが感じ取れた。――説得の為にはこれしか無いだろう。
「……分かってくれたか」
「それはもう……痛い程に」
俺は、左手の小指を掴むとゆっくりと関節可動域の反対側に動かす。ピキピキと嫌な音がなり、顔を顰める。
「兄貴って生肉いけましたっけ?」
「おい!?ちょっと待て待て!!わかったお前の気持ち心意気は伝わった」
「問題ないです。直ぐに再生するので」
俺は折り曲げようとした指から手を離す。俺も改造手術を受けた1人である。身体にこそ特徴さえないが人よりは頑丈である。
「流石に指折るの怖かったです」
「オレの方が怖かったわ、アホゥ。はぁ…医者にちゃんと見せろよ。お前、ほんとにアホゥだな」
「いやぁ、照れますね」
……無言でグーで頬を殴られた。痛い。
「オレはお前を本当の弟だと思っている。だから、余り無理をするな……それに、人肉は気分的に好かん」
……意外だ。兄貴にも好き嫌いがあるなんて。
兄貴が座ってるオレの前に腰を下ろす。優しい手つきで兄貴が俺の小指を撫でる。現在ジンジンと鈍い痛みと少し引き攣った様子がある。
「今無理に突っぱねて他の無茶をされると困るからな」
そう言って小指から手を離し、俺の足元に膝をついた兄貴はパンツに手をかけ、一気に下ろす。その瞬間跳ねるように肉棒が反り上がり、むわっと汗で蒸れた臭いが立ち込める。体は少女だが兄貴も心は男だ。人の肉棒など間近で見たくは無いのだろう顔を背けてしまった。
スンスンと、兄貴が鼻を鳴らし苦手な物を食べる子供のように俺の肉棒をじっと睨みつける。
「うへぇ……変な匂い、いくらなんでもコレは……ムゥ」
深く溜め息を吐き、意を決したように目を閉じて小さな口を開く。兄貴は俺の射精を受け止める為にピンク色の小さな舌を出す。
俺はそれを見て、肉棒を掴み上下に擦り始める。
「……んっ」
急かすように兄貴が声を出す。
兄貴の唾液に包まれた舌が逃げ出すように震えている。それを見ていると少々背徳感を覚え興奮するが中々肉棒にが硬くならない。おそらく、肉棒の快感より小指の痛みが優先されているのであろう。血液が感覚的に小指に流れているのを感じる。
「
「兄貴。どうやら、指が痛くて上手く勃ちません」
片目を開けて尋ねる兄貴に対し、焦ったように返答する。兄貴はため息は溢し、シッシと虫を払うように手を振る。
「じゃあ今日はもう帰れよ。早よ医者に見せろ」
「……嗚呼、ここまで来たのに兄貴ぃ……やはり指を捧げるしかーー」
俺は声を震わせながら言う。兄貴がそんな俺をみて舌打ちをする。
「……ッ。お前、自傷で人を脅すのもいい加減にしろよ」
柔らかくほっそりとした少女の指が肉棒に絡みつくその感触に絵も言われぬ感触に襲われる。そのまま、上下に擦り上げ肉棒が充血するのが感じられる。
「あぁ……ん」
「……オレ、男の喘ぎ声なんて聞きたくなかった」
俺は気持ちよさに思わず声が漏れる。その様子を見て兄貴は引き攣った表情を浮かべる。兄貴は嫌そうにしながら唇を亀頭に触れるか触れないかぐらいまで近づけ、覚悟を決める様に深く息を吐く。その息は湿った亀頭にかかる。肉棒が反応しピクピクと動き、睾丸が膨れ上がる。
「舐めたら…」
兄貴が途中まで言い掛け艶やかな唇を引き締めて押し黙る。
「はい」
後の言葉を引き出す様に小さく返事をする。
「……出そうか?」
兄貴が瞳に涙を溜めながら上目遣いで尋ねる。
「はい」
「二度としないからな」
覚悟を決める為、兄貴は深呼吸をする。
「うわ……グロっ」
小さな舌を出し、鈴口に溜まった我慢汁を舐め取る。兄貴の肌にブワッと鳥肌が立つがそのまま、舌先でぐりぐりと弄り回す。兄貴は味を確かめる様に目を細める。出してた舌を収めて言う。
「しょっぱい」
「すみません。次からはもっとしっかり洗ってきます」
「……」
複雑そうな顔をして兄貴は顎を引く。今度は小さな口を大きく開け、亀頭を咥え込む。
「はむっ……ん」
いきなり感触に驚き、膝を落としそうになる。
兄貴は口の中で執拗に尿道を舐めて続けている。
「
モゴモゴと口の中で納得した様に何かを喋る。その刺激で腰が動きそうになるのをグッと抑えて我慢をする。
…理性を保たないと兄貴の口を道具の様に扱ってしまいそうだ。
「んむぅぅ……
「はぅっ、なんですか?兄貴」
……駄目だ、気持ちよさに頭が支配されているのも相まって兄貴が何を言っているのか全くわからない。
――ぢゅぶ……
兄貴は唾液でベトベトになった口を手で拭きながら真顔で毒を吐いた。
「クソ不味い……」
しかし、その言葉とは裏腹に兄貴は積極的にペニスに舌を絡み付かせる。
――さながら、岸壁を舐めミネラル不足を解消する山羊のよう。
兄貴は、山羊をモチーフにした改造人間のためか、塩味を求める舌は少しざらついている。なので、敏感な部分をそれも同じ所を擦られると肌が削られ痛みを感じてくる。
「……レロ……ァ……チロ……はぁぁ……まっ、ずぅぅ」
「兄貴、これでおしまいにしましょう」
兄貴は顔を離した。ペニスを舐めている間、息を止めていたのかフゥー、フゥーと兄貴の荒い息遣いが聞こえる。酸欠のせいなのか、それとも、興奮しているのか兄貴は頬を朱く染めている。
兄貴は未だにしっかりとペニスを握りしめたまま小首を傾げて問うてくる。
「なぜ?お前が言い始めた事だろ?」
れろり、と裏筋を丹念に舐めあげる。
「兄貴、あのッ、いったンッ、ストップしましょうよ」
「
兄貴は再度、亀頭を咥え込み、吸い上げる。
「ちょ、兄貴ッ兄貴ッ――」
睾丸が伸縮する感覚を覚えた直後、咄嗟に兄貴の後頭部に手を添え引き寄せる。
いきなりの行動に兄貴は目を回しながら唇を離そうとするが、俺は射精感を覚えた為、反射的に頭を抱え込み口内にぶちまける。
「!?……ンーッ!ンーッ!」
「すみませんっ!」
……ドピュッ……ビゥュルルル…………
ひと段落ついた為、兄貴の頭から手を離す。一瞬、鮮やかなピンク色の舌の上に白いものが見えた。兄貴はヨロヨロとふらつきながらも後退りし、俺から距離を取る。
舌と肉棒の間で白く白濁した粘性のある体液の橋が糸を引き、兄貴が身を引く事で中間で集まり雫となって落ちていく。そしてポタッ、と水音を鳴らして地面にシミを作る。
奇妙な間が開き、沈黙が2人を支配する。俺は不意に訪れた緊張感で喉が渇き、ごくりと唾を飲み込む。兄貴はと言うと、俺の出した精液で頬を膨らませでおり、不味い所為で渋面を浮かべている。自分の醜態に羞恥心を覚えたのか顔を真っ赤にして俯いている。
……こんな時、何を言えばいいのだろう。それに、なんであんなにも夢中になって俺のちんこを咥え続けたんだろう。
「……あの、ちんこ…………美味しかったんですか?」
「……」
取り敢えず、疑問に思った事を聞いてみた。俺は、言葉を発した後にこの発言は最悪だと後悔をした。だが、兄貴が迷ったようにこちらを見たが数秒間を開けて弱々しく首を横に振る。
「……えっと、じゃあ、不味かったんですか?」
兄貴が不満げな表情を浮かべながら、ウンウンと大袈裟に首を縦に振る。
「兄貴……それなら」
兄貴は俺の言葉を中断する様に手の平を向けた。そして、口に含んだ物を飲みこみ始めた。
「……んゔ……んゔ……んゔ…………ぉえ。最ッ悪……不味ぅ……クソが!!」
精液を飲み切った兄貴がこちらを蔑んだ表情で言った。
……いや、兄貴。途中からノリノリだったじゃ無いですか………。
「……シネ、性犯罪者が、あーほーぅ」
「……何もそこまで言わなくても……兄貴ぃ……」
頑張って兄貴に栄養補給してもらう方法を考えたのに罵倒されて、涙がちょちょぎれそうになる。その為、また改めて方法を帰って検討しようと下ろしていたズボンとパンツを引き上げる。そして、兄貴に立ちあがろうとした所で肩を思いっきり強い力で掴まれて上から押さえ付けられる。その為、俺は上げかけた腰を椅子に下ろす。
「お前の首元とか、凄い汗かいてるぞ。……まぁ、男のイツモツを舐めるよりマシだな」
爛々と目を光らせ、舌なめずりをした兄貴のその姿は有無を言わせぬ迫力があった。
……しかしながら、薄味であまり満足感は無かったそうだ。
ーーー
兄貴は親指に付いた水滴をペロリと舐めながら言う。
「根元の方、まだ舐めてないから、まだ塩味が残ってるな」
「……………気に入ったんですね兄貴」
「…………………………………………………全然、全く」
プイッと兄貴は顔を背けてしまう。
「俺、次回はちゃんと汗を流してから来ますね」
「いい、必要ない」
……必要ないらしい。
ーーー