※この作品はR-18です。

近視の姉25歳、年下社長との肉奴隷契約   作:a-su

5 / 10
今回は濡れ場無しです。明日の更新をお楽しみに。


閑話-姉と社長

 昼前だろうか、ぼんやりと目が覚めた。夢うつつの中、昨夜の記憶が断片的によみがえる。社長との行為、その快楽。

 

「うぅん……」

 

 まぶたがすごく重い。なんだか心地いい痛みみたいなものが、まだ体に残っている。

 目を開けずに手を伸ばすと、シーツがぐっしょり濡れてる。それに……ゴムの感触。避妊具が散らばってるみたい。昨夜、何回くらいしたんだろう。

 

 ふと、風を感じる。窓が開いてるのかな。心地よい風が部屋中を流れてる。昨夜の匂いは、もう残ってない。

 

 社長に気に入られただろうか……。そう考えてる自分にちょっとゾッとする。

 でも、必要なことだ。あの人はご主人様で、私はおもちゃ。せめて……社長が飽きるまでは、この関係を保たなきゃ───グゥ〜。

 

 ……前言撤回。私はおもちゃではなく人間なんだから、お腹はすくし、眠くもなる。

 社長……まだ寝てるのかな。今のうちにお風呂にでも入ってこようかな……。

 

「ん……」

「動くな」

 

 ハッとして目を開ける。

 

「あ……」

 

 社長がいた。きっちりとした服装で、椅子に座ってこっちを見てる。

 ……あれ? 手元に大きなスケッチブック。高価そうな鉛筆を持って、何かを描いてる。

 

「すみません、起きました」

 

 社長がスケッチブックをめくる。

 

「どうだ、良い夢見れたか?」

「……はい、とても素敵な夢を……」

「だろうな。いい顔をしてた」

 

 目が合うと、社長がうっすら笑う。でも、すぐに真剣な顔つきに戻って、スケッチを再開する。

 私を……描いてるのかな。

 

「社長、もしかして今……」

「見りゃあわかるだろ」

 

 いつもあるトゲみたいなものが、今日はない。

 

「はい……あの……」

「動くな」

 

 また怒られた。でも、不思議と不快感はない。むしろ……嬉しいかも。

 

「昨日な。お前はもう逆らったり逃げたりしないだろうって、感じたんだ。だから描いた。それで今、お前が……どう感じてたかってのが、ぼんやり浮かんできてな。それを絵にした」

 

 社長がスケッチブックをめくり、見せてくれる。

 私が絵になってる。木炭で描かれた私の寝顔が、そこに。

 

「どうだ、上手いだろ」

「……はい」

 

 社長の絵はとても繊細で……『私』が今にも動き出しそうだ。線一本一本の強弱が、その息遣いを感じさせてくれる。

 

「お前はホント、絵に描いたような美人だよ」

「ありが……」

「昔はな、画家になりたかったんだ」

 

 突然の告白に、私は言葉が出なかった。

 

「でも、会社を継げって。夢、諦めさせられたんだよ───死んじまった姉さんの代わりに」

 

 社長の声に、悔しさが滲んでた。手元の鉛筆を強く握りしめる社長の指が、白くなっている。

 お姉さんがいたなんて、知らなかった。社長から家族の話を聞いたことがないし、そのお姉さんの話も聞いてない。

 

「そうだったんですね……」

 

 思わず、優しい声で返してしまう。なんだか、社長が弟とダブって見えたのだ。

 布団の中で少し体を起こそうとすると、社長が手で制してきた。

 

「起きるな、寝てろ」

 

 そう言ってから、少し自嘲気味に笑う。

 

「疲れてるだろ、オレに嬲られて」

「いえ……そんな……」

「いい、寝てろ」

 

 社長はまた絵を描き始めた。私は言われるまま、布団に潜って横になった。

 

「あの……私、どうでしたか?」

「何がだ」

「その……昨日の私は……」

「あぁ、最高だったよ」

 

 鉛筆が紙の上を滑る音だけが聞こえる。

 最高……最高か。私も、最高のセックスができたと思う。きっかけが最悪だったことと未来が暗いことを除けば、最高の時間だった。

 

「オレのこと、憎いだろ」

「……そんな」

「ウソつくな。オレは人でなしだ」

「そんなこと……ありません」

「オレは人間じゃない。父さんの絵なんだ」

 

 思わず布団をぎゅっと掴んでしまう。なに。なんのつもりなの。

 

「海外に留学させられてた時……こっそり絵の勉強をしたんだ。ルーブルとか行ってな。昼間は経営の勉強して、夜は寝る間も惜しんで描いてた」

 

 そっか。社長は……23歳で私より二つ年下の高島リョウは、私に甘えようとしているんだ。

 

「でも、帰国したら全部取り上げられた。それからだ。オレは絵になったんだ。父さんや会社の連中が好き放題デザインを変えられる絵にな」

 

 社長のスケッチブックに……私が描かれていく。

 

「それからは大変だったよ。気ぃ狂いそうだった」

 

 鉛筆の芯が折れて、床で跳ねる。私はそれを拾おうとして、布団から出る。

 

「社長……」

 

 社長の目に、深い悲しみが浮かんでる。

 胸が締め付けられるような感覚……思わず手を伸ばしかけて、途中で止めた。

 

「でも、だからって女の子を脅して憂さ晴らしなんて、最低だよ?」

 

 ハッとする。私、社長を叱っちゃった……? 慌てて口を手で覆う。

 一瞬の沈黙。社長の表情が、ゆっくりと変わっていく。

 

「……お前も俺をデザインしたいのか」

 

 社長の声が静かな怒りに満ちてて、私は思わず身を縮める。失敗した。なんだか、彼が実の弟みたいな気分になっちゃって、それで……。

 社長の目がギラギラしてる。私、どうなっちゃうんだろう。

 

「あ、あの……」

「……描く側と描かれる側の立場ってもんを教えてやる」

 

 その言葉に背筋が凍る。

 

「契約の内容をもう一度言ってみろ」

 

 震える声で、私は契約の内容を復唱する。

 

「一つ、社長の性的要求に無条件で応じます。二つ、体のどの部分も社長の自由にお任せします……」

 

 社長が立ち上がって近づいてくる。

 怖い……。でも、不思議なことに、彼への嫌悪感や憎しみは消えてる。むしろ……。

 

「三つ、社長……リョウ君以外の男性と親しい接触をしません……」

 

 思わず社長の名前を呼んでしまった。唇を噛んで、なんとか口を閉じる。

 社長の目が大きく見開かれた。

 

「な……何だって?」

 

 驚きと戸惑い、そして何か別の感情が社長の顔に浮かぶ。

 

「あ、あの……」

 

 言葉に詰まる。でも、もう後戻りはできない。

 

「リョウ君……私、あなたの絵になってあげる」

 

 自分の口から出た言葉に、驚く。でも、嘘じゃない。本当にそう思ってる。

 社長……いや、リョウ君の表情が、複雑に変わっていく。

 

「……そうかよ」

「そうだよ、リョウ君」

「ぜんぶ描き換えられても文句言うなよ」

 

 私の手が、リョウ君の手に触れる。ビクッとして引っ込めようとするけど、リョウ君が強く握ってくる。

 

「言え。私をデザインして、ってな」

 

 私は……リョウ君と目を合わせる。

 いったい、私はどんな「絵」にされてしまうんだろう。

 

「私を、デザインして」

 

 リョウ君の目がギラリと光る。

 私にとって、全てを塗り替える新しい朝が来たのだ。

 

(続く)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。