ヒートに苦しむ虹夏ちゃんと、αとしての自分の苦しむぼっちのお話

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運命よりも運命の貴女

虹夏side

 

「ふぁ……。おはよう虹夏」

「おはようお姉ちゃん。朝ご飯出来てるよ。コーヒーもあるからね」

「んー、サンキュ」

 

 寝ぼけながら起きてきたお姉ちゃんが食卓の席に着く。平日のいつも通りの朝。登校の支度を済ませてから私が朝ご飯を作って、仕事柄夜型のお姉ちゃんが態々朝起きて私の作ったご飯を食べて、食べ終えた食器を片付けてから家を出る。……なのだけど今日は家を出る前にいつもと違う事がある。

 

「……周期的に今日からだよな。ちゃんと抑制剤は飲んだか?」

「今からだよ。いざって時の分もカバンに入れてるから大丈夫」

 

 今日から数日は周期的にあの日。あの日と言っても女の子の日じゃない。そう、Ω特有の生理現象。ヒートが起きる周期だ。

 ヒート。それは大半の人達が持つ一般的な性、β。優れた能力を持ち、尚且つ男女に限らず男性器を持つ一部の人達が持つ性、α。そして男女に限らず妊娠することが出来る一部の人達が持つ性、Ω。ヒートはこのΩが持つ発情期の事でΩ性の私も漏れる事なくこのヒートの周期があって、今日がその日。

 このヒートが本当にめんどくさい事この上ない。発情してしまうだけなら薬を飲むなり家で処理するなりすれば良いからそこまで問題じゃない。問題は発症すると他の性、主にαを興奮状態にしてしまうフェロモンを自分の意思とは無関係に出してしまう。そのせいでΩ性だとバレると変な目で見られたり、酷い時には性被害も出たりするんだとか。だから絶対に他人にΩだとバレたらいけないし、周期に限らず不意になることもあるからこの抑制剤を手放してはいけない。例外的に教えてるのは家族は当然として、学校の先生、後リョウも知っている。

 実際私も以前αの前でヒートを起こしてしまい、何とか事なきを得たけどそれはそれは大変だった。まぁ思い出したくないからこの事は忘れよう。

 

「無理はするなよ。少しでも薬の効きが悪かったらすぐに早退させてもらえ」

「分かってるって。リョウもその辺はサポートしてくれるし」

「そうか。私も何かあったらすぐ迎えに行くからな」

「うん、ありがと。じゃあそろそろ行ってくるね」

「あぁ、行ってらっしゃい。車には気を付けろよ」

「はーい、行ってきまーす」

 

 

 

ぼっちside

 

「今度温泉旅行行きませんか!?」

 

 放課後、いつも通りSTARRYでのバイト終わりに皆で雑談をしていると喜多ちゃんが唐突に温泉旅行を提案してきた。な、何故急に温泉旅行なんだろう……?

 

「今話題の温泉旅館があるんですけどそこがすごくSNS映えするんですよ! 皆で温泉とか行ったことないし折角だから皆で裸のお付き合いしましょうよ!」

「あーそういう事か。んー……」

 

 虹夏ちゃんがチラッとリョウさんの方を見る。どうしたんだろう?

 

「めんどい」

「だって。やめとこうか」

「えー!! 却下早すぎですよー!」

 

 ……何か今の珍しいかも。虹夏ちゃんが決断をリョウさん任せにするってあんまり無いような?

 

「ひとりちゃんはどう? 行きたいわよね!?」

「ヴェッ!?」

 

 喜多ちゃんの矛先が私の方に!

 

「い、いや、私も温泉はあんまり……」

「なんでー!? この温泉効能もすごく良くてお肌もツルスベになるのよ!? ひとりちゃんのお肌全然ケアしてないせいで10代とは思えないくらい荒れてるし絶対に行くべきよ!」

「げふっ」

 

 た、確かにそれはそうだし普段特に気にしてはないんだけど、こうして改めて人に言われるとちょっと効く……。

 

「そ、そのですね、私最近太ってきちゃいまして……」

「そんなこと気にするようなタイプじゃないでしょ! それにそんな変わったようには見えないけど?」

「あ、最近ブラがキツくなってきたんで太ったのかなって……」

 

 なんでこんな太りやすいんだろう。そのせいで中学時代からすぐにブラが合わなくなるからコロコロサイズ変えてて本当にめんどくさい……。

 

「ふふっ、そう。太ったの。じゃあ気にならなくなるまで痩せましょうか。……喜多式地獄のダイエットでね」

 

 ひぃ! 何故か喜多ちゃんから殺気が!? に、虹夏ちゃん助け……、って虹夏ちゃんも冷え切った目で私を見てる! 何故!?

 

「リョウ先輩も行きましょう? 美味しい名物料理とか奢りますから!」

「ほぅ……」

「簡単に揺らぐなこいつ」

 

 反対派のリョウさんが! うぅ、このままだと本当に温泉旅行に行くことになっちゃう……。

 ……もうこうなったら本当の事を言うしかない。

 

「あ、あの……。ちょっといいですか?」

「どうしたのぼっちちゃん?」

「私温泉とか、そういう所には行けない、というか行っても一緒には入れないんです。ちょっと、その、事情があって……」

「どういうこと?」

「あの、し、信じられないかもしれないんてすけど、私、……αなんです」

「……α? αってあの性別のβ、Ω、αのα?」

「は、はい。実はそうなんです」

 

 そう、私が温泉に行きたくない理由。それは私がαということ。一応αの端くれである私にも当然普通の女の子には備わっていないモノが付いていて、大衆浴場自体抵抗感はあるけど一番の理由はそれだった。

 私がαだっていうことはあんまり話したくはなかった。だって……。

 

「ひとりちゃんってやっぱり嘘のセンス無いわよね」

「ぼっちは成績低いから知らないかもしれないけどαは色々とすごく優秀なんだよ」

「リョウは成績の事言えないだろ」

 

 ……やっぱり信じてもらえないよね。普段の私を知っていればとても私がαだなんて思えないのは良く分かる。

 

「あ、あの、信じてもらえないのは当たり前なんですけど、本当に、本当にαなんです……」

「いや、だってひとりちゃんがαだなんて言われても……」

「……ぼっち、本当にαなの?」

「は、はい」

「なら手っ取り早くぼっちのモノを確認すれば真偽が分かる」

「えっと、モノって言うのは……」

「当然、ぼっちんp」

「やめんか!!」

「いや実際これが一番分かり易いし」

「む、無理です! ムムムムムムムムム!!」

 

 い、いくら友達だからってそんな所を見せるのは……! しかも普通の女子には無いものだし下手したらセクハラで訴えられて……!

 

「わたしは犯罪者……! あばばばばば……」

「どうしてそうなるのかしら……」

「ぼっち、私だけに見せてくれれば大丈夫だから」

「な、何も大丈夫じゃないと思いますけど……!?」

「……ちょうどいい機会だしカミングアウトするけど、私もαなんだよ」

「え」

「リョウ先輩そうだったんですか!?」

「うん。言うタイミングが無かったから言った事無かったけど。虹夏は知ってるけどね」

 

 そ、そうだったんだ。確かにリョウさんなら納得かも。人を惹き付けるところなんかαっぽいし。じゃあさっき虹夏ちゃんが決定をリョウさんに委ねたのもリョウさんがαだったからかな?

 

「流石リョウ先輩! 只者じゃないとは思ってたけどやっぱり只者じゃなかったんですね!!」

「ぶい」

 

 ピースサインをするリョウさん。喜多ちゃんもリョウさんならすぐ信じられるよね。……私とは全然違うし。

 

「まぁそういう訳だから私もぼっちと同じのがついてるから気にしなくてもいい」

「で、でも流石に恥ずかしい……」

「良いから良いから」

「ちょ! リョウさん引っ張らないで下さい!」

 

 確かに一番分かりやすい確認方法だろうけどなんでこんなに強引なの!?

 

「ぼっちが本当にαなのか確認しないといけないし。それに、ぷぷっ。ぼっちのがどれくらいのサイズか気になるし」

 

 絶対小さいでしょ、と言って私をトイレへと引っ張っていくリョウさん。た、確かに私みたいな出来損ないのαのなんて小さいだろうけども! 他の人のなんて見た事ないから分からないけど!

 そしてトイレの個室へ私を引っ張り込んで私の私のズボンを引きずり下ろしたリョウさんは――

 

 

 

 

 

 

「何でトイレから出てきたリョウが凹んでるの?」

「さ、さぁ……」

 

 私のを見たリョウさんはフラフラと個室を出ていってSTARRYの隅に震えながら座り込んでしまった。なんか「あんなの勝てる訳ない……」って聞こえるけどどうしたんだろう?

 

「とにかくぼっちちゃんは、その、αって事で良いんだよね?」

「あ、はい」

「そ、そう……」

 

 ……? どうしたんだろう虹夏ちゃん。なんか少し怖がってる……?

 

「ごめんねひとりちゃん疑っちゃって!」

「い、いえ。私自身なんで私がαなんだって感じですし……」

「でもバンドメンバーの半数がαだなんて凄いわ! これなら結束バンドの未来は安泰ですね伊地知先輩!」

「う、うん。そうだね」

 

 キターン! と目を輝かせる喜多ちゃんとは対照的に微妙な反応な虹夏ちゃん。もしかして虹夏ちゃんってα苦手なのかな……? っていう事は存在自体が不快な私は結束バンドをクビ……!?

 

「存在するだけで不快にさせてしまうなんて……。やっぱり私はゴミクズ……」

「落ち着いて落ち着いて! ちょっとビックリしただけだから!」

「で、でも虹夏ちゃんさっきちょっと怖がってましたよね……?」

「う……」

「虹夏にも色々あるってことだよ」

 

 あ、リョウさん。復活したんだ。

 

「自信は打ち砕かれたけどぼっちが人畜無害なのはこれまでの付き合いで分かってるし、ぼっちがαだからって何も問題ないよ。そうでしょ?」

「……そう、だよね。ぼっちちゃんごめんね。変な反応しちゃって」

「い、いえ。私は虹夏ちゃんが大丈夫ならそれで」

 

 良かった。リョウさんがフォローしてくれたお陰で虹夏ちゃんも落ち着いてくれたみたい。でもリョウさんは一体何の自信が打ち砕かれたんだろう?

 

 そして結局温泉の話は流れて、今日は解散になった。

 

 

 

 

虹夏side

 

 ぼっちちゃん達と解散して、今は諸々を済ませてベッドの上で転がっていた。

 今日はビックリしたな、まさかぼっちちゃんがαだったなんて。ぼっちちゃんの普段が普段なだけにずっと当たり前にβだと思ってたからαだなんて思いもよらなかった。でも、そうか。ぼっちちゃんがα……。

 

「はぁ、熱い……」

 

 後はもう寝るだけで抑制剤も飲んでなかったからヒートのせいで下腹部が疼いて身体が熱くなってくる。それにぼっちちゃんの事を考えていると余計に……。

 

「……少しだけ」

 

 スマホを手に取って撮った写真データを漁る。

 

「あった……」

 

 スマホに表示された一枚の画像。それは初めて結束バンドのアー写を撮った時にぼっちちゃんのスカートが捲れてしまった時の写真だった。あの時画像を消したつもりだったけど操作を誤ったのか消えてなかったんだよね。まさかこんな事に使っちゃうなんて思いもしなかったけど……。

 

「ごめんねぼっちちゃん……。ん……」

 

 ここにはいないぼっちちゃんに謝ってからパジャマのズボンとショーツが汚れない様に脱いで、ぼっちちゃんだけが映る様に画像をズームして、指先で秘部をなぞる。

 

「は、んぅ……」

 

 ヒートのせいで敏感になってるから平時でやるよりすごく感じる……。それにぼっちちゃんの画像のお陰で興奮しちゃう……。

 ぼっちちゃん……。普段オドオドしてるのににいざとなるとカッコよくて、頼りになって、私の夢を叶えてくれる私のヒーローで……。

 

「ぼっちちゃん、好き……。指、挿れて……」

 

 妄想の中のぼっちちゃんにおねだりをしながらはしたなく足を開いて自分の指を膣内に入れる。あぁ、気持ちいい……。もっと、ぼっちちゃん……。ぐちゃぐちゃにして……。

 

「あ、あ、あ……! ぼっちちゃん、胸も触ってぇ……」

 

 ぼっちちゃんが私の胸を揉んで、乳首を摘まむ妄想に合わせて自分の手で慰める。本当はそのままむしゃぶりついて欲しいけど自分で舐める事は出来ない。はぁ、もどかしい……。

 

「好き、好き、好き……! ぼっちちゃん好き……!」

 

 だらしなく足を広げて頭の中でぼっちちゃんに激しく責められる。でもギターをやってるぼっちちゃんの指は長くてもっと奥まで入るのかな、指先は硬いのかな……。今度触らせてもらおうかな。指を触るくらい変じゃないよね……。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、あぁ……! ぼっちちゃん……!」

 

 スマホに映るぼっちちゃんを見る。

 この画像のぼっちちゃん。スカートの影で分かりにくいけど、この下着の中にぼっちちゃんのαとしての象徴があるんだよね……。ぼっちちゃんの……。

 指を抜いて仰向けの状態からうつ伏せになってお尻だけ上げる。

 私、なんて格好してるの……。でも、でも……。

 

「挿入て……。ぼっちちゃんの、挿入てぇ……!」

 

 どんな大きさかよく分からないけど、ぼっちちゃんが私の入口に宛がう妄想に合わせて

 

「は、ぅ……、ああ!!」

 

 指を二本膣内に挿入た。

 何これ、すごい……! いつもぼっちちゃんとHする妄想をする時はβだと思ってたから指でしか妄想してなかったけど、ぼっちちゃんので貫かれるのを妄想するといつもより興奮して、気持ちよくて、指を激しく動かしちゃう……!

 

「もっと、もっと突いて! は、は、あぁん!!」

 

 ぼっちちゃん、ぼっちちゃん! 好き、好き、好き!! ぼっちちゃんも、私でもっと気持ちよくなって!!

 

「ぼっちちゃんは私の膣内、気持ちいい……?」

 

 妄想の中のぼっちちゃんに問いかけると、肯定するかのようにより激しく私を激しく突き上げる。実際には私の指だけど、もう私は現実と妄想の区別がつかないほどぼっちちゃんとの妄想のHに没頭していた。

 

「嬉しい……! あ、あ、あ!!」

 

 ぼっちちゃんが私の中で暴れ回ってる……! も、もうイっちゃいそう……!

 

「わ、私もうイっちゃう! ぼっちちゃんも一緒にイって! 出していいから! 私の中にいっぱい出していいから! だから、だから……!! あ、や、イク、イクぅぅぅぅ……!! っっぁあ!!!」

 

 絶頂を迎えて体中が痙攣して、視界がチカチカして、頭が真っ白になる。ぼっちちゃんも私の膣内にドクドクと精を吐き出して私を満たしていく。

 

「ぼっちちゃんの、あったかぁい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やりすぎた……」

 

 正気に戻った私はぐしょぐしょになったベッドシーツを変えながら自己嫌悪タイムに入っていた。

 ぼっちちゃんに消してって頼まれたのに没アー写を消したないどころかこんな事に使って、ぼっちちゃんの努力の証である硬い指先で私の欲を満たして、挙句今日はαだと知ったぼっちちゃんでとことんまでやってしまった。

 

「でも、すごかったな……」

 

 さっきまでぼっちちゃんのモノと見立てて膣に挿入ていた自分の指を咥えてしゃぶる。

 男の人ってこうしてしゃぶってあげると気持ちいんだよね……。こうしてあげたらぼっちちゃんも喜ぶのかな……。

 

「ん、はむっ……じゅる……」

 

 ぼっちちゃんの前に跪いて、ズボンを下ろしてあげて、ぼっちちゃんのを舐めて、咥えて、しゃぶって、それでぼっちちゃんが私の頭を抑えて口の中に全部出して……。って危な! また始めちゃうところだった……! ってか私ドM過ぎない!?

 

「ぷは。でもぼっちちゃんがα、かぁ……」

 

 ぼっちちゃんの事はβだと思ってた時から好きだった。Ωとβじゃ子供も作れないけどそんな事も気にならないくらいぼっちちゃんの事が好きで、ヒート時に自分を慰める時も妄想の相手は必ずぼっちちゃんだった。

 でもぼっちちゃんがαだって分かって、私の身体は明らかに悦んでいた。だってぼっちちゃんがαだという事は子供が作れて、それに番になれるって事だ。

 番。αとΩだけが結べる一生の誓約。αがΩのうなじに噛み付くことでΩはαの番になる。

 

「してほしい、気持ちもあるけど……」

 

 脳裏に浮かぶ親友の前でヒートを起こした時の記憶がそれを拒否する。

 

「βだってαとセックス出来るんだからβで良かったのに。なんでΩなんかになっちゃうかな……」

 

 

 

 

 

 

 

ぼっちSide

 

「お、おはようございます」

 

 私がαという事を打ち明けた翌日、今日は週末なのでスタ連の為にSTARRYに来ていた。私なんかが遅刻したらクビは免れないのでいつも通り1時間早くSTARRYに来ている。

 

「おはよーぼっちちゃん。相変わらず早いね」

「あ、虹夏ちゃん。おはようございます」

 

 虹夏ちゃんもやっぱりもう来てたんだ。家が近いのもあるけど虹夏ちゃんも来るの早いんだよね。よっぽどSTARRYが好きなんだろうな。

 

「暑かったから喉乾いてるでしょ? はいお水どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

 

 虹夏ちゃんが冷えたお水を差し出してくれる。……よかった、いつもの優しい虹夏ちゃんだ。

 

「昨日はごめんね? 戸惑って変な感じになっちゃったけどもう大丈夫だから」

「は、はい。虹夏ちゃんが大丈夫なら良かったです」

 

 虹夏ちゃんが差し出してくれたお水を受け取る。……? 虹夏ちゃん、水を渡す時に私の中指をなぞった? 気のせいかな?

 

「リョウと喜多ちゃんが来るまでまだ時間あるしさ、折角だから二人だけでセッションしない?」

「あ、いいですね。やりましょう」

「決まりだね。じゃあスタジオ行こうか」

 

 そう言って虹夏ちゃんが私の手を握ってスタジオに向かって歩き出す。な、なんか今日の虹夏ちゃんボディタッチ多いな。虹夏ちゃんの事は好きだから嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいかも。

 それとさっきから、なんだろう? いつもいい匂いなんだけど今日の虹夏ちゃんは、甘い? って言えばいいのか上手く表現出来ないんだけど、いつもより匂いが濃い気がする。もちろん嫌じゃないし虹夏ちゃんの匂いは好きだからずっと嗅いでいたくなるんだけど、身体が熱くなってくる様な……。

 ……まぁ今日は暑いしな。虹夏ちゃんもそれで汗をかいてるのかな? 匂い嗅がれるのも嫌だろうし気にしないようにしよう。

 

 そして虹夏ちゃんと二人だけで練習を始める。

 最初は虹夏ちゃんとのセッションが楽しくて気持ち良かったけど、30分くらい経った辺りで私の中の熱がどんどん熱くなってきてるのがハッキリ分かった。

 

「ふぅ……」

「ぼっちちゃん大丈夫? 汗すごいよ?」

「だ、大丈夫……です……」

 

 心配した虹夏ちゃんがタオルを渡してくれる。……虹夏ちゃんもすごい汗かいてる。

 何だろう……、虹夏ちゃんの匂いが更に濃くなってて、頭の中の熱が酷くてボーっとして、私の中のしっかりした部分がドロドロにとけていく……。虹夏ちゃんの白い首筋が美味しそう……。

 ……バカバカ! 変な事考えちゃうのはギターに集中出来てないからだきっと! 虹夏ちゃんと二人きりだからって浮かれてないでちゃんと集中しないと!

 息を深く吸う……、とまた意識が熱くてドロドロした沼に落ちてしまいそうだったので軽く吸って、ギターを弾き始める。……うん、良い調子だ。虹夏ちゃんと二人だけだから音も合わせやすいし、何より余計な事を考えない様にしてるからかいつもより集中、いや集中というより没頭出来てる気がする。

 次のパートはピックじゃなくて指で弾いて、って。

 

「痛っ!」

「ぼっちちゃん!?」

 

 椅子に座っている私に虹夏ちゃんが駆け寄る。

 いたた……。無意識に力が入り過ぎちゃってたのかな。弦で指を切っちゃうなんて久しぶりだ。

 

「ぼっちちゃん大丈夫!? あ、血が……」

「だ、大丈夫ですこれくらい。舐めとけば治りますよ、へへ」

 

 最近はご無沙汰だったけど、最初は弦でよく指を切ってたから慣れっこだしね。

 そして指から滴る血を止めようと口に持っていこうとしたら、虹夏ちゃんが私の手を取って

 

「……舐めたら良いんだね」

 

 と言って、虹夏ちゃんが私の指を咥えた。……虹夏ちゃんが私の指を咥えた!?

 

「に、虹夏ちゃん!? 私の指なんか舐めたら汚い、って、ぅあ……」

 

 何これ。指を舐められてるだけなのに指先から脳まで痺れる様に電流が走って、自分で自分のを慰めるよりずっと気持ちいい……!

 

「じゅぷ……ぐぷっ……、ぷぁ……れる……」

 

 吸い上げる様に指先から根本までしゃぶってると思ったら、今度は小さな舌でチロチロと傷口を舐めて、そして根元から指先まで舐め上げられる。

 一体何がどうなってるの。私ももう、頭の中がグチャグチャで、異常な状況だという事しか分からない。

 

「に、虹夏ちゃん……、あぅ……。もう血は、止まってますから……」

「ぼっちちゃんの指先、やっぱり硬いんだね。この指先がいつも私を気持ちよく……。あむ、ちゅっ……」

 

 だ、駄目だ全然聞いてくれない。明らかに正気じゃない。というか私の指が虹夏ちゃんを……、何だろう。何の話?

 ああ……、虹夏ちゃんの唇も、舌も、柔らかくて、熱くて、指がとろけてしまいそう。もしこのまま、虹夏ちゃんに私のを舐めてもらえたらどれだけ気持ちいいんだろう……。

 

「ちゅぷ……、んむ……。……? あ、ぼっちちゃんの……」

「あ……! 虹夏ちゃんそこは!」

 

 我慢し切れずに興奮して大きくなってしまった、私のαの象徴を虹夏ちゃんがジャージ越しに優しく撫でた。

 

「あはっ、ぼっちちゃんの大きくなってる……。私に興奮してくれたって事だよね。嬉しい、ぼっちちゃん……」

「あ、うぅ……! 虹夏ちゃん、駄目……!」

 

 虹夏ちゃんが愛おしそうに起立した私のを撫でるたびに視界が白くなる。もう、もう本当にヤバい……!

 

「ぼっちちゃん苦しそう……。脱がしてあげるね」

「だ、駄目……。虹夏ちゃん……」

 

 駄目と口だけは抵抗するけど私の身体は快楽に抗えず、ショーツごとジャージを下ろされてかつてない程膨張しきった私の陰部が虹夏ちゃんの眼前に、ブルン、っと脱がされた時に揺れて露にされた。

 

「すごい……、これがぼっちちゃんの……。すごく熱くて、脈打ってる……」

「はぁ、はぁ……! 撫でちゃ駄目、虹夏ちゃぁん……!」

 

 気持ち良すぎる……! 虹夏ちゃんの柔らかくて小さな手が、直に私のを触る度に透明の液体が先端から出てくる。

 

「それに大きくて、硬くて……! んぐっ……じゅる……」

「うあ! はぅぅっ……!! 虹夏ちゃん、舐め……!」

 

 ほ、本当に虹夏ちゃんが私のを咥えちゃった……! すごい、すごい!! 虹夏ちゃんの口が小さいから真ん中までも咥え切れてないけど、イってないのが不思議なくらい気持ちいい!!

 

「じゅぶ……じゅぶ……ぷは、れるっ……」

 

 熱い……! 柔らかい……! 口の中で虹夏ちゃんの柔らかい舌が私のに絡んで、すごく熱くて私のが溶けてしまいそうな程に気持ちいい……。それにあのいつも優しくて可愛い虹夏ちゃんが一生懸命私のをしゃぶってる姿がもう、背徳感が……!

 

「ぼっちちゃん、気持ちいい……?」

「き、気持ちいいです……!」

「えへ、良かった。んむ……ちゅぅっ……」

「ぁあっ!!」

 

 視界がチカチカする……! も、もう出そう……!! こ、このまま……!

 だけど私があまりの気持ち良さに腰を椅子から浮かせると、虹夏ちゃんが口を離した。な、なんで……!?

 

「もう出そう、なんだよね?」

「は、はい……!」

「じゃあ、さ」

 

 虹夏ちゃんが私の手を取って椅子から立ち上がらせる。そして虹夏ちゃんは私に背を向けて、スタジオに設置された机に手をついてスカートを捲って可愛いピンクの下着を露にして、

 

「こっちに、出して……」

 

 下着を脱いでお尻を突き出した。

 こっち、って。え? アソコ、だよね? 今虹夏ちゃんが私に見せてる、虹夏ちゃんの一番大事な場所に、だよね?

 すごく綺麗。ぴっちり閉じてるけどヒクヒク動いてて、もうぐしょぐしょに濡れているのが触らなくても分かる。私のを受け入れる為に、一度も触ってないのに、受精するための準備が出来上がってる。

 ……虹夏ちゃんが望んでる。私が挿入れるのを、私が虹夏ちゃんの膣内に出すことを、虹夏ちゃんが……!!

 

「虹夏ちゃん……!」

「あ、ぼっちちゃん……」

 

 左手で虹夏ちゃんの綺麗なお尻を掴んで、右手で私の先端を虹夏ちゃんの小さな入り口に宛がう。

 ……確信がある。もう奥まで挿入れたら私は止まれない。もう何も出なくなるまで獣の様に虹夏ちゃんを犯し尽くして、虹夏ちゃんは確実に妊娠してしまう。

 

「あ、あぁ! ぼっちちゃん……!」

 

 先端を虹夏ちゃんに挿入れると吸い付いてくる。まだ先っぽだけなのに意識が飛びそうになるほどに気持ちいい。

 ……望んでるのは虹夏ちゃんだ。いいじゃないかそれで。もう訳が分からないけど、悪いのは虹夏ちゃんだ。

 そして推し進めようと両手で虹夏ちゃんの腰を掴む。その瞬間、また確信する。

 このまま続けて虹夏ちゃんが妊娠なんかしたら、今まで結束バンドの4人で積み上げたものが全て崩れることを。

 

「ぼっちちゃん……? はやく、奥まで……」

 

 でもだって、悪いのは虹夏ちゃんで……。

 

『大丈夫だよ。私達がでっかいフェスでライブしてるの見たから』

 

 悪いのは……。

 

『これからギター頑張るから教えてね。後藤さ……、ひとりちゃん』

 

 悪いのは……!

 

『だからこれからもたくさん見せてね。ぼっちちゃんのロック……。ぼっち・ざ・ろっくを!』

 

 快楽に負けて明らかに正気じゃない虹夏ちゃんのせいにしようとしてる……!!

 

「私に決まってるだろうがああああああああああああああああああ!!!」

 

 全力で腰を引いてズボンを上げて、私は虹夏ちゃんが手を付いている机に一切手加減抜きで全力で頭突きをして、意識を消し飛ばした。

 薄れゆく意識の中、虹夏ちゃんが私を呼ぶ声が聞こえる。良かった、これで出来損ないの私が虹夏ちゃんに手を出すなんて大きな間違いが、起きなくて、済む……。

 

 

 

 

 

リョウside

 

 何だこれ。

 STARRYに予定通りにスタ練に来たら、スタジオ内で座り込んで俯く虹夏と、白目を剝いてオデコを赤くしたぼっちが気絶していた。STARRYに入る時に丁度同じ時間についた郁代も呆然としてる。

 

「ちょっと虹夏、何が……」

 

 スタジオに一歩踏み込む、その瞬間私の中のαが警報を鳴らした。間違いない。虹夏が完全にヒート状態になってる。

 何で? 抑制剤を飲んでないのか? そんな訳ない筈。いやでもこれは、このスタジオに充満した匂いは明らかにヒート特有のフェロモンだ。と、とにかく。

 

「郁代。虹夏を自室に連れていって。そんで抑制剤を飲ませて来て」

「よ、抑制剤、ですか? それって……」

「後で訳は話すから。私は今の虹夏に触れないから、お願い。場所は何とか虹夏に聞き出して」

「わ、分かりました!」

 

 郁代が慌てて虹夏の腕を肩に組んで立ち上がらせると、そのままSTARRYを出ていった。

 さて、後はぼっちだけか。部屋に入って、私の力ではぼっちを持ち上げるなんて出来ないからぼっちの手を取って引きずる。その時私の目に入ったのは。

 

「で、でっっっか……」

 

 ジャージを突き破らんと勃起したぼっちんぽだった。

 

 

 

 

 

 

 

「う……ん……。ここは……?」

「ああ、起きたねぼっち」

 

 あれからSTARRYの仮眠室にぼっちを寝かせて1時間後、やっとぼっちが目を覚ました。

 

「わ、たし……? 虹夏、ちゃんは……?」

「虹夏は郁代が部屋に連れて行ったよ。そんでここはSTARRYの仮眠室」

「そう、ですか……」

 

 起き上がるけどすぐに俯くぼっち。

 

「ふぅ……ふぅ……」

 

 ……もうあの部屋を出て時間が経つのにまだ興奮状態になってる。間違いなくラットに入ってるな。

 ラット。ヒートに誘発されてαもΩみたいに発情状態になる現象。もしもヒート状態のΩとラット状態のαがセックスをすると、ピルでも飲まない限り受精率は100%って言われてる。でもすぐラットになる訳じゃなくてヒートのフェロモンに長時間当てられるか、体の相性の良いΩの、所謂『運命の番』のヒートに当てられるとなる。

 ぼっちは前者。あんな密室空間でヒートのフェロモンが充満した部屋にいればこうなるのも当たり前だ。

 

「はぁ……ぅ……」

 

 しかし辛そうだな。そりゃそうか、ラットの興奮状態は並じゃないし。俯いていてもぼっちの目がギラギラ光ってるのが分かる。よく理性を保ってられるな。

 

「……抜いてあげようか?」

「……………………今、そういう冗談やめてください。本気にしちゃいます」

「そう」

 

 ちょっと残念。ぼっちなら本当に相手しても良かったんだけど。α同士でも片方が女ならセックスは出来るし。まぁ私もΩとしか経験無いから挿入られた事は無いんだけど。

 でも沈黙が長かった辺り相当葛藤したな。一瞬私を見たけど明らかにいやらしい視線だったし。

 代わりにぼっちにキンキンに冷やした水と、保冷剤入りの冷やしたタオルを渡した。抜くのがダメならもう物理的に冷やすしかないよね。

 

「ふぅ……、ありがとう、ございます」

「良いよ。今度カレー奢ってくれれば」

「あ、へへ……。分かりました」

 

 ふふっ、ようやく少し笑ってくれたね。ぼっちとセックスっていうのも魅力的だけど、ぼっちとはやっぱりこういう付き合い方が良い。

 

「それで、何があったのか聞きたいんだけど。話せそう?」

「は、はい。お、思えば最初から少しおかしかったんですけど……」

 

 そしてぽつりぽつりと、ちょっと辿々しいけどぼっちが事の経緯を話した。

 

 

 

 

 

 

 

「……という訳なんです」

「なるほどね」

 

 話を聞く限り、虹夏は多分最初から軽いヒート状態だったんだろうな。抑制剤は飲んでたんだろうけど、抑制剤も本人の興奮状態によっては完全にヒートを抑えられる訳では無いしね。多分だけど昨日の夜辺り自分でシたんだろうな。

 それでも何とか抑え込んでたんだろうけど怪我したぼっちのαの血の匂いで完全にヒートを起こした、って所か。

 

「あ、あの。虹夏ちゃんってもしかして……」

「ああ、うん。Ωだよ」

「そ、そうなんですね。じゃああれはやっぱり……」

「……ぼっちってもしかしてヒートになったΩを見たのって初めて?」

「あ、はい。中学の頃とかも周りにΩがいなかったって事は無いと思うんですけど……」

 

 マジか。大抵のαは初めてΩのヒートに当てられると訳が分からないまま興奮状態になるからまともに理性を保つことは難しい。ましてやラット状態にまで陥ったのにそれでも理性を保つなんて聞いたことが無い。私だって中学時代に初めてヒートに遭遇した時は自分の意思に関係なくその場でΩを抱いたのに。

 

「……すごいねぼっち。よく耐えられたね」

「あ、えと。わ、私なんかがΩの人を抱いていい訳がないので……」

「……え?」

 

 どういうこと?

 

「わ、私はαですけど、リョウさんや喜多ちゃんにも最初信じてもらえないくらい出来損ないなんです。勉強も、運動も、コミュ力も無くて。こんな私にもしも間違ってΩの人が番になんかされたら、その人の人生は真っ暗になっちゃいますから……」

「ぼっち……」

「せ、せめて普通にβだったらまだ納得出来たんですけど。まぁβとしても駄目駄目なんですけどね。へへ……」

 

 卑屈に笑うぼっち。

 ……そうか。ぼっちにとってαっていうのは誇るべき事じゃなくて、αなのに何もできない自分を惨めにするレッテルなんだ。確かに私も郁代もぼっちがαだって事を打ち明けた時すぐに信じられなかった。だってそれはぼっちが今言った通り、ぼっちがαだなんてとても思えない程普段がポンコツだったから。

 だからぼっちが温泉を断る時すぐにαだという事を話さなかったんだ。話したくなかったから。それが自分にとって恥ずべき事だったから話したくなかったんだ。

 

「……ごめん」

「い、いえ。昨日も喜多ちゃんに言いましたけど信じられないのも無理ないです。気にしないで下さい。……でも、だから」

 

「ヒートのせいとは言え私みたいな出来損ないが近付いたせいで、間違ってエッチしようとしちゃった虹夏ちゃんには悪い事をしちゃいました」

 

 私はもう、虹夏ちゃんに近づかない方が良いのかもしれません。そう言ってそのままぼっちは黙り込んでしまった。

 そしてこの日はSTARRYでスタ練という訳にもいかず、ぼっちの身体が落ち着いてから解散となった。

 

 

 

 

 

 

「リョウ先輩」

 

 STARRYの入り口の外で待っていると、虹夏を部屋に連れて行った郁代が降りてきた。

 

「郁代。虹夏は?」

「えっと、ヒート自体は落ち着いたみたいなんですけど……」

「けど?」

「その、かなりパニックになってて……。私じゃ手に負えないから店長さんを呼んで落ち着かせてもらったんです」

「そう……」

「暫く大声で泣き叫んで、手あたり次第部屋の物を壊したりして、かなり酷い有様でした……」

「そっか……」

 

 まぁ無理もないか……。……ん? ちょっと待って。今手当たり次第部屋の物を壊したって言った?

 

「ねぇ、虹夏の部屋って私の私物がいっぱいあったと思うんだけど、それは」

「……ご愁傷さまです」

 

 ぐあああああああ!! マジかぁ……! 結構値の張るものもあったのに。何が壊れたのか分からないけど、被害は相当大きいだろうな……。まぁ虹夏の部屋に置きまくってる私が悪いんだけど。

 

「……リョウ先輩は伊地知先輩がΩだって事は知ってたんですね」

「ぼちぼち長い付き合いだしね。だからヒートの周期の間は私も虹夏の部屋には行かないし、学校ではフォローしたりしてるよ」

「そう、なんですね……。私昨日バンド内にαが二人いるって浮かれちゃいましたけど、伊地知先輩からしたらそんな浮かれてる場合じゃなかったんですよね」

「まぁ、ね。Ωのヒートはαにとって抗いがたいもんだから」

 

 だからこそ、虹夏のヒートに耐えられたぼっちの我慢強さには驚いた。……まぁその理由はかなり後ろ向きな物だったけど。

 

「そ、そんなにヒートって強いんですか?」

「うん、私も無理だった」

「へぇ……。え? って事はリョウ先輩と伊地知先輩ってそ、その……」

「え? ……ああ違うよ。郁代は全然知らない相手。中学の時に運悪く放課後か何かで二人きりの時にΩがヒート起こしてね。その場でヤッたの」

「しょ、しょしょしょ、しょうなんでしゅね……」

 

 顔を真っ赤にして呂律が回らない郁代。ぷぷっ、可愛い反応。

 それからもΩってどうも本能的に優秀な遺伝子を持つαが分かるみたいで、色んな相手に誘われたな。Ωって基本的に相手を誘う為なのか見た目が良いしから悪い気もしなかったし、名器が多いから気持ちいいし。番にはしなかったけど。めんどいし。まぁそこまで郁代に話したりはしないけど。

 

「……郁代もシたいなら全然いいよ」

「ひょえ!? わ、わわわ私はそう言うのはもっと順序を踏んでからで……!」

「ふーん。あ、でも郁代ってライブをバックレてから再会した時にメチャクチャにして下さい、って言ってたよね。じゃあ合意ってことじゃない?」

 

 郁代に詰め寄って物陰に押し込んで、太腿からなぞる様に短いスカートに手を滑り込ませて、下着に手を差し込んでお尻を撫でる。うわ、スベッスベ。流石郁代。肌ケアはバッチリだね。

 

「あひゅぅ……!」

 

 郁代が真っ赤になって気絶しそうになったので手を離す。

 

「ふっ、冗談だよ」

 

 今はね。郁代はβだけどそんなの関係無しにいずれは抱きたい。

 

「……虹夏にはさ、振られたんだ」

「え?」

「これ以上郁代だけ仲間外れみたいに内緒作りたくないから話すけどさ。私一度、虹夏のヒートに耐えられなくて襲ったの」

「襲った、って、ええ!?」

 

 あれは結束バンドを組んでから初めての夏休みの頃。あの時私は自由気ままに夏休みを謳歌してたって言ったけど、一度だけ虹夏の家に遊びに行った。

 その時運悪く虹夏がヒートの周期で、私もまだ虹夏の周期を教えて貰ってなくて把握してなかった頃。あの日私は虹夏の家の近くに立ち寄って、お腹が空いてたのもあっていつも通りお昼ご飯をご馳走になろうと思って家に上がり込んだんだ。

 ちょっと虹夏が私から距離をやや取ってたのは少し気になったけど一緒にご飯を食べてたらお互い気にならなくなって、後はいつも通りダラダラと虹夏の部屋で喋ってた。

 だけど少しすると虹夏の様子がおかしくなって、ヒートだと気付いた時にはもう遅くて、虹夏の、運命の番のヒートに当てられた私はラットのスイッチが入ったんだ。

 

 

――高2、夏休み――

 

「ふぅ、ふぅ……! 虹夏、虹夏……!」

「いや、リョウ……! 駄目……!」

 

 ベッドに押し倒されて、私に身体を弄られながら嫌だという虹夏の力は全然抵抗出来ていない。虹夏の服とブラを捲りあげて露わになった虹夏の乳房に吸い付く。

 

「あ、いや……! ふぁ……!」

 

 すごい、甘くさえ感じる。今まで抱いてきたΩとは全然違う。虹夏も私が触れる度、舐める度身体が歓喜に震えてる。

 この身体の相性の良さ。薄々感じてはいたけど、虹夏と私は『運命の番』なんだ。あんなの迷信だと思ってたけど今ここに、目の前に私の運命の番がいる。

 虹夏のスカートを捲ってショーツの中へ手を差し込み、既にグショグショになっている虹夏の膣内へ中指を根本まで挿入れて掻き回すと、

 

「あ!! イ、ク……! ふぁぁ!!」

 

 容易く虹夏が絶頂を迎える。

 私ももう我慢できない。ズボンを脱いではち切れそうになっている自分のを外気に晒す。

 すぐにでも虹夏の膣内を私の精液で満たして妊娠させてしまいたい。それで結束バンドが続けられなくなっても仕方無い。まだ始まったばかりのバンドだ。それよりも虹夏を私の物にする方が大切だ。

 イッてグッタリしている虹夏からショーツを引き抜いて両足を持ち上げて広げて、正常位の体勢で虹夏の入口へと宛てがって、狭い入口を押し広げて先端が挿入る感触。それだけで射精してしまいそうだったけど何とかイクのを堪えて、一気に奥まで挿入れて一つになろうとした。その瞬間。

 

「何でリョウが……、私をそんな目で見るの……?」

 

 大粒の涙をボロボロ零しながら、私を見上げている虹夏がいた。

 身体は相変わらず全然抵抗してないし、膣内は受け入れ万全の状態。このまま虹夏の言葉を無視して挿入れてしまえば虹夏の身体は運命の番とのセックスに悦がることは間違いなかった。

 だけど。

 

「ごめん……」

 

 全身の血が凍ったのかと錯覚するほど血の気が失せた私のαの象徴は、かつて無いほど萎んでいた。

 

 それからは互いに謝りたおして、ヒートの周期には虹夏の家に行かない約束と、周期を教えて貰って学校でのフォローをすると約束した。もう二度と虹夏を傷つけたくなかったから。

 

 

 

 

 

「まぁ、そんな感じだよ」

 

 あの時私も完全にラットに入っていたけど断られるはずが無いと思っていた虹夏に拒まれた事と、虹夏を傷つけたことがショックすぎて奇跡的に止まることが出来たんだ。本来であればあそこで全てが終わっていた。

 

「……あの頃にそんな大変な事が起きてたんですね。ところであの、『運命の番』っていうのは?」

「ああ、何かΩとαには世界に一人だけ遺伝子レベルで身体の相性が良い相手がいて、その事を『運命の番』って言うらしいよ」

「じゃあ伊地知先輩とリョウ先輩が……?」

「うん。会った時から他の人と違うものを感じてたんだけど、あの時それがハッキリ分かったんだ。虹夏も多分分かってると思う」

 

 今思えば中学時代からバンド仲間以上に虹夏と傍に居続けたのも無意識に惹かれ合っていたのかもしれない。

 ……でも本来であればΩがヒート時に運命の番との交わりを拒むなんて出来ない。私も、私が最も嫌う恋愛関係でバンドを壊すなんて最悪な選択を何の躊躇いもなく選ぼうとした辺り理性なんて何一つ働いてなかった。

 だけど虹夏は身体はまったく拒めていなかったけど理性だけは失わなかった。きっとバンドに託す思いがそうさせたのかもしれない。詳しい事は知らないけど、何か大事な夢をバンドに掛けてることは何となく知ってる。

 けどそんな虹夏がぼっちの前ではヒートで狂ってしまった。それはつまり、虹夏はぼっちの事を……。

 

「あの、リョウ先輩。これからどうしましょうか。伊地知先輩のショックの受け方尋常じゃなかったですし……。下手するとこのまま解散何てこと……」

「そうだね、放っておいたらそういうことになるかもしれない。それにぼっちも、もう虹夏には近づかない方が良いのかもって、落ち込んでたから」

「そんな! じゃあ何とか持ち直してもらわないと!」

「うん、だけど下手な慰めは逆効果だと思う」

 

 どこまでナニをしたかまでは詳しくはぼっちも教えてはくれなかったけど、少なくとも本番直前までいってたのは確かみたいだし。本当に良く理性が持ったもんだよ。

 多分今の虹夏は自分のバンドに対する想いがヒートに負けたとか、欲求に抗えずにバンドの絆を壊そうとしたとか、……ぼっちへの気持ちとかが頭の中でグチャグチャになってる筈だ。虹夏は責任感が強いから尚更。

 だから変に慰めの言葉を掛けても今の虹夏にはきっと届かない。今虹夏に必要なのは自分の気持ちと向き合う事だから、自分自身で立ち直らないといけない。でも多分それはここまでの事態になってしまうと難しいだろうな。それに上手く立ち直ったしても今回の事を考えればいずれは……。

 

「……荒療治しかないかな」

「え?」

「明日虹夏の家に行ってくるよ。で、上手く行ったら連絡……、いや。明日郁代の家って誰かいるの?」

「い、いえ。明日は両親は出掛けるって行ってました」

「そう。なら連絡じゃなくて直接郁代の家に行くから。多分昼頃には行けると思う。」

「はぁ……」

「でももし上手くいかずに郁代の家に行けなかったらその時はもう、結束バンドの事は諦めて」

「……え!? どういう事ですか!?」

「言ったでしょ、荒療治しかないって。このまま放置しても虹夏は解散って結論しか出せないと思う。だからもう一か八か、虹夏の意志の強さに賭けるしかないんだよ」

 

 ……それにこれは私自身の気持ちに踏ん切りを付けるまたとない機会だ。これを逃してしまえば、私も胸の奥に気持ちの悪いモヤが残り続けたままになっちゃうからね。もしかしたらもっと悪い結果になるかもだけどもうその時は、結束バンドは運命に負けたってことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

虹夏side

 

「ふぅ……ふぅ……」

 

 ぼっちちゃんを襲った翌日。散々暴れて泣いた私は抑制剤も飲まずに自室に籠っていた。

 抑制剤を飲んでないから身体が奥から熱くて仕方ない。頭がボーっとする。でもそれが今は逆に都合が良かった。だってまともに頭が働いたら昨日のことを思い出してしまうから。理性を保ちたくない。何も考えたくない。

 その分夜はヒートで身体が疼いて仕方なかった。だから余計なことは考えずに、この手に、口に、そして少しだけだったけど私の中に侵入したぼっちちゃんの感触だけを思い出しながら夜中中ずっと自分を慰めていた。より感触が鮮明になった自慰は頭がおかしくなってしまいそうな程に気持ちが良かった。

 だけどきっとヒートも多分今日あたりで落ち着くはずだ。そうなれば私は否応無しに昨日私がしでかした事を考えないといけない。

 嫌だ、嫌だ。考えたくない。なんで私はΩなんかに産まれてしまったんだろう。βだったらこんな事にはならなかったのに。私は、私は……。

 その時、スマホから着信音が流れた。……リョウだ。

 

「……リョウ? どうかしたの?」

『うん、用があるから玄関開けて』

「何言ってるの? ヒートの間は家に来ない約束でしょ」

『それは分かってるけどバンドの事を考えたらそうも言ってられないでしょ』

「そう、だけど……」

『少しの間で良いから。要件が済んだらすぐ帰るよ』

「……分かった」

 

 気だるい身体を動かして玄関に向かう。そういえば抑制剤を飲んでなかった。大丈夫かな? でも今更抑制剤を飲んだ所で効果が出るのに時間かかるし、リョウも少しだけって言ってたから大丈夫かな?

 

「やっほ、虹夏」

「……いらっしゃい」

 

 玄関を開けるとリョウがいつもの調子で家に入ってくる。昨日あんなことがあったのに、本当にブレないなこいつは。

 

「店長は?」

「もうSTARRYに行ってるよ。……今私、抑制剤飲んでないから手短にお願いね」

「……抑制剤飲んでないんだ。じゃあ都合が良いね」

「は? なにが……、ってちょっ! なに!?」

 

 いきなりリョウが私の手を引っ張って私の部屋の方へ歩き出す。なに!? なに!?

 

「ちょっとリョウ、何を……、きゃっ!」

 

 私の部屋に入るとそのままベッドへと押し倒された。え、え? これって……。

 

「リョウ、なに……?」

「馬鹿じゃないの。ヒートなのに簡単にαを家に上げて。しかもよりによって私を」

 

 薄ら笑いを浮かべたリョウが私の寝間着のボタンを開けていく。

 

「や! ちょっとリョウ! 用事があったんじゃなかったの!?」

「うん、だからこれが用事。虹夏とセックスの続きをしに来た」

「はぁ!? 続きって……ひぁっ! や、乳首舐めないで……!」

 

 上着とブラを剥ぎ取られ、リョウが私の乳首に吸い付く。リョウに舌で転がされるたびに全身に電流が走って、胸だけでイってしまいそう……!

 

「あ、ぁあ!!」

「相変わらず全然抵抗出来てないね。気持ちいいんでしょ?」

「リョウお願い……、やめて……」

「……今回は言葉だけで止まる気無いから」

「え? あ、や! そこは!!」

「もうビショビショじゃん。感じやすいね虹夏は」

 

 ショーツに手を差し込んで、そのまま私の膣内に侵入してきたリョウの長い指が私の中で暴れ回る。

 

「は、激しい……! だめ、だめ、だめぇ……!!」

「ほら、イっちゃいなよ」

 

 リョウの指が更に押し込まれる、そして。

 

「あ、や……! イ、ク……!! ふぁあ!!」

 

 私の身体は容易くリョウの指にイカされてしまった。

 

「ふふ、イっちゃったね。じゃあそろそろ……」

 

 リョウがズボンと下着を脱ぎ捨てると、そこには一年前の夏と同じようにリョウのαの象徴が大きく反り立っていた。

 

「あの日の続きをしようか」

「あ、ん……、ふぅ、ふぅ……。なん、で……?」

「ん?」

「何で、どうしてこんな事するの……? あの時リョウ、やめてくれたのに……」

「……ぼっちとシようとしたでしょ」

「え……?」

「私の事は拒んだのにさぁ、ぼっちとはシようとしたんでしょ。何で私は駄目で、ぼっちはOKな訳? 私は、虹夏の運命の番なのに!」

「運命の番って……」

「虹夏も分かってるんでしょ? 私が運命の番だって」

「そんなの、分かんな……」

「嘘つきなよ。虹夏の身体が、細胞が、遺伝子が、私を望んでる。その証拠に今も、あの時も、ほら」

 

 リョウが私のズボンとショーツを脱がせると両足を持ち上げて広げて、私の大事な部分を見えやすくする。今から起こることを考えれば私は、私の身体は抵抗しないといけないのに、何故か私の意思に反して身体は何一つ以前と同じ様に抵抗する事が出来ない。

 

「全然抵抗出来てない、いや、する気も起きてないでしょ。求めてるんだよ、私を」

 

 そして私の膣の入り口にリョウのを宛がって、リョウが私を見下ろす。……ああ、あの目。αがΩを見る目だ。一年前と同じ、まるで獣の、狼の様な目で獲物を見る、αの目だ。

 

「ほら、力抜いて。……挿入れるよ」

「や、駄目、だめだめ……! あっ、ぐ……!!」

 

 リョウの先端が私の入り口を押し広げながら侵入してくる。私の身体は異物感に抵抗するどころか、リョウが入ってきた悦びで震えてしまっている。私の身体、分かってるんだ。これが待ち望んでいた人のモノだって。

 結局私はΩの本能に抗えないの……? リョウは結局、私の事をΩとしか見てないの……?

 

「はは、めっちゃ狭いね。先っぽしか入んないや。暫く突いてたらその内解れるかな?」

「リョウ、本当に駄目……! お願い、お願いだからやめて……!!」

「……言ったでしょ。もう私は、言葉だけで止まる気は無い、って……!」

「うっ、ぐ、んぅ……! ぃゃ……!」

 

 リョウが膣内を掻き分ける様に、入口でピストンしながら少しずつ入ってくる……!

 

「ぁ、ぁ、ぁ……」

「声抑えきれてないじゃん。我慢は良くない、よ!」

「……っ! ああ!!」

 

 小突くようにピストンしていたリョウが私の腰を持ち上げると上から力を入れて押し込んで、私に更に入ってくる。まだそんなには入ってないけど、このままじゃ時間の問題だ。

 

「あ! あ! や、あぁん!!」

「ふっ、ふっ……! 本当に狭いね。しかもかなり吸い付いてきて、開通する前に出ちゃいそう……!」

 

 私の浅いところで奥へ抉じ開けようとズンズンとリョウが上から私に突き入れる度に、喉の奥から出る歓喜の声を抑えられない。リョウが出入りする度になけなしの理性が溶かされていく。

 

「ほら、次は後ろから……!」

「ダメェ! はうぅ……!」

 

 リョウが私の体勢を変えると後ろから再度挿入れて激しく突き上げる。

 

「はぁ、はぁ……! これだけ攻めてまだ半分も挿入らないって、どんだけ狭いのさ……!」

「あぁ!! あ! あん!」

 

 あ、あ、あ。も、駄目……。気持ちいい……。…………奥に、欲、し……。

 

「くっ……! やば……!」

「あ、はぁん!!」

 

 リョウが達しそうになったのか、堪えるような表情で急いで私の膣内から引き抜く。引き抜く時に余程吸い付いてたのか、じゅぽっ、という音が聞こえた。

 私、今何を考えて……! 危なかった……。でも、もう、私の膣内は、リョウを受け入れる準備が整ってしまった。次に挿入られたら、私の身体は喜んでリョウを一番奥に迎え入れちゃう。

 このまま奥まで挿入れられてしまったら私はもうきっと、身体だけじゃなく意思さえも抵抗出来なくなる。そしてリョウは私の膣内で全てを出し切って、私の子宮は全てリョウで満たされて、私は受精するだろう。不思議と確信があった。

 そうなればバンドも、絆も、夢も、……ぼっちちゃんへの想いも全て終わってしまう。それなのに、頭では分かってるのに私の身体は少しも抵抗してくれない。

 

「ふっ、何その物欲しそうな顔。止められて残念だった? そのまま奥まで欲しかったんじゃない?」

「……!」

「図星なんだ」

「ち、ちが……!」

「……もう良いでしょ、素直に私の番になりなよ。そしたらヒートにも悩まされないし、バンドが無くなったって私はずっといるよ」

「あ、う……リョ、ウ……」

「いいじゃん、もう。Ωとαの運命に逆らえない程度の夢と想いなら。そのまま私に身を委ねたら、楽になれるよ」

「……」

「……噛むよ。そうしたら今度こそ、最後まで……」

 

 リョウが私の首に腕を回して持ち上げて、味見でもするかの様に私のうなじをペロ、っと舐める。

 ああ、噛むんだ。私を番にするために。……もう良いのかな? 辛いだけだもんね。きっと今日、事が終われば私は間違いなくリョウの子を妊娠しちゃうけど、良いよね? だってリョウは私の運命の番だもん。仕方無いじゃん。何もおかしくないよね? バンドは続けられなくなっちゃうけど、全部終わっちゃうけど、良いよね? 

 私、悪くないよね? ……ぼっちちゃん。

 

 リョウが私の首筋に歯を立てる。次に来る痛みに備えて目をつむる。

 

 その瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――虹夏ちゃん――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

「ぶっ!!」

 

 私はリョウを押しのけて全力でビンタをした。

 

「はーっ、はーっ……!」

 

 今、ぼっちちゃんの声が……。ってリョウ!

 

「あ、リョウ……!」

 

 ベッドの横には私が思いっきり引っ叩いてリョウが転がっている。

 どうしよう、リョウを拒絶しちゃった。リョウが私から離れちゃう。リョウが、リョウが……!

 

「……あたた。大丈夫、離れたりしないよ」

「あ……」

 

 私が泣き出しそうになったその時、リョウが私を優しく抱きしめてくれた。

 

「リョウ、私。私……!」

「良いんだよ。言ったでしょ、言葉『だけで』止まる気は無いって」

「え、あ……」

「虹夏の気持ちをちゃんと確認したかったんだ。良かった、ちゃんと踏みとどまってくれて」

 

 まさかあんな本気のビンタが来るとは思わなかったけど、と笑うリョウ。どういう、こと?

 

「……虹夏はどうして私を止めたの?」

「どうして、って……」

「教えて。答えられるでしょ?」

 

 私がリョウを止めた理由。それは、それは……。

 

「……ぼっちちゃんが、好きだから」

「うん」

「ぼっちちゃんが、大好き、だから……!」

 

 ぼっちちゃんが好きだから、大好きだから。その想いを口にすると同時に、私の目から自然と涙があふれ出した。

 

「ぼっちちゃんが、好きなの……! でも、私、リョウを……!!」

「うん、大丈夫だから。落ち着いて話して」

「ぐすっ、うぅ……! 私、私ね、絶対に叶えたい夢があるの……。だからあの時、初めてリョウに求められた時拒んだの……」

「うん」

「リョウが、運命の番だっていうのは何となく感じてはいたけどそんな事してる場合じゃないって思って。それに、リョウが私を見る目が、獲物のΩを見てるみたいで、それも嫌で……! でも、でも……。私、ぼっちちゃんの事好きになっちゃって……」

「うん」

「リョウの事を拒んでおいてそんなの駄目に決まってるって思って、でも気持ちを捨てられなくて。それどころがどんどん好きって気持ちが溢れちゃって、どうしようもなくて……!」

「うん……」

「それでも我慢しなきゃって思ってたのに、昨日耐えられなくなっちゃって。私リーダーなのに、私が結束バンド始めたのに、私が結束バンドを壊そうと、リョウと喜多ちゃんを裏切ろうとして! ぼっちちゃんもあんな、ヒートで訳わかんなくさせて! 私は、私は……!」

「うん、分かった。もう大丈夫だから。私達のために辛い思いさせてごめん。私達の為に頑張ってくれて、ありがとう」

「う、ひぐ……! うぅぅぅぅ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから一頻り私はリョウの胸の中で泣いた後、お互いほぼ裸だったから服を着て抑制剤を飲んで薬が効くまで待ってから、改めて私達は話し合いを始めた。

 

「今回は本当にごめん。私のせいで大変なことになっちゃって……」

「ん。まぁぼっちがギリギリで踏みとどまってくれたお陰で最悪の事態にはなってないから大丈夫。あぁ、でも郁代がバンドが解散するんじゃないかって凄く心配してたから郁代にも謝っといてね」

「そうだね。それに喜多ちゃんにも昨日すごく迷惑かけちゃったしね」

 

 昨日ぼっちちゃんとの騒動の後、喜多ちゃんに抑制剤を飲ませて貰ってヒート自体は落ち着いたものの散々暴れちゃったからなぁ。お陰で部屋が荒れに荒れちゃったし。まぁ9割リョウの私物だけど。

 

「さて、残る問題はぼっちの事なんだけど」

「……ぼっちちゃんか」

 

 やっぱり昨日の事気にしてるよね。いきなり指しゃぶられて、あ、あんなとこ舐められて、挙句ヒートのフェロモンで正常な思考出来なくさせられて危うく不本意に私と一線越えるところだったんだもん。

 

「私の事軽蔑しちゃったかな……?」

「いや、むしろ虹夏に申し訳ないって言ってたよ」

「……え?」

 

 どういうこと?

 

「昨日ぼっちと話したんだけど、自分みたいな出来損ないのαのせいで虹夏に嫌な思いをさせてしまったって落ち込んでたよ」

「で、出来損ない!?」

「ぼっちが自分で言ってたんだよ。ぼっちにとって何も取り柄がない自分がαであることは恥ずかしい事みたい」

「そんなこと……ある、かもだけど。でも」

「うん、気にする事じゃない。ぼっちが何であろうとぼっちはぼっちだし」

 

 その通りだ。ぼっちちゃんは確かにギター以外は人並み以下な部分が多いけど、誰よりも努力家だし、すごく優しくてカッコいい部分もある事を私たちは知ってる。そしてそんなぼっちちゃんに、私は惹かれたんだから。

 

「それにあのぼっちのぼっちんぽの大きさは誇るべき」

「おい」

 

 確かに大きかったけどそれは今どうでもいいんだよ!

 

「ただ今回の一件とぼっちのコンプレックスとが合わさって相当落ち込んだみたいで、もう虹夏には会わない方が良いかもって言ってたよ」

「はぁ!?」

 

 なにそれ!? 悪いのはヒートを抑えられなかった私なのになんでそんな発想になるの!?

 

「ぼっちの思考が明後日の方を向いてるのは今に始まった事じゃないでしょ。でも、今回ばかりはこのままには出来ない」

「う、うん。勿論」

「だからさ、虹夏」

 

「ぼっちに告ってきて」

 

 ……ん?

 

「今なんて?」

「ぼっちに告って番になってきて」

 

 何かグレードアップしてる!?

 

「な、何でそんな話になるのさ!」

「何でって、そりゃそうでしょ。虹夏は本来本能的に逆らいようの無い運命の番とのセックスを拒める程タフな精神力なのに、ぼっちに対しては全く耐えられなかったんでしょ? 今回はぼっちが耐えてくれたけど、次もし同じ状況になって耐えられずにヤッちゃったら虹夏は妊娠してバンド活動できなくなるんだよ? そうしたらぼっちを上手く立ち直らせたとしても意味ないじゃん」

「そ、それはそうだけど……」

「それに抑制剤を飲んでたのにヒートを発症したって事はもうぼっち相手だと既に虹夏自身限界ってことなんじゃない? ヒートって周期関係なしに発症したりするし、これから先活動していく上でそれはマズイよ」

「で、でも、私……。リョウは、それで良いの?」

「何が?」

「だ、だってリョウって私の事、その……」

「あんだけ豪快に振られたのに未練ある訳ないでしょ」

「ぐっ」

 

 た、確かにそれはそう。思いっきり張り倒しちゃったもんな。

 

「……今回虹夏の事を襲ったのもぼっちと虹夏の事だけじゃなくて、私自身の事についてもケリを付けたかったんだよね。虹夏とはΩとαじゃなくて、私と虹夏でありたかったから」

「リョウ……」

「大体さぁ。運命の番って言うと聞こえはいいけどさ、要は身体の相性が遺伝子レベルで良いってだけの話でしょ。もう私もそんな事に振り回されたくなかったしさ。ようやく自分の中で色々吹っ切れた気がするよ」

「じゃあ本気で最後までする気は無かった、ってこと?」

「いや? 虹夏が本気で抵抗しなかったら最後までヤッて、虹夏の大事な物全て壊してでも手に入れるつもりだったよ」

「お、おう……」

 

 あ、危なかった……。

 

「とは言えまともに虹夏のフェロモン食らってたら試すことも出来なかったけどね。予め私も抑制剤を飲んでたんだけどそれでも半分以上理性飛ばされたし」

「あ、抑制剤を飲んでたんだ」

「そりゃ薬無しじゃ私も耐えられないからね。まぁ挿入れてからは殆どセーブ出来てなかったけど。……でも、ぼっちに告白した方が良いって言ってるのは何もバンド活動の為だけじゃないんだよ」

「え?」

「さっきも言ったけど本来なら本能的に虹夏は私に逆らえない筈なんだよ。調べたことがあるんだけど運命の番のΩはαに求められると抵抗する意思さえ持てないんだって。なのに虹夏はずっと私を拒む意思だけは持ち続けて、最後にはぼっちへの想いが本能を上回った。それってさ、虹夏は定められた運命を跳ね除けた、って事じゃない?」

「……」

「ぼっちもラット状態になってヒートのフェロモンに抗えない筈なのに、それでも虹夏の為に耐えて見せた。それってめっちゃロックじゃん。虹夏とぼっち、お似合いだと思うよ」

「そう、かな?」

「そうだよ。……それでも運命って言葉を使うならさ。二人は運命の番を超える、運命の二人、って言えるんじゃないかな?」

 

 ……運命の、二人。

 

「Ωとαなんかじゃなくさ、虹夏とぼっち。二人は出会うべくして出会ったって言えるんじゃないかなって思うよ」

「……珍しくロマンチストな事言うじゃん」

「まぁ偶にはね」

 

 プイっと顔を頬を染めて背けるリョウ。ぷっ、今更恥ずかしくなってやんの。

 でも、そうか。運命の二人か。思えばぼっちちゃんとの出会いは数えきれないほどの偶然が絡み合って、そのどれ一つが欠けていては出会えなかったんだもんな。

 私が音楽を始めたのもお姉ちゃんがギターを弾く姿があまりにも眩しかったからなのに、当然の様に私はドラムを始めてた。もし私がお姉ちゃんのギターに憧れてリードギターになってたら、リョウと喜多ちゃんと組むことは出来てもぼっちちゃんと組むことは出来なかった。……そう考えると私はぼっちちゃんと出会う為に、小さい頃から真っ直ぐこの道を歩いてきたんだって、そう思える。

 

「虹夏はさ、これから先もずっとぼっちと一緒に居たいんでしょ?」

「うん」

「じゃあ踏み出さきゃ何も始まらない。でないと私もぶたれた甲斐が無いし。それに、勢いに任せて突っ走るのが虹夏じゃん。そうやってここまで来たんだからさ、いつも通りぶつかってきなよ」

「……へへ、そうだね」

「あ、でも」

「ん?」

「勢いに任せすぎて避妊せずに生セックスとかしないでよ。2人の仲は応援するけどバンド解散は困る」

「そこまで勢い任せにするか!!」

 

 まったくリョウは! まったく本当に、いつもいつも! ……本当に、いつも。

 

「……いつもありがとう、一緒にいてくれて」

「そんなん当たり前。番になんかならなくたって、私たちはずっと一緒なんだから」

「うん。……リョウが親友で良かった」

「気付くの遅すぎ。……でも、まあ、こちらこそ。私も虹夏が親友で良かった」

 

 うん、ありがとうリョウ。大好きだよ。

 

 

 

 

 そしてリョウは、抑制剤の効果が切れたらマズいから、と言って家を出ていった。

 ……はぁ、色々ありすぎて疲れた。でも、リョウの気持ちを無駄にしない為に。そして私自身の為に、ぼっちちゃんと会って私の気持ちを全部伝えよう。ぼっちちゃんの事が、大好きだって。

 

 

 

 

 

 

 

 

郁代side

 

「遅い……」

 

 時刻は15時。私はまだ来ていないリョウ先輩を待ちきれずに、玄関の外で待っていた。

 リョウ先輩、昼頃には来るって言ってたのに、どうして来ないの? 駄目だったのかしら? 駄目って事は、結束バンドも、もう駄目ってことなの?

 嘘ですよね? 嫌よ、嫌……。

 

「ぐす……。早く来て、リョウ先輩……」

「呼んだ?」

「え!?」

 

 待っていた人の声がして顔を上げると、そこにはリョウ先輩がいた。……リョウ先輩汗だくになってる。息も切らしてるし、走ってきてくれたんだ。

 

「はぁ、はぁ……、ふぅ。外で待ってたの?」

「ぐすっ、だってリョウ先輩遅いから、私、私もう駄目なのかなって……!」

「……ごめん」

 

 リョウ先輩が私を抱きしめてくれる。

 

「思ったより時間が掛かっちゃってさ。でも何とか虹夏の方はもう大丈夫だから。ほら、泣き止んで。とりあえず家の中入ろう」

「う、ぐすっ……、は、はい」

 

 良かった、伊地知先輩落ち着いてくれたんだ。リョウ先輩に任せて良かった。

 安堵感からリョウ先輩の背中に手を回して私からもくっつく。……リョウ先輩あったかいな。それに良い匂い……。

 

「……あら?」

 

 というかこの匂いって……。

 

 

 

 

 

 

 それから落ち着いた私はリョウ先輩を私の部屋に招いて、リョウ先輩から経緯を聞いていた。

 

「……って具合で何とか虹夏も落ち着いてくれたよ」

「……伊地知先輩が持ち直してくれたのは分かりました」

 

 でも、でも……!

 

「そこまでする必要があったんですか!? 伊地知先輩が耐えられなかったら全部駄目だったじゃないですか!」

 

 それに話を聞く限りリョウ先輩自身もかなりギリギリだったみたいだし、伊地知先輩を落ち着かせるだけなら他にもっと色々あったんじゃ……!

 

「確かに虹夏を説得するだけなら他にも方法があった。でもただ説得するだけじゃ今回何とかしてもどの道いつか駄目になってたよ」

「え?」

「私と虹夏は運命の番だって言ったよね?」

「は、はい」

「運命の番が傍にいたら、虹夏が他に番を作ったとしても虹夏の身体は本能的に私をずっと求め続ける。そんな状態が続けばいくら意志の強い虹夏でもいつか耐えられなくなる。仮に耐えられたとしても虹夏の心に相反するΩの本能に無理に耐えてたらいつか壊れちゃうから。だから虹夏には心だけじゃなくて身体も運命のαのフェロモンを跳ね除ける様になってもらわないといけなかった。だから昨日荒療治が必要って言ったんだよ」

「……でもだからって、リョウ先輩がぶたれるほど身体を張らなくても……」

「私の為でもあったんだよ。いや、むしろ私の為の方が理由が強かったかも」

「どういうことですか?」

「運命の番を本能的に求めてるのは虹夏同様私もなんだよ。αの私が虹夏を求めたら基本的にΩの虹夏が私に逆らうのは難しいから。……でも虹夏が完全に私を拒絶してくれた事で、私の中のαの運命のΩへの執着が無くなったのを感じるんだ。多分それは凄く大事な物ではあったと思うけど」

「リョウ先輩……」

 

 正直βの私には運命の番との結びつきって言うのがどれくらい強いのか分からないけど、きっと相当強いものだったんだわ。だって今のリョウ先輩すごく、寂しそう……。

 

「あの、リョウ先輩は伊地知先輩の事……」

「……虹夏の事、運命の番として執着してたと思ってたんだけど。でも、それだけじゃなかったみたいだね」

「それって……」

「ぽっかり胸に穴が空いたみたいな喪失感を感じる。……今なら分かる。私甘えてたんだ。運命の番だから私と虹夏はいつか一緒になるんだって。そういうの私嫌いなのに、よりにもよってそんな一番大事なことを運命任せにして。馬鹿だな、本当」

 

 俯くリョウ先輩。前髪に隠れて表情が見えないけれど、すごく辛そうに見えるわ……。

 

「……でも、穴が空いた分風通しが良くなったのか清々しくも感じるんだ。未練なんか残し様がないくらいしっかり振られたからかな? 漸く私を縛り付けていた何かが無くなった気がする。今まで虹夏以外ちゃんと見えてなかったから、これでようやく周りがちゃんと見れると思う」

 

 こんな私を幻滅せずに変わらずに好いてくれてる誰かさんとかね、と言って私を優しい目で見つめるリョウ先輩。え、え?

 

「後はぼっちと虹夏が上手くいくことを祈るだけだけど。……ま、ここは心配する必要はないかな」

「あ、それはそうですね」

 

 伊地知先輩がひとりちゃんの事を好きだったのは驚きだけど、ひとりちゃんは明らかに伊地知先輩の事、……ふふっ。

 

「多少は揉めるだろうけど何とかなるでしょ。ぼっちと虹夏だからね」

「はい!」

 

 バンドの事もあるけれど、それ以上に友達として幸せになってほしい。あの二人ならきっと上手くいくわ。だってひとりちゃんと伊地知先輩、二人ともとっても素敵なんだもの!

 

「じゃあ後は吉報を待つだけですね!」

「そう、だね……」

「……リョウ先輩?」

 

 どうしたのかしら? リョウ先輩の顔が赤い。そういえば汗が来た時から全然引いてないし、それどころか酷くなってるような……。

 

「あの、大丈夫ですか? 具合が悪いんじゃ……」

「……切れた」

「はい?」

「抑制剤の効果が、切れた……」

 

 抑制、剤? そう言えばリョウ先輩って伊地知先輩のフェロモンに耐える為に抑制剤を飲んだって言ってたわよね。それが切れた? それに抑制剤を飲んでも抑えきれない程興奮してたのに、それが切れたってなると……。

 

「ふぅ、ふぅ……。郁代……」

 

 リョウ先輩が私を見る。その目はまるで飢えた狼みたいで、リョウ先輩の目が私の身体を舐める様に見てるのが分かる。

 

「あ、あのあの、落ち着いてください……! 私βですよ!?」

「関係ないよ。郁代可愛いし」

 

 リョウ先輩に初めて可愛いって言われたわ! 嬉しい!! って、そうじゃなくて!

 

「いやでも……!」

「……私は、見た目が完璧だし、αとしてのレベルも高い」

「え?」

 

 どうして急に自慢を?

 

「でも、私を見た目で好きになった人間は私の性格を知ると皆離れていく。虹夏は離れなかったけど、虹夏は私の容姿には無反応だったし最初から私の性格を知ってたから。だからかな、虹夏に依存したのは」

 

 言いながらリョウ先輩が私ににじり寄ってきて、私の膝から指を這わせるように身体を登ってきて私の唇をなぞる。あひぃ……!

 

「……でも郁代は、私の性格を後から知っても離れないでいてくれた。幻滅した部分もあるかもしれないけど、変わらずに私を好きでいてくれた。それがどれだけ、嬉しかったか……」

 

 リョウ先輩の指が唇から離れると、私の顎に添えてリョウ先輩の顔に向くように軽く持ち上げられる。心臓がドキドキし過ぎて爆発しちゃいそう……! 

 

「……今、郁代が欲しくて堪らない。αとしてなんかじゃなく、『私』が郁代を抱きたい」

「あ、う、リョウ、先輩……」

「αとか、Ωとか、βとかどうでもいい。郁代が欲しい。それが私の気持ち」

 

 リョウ先輩の瞳から目が逸らせない。

 

「嫌なら押しのけて。今ならまだ、耐えられるから……」

 

 そして、リョウ先輩が私の方へ顔を寄せる。私は、私は……!

 

「い、嫌です!!」

「あ……」

 

 リョウ先輩の肩を掴んで止めると、リョウ先輩の目がすごく寂しそうな色を見せる。胸が痛い。でも、だって……!

 

「そう、だよね。ヤリたいから言い寄ってる様にしか見えないもんね。ごめん……」

 

 私から手を離して離れようとするリョウ先輩。だけど私は、そのリョウ先輩の肩を更に強く掴んで止めた。

 

「郁代? 痛いんだけど……」

「も、求められるのは嬉しいです! でも今のリョウ先輩にだ、抱かれるのは嫌です!」

「だからそれは」

「だ、だって!」

 

「今のリョウ先輩、すっごく伊地知先輩の匂いがするんですもん!!」

 

「……へ? 虹夏の匂い?」

「そうですよ!」

 

 最初に抱きしめてもらった時からリョウ先輩すごく伊地知先輩の匂いがしてるんだもの!

 リョウ先輩って伊地知先輩に途中までとはいえ、エ、エッチな事してたせいか伊地知先輩の匂いがすごくしてて、伊地知先輩の事は尊敬してるけど他の人の匂いがプンプンしてるリョウ先輩に抱かれるなんて絶対嫌!

 

「せめて伊地知先輩の匂い落として下さい! シャワー使っていいですから! そ、そしたら、その、その……」

「……そしたら、良いの?」

 

 リョウ先輩に続きを言われて顔から火が出そうになるほど熱くなる。

 そして私は小さく、聞こえるか分からないほど小さく

 

「……………ひ、避妊は、して下さい……」

 

 と、返事をした。

 

 正直、正直確かに私とエッチしたいから言っているようにも聞こえてはいるのだけど、今のリョウ先輩すごく苦しそうに見えるし、私を求めてくれたのが嬉しいのも本当。でも何よりも、大好きだった筈の伊地知先輩にぶたれてでもバンドの為に身体を張ってくれたリョウ先輩の為に何かしたかった。そしてそのリョウ先輩が私を求めてるのなら、抱かれてもいい。そう思った。エッチするのは初めてだけど、リョウ先輩なら後悔はしないもの。

 

「すぐ洗ってくる」

「キャッ……!」

 

 立ち上がったリョウ先輩の一部分が目に入って小さく悲鳴を上げてしまった。だってリョウ先輩の、ズボンがその、リョウ先輩ので大きく持ち上げられててビックリしちゃったんだもの。あれ本当に私に挿入るのかしら……? 少し怖いかも……。

 

「大丈夫。私は大きさだけじゃなくテクにも自信があるから」

「き、聞いてません! 早くシャワー浴びて来て下さい!」

「郁代は浴びないの?」

「わ、私はリョウ先輩の後に浴びますよ」

「一緒に入れば? そっちの方が早いでしょ」

「……遠慮しておきます」

「そう、残念」

 

 だって今のリョウ先輩と一緒に入ると下手したらお風呂場でそのまま襲われそうなんだもの。流石にお風呂場で処女を卒業するのは嫌すぎるわ。

 そしてリョウ先輩はそのままお風呂場に向かおうと私の部屋の扉を開ける。けれどリョウ先輩は立ち止まって私の方へ顔だけ向けて、

 

「とびきり優しくする。だから、安心していいから」

 

 そう言って部屋を出ていった。

 ……私が怖がってるの気付いてくれてたんだ。本当、ああいうとこズルいわよねリョウ先輩って。どれだけ自分勝手なところとかカッコ悪い部分を見ても、なんだかんだちゃんと見てくれてるし、優しいのよね。ちっとも嫌いにならない。初めての路上ライブの時もボーカルが良くなったの気付いて褒めてくれたし。

 はあ、まさかこんな形で初めてを迎えるとは思わなかったなぁ。もっと色々デートとかキスとか順序を踏んでロマンチックな雰囲気でっていつか迎えるものだと思ってたのに。

 でもまぁ、良いか。好きになった相手がリョウ先輩なんだもの。あの自分の欲望に忠実なリョウ先輩にそんな事を望んでも無理な話だし、それに段階すっ飛ばしてこそロックってものよね! ……なんて。

 さ、リョウ先輩がシャワー浴びてる間に一番お気に入りの下着を取り出さなくちゃ! ヒートなんかよりも『私』に一番興奮してもらうんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虹夏Side

 

 リョウとのあれこれから数日後、私はぼっちちゃんの家の前まで来ていた。

 ぼっちちゃんはリョウから聞いた通り私を避けているようで、学校には行っているらしいけどあの日からバイトに顔を出さなくなっていた。お陰でぼっちちゃんとはまだ話せていない。

 だからぼっちちゃんには悪いけど強硬策で家まで来てしまったという訳だ。とはいえいきなり来てもぼっちちゃんも家に入れてくれないかもしれないので……。

 

「あ、もしもし。ぼっちちゃんのお母さん。今家の前に到着しました」

『分かったわ。今開けるわね」

 

 ぼっちちゃんのお母さんに事情を説明して協力してもらっていた。まぁ流石に一線を越えそうだったとかは言ってないけどね。でも私がΩだって事は伝えてるからある程度はもしかしたら察してるかもしれないな。

 

「いらっしゃい虹夏ちゃん。ひとりなら自分の部屋にいるから、ゆっくり話し合ってね」

「はい。ぼっちちゃんのお母さん達は……」

「私達はお出掛けしてくるわ。ふたりがいるとお部屋に入っちゃって話し合えないでしょうし」

「すみません、気を遣わせて」

「いいのよ~。……でも、そうね。ねぇ虹夏ちゃん。ひとりがαって事はもう知ってるのよね?」

「は、はい」

 

 それはもう、身をもって知ってします。言えないけど!

 

「私もお父さんもひとりがαという事は気にしてないの。確かに世間的に言われる様な優秀なαではないけれど、あの子があの子らしくいてくれればそれで良いって思ってる。でもあの子にとってはやっぱりそういう訳にはいかないみたいでね、自分がαだって事は絶対誰にも知られたくないからってずっとひた隠しにしていたの。でも、そんなあの子があなた達には打ち明けた。それはきっと、あなた達の事をとても大切だと想ってるからだって思うの」

「……」

「大切な事を決めるのは勿論虹夏ちゃん自身。でも、私の希望を言わせてもらうなら」

 

「ひとりの事、よろしくお願いします」

 

「……はい。私の方こそ、よろしくお願いします」

 

 ぼっちちゃんのお母さんが言っているのが友達としてなのか、……別の意味なのかは分からないけど、どちらの意味でも私の答えはもうとっくに決まってる。友達としても、想い人としても、私はぼっちちゃんが大好きだから。

 

「ありがとう。……じゃあ私達はもうお出掛けしてくるわね。良かったら今度はゆっくり遊びに来てね。ふたりも虹夏ちゃんと遊びたがってたから」

「はい、ありがとうございます」

 

 そしてぼっちちゃんのお母さん達を見送ってからお家に上がる。ぼっちちゃんの部屋に向かって。

 

 

 

 

 

ぼっちside

 

 ギターを鳴らす、掻き鳴らす。考えたくない、何も。何も考えないようにひたすらにギターを弾かなくちゃ。

 あの日、虹夏ちゃんにあんなことをさせてしまったあの日からもう頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃった。少しでも気を抜くと虹夏ちゃんの滑らかな手の感触が、虹夏ちゃんの唇や舌の感触が、そして先端だけだったけど虹夏ちゃんの狭くてトロトロに柔らかくて火傷しそうな程に熱くて吸い付いてくる膣内の感触を鮮明に思い出してしまって、熱くて熱くて眠れなくなる。

 別の事を考えて自分で慰めようとしてもすぐに虹夏ちゃんを思い浮かべてしまって、妄想だとしても虹夏ちゃんを汚したくなくて発散さえ出来ない。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 ずっと弾いてて疲れてしまってギターを弾く手が止まる。

 ……あのまま虹夏ちゃんを抱けばこんなに苦しむ事は無かったのかな。あのまま虹夏ちゃんに誘われるまま虹夏ちゃんに奥まで挿入れて、快楽のままに虹夏ちゃんを貪る様に突き上げて、虹夏ちゃんに私の欲望を全て吐き出してしまえば今頃こんなに苦しんだりは……。

 

「……違う!」

 

 あのままαの欲望のままに突き進んでたら全てが終わってたんだ。結束バンドの絆も、虹夏ちゃんの夢も、全部!

 私一人が消えれば結束バンドは大丈夫なんだ。私みたいな出来損ないの変わりなんていくらでも効く。私なんか、いなくても……。でも、辞めたくないよ……!

 本当に大切な場所なのに、私の人生の全部を捧げてもいいくらいに大切な場所なのに……! 壊したくない。でも辞めたくない! リョウさんと喜多ちゃんと、そして虹夏ちゃんと一生一緒にいたいよぉ……!

 

「虹夏ちゃん……!」

 

「ぼっちちゃん」

 

 ーーーーえ? 今、襖の向こうから虹夏ちゃんの声が……。ここに虹夏ちゃんがいるわけないし、幻聴?

 

「幻聴じゃないからね、ぼっちちゃん」

「ええ!?」

 

 こ、この私の考えを見抜くエスパーっぷり! 本当に虹夏ちゃんが来てる!? お母さんにはバンドのメンバーが来ても入れちゃ駄目って言ったのにどうやって!

 

「お母さんにお願いして入れてもらったの」

 

 そ、そんな。お母さんどうして。……いや、分かってる。お母さんはいつだって怖がりな私の味方だった。そのお母さんが虹夏ちゃんを通したって事は私の為なんだってことなんだろうな。

 

「急に来てごめんね。どうしてもぼっちちゃんとお話がしたくて」

「わ、私は……」

「開けるね」

「あ……! ま、待ってください!」

「……やっぱりあんな事しちゃったし、会うの嫌かな?」

「ち、違います。あ、あれは私のせいだから。だから私が合わせる顔がなくて……」

 

 私なんかが近付いたせいで虹夏ちゃんにあんな事させちゃったのに、会えるわけない……!

 

「それは違うよ。あれはヒートの周期なのにぼっちちゃんと二人きりになった不用心な私が悪かったの」

「で、でも」

「ぼっちちゃんが私と会いたくないなら私も無理強いしない。でもそうじゃないなら開けさせてほしい」

 

「このまま、好きな人と離れちゃうのは嫌だから」

 

「……え?」

 

 いま、なんて。

 

「す、き?」

「うん。……お願い、開けさせて。ちゃんとぼっちちゃんの顔を見て気持ちを伝えたいの」

「……」

「……開けてもいい?」

「………………はい」

 

 私が返事をすると少しだけ間を置いた後、ゆっくりと虹夏ちゃんが襖を開いた。

 

「……えへへ。そんなに日にち経ってないのに、久しぶりに会った気がするね」

「そう、ですね」

 

 虹夏ちゃんが部屋に入って来る。

 あの日ぶりの虹夏ちゃん。私の目は勝手に、私のを咥えた小さな口、虹夏ちゃんのノースリーブのシャツから見えるなだらかな肩、小振りだけどちゃんと服の上からでも分かる膨らみ。白いロングスカートから覗く小さな足を見る。……どこ見てるんだ私は! やっぱり私は最低だ……!

 

「わ、私やっばり……!」

「ぼっちちゃん、大丈夫だよ」

 

 座っていた私の前に座って手を握ってくれる虹夏ちゃん。……駄目だ。こんな時なのに虹夏ちゃんの滑らかな手の感触が、あの日に私の竿を撫でられた快楽を思い出しちゃう。

 

「虹夏ちゃん、離れて。わ、私、私……!」

「ぼっちちゃん」

 

 虹夏ちゃんの優しい声が耳に届く。そして虹夏ちゃんは俯いていた私の頬に手を添えて軽く持ち上げると

 

「にじ、……むぐっ!?」

 

 私の唇に、虹夏ちゃんが唇を重ねた。

 

「ぷはっ。に、虹夏ちゃ……」

「ごめんね。でも、これが私の気持ちだから」

 

 私の頬に添えていた手を離して、両手で私の手を握って虹夏ちゃんが胸に抱きしめる。

 

「もしぼっちちゃんがαの本能のままに私を抱いたとしても、私は後悔しないよ。そうなる覚悟もしてここに来たから」

 

 出来るならαとしてじゃなくぼっちちゃんのまま抱かれたいけどね、と笑う虹夏ちゃん。どうしてそこまで……。

 

「ぼっちちゃんはさ、いつも頼りないけど、カッコ悪いけど、すぐ逃げようとするけど」

「ぐえっ、ぐえっ、ぐえっ」

 

 何で急に刺してくるんですか……!?

 

「でも、いざって時に頼りになって、格好良くて、前に進む。そんなぼっちちゃんが好きなんだ」

「あ、う……」

「ぼっちちゃんは自分の事落ちこぼれとか、出来損ないとか思ってるみたいだけど、そんなの関係ない。ぼっちちゃんはぼっちちゃんなんだから」

 

 に、虹夏ちゃん本当に私のこと……。で、でも。

 

「に、虹夏ちゃんは。虹夏ちゃんはすごく素敵だからきっといつか、素敵な運命の番が現れちゃいます。そ、その時になって捨てられなんかしたら私、耐えられない……」

「……もう振ったよ」

「え?」

「運命の番はもう振ったよ、私」

「ええ!?」

 

 ふ、振った? 運命の番を!? 奇跡みたいな確率でしか出会えない運命の番を振ったの!? よ、よほど駄目な人だったのかな……?

 

「あいつが世間一般的に言う素敵な人かどうかはさて置いて。でもそのまま一緒になってもいい、って思ってたかもね」

 

 一緒になってもいい、という言葉で胸が痛くなる。いや、でも、虹夏ちゃんは振ったんだその人を。

 

「そんな風に思える人をどうして……」

「何回も言ってるでしょ。ぼっちちゃんが好きだからだよ」

「あ……」

「運命の番とか、αとかΩとかどうでもいいの。もしぼっちちゃんがβだったとしても、それでも私はぼっちちゃんを選んだって言い切れる。だってぼっちちゃんは」

 

「私の運命の『人』、だから」

 

「運命の、人……」

 

 まぁそれも受け売りなんだけどね、と虹夏ちゃんが笑う。

 

「……私、運命の番のフェロモンに流されてエッチしそうになったの」

「え」

「押し倒されて、抵抗出来なくて。……正直な事言うと少しだけ挿入れられ……、うぅん。挿入れさせちゃったの。運命のαのフェロモンに逆らえなくて」

「え、あ、やだ……!」

 

 聞きたくない……! 胸が張り裂けそうになる!

 

「大丈夫だから! 半分、いや三分の一も挿入れられてないから!」

「う、うぅ……」

「それで中々身体は抵抗出来なくて、このまま心も委ねれば楽になるって思ったんだ。ヒートも辛いしね。……だけど最後の最後にやっと抵抗出来たの」

「ど、どうしてですか?」

「あはは。なんか項を噛まれそうになった時にぼっちちゃんが頭に浮かんでさ。その時まで全然抵抗出来なかったのに急に体が動いて咄嗟に相手を張り倒してたの」

 

 バチーン! ってね。と笑う虹夏ちゃん。……バ、バイオレンスだ。

 

「分かる? 私はさ、絶対逆らえないって言われる運命の番相手にさえ耐えてみせたの。そんな私が、あの時ぼっちちゃん相手には全く理性が働かなかった」

「そ、それって」

「もう私は狂っちゃうくらいぼっちちゃんの事が大好き、ってことだよ」

「虹夏ちゃん……」

「それで、さ。キスまでしといて今更聞くのかって話なんだけど、ぼっちちゃんの気持ちも聞かせてほしいな」

「あ……」

「ぼっちちゃんは、私の事……」

「あ、す、好きです!」

「え!?」

「え!?」

 

 なんでそんなここまでしといて予想外な反応!? や、やっぱりお遊び……。あばばばば。

 

「あ、ちょ! ごめんごめん! あんまりにもスパッと言われてビックリしただけだから!」

「あばばば……」

「だってこういうのってもうちょい溜めたりとか言い淀んだりとかして返答するものじゃん! まさかそんな食い気味に言われるとは思わなかったんだもん!」

「あ、だ、だって虹夏ちゃんへの気持ちは今更疑いようのない物だったので……。虹夏ちゃんの事、ずっとずっと、好きでしたから……」

「も、もう。……じゃあ両想い、って事で良いんだよね?」

「は、はい」

「私達、こ、恋人になる、って事で良いんだよね?」

「は、はい!」

「え、えへへ……」

「うへへ……」

 

 虹夏ちゃんが顔を真っ赤にして笑う。多分私も負けないくらい赤くなってるんだろうな。

 

「あの、さ。さっきキスしたんだけど、あれはノーカンにしてさ、ちゃんとキスしない? 大事なファーストキスだし……」

「は、はい。私もしたいです!」

「えへへ、ありがと」

 

 虹夏ちゃんと見つめ合う。ゆっくりとお互いに近づいて、私たちは唇を重ね合った。

 

「ん……」

「ちゅ……」

 

 虹夏ちゃんの唇、柔らかいな……。いつまでもキスしてたくなる。虹夏ちゃんが私の手をずっと抱きしめてるから虹夏ちゃんの胸のドキドキが私の手に直に伝わって、緊張してるの私だけじゃないんだって分かってちょっと安心する。

 そして名残惜しさもあるけれど、私たちはゆっくり唇を離した。

 

「し、しちゃったね」

「は、はい」

「あ、はは……。なんか今、凄く幸せかも」

「わ、私もです。……、あの、もう一回……」

「う、うん。しようか。私も、したいし……」

 

 それから私達は啄む様に何度も何度もキスをして、次第に私達は抱きしめあって自然と舌を絡めて深くキスをしていた。

 

「ん……、ちゅ。あむ……」

「ちゅ……じゅる、こく……」

 

 少しだけ背の低い虹夏ちゃんに私の唾液が流れ込んで、虹夏ちゃんが飲み込んでいってる。

 脳が痺れていく。私達今すごいことしてるのに、まるで当たり前の様にキスをして、舌を絡めて。あぁ、このまま虹夏ちゃんを……。

 

「ぷは。あの、虹夏ちゃん……」

「……うん」

「私さっきまで虹夏ちゃんの身体ばっか見て、ただ抱きたいって感じだったんです。でも今すごく幸せで、目の前にいる大切な人を、愛したいって思ってるんです」

「うん」

「Ωを抱きたいんじゃなくて、伊地知虹夏ちゃんと、ひとつになりたい、です」

「うん。いっぱい愛して、ぼっちちゃん。私もぼっちちゃんの全部を受け止めたい」

「虹夏ちゃん……!」

 

 虹夏ちゃんを抱きしめたまま出したままにしていた布団の上に押し倒して、身体を離した。

 

「そ、それで、あの私初めてで……。どうしたらいいか……」

「わ、私も経験がある訳じゃないから。どうするのが正しいのかっていうのはちょっと……。だ、だからさ」

 

「ぼ、ぼっちちゃんがしたいこと、私の身体に全部してくれたら嬉しいなって……」

 

 ……今のはズルいです虹夏ちゃん。理性が吹き飛びそうでした。

 そしてαの本能任せになってしまわないよう理性をなんとか再構築していると、重大なことに気付いてしまった。

 

「あ、あの、虹夏ちゃん。ここまでしといてアレなんですけど」

「ん?」

「わ、私、ゴム持ってないです……」

 

 そう、まさか私なんかが人生においてこんな日が来るなんて予想だにしてなかったのもあって、私は避妊具なんてものを持っていなかった。

 たしかこういうのって外に出せばいい訳じゃないって言うし。ど、どうしようここまで来てこんな、愛想尽かされちゃう……!

 

「……大丈夫。私の方で避妊の準備してるから」

「え」

「バンド駄目にする訳にはいかないからね。言ったでしょ。覚悟して来たって」

 

 さ、流石虹夏ちゃん。経験無いのに避妊の準備バッチリなんて。虹夏ちゃんはやっぱりこういう事も知識が豊富なんだ!

 

「……なんか私の事耳年増みたいに思ってない?」

 

 虹夏ちゃんが舌から猫みたいな目でジッと見つめて私の考えを見透かす。やっぱりエスパー……!

 

「もう、分かったなら早く。私も、もう待ちきれないから……」

 

 顔を真っ赤にしている虹夏ちゃんが、胸の上に不安そうに置いていた手を広げて布団に投げ出した。まるでこれから私がすることを受け入れるかのように。

 ……私も、もう限界だ。虹夏ちゃんが苦しくない様にそっと虹夏ちゃんに身体を重ねて、虹夏ちゃんにキスをした。

 

「んむ。……えへへ、さっき散々したのに最初にしたいことがキスなんだ?」

「へ、へへ。虹夏ちゃんとキスするの大好きになっちゃいました。駄目でしたか?」

「うぅん。嬉しい。……私の身体にも、いっぱいキスしてくれる?」

「はい、私もいっぱいしたいです」

 

 虹夏ちゃんにもう一度キスをすると、そのまま虹夏ちゃんの頬に、耳に、首にキスをしながら下に降りていく。

 

「ん……ふ……」

「虹夏ちゃん、良い匂い……。ちゅっ、れるっ……」

「ひゃっ……!」

 

 虹夏ちゃんの匂いにつられて首を舐めると、可愛らしく悲鳴をあげる。……くすぐったかったかな?

 

「ぼ、ぼっちちゃん。そういえば私、来る途中結構汗かいたから臭いかも……」

「そんな事ないです。すごく良い匂いです。むしろ汗かいた分」

 

 服の上から虹夏ちゃんの胸に鼻を押し当てて

 

「すうぅぅぅぅぅ……」

「あ、や! それは恥ずかしい……!」

「うへへ、匂いが濃くて最高です……」

「……ぼっちちゃんの変態」

 

 言いながらも私の頭を撫でる虹夏ちゃん。本当に全部受け入れてくれるんだ。

 

「あ、あの。服捲ってもいいですか……?」

「うん。……許可取らなくてもいいからね? ぼっちちゃんがしたいこと、してくれたらそれが一番嬉しいから」

「は、はい」

 

 虹夏ちゃんの服に手を掛けてゆっくり捲る。

 虹夏ちゃんの白いお腹とおへそが露わになる。そして更に捲ると可愛いピンクのブラが虹夏ちゃんの胸を包んでいた。

 

「どう、かな? ぼっちちゃん、いつもピンクジャージだから。ピンクの下着だと喜ぶかなって思って着けてきたんだけど……」

「に、似合ってます。可愛いです。……私の事考えて着けて来てくれたんですね。嬉しいです」

 

 虹夏ちゃんの服を脱がせて、虹夏ちゃんの背中に手を回す。虹夏ちゃんも私がすることを察してくれたのか軽く背中を浮かせてくれた。私は虹夏ちゃんのブラのホックを外して、そのままブラを虹夏ちゃんから引き抜いた。

 

「虹夏ちゃん、綺麗……」

 

 さらけ出された虹夏ちゃんの胸はとても綺麗だった。慎ましく膨らんだ乳房に、透き通るような薄ピンク色の乳首。触ることも忘れて見惚れてしまった。

 

「ち、小さいよね。ごめんね」

「そんな事ないです」

 

 虹夏ちゃんの胸に優しく触れると、虹夏ちゃんがピクッっと身体を震わせた。そのまま優しく左の胸を揉みながら、私は片方の胸に乳首の周りをキスしながら舐めていく。

 

「あ、ぼっちちゃん……、なんでそんな周りばっかり……」

 

 虹夏ちゃんがもどかしそうに身体を動かす。なんでと言われても美味しそうだったからとしか言いようがない。

 

「ちゅ、はむ……、虹夏ちゃんの胸、柔らかい……」

 

 虹夏ちゃんの胸を揉んでいた右手で、優しく虹夏ちゃんの乳輪を指先でなぞる。

 

「あ、ああ……。ぼっちちゃん……」

 

 そして早く触ってほしいと言わんばかりに主張し始めた虹夏ちゃんの乳首を、私はしゃぶる様に咥えた。

 

「ああ! ぼっちちゃん、気持ちいい……!」

 

 乳輪をなぞる様に舌で舐めまわし、乳首を唇で吸いながら下から上へ扱く様に何度も往復する。

 

「あ、は……! んん……!」

 

 虹夏ちゃん気持ちよさそうにしてくれてる……。下を触ったら、もっと気持ちよくなってくれるかな?

 名残惜しいけど虹夏ちゃんの胸から口を離して、更に下に向かうように虹夏ちゃんのお腹にキスをしながら下がっていく。

 

「ちゅっ……ちゅっ……」

「ん……あ……」

 

 虹夏ちゃんがくすぐったそうに身を捩る。そしてお腹を通り過ぎてスカートの上から虹夏ちゃんの大切な場所に顔を埋める。

 

「あ、や! ぼっちちゃんそこ……!」

「すぅ……。ここ、虹夏ちゃんの匂いがすごくする……」

「いや、恥ずかしい……!」

 

 すごい、スカートの上からでもこんなに虹夏ちゃんの匂いがする。……スカートの中からならきっともっと……。

 私は一度顔を離すとそのまま虹夏ちゃんの足元まで下がり、虹夏ちゃんの膝を持ち上げて広げて薄暗いスカートの中へと入っていった。……すごい、虹夏ちゃんの匂いが充満して頭がくらくらする。

 

「ぬ、脱がされるより恥ずかしいよ……!」

 

 言いながらも虹夏ちゃんは足を閉じない。そして上のブラと同じ色の可愛いショーツが虹夏ちゃんの大切な部分を守る場所に辿り着くと、私はそこに鼻先を押し当てて、

 

「すうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 

 胸いっぱいに虹夏ちゃんの匂いを吸い込んだ。

 

「あ! そんな、とこ……!!」

「はぁぁぁぁぁぁ……」

「やぁ……! ぼっちちゃんの息、熱い……!」

 

 虹夏ちゃんの匂いを深く吸って、息を吐く。すごい、いくらでも嗅いでいたくなる……。それに虹夏ちゃんが昂ると匂いが更に濃くなって堪らない……!

 

「んぅ……! あ、あのね、ぼっちちゃん。私、下着の替え持ってきてなくて、汚れちゃうと困るの。だ、だから」

 

「脱がせて……?」

 

 虹夏ちゃんの言葉が聞こえると同時に、私はスカートから出て虹夏ちゃんのスカートを脱がせて、次に虹夏ちゃんのショーツに指を掛けて虹夏ちゃんの足から優しくショーツを引き抜く。そして虹夏ちゃんの一番大切な場所が、ついに私の目の前にさらけ出された。

 

「へ、変じゃない……?」

「変な訳、ないです。最高です」

 

 薄く生えた陰毛。綺麗な恥丘。そして虹夏ちゃんの足を広げると、虹夏ちゃんの秘部から愛液があふれ出していた。

 

「これが、虹夏ちゃんの……。ちゅっ、じゅる……」

「ああ!! あ、は……! そんなとこ、汚い……!」

 

 虹夏ちゃんに汚い所なんてある訳ない。虹夏ちゃんの小さく主張するクリトリスを舌先で弄る。

 

「は、あ! そこ、刺激が……!」

 

 虹夏ちゃんの身体が激しく震える。すごく感じてくれてる。

 次は虹夏ちゃんの割れ目に舐め上げて、そのまま膣内へ舌を入れた。

 

「やぁ、ん!! そ、そんな所にベロ入れないで……!!」

「じゅっ、じゅぷ……じゅる……」

 

 すごい、次から次へと虹夏ちゃんの愛液が溢れ出てくる。溺れちゃいそうだ。

 

「あ、ああ! ぼっちちゃん、ぼっちちゃん……!!」

 

 虹夏ちゃんが私を呼ぶ。止めてほしいのかな? でも私がしたいことしていいって言ってくれたし……。

 

「ゆ、び……!」

 

 指?

 

「指、挿入れて……! ぼっちちゃんの指、欲しいの……!」

 

 虹夏ちゃんが私の指を求めてる。応えなきゃ……。

 私は虹夏ちゃんの入り口に指を添えると、逸る気持ちを抑えて虹夏ちゃんが傷つかない様にゆっくり虹夏ちゃんの膣内へ指を沈めていった。

 

「あ!! んぅ!! はい、って!!」

 

 そして私の指が根元まで挿入った瞬間。。

 

「あ……!! や!! んんんんんぅぅぅっっっ!!!」

 

 虹夏ちゃんが嬌声を上げながら大きく痙攣した。

 

「あ、あ、あ、はぁ、んぅ……!」

「だ、大丈夫ですか?」

「らい、じょうぶ……」

 

 身体をビクビク痙攣させながら答える虹夏ちゃん。すごく指を締めて来てて、無理に引き抜かない方が良さそう。……そう言えば虹夏ちゃんってあの時……。

 

「あの、虹夏ちゃん」

「な、なぁに?」

「前に私の指を舐めてた時なんですけど、あの時虹夏ちゃん『この指先がいつも私を気持ちよく……』って言ってましたよね。もしかして虹夏ちゃん、私の指で妄想して自分で……」

 

 そこまで言ったあたりで虹夏ちゃんは火が付きそうな程赤くなった顔を手で隠した。

 ……へぇ、そうなんですね。私は妄想でも虹夏ちゃんを汚さない様に必死に我慢したのに。

 

「……虹夏ちゃんって、すごくエッチなんですね」

「!!」

 

 虹夏ちゃんの耳元で囁くとまた虹夏ちゃんが私の指を締めつける。……うへへ。

 虹夏ちゃんの膣内で指を動かす。

 

「あ!! ぼ、ぼっちちゃん! 私まだイッたばっかで敏感に……!」

「はい、だからです。エッチな虹夏ちゃんにお仕置きです」

「そ、そんな! ああ!!」

 

 虹夏ちゃんの奥の上部分をギターダコで擦りながら指を出し入れする。すごい、濡れすぎてグチュグチュいってる。

 

「こ、これ、ぼっちちゃんの、指……! んぅ!! 指先硬くて、私の指より奥まで、クル……!」

「気持ちいいですか虹夏ちゃん?」

「き、気持ちいい! 気持ちいいの!! あ!! また来ちゃう!! く、来る! 来る! イッちゃうぅぅぅ……!! はぁん!!!」

 

 虹夏ちゃんがイクと同時に指を引き抜くと、また虹夏ちゃんがガクガクと痙攣する。……責めすぎたかな?

 ……でも、すごく虹夏ちゃんエッチだ。私も、これ以上こんな虹夏ちゃんを見てたらそれだけでイッちゃいそう……。そろそろ、私も。

 

「あの、虹夏ちゃん」

「あ、はぁん……! はぁ、はぁ……! な、に……?」

「私、そろそろ。虹夏ちゃんと……」

「はぁ、はぁ……。うん、私も。ぼっちちゃんと一緒になりたい」

 

 そして虹夏ちゃんの呼吸が落ち着くまで少し待つ間、私も服を脱いで裸になった。

 

「に、虹夏ちゃん。あの、準備しますのでゴム貰ってもいいですか?」

「ゴム? 持ってないよ?」

「え!?」

 

 だ、だってさっき虹夏ちゃん避妊の準備してるって……!

 

「避妊は避妊でも、持ってきたのはこれだよ」

「これ?」

 

 虹夏ちゃんが寝そべったままポーチを漁って錠剤? を取り出す。これってもしかして……。

 

「アフターピル、ですか?」

「あ、わかるんだ」

「ま、まぁ」

 

 生えてるけど一応女子なので。

 

「でもアフターピルって副作用がシンドイって聞きますけど……」

「らしいね。……でも大事なぼっちっちゃんとの初めてだから、ぼっちちゃんを直に感じたかったの」

「虹夏ちゃん……」

「こ、こんなエッチな私、嫌かな? はしたないかな?」

「……そんな事ないです。すごく嬉しいです」

 

 虹夏ちゃんにキスをする。

 

「虹夏ちゃんの初めて、大切にします」

「……うん。ありがとう」

 

 そして虹夏ちゃんが私を迎え入れる為に足を広げる。私もそれに応えて虹夏ちゃんの入り口に、怒張しきった私のαの象徴を宛がった。

 

「……挿入れますね。虹夏ちゃん」

「うん……、お願い……」

「大好きです」

「私も、大好き」

 

 そして虹夏ちゃんの入り口を、押し広げながら虹夏ちゃんの膣内に私の先端が挿入っていった。

 

「はぅ、ん……!」

「う、ぐ……!」

 

 まだ先端だけなのに、吸い付いてくる虹夏ちゃんの膣内が気持ち良すぎて出そう……! さ、流石にそれは……!

 呼吸を整えて何とか我慢する。そうだ、あの時はここまではしたんだった。ここから先に進めば今度こそ虹夏ちゃんと一つになれるんだ。

 虹夏ちゃんの狭い膣内をかき分ける様に少しずつ推し進めていく。

 

「あ、あぁ……。ぼっちちゃんが、挿入って……!」

 

 すごい、進んでいく度に私の陰茎にまるで絡みついてくるみたい。気持ち良すぎる……。

 そしてある程度進んだあたりでより狭くなって、ふと思い出す。

 

「はぁ、ん……。に、虹夏ちゃん。さっき運命の番さんとエッチしそうになった時三分の一くらいは挿入ったって言ってましたよね?」

「あ……。うん。ごめんね。私が弱いから……」

「あ、違うんです! 責めてる訳じゃなくて! むしろ凄いと思ってます! 私が言いたいのは、ここら辺から先は虹夏ちゃんも初めてなんですよね?」

「う、うん」

「じゃあここから先は、私しか……」

「……うん。ぼっちちゃんの、ぼっちちゃんの為だけの場所だよ。ぼっちちゃんで、いっぱいにして?」

「虹夏ちゃん……!」

 

 その言葉に更に熱くなった私は、虹夏ちゃんの奥へと入っていく。

 すごい。すごく狭いのに、私が推し進めてるからだけじゃなくて。まるで虹夏ちゃんの膣内が私を飲み込む様に、奥へと導かれてるみたいにズブズブと奥へと入っていく。

 

「んぅ……! 来る、来る……! 奥に、来る……!」

 

 最後の一押し、と腰に力を入れてグッと押し込む。

 そして私の先端に何かが当たる感触がした。虹夏ちゃんの一番奥に、辿り着いた感触だった。

 

「はぁ、はぁ……! 虹夏ちゃん……!」

「あ、ん……! はぅぅ……!」

 

 虹夏ちゃんが小刻みにピクピク痙攣してる。軽くイっちゃってるんだ。

 ああ。今私、虹夏ちゃんと一つになってる。その事実を実感すると私の視界が滲んでいく。

 

「ぼっちちゃん、何も泣かなくても。大げさだよ……」

「に、虹夏ちゃんだって、泣いてるじゃないですか」

「え? ……あはは、本当だ」

 

 二人で涙を流しながら笑いあう。……今、本当に幸せだ。

 

「ぼ、ぼっちちゃん。動いても良いよ? さっきも言ったけどぼっちちゃんの好きなように……」

「い、いえ。暫くこうしてたいです」

 

 虹夏ちゃんの膣内、すごくギュウギュウに締め付けて来てる。気持ちいいからってよりは緊張してる? って感じがするかも。虹夏ちゃんが落ち着くまでこうしてよう。

 

「そっか。……ありがとうぼっちちゃん」

「うへへ……」

「じゃあさ、キスしようよ。強く抱きしめながらキスしてほしいな」

「は、はい。よろこんで」

 

 虹夏ちゃんを抱きしめながら苦しくない様に体を預けて、虹夏ちゃんとキスをする。

 

「ちゅっ……ん、ちゅっ……」

 

 何度も軽く触れ合う様にキスをする。さっきみたいな舌を絡めながらキスをするのも興奮するけど、私はこっちの方が好きかも。

 そして暫くキスをしていると虹夏ちゃんの緊張が解れたのか、痛いくらいに締め付けていた虹夏ちゃんの膣内が落ち着いてきた。

 

「虹夏ちゃん、あの、そろそろ」

「うん、もう大丈夫。……動いて、ぼっちちゃん」

 

 虹夏ちゃんの言葉を皮切りに、少し腰を引いて、虹夏ちゃんの奥を軽く突いた。

 

「はぅん……」

 

 虹夏ちゃんを揺さぶる様に緩くピストンして奥をコツコツと優しく突く。

 すごい。虹夏ちゃんの膣内、締め付けてはくるけどさっきみたいにギュウギュウに締めてくるんじゃなくて、まるで私の気持ちいい所が分かってるみたいに優しく締めてくる。それに虹夏ちゃんの愛液が溢れてて、突くたびにグチュグチュ音を立てながら外に溢れ出してくる。

 

「あ、あ、あ。奥で、ぼっちちゃんが動いて……」

「に、虹夏ちゃん。気持ちいいですか?」

「うん、うん……。気持ちいい、ぼっちちゃん、好き……」

 

 奥を小突くたびに虹夏ちゃんが好き、好きと呟く。私もそれが嬉しくて、段々と腰の動きが早くなる。

 

「ああ……! ぼっちちゃん、ぼっちちゃん……!」

「虹夏ちゃん、虹夏ちゃん……!」

 

 昂った虹夏ちゃんの膣内がうねる様に私の陰茎を締め付けてくる。はぁ……! 気持ちいい……! もう腰が止まらなくなってきた……!!

 

「あ! あ! あぁん!! ぼっちちゃん、イッちゃう! 私、もうイッちゃう!!」

「わ、私も、私ももう……!」

「ぼっちちゃん、一緒に……! 私と一緒にイって! 私の中をぼっちちゃんでいっぱいに……!!」

「に、虹夏ちゃん……!!」

 

 ラストスパートの様に虹夏ちゃんをガクガクと突き上げる。虹夏ちゃんが声にならない嬌声を上げて身体を大きく震わせると同時に、私も虹夏ちゃんの膣内へ、子宮へ、私の熱の全てを解き放った。

 

「はぁ、う……!! まだ、出る……!!」

「で、て、る……!! 私の中で、ぼっちちゃん、のが、いっぱい……! あつい……!!」

 

 虹夏ちゃんの膣内で私の精液がビュルビュルと出続ける。こんなに出た事ない。頭がおかしくなりそうなくらい気持ちいい……!

 そして次第に勢いが弱くなっていき、射精が止まったのを確認して虹夏ちゃんから引き抜くと、栓が抜けたように虹夏ちゃんから私の精液が溢れ出してきた。

 

「え、へへ……。いっぱい、出したね……」

「は、はい。すごかった、です……」

「でも、ぼっちちゃんの……」

 

 虹夏ちゃんの視線が私の下腹部の、いまだに反り立った私の陰茎を見る。あ、あれだけ出したのにまだ虹夏ちゃんとシたりないんだ、私……。

 そんな事を考えながらボーっとしてると、虹夏ちゃんが私に近づいてきた。

 

「ねぇぼっちちゃん。テーブルの上に座ってくれる?」

「え? あ、はい」

 

 虹夏ちゃんに言われた通り、テーブルの上に座る。冷えたテーブルが冷たい。

 

「あの、虹夏ちゃん?」

「あの時は、途中で止めちゃったから……」

 

 そして虹夏ちゃんは私の腰に腕を回すと。

 

「あ、ん……。じゅる、じゅぽ……」

 

 私のを小さい口で咥えた。

 

「に、虹夏ちゃん……!? ぁ……」

「じゅぶ……んぐ……」

 

 虹夏ちゃんが舌を絡めながら私の陰茎を口で扱いていく。虹夏ちゃんの口の中、あったかくて気持ちいい……。

 そう言えばあの時も虹夏ちゃんが私のを咥えて、もう出そうな時に寸止めされたんだったな。

 

「ぷぁ……。れるっ、ちゅっ」

「あ、それも気持ちいい……」

 

 虹夏ちゃんが根元から先端まで舐め上げて、カリの部分を丹念に舐めていく。はぁ、すごい……。

 

「あ、んぐ……、じゅぽ、じゅぶ……」

 

 そして虹夏ちゃんが再度咥えて私のを先端から半分くらいまで口で扱いていく。

 あ、もう出そう……!!

 

「に、虹夏ちゃん……! もう出ますから、口を離して……!」

「…………じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ、じゅるる……!」

 

 私が離すように言うと更にペースを上げる虹夏ちゃん。なんで!?

 

「で、出る……!!」

 

 ビュルル、っと先ほどまでじゃないけど勢いよく虹夏ちゃんの口の中に射精する。

 

「ん、んぐ、ごく……」

 

 に、虹夏ちゃん飲んでる……!? やばい、興奮してもっと出る……!

 

「ごく、ごく、んぐ……! げほ、げほ!!」

 

 私の射精が止まると同時に虹夏ちゃんが咽ながら口を離す。

 

「に、虹夏ちゃん! 大丈夫ですか!?」

「ゴホゴホ……! ちょ、ちょっと喉に絡んで……! でも……」

 

 虹夏ちゃんが、あ、と口を開けて中を見せてくる。

 

「へへ、全部飲んじゃった」

「な、なんでそんな」

「……嬉しくない?」

「う、嬉しいですけど! でも美味しくないでしょうそんなの……」

「あはは、まあね。でも」

 

「ぼっちちゃんの、って思ったら口からでも外に出したくなかったんだよね」

 

 そ、そんな。そんなの、虹夏ちゃん、エッチすぎる……!

 

「あ、ぼっちちゃんの。また……」

 

 少し落ち着いてきていた私のモノは、虹夏ちゃんのエッチな姿に興奮してまた大きくなっていた。……これは流石に虹夏ちゃんが悪い!

 

「あの、さ。ぼっちちゃん」

 

 虹夏ちゃんが私の布団の方に行くと、今度は四つん這いになって私にお尻を向けてきた。

 

「今度は後ろから、挿入れて……」

 

 虹夏ちゃんが私におねだりをしてくる。その姿に、完全に理性を飛ばした私は。

 

「……ふ!」

「あぁ!! そんな、いきなり奥まで……!!」

 

 さっきと違って一気に奥まで虹夏ちゃんを貫いた。

 

「あ!! あ!! はげ、しい!!」

 

 腰を勢いよく打ち付けてるせいか虹夏ちゃんと肌のぶつかる音が、パン、パン、パンと響いて一層興奮していくのを感じる。

 

「き、気持ちいい! ぼっちちゃん気持ちいよぉ!!」

「ふぅ、ふぅ……!!」

「ね、え。ぼっちちゃんは、私の膣内、気持ち、いい……?」

 

 何でそんな分かりきったことを聞くんですか……!? 無我夢中に腰を振ってる私は返答代わりに更にペースをあげる。

 

「あぁん!! う、嬉しい……! あん! あん!!」

 

 はぁ、はぁ。また、出そう。

 私はさらに強く腰を打ち付けて、虹夏ちゃんの奥の奥まで届くように。

 

「あ、あぁ……!! ああああぁぁぁぁぁ……!!」

 

 虹夏ちゃんの奥深くに全てを出し切った。

 

「ま、またいっぱい、出てる……」

 

 そして私は一度引き抜くとノータイムで虹夏ちゃんを仰向けに寝かせて

 

「もう一回……」

「え、あ、ぼっちちゃん。あ、んぅ……。あ、あ、あ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありませんでしたあ!!」

 

 事を終えて、一緒にシャワーを浴びて(ちなみにここでもシた。口に一回と膣内に一回)、自室に戻って私は虹夏ちゃんにジャンピング土下座をしていた。

 

「え、なになに。どうしたのぼっちちゃん」

「わ、私最後らへん虹夏ちゃんに乱暴に挿入れちゃって……。優しくしないといけなかったのに」

「あ、あはは。確かに最後らへんヤバかったねぼっちちゃん」

「うぐぅ!!」

「……でも、気持ち良かったよ。それにぼっちちゃんが私で気持ち良くなってくれてるのが伝わって嬉しかったし。常にあれだとちょっとキツイけどね」

 

 だ、だって虹夏ちゃんがエッチすぎて……! あんなの理性もたないし! あ、思い出したらまたムラムラしてきた……。

 

「ぼっちちゃーん? 変な事考えてるでしょー?」

「へうっ」

 

 虹夏ちゃんが私の頭に軽くチョップをする。

 

「もうシャワーも浴びたし、いつお母さん達が帰ってくるか分からないでしょ? だからもうダーメ」

「は、はい」

「さて……、じゃあピル飲まないとね。絶対妊娠するくらい出てたしねー」

 

 虹夏ちゃんが薬を取り出す。……あれ飲まないと虹夏ちゃん妊娠しちゃうもんね。あれを、飲まないと……。

 

「……ぼっちちゃん?」

「え?」

「どうしたの? 手を放してくれないと薬飲めないんだけど……」

「手……? あ!!」

 

 い、いつの間にか薬を持ってる虹夏ちゃんの手を掴んじゃってた! わ、私は何を……!

 

「……ふーん。ぼっちちゃんは私にピル飲んでほしくないんだー? 妊娠しちゃうとバンドも解散は免れないのになー」

「あ、あ……!」

 

 わ、私なんてことを……! やっぱり私は最低……!

 

「わー! ご、ごめんごめん冗談だよ冗談!!」

「ひぐ……ぐす……」

 

 虹夏ちゃんが私の背中を擦って慰めてくれる。

 

「……ぼっちちゃんの気持ちは嬉しいよ。私も、これ飲まなかったらっぼっちちゃんとの子供が出来るって考えたら少し飲むの躊躇っちゃうもん。でもやっぱり今はまだその時じゃないからさ。ぼっちちゃんだってそれが分かってるから、ヒートで狂った時止まってくれたんでしょ?」

「は、はい……」

「私もバンドで夢を叶えたいから。それも譲れないくらい大事なものだからさ」

 

 もちろん知ってる。虹夏ちゃんが大好きな店長さんの為に頑張ってる事。だからそれを壊すような真似は絶対しちゃ駄目なんだ。

 

「ご、ごめんなさい……」

「うぅん。さっきも言ったけど嬉しいのも本当だよ? だからさ、バンドを大きくして、夢を叶えたら。その時は」

 

「私とぼっちちゃんの赤ちゃん、作ろうよ」

 

「赤ちゃん、って。それって……」

「……うん。一生、一緒にいようねってことだよ」

 

 虹夏ちゃんの言葉に、また涙が溢れ出した。

 虹夏ちゃん、私を選んでくれるんだ。こんな、こんな私を……!

 

「に、虹夏ちゃん、わ、私……! 絶対虹夏ちゃんを幸せにします!!」

「うん。私も、ぼっちちゃんを幸せにするよ」

 

 涙で前が見えないけれど、虹夏ちゃんを強く抱きしめた。虹夏ちゃんも私を抱きしめてくれる。

 

「それで、さ。ぼっちちゃん。お願いがあるんだ」

「う、ぐす……! は、はい」

 

 虹夏ちゃんと身体を離す。

 

「まぁ何のかんの言っても私達はΩとαだからさ、あるじゃん? 今この場で出来る一生の誓いってやつが」

「それって……」

 

 虹夏ちゃんがシャツを引っ張って、白い項を私に見せる。

 

「ぼっちちゃん。私を、ぼっちちゃんの番にして下さい」

「……」

 

 番にして下さい。その言葉が私の耳に届いて、脳に届いて理解に達するまで多少のタイムラグがあった。

 つ、番? 番ってあの番だよね? 私、私なんかで良いのかって言葉が出そうになる。だけど。

 

「ぼっちちゃん、さっき答えは言ったよ」

 

 相変わらず私の考えを読み取った虹夏ちゃんが返答してくれる。

 ……そうですね。私も、答えはもう言ったんでした。絶対幸せにするって。

 

「……虹夏ちゃん。結構強く噛まないといけないらしいので、我慢してくださいね」

「うん」

 

 虹夏ちゃんの項に軽く歯を立てて、そして。強く、この感触を忘れないよう強く嚙みついた。

 

「い……!!」

「ぷは……」

 

 口を離して噛んだ後を見る。そこには私の歯形、番の証がしっかり刻まれていた。

 身体を離して虹夏ちゃんを見つめる。虹夏ちゃんは笑っていた。綺麗な涙を頬に伝わらせながら。

 

「虹夏ちゃん」

「……はい」

 

「愛してます」

「……うん! 私も、愛してる!」

 

 




この後腰が痛くて帰れない虹夏ちゃんは後藤家に泊まりましたが、全てを察していたぼっちちゃんのお母さんがお赤飯を出してきて死ぬほど恥ずかしい思いをしました。

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