「ちょっ、戸塚!?」
「………川崎さん、タオルを渡すからこれを冷水に浸して持ってきてちょうだい」
戸塚の様子を不審に思った川崎が彼を気にかける。そこで雪ノ下はすかさず隣にいる由比ヶ浜が使っているハンドタオルを手に取って自分のものと合わせて川崎に手渡した。
「あっ……う、うん! わかった」
直前までくつろいでいたせいか反応と対応に遅れが生じるも、次第に川崎もこれがただ事でないことを頭で理解すると彼女は雪ノ下からタオルを受け取って冷水を求めて湯船を出た。
「えっ? うそ……のぼせた?」
由比ヶ浜は友人の険しい顔を見てすぐに状況を飲み込む。先ほど彼に声をかけた際に僅かに頭を過った考えがまさか現実のものとなるとは思いもしなかった。
「うむ……どうやらそうらしい」
平塚は川崎の動きを目で追いながら立ち上がると戸塚の傍に寄る。これだけ彼女が接近してもそれを気にする様子もなく天を見やって息を荒げるまま彼の姿を見て、彼女はこれからの対処について考える。
だが彼女にはもう一つ気がかりなことがあった。平塚は思考を止めずにそのまま視線を戸塚の身体の下の方に移す。
「………………でかいな」
彼女が気にしていたこと、それは戸塚の下半身でその存在を強く主張している彼の肉棒のこと。
意識が混濁しているのか、依然として戸塚の様子に変わりはない。けれど彼のそこだけはビンビンに勃起している。
平塚自身は男性経験が少なめな方で、交際には発展するもののセックスにまで及んだ人数は片手で数えられる程度に過ぎないが、そんな彼女でも分かってしまう程に戸塚のそれは逞しかった。
「平塚先生! あたしは何をしたらいいですか?」
平塚が居る方と反対の側に寄った由比ヶ浜が指示を仰ぐ。少しの間戸塚の肉棒に目を奪われていた平塚は彼女との声にハッとなり慌てて由比ヶ浜の方に視線を移す。
「っ! ……そっ、そうだな。由比ヶ浜は……」
正直なところ現時点で彼女に出来ることは特にない。応急処置の手筈に関しては川崎に任せたし、処置をおこなって戸塚の体調に回復の兆し見られない場合はここに居るみんなの手を借りて彼を脱衣場に運んだのち救急車を手配することを考えている。
「いや、今はまだ君にしてもらいたいことはない。だがもしもの場合は力を貸してくれ」
「は、はい。分かりました」
「大丈夫よ由比ヶ浜さん。彼の症状は軽症だと思うから」
心配そうにする由比ヶ浜に雪ノ下が寄り添う。
「そうなのかな?」
「確証は無いけれど、彼も含めて私たちみんなほぼ同時に同じ湯船に浸かったのだから、のぼせたにしても軽度なはずよ」
発症した当人でなければ正確な具合を図ることの出来ない症状であるが故に決して軽んじて良いことではないのだが、実際のところ雪ノ下の判断は概ね正しかった。
一つ加えるとすれば、戸塚は極度の緊張と興奮に晒されて自律神経が激しく乱れて身体に悪影響を及ぼしてしまっていた。
「タオル持ってきたよ」
パタパタと足音を立てながら川崎が彼女たちの元に戻ってきた。
「ありがとう川崎さん。じゃあひとまず彼を床に寝かせましょう。それから水に浸したタオルを彼の額と首元に」
雪ノ下はそう言って皆に行動を促す。戸塚の両脇にいた平塚と由比ヶ浜が彼の肩を持ってその身体を湯船から離すとそのまま彼を床に寝かせて冷水に浸したタオルを首元に巻いて額に乗せた。
「あとはこのまま少し様子を見ましょう。それで彼の意識が戻らなければ次の対処を」
「そうだな。大事に至らなければ良いが…………」
そうして彼女たちは戸塚の周りを囲む形で様子を見守る。思いがけない出来事であったものの、彼女たちは冷静かつ的確な判断を取って行動することが出来た。このまましばらく安静にしていれば戸塚もじきに意識を取り戻すことだろう。
「ていうかさ………めっちゃ勃ってない?」
そう口にしたのは彼女たちの元に後から駆けつけた川崎。
「………エチケットとしてそれについては触れてあげない方が良いと思うのだけれど………」
「いや、それにしたってさ…………」
川崎の言葉に釣られて皆の意識が戸塚の肉棒に向く。女の体にはないそれに内心興味を抱いていた各々はここぞとばかりに彼の雄の象徴たる肉棒に目をやり好奇心を満たす。
「う………そういえばあたし、さっきめっちゃおっぱい見せちゃってた………」
そう言って由比ヶ浜は自身の胸を腕で隠すようにして抱く。
「私も…………そうね。今まで全く意識していなかったわ」
湯の熱で赤みを帯びていた雪ノ下の肌が更に赤く染まる。
「………もしかしてだけどさ、戸塚がこうなったのってあたしたちにも原因があるんじゃないの………?」
川崎の言葉に皆それぞれ思うところがあったのか揃って険しい顔をする。
戸塚の意識はまだ戻らない。その様子を見て皆の心にそれまでなかった罪悪感が芽生え始める。
「ふむ………仕方ない。ここは私が一肌脱ごう」
一時の沈黙の後、平塚が声を上擦らせながらそう言った。
「えっと……どうするんですか?」
格好は既に裸なのにこれ以上なにを脱ぐのか、などという疑問を頭の中に浮かべながら由比ヶ浜は平塚に尋ねる。
「言っておくがこれから私がする行為はあくまでも彼の為を思ってのことだからな。それだけは踏まえておいてくれ」
平塚が各々の顔を見やってそう告げると一瞬固く目を閉じて"よしっ"と掛け声のようなものを呟いて彼女は動いた。
平塚は戸塚の下半身の方に片手をゆっくりと伸ばし、未だその存在を激しく主張している彼の肉棒に手を触れた。
「っ! 平塚先生、それは!」
雪ノ下が驚きの声をあげる。他の二人も平塚の予期せぬ行動に思わず目を見開く。
「ふふっ………なぁに……私に任せておけっ………」
自分自身とんでもないことをしているという自覚がある為に平塚の声は上擦る。
「得意という訳ではないが、それなりの知識はある。まあ見ておけ」
平塚はそう言いながら戸塚の肉棒を手に握ると上下にゆっくりとシゴキ始めた。
明らかにそれは性的な行為であり、彼女がしている行為はもはや介抱の域を越えていると皆が思った。
「わっ……わわっ………」
由比ヶ浜は思わず声を漏らし、慌てて自身の口を手で塞ぐ。けれど戸塚のそれと平塚の行為から目を反らすことが出来ない。
「あんたほんと何やってんの。……仮にも教師でしょ…………?」
自身が持つ倫理観から平塚のことを非難してやりたかった川崎であったが、その声はとても弱々しく覇気が感じられない。
「あ………う…………」
本来であれば平塚の行為はすぐにでも止めるべきなのだろうが、妙に頼りある彼女の発言と立ち振る舞いを目にして雪ノ下は胸の前に手を抱いてその行為を見守ることしか出来ない。
「………うう………っふ」
平塚が手を動かし続けていると戸塚の口から小さな声が漏れる。依然として彼は目を閉じたままで誰も今のが彼の覚醒の合図であるとは考えもしなかった。
「おお、そうか………気持ちいいのか……戸塚」
手を動かし続けているからか、平塚の吐く息には熱がこもる。彼女の呼吸に合わせて体が動いておっぱいがぷるぷると揺れる。
「それだけで気持ちよくなれるんだ………男の子って」
場の雰囲気に慣れてきたのか由比ヶ浜がそんなことを口にする。
「ふむ、そうだな……なあ由比ヶ浜、君に一つ頼みごとをしてもいいか」
「えっ、何ですか? 平塚先生」
「なに、大したことではないさ。誰の持ち物でも構わないからボディーソープをここに持ってきてくれ」
「え………わ、わかりました。持ってきます」
場の空気を支配している平塚からの頼みに首を横に振れる訳もなく、由比ヶ浜は一人立ち上がると足早にその場を離れた。
「何を……なさるつもりですか」
「見ていれば分かるさ。きっと学びにも繋がると思うよ」
「あたしは……何となくだけど見当がついちゃった」
「おっと、ネタばらしはしてくれるなよ川崎。先に答えを知ってしまったら脳に伝わる刺激が弱くなってしまう」
「こんなタイミングで教師ヅラとか……マジで可笑しくなってるよこの人」
川崎は呆れたようにそう口にする。けれどそんなことを言いながら彼女は平塚の行為から目を離せずにいた。それは雪ノ下も同じである。
「先生! 持ってきました」
「おお、すまないな。由比ヶ浜」
早歩きで由比ヶ浜が戻ってきた。平塚に言われた通り彼女の手にはボディーソープの容器があった。
「走ると危ないわよ由比ヶ浜さん。転んで怪我でもしたらどうするの」
「あはは、ごめんゆきのん。どうしても続きが気になっちゃって」
そう言って平塚の傍にペタンと座るとボディーソープの容器を彼女に手渡して視線をすぐに戸塚の肉棒の方に戻した。
「それでその……もう出ちゃった………?」
「いいえ、まだよ」
「どんだけ期待してんのあんたは」
「えー、沙希だってそうじゃないの? さっきからずっと彩ちゃんのおちんちん見てるじゃん」
「はっ……はあぁ? あんたねえ………っ!」
「まあまあ落ち着きたまえ。本番はこれからだよ」
そう言って平塚は戸塚の肉棒をシゴく手を休めずに空いたもう片方の手で由比ヶ浜から受け取ったボディーソープを何度かポンピングすると中の液体を手のひらに垂らした。
「さぁて戸塚、スパートをかけるぞ。出したくなったらいつでも出していいからな」
平塚が独り言のようにそう呟く。そして液体を溜めた手のひらを戸塚の肉棒の元へと運びそのまま擦り合わせた。
チュッ チュク クチュクチュクチュクチュクチュ
「ひゃぁ………エッチ…………」
由比ヶ浜が堪らず声をあげる。その音はソープが絡み合うことによって生じている音なのだが、平塚がしている行為と相まって非常にエロティックなものに感じてしまう。
「な、なるほど………手の滑りをよくする為のものだったのね」
雪ノ下が驚きの声を漏らす。始めは驚きに満ちていたものの今やその顔付きはより女性っぽいものに変わりつつある。
「ううっ……くっ………ぁ!」
浴場に響く新たな音色に呼応するかのように、戸塚の膝が軽く立ち曲がり小刻みに震える。
「ふふ………そろそろか………?」
クチュクチュクチュクチュクチュッッ
平塚の手の動きがこれまで以上に早くなる。彼女の言葉を受けてこの行為の終わりを見た他の女性陣は、より一層戸塚の肉棒に向けて注目を集める。
「あっ……くふ………うっ…………!」
ビュクウゥッッ ビュルビュルッッ!!
戸塚の肉棒から突如として精液が吐き出され、平塚の手と彼の胸から腹にかけて酷く汚した。