※この作品はR-18です。

迷宮資源で奴隷娘とハーレムを   作:prime67

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春の63日


99.観戦武官

芋虫のスキル結晶狙いの迷宮探索に変更して、今日で3日目なる。

 

ベルガー達とベイルのレストランで密談した日の夜伽、ソフィアに出した後の賢者タイムで「ご主人様、ベイルの迷宮の35階層に狩場を移動しませんか?」と、乱れた顔でソフィアが提案してくれたのが切っ掛けだった。

 

今までのホワイトキャタピラーを一匹づつ11階層のボス周回で狩るより、魔物グループが1周回っている35階層の探索なら、ホワイトキャタピラーを一度に複数匹を狩れる。レストランの奥さんと付き合いのある探索者が、35階層にダンジョンウォークで行けたのも幸運だった。相場の銀貨35枚を払ってベイルの迷宮35階層に連れて行ってもらい、芋虫狩りの効率は劇的に上がった。

 

ベイルの35階層:ホワイトキャタピラー

ベイルの34階層:ウドウッド

ベイルの33階層:ドライブドラゴン

ベイルの32階層:グミスライム

 

ベイルの2階層の魔物がグリーンキャタピラーだったから、35階層ではホワイトキャタピラーが最大6匹出現する。ただし、我々のパーティは麻痺添加の武器が充実してるし、魔導士のサンダーストームもある。ベイルの35階層を突破するのは難しくなかった。

 

 

今日からは、ボス周回で上位のシルバーキャタピラー2匹を狩り続ける予定だ。34〜44階層のボス戦は、上位ボス魔物が出現するとは言え、最大2匹しか出ないので極めて与し易い。ここなら、アフロディアのレベル上げをやっても比較的安全だと判断してる。

 

「ご主人様、ウチのパーティは『詠唱中断』と『麻痺添加』の両方を融合した武器があるから問題無いですけど、この辺のベイルの階層は、普通のパーティだと厳しいですよ。魔物の組み合わせが最悪過ぎます。」

 

「ソフィアも、イリスと同感です。ホワイトキャタピラーの糸吐きも、ウドウッドの水魔法も、かなり積極的に使って来ますもん。それ以前に、32階層から最大魔物数6匹になる局面で、魔法防御力の強いドライブドラゴンと、物理攻撃の通り難いグミスライムの連続でしょう、こんなの突破するの相当に苦労しますよ。」

 

「でもさぁ、ベイルの35階層に入ってから、私達の他に人の気配は感じないよ。魔物がウジャウジャ居て狩り放題だもん。他の冒険者に見られる心配が無いから、ご主人様も魔法が打ち放題だよ。」

 

「フレイヤの言う通り、他の冒険者が入らない階層なら、ボス周回も出来るしね。アフロディアは慣れてないから、回避最優先で魔法を撃つ練習ね。最後に麻痺したシルバーキャタピラーを袋叩きにするまで、物理攻撃に参加しちゃ駄目だよ。」

 

ちなみに、昨日入手した芋虫のスキル結晶は、アフロディアのアームロングに融合してもらった。彼女の頭装備はソフィアから借りたダマスカス鋼の鉢金で、ノラのメッキも掛けてある。必要経験値を犠牲にして6ジョブまで有効にして神官も付けてるし、そう簡単にアフロディアが死ぬ事も無いだろう。魔法使いは外し、神官と探索者を付けた構成だ。

 

 

【マモル】 硬革の手袋

武器:吸精のダマスカスステッキ(MP吸収)

頭装備:身代わりの硬革帽子(身代わり)

胴装備:ダルマティカ(空き)  

足装備:駿馬の硬革靴(移動力増強)

アクセサリー:ひもろぎの聖銀ミサンガ(知力二倍)(ダメージ逓増)

6ジョブ(31) キャラクター再設定(1) 詠唱省略(3)

獲得経験値二十倍(63) 必要経験値十分の一(31)

MP回復速度三倍(7) パーティジョブ設定(3)

ワープ(1) 鑑定(1) 合計141

神官Lv43:MP(小上昇) 知力(微上昇)

英雄Lv42:腕力HP体力MP知力精神器用敏捷(中上昇)

遊び人Lv37:知力(中上昇)

魔道士Lv21:知力(中上昇) MP(小上昇) 精神(微上昇) 体力(微上昇)

賞金稼ぎLv26:器用(小上昇) 腕力(微上昇) MP(微上昇)

探索者Lv33:体力(小上昇)

 

【イリス】 革のサイハイブーツ

武器:強権の槌(詠唱中断)or全麻の槌(麻痺添加)orスリング 

頭装備:竜革のカチューシャ(空き)(空き) 

腕装備:竜革の手袋(空き)(空き) 

胴装備:ダマスカス鋼のプレートメイル(空き)(空き)(空き)(空き)

アクセサリー:いかりの指輪(攻撃力五倍)(ダメージ逓増)

鍛冶師Lv31:腕力(中上昇) 体力(小上昇) 器用(小上昇)

 

【フレイヤ】硬革の鎧

武器:強権のダガー(詠唱中断)orスリング(空き)

盾 :木の盾 (空き)

頭装備:硬革のカチューシャ(空き)

腕装備:竜革の手袋(空き)(空き)(空き)(空き)

足装備:革のサイハイブーツ(空き)

アクセサリー:頑強のボディークリップ(物理ダメージ削減)(ダメージ逓増)(空き)

闘兎Lv31:器用(中上昇) 敏捷(小上昇) HP(小上昇)

 

【エゲリア】

武器:全麻のダマスカス剣(麻痺添加)(詠唱中断)(空き)(空き)

頭装備:竜革のカチューシャ(空き)(空き)(空き)(空き)  

腕装備:鋼鉄のガントレット(空き)(空き)(空き)

胴装備:硬革の鎧(空き) 

足装備:駿馬の竜革のサイハイブーツ(移動力増強)(回避力二倍)

アクセサリー:増撃の指輪(ダメージ逓増)(物理ダメージ削減)

淫乱Lv30:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)

 

【ノラ】 硬革の鎧

武器:強権のダマスカス槍(詠唱中断)(麻痺添加)(空き)(空き)

頭装備:竜革のカチューシャ(空き)

腕装備:竜革の手袋(空き)

足装備:頑強の竜革サイハイブーツ(物理ダメージ削減)(移動力増強)(空き)

アクセサリー:増撃のイアリング(ダメージ逓増)(空き)(空き)

錬金術師Lv34:知力(小上昇) 器用(微上昇)

 

【アフロディア】 革の鎧

武器:ケーン or ダガー(空き)

頭装備:ダマスカス鋼の鉢金(空き)(空き)(空き)(空き)

腕装備:身代わりのアームロング(身代わり)

足装備:革の靴(空き)(空き)

アクセサリー:ボディークリップ(空き)

魔法使いLv8:知力(小上昇) MP(微上昇)

 

 

昨日の昼食時には、アフロディアの足装備をハイヒールにすべきか否かで、女の娘達が盛り上がっていた。フレイヤなどは「別にハイヒールでも走れるよ。魔法の威力を高める靴がいいんじゃない?」とか言ってたが、アフロディアは近接戦闘も視野に入れてるので、ハイヒールの見るからに紙防御は不安だ。エナメルのハイヒールブーツが入手できれば解決する問題でもあるし、取り敢えずは、革の靴(空き)(空き)を履いてもらうことにしている。

 

ご主人様を先頭にボス部屋に入ると、白金の肌を持った巨大な芋虫が現れる。

 

サンダーストーム!

サンダーストーム!

オーバーホエルミング!

 

イリスとエゲリアは、それぞれシルバーキャタピラーを抑えに突撃する。ご主人様は魔法2連射の後、オーバーホエルミングでイリスが担当する魔物の背後から、吸精のダマスカスステッキで殴り付ける。ノラはエゲリアが正対する魔物の背後に回り、フレイヤも”状態異常耐性ダウン”を2匹に掛けてからエゲリアの方の魔物に向かう。アフロディアは魔法を放つ練習で、戦力的な意味は極めて薄い。

 

2回目のサンダーストームの斉射で、エゲリアが正対してるシルバーキャタピラーが麻痺になる。魔法は「打ち方止め!」で、ご主人様以外は、イリスが正対してるシルバーキャタピラーの袋叩きに移行する。ご主人様は、麻痺している魔物を殴り倒して始末するのが役目だ。

 

「ご主人様、こっちのシルバーキャタピラーも麻痺にしたよ! このまま倒しちゃうね。」

 

ボス周回には1周10分も使っておらず、ドロップ品のミスリルスレッドが貯まる。糸を吐かれる前に魔法陣をキャンセルできれば、芋虫系の魔物は与し易い。

 

戦術的にも、サンダーストームを撃つのを一呼吸遅らせ、フレイヤ詠唱する”状態異常耐性ダウン”を先に放つ改良が上手くいった。フレイヤの『サンダーストーム発射!』の指示でご主人様が魔法を放つので、彼女も楽しそうだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ミスリルスレッドは30個程溜まったが、芋虫のスキル結晶は落ちなかった。お腹も減ったので、朝食に戻るとする。

 

朝食は、押し麦の野菜リゾットで、竜皮の細切りの出汁が効いていて美味だった。が、村人が食べる粥に竜皮が入る事は有り得ず、大麦ってこんな美味しい食べ物じゃないとエマ・ミラ・ノラに強調される。ヴァニーユによると『竜皮は余ってるのでエステル男爵家での倍量入れ、ご主人様に教わった刻み昆布も入れました。』とのことだ。

 

グルタミン酸+イノシン酸は、美味しいんだよ。クアニル酸の旨味も加えたら、更なる相乗効果で美味しくなるのは黙っておく。キノコとも言うが、ソマーラの村の周辺は禿げ山だらけで入手困難だろう。そのうちキノコは栽培しないとな。

 

「ご主人様、『スパルタクス団』の状況に、何か変化が出たかもしれません。そろそろ辺境伯家の帝都事務所に行っとくべきじゃありませんか? アルフリーダは、仕事が溜まってて無理ですけど・・。」

 

「そうだね。朝食後に、辺境伯家の帝都事務所まで行ってみよう。メンバーは、何時ものイリス・フレイヤ・ソフィア・ヴァニーユでお願いね。あ、ノラ、念の為にメッキを掛け直しておいて。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

帝都事務所を訪問すると、意外にも防具を装着している執事のセバスチャンが迎えられるが、かなりバタバタしている雰囲気だ。リビングに通されるも、皆、武器防具を完全装備していて、広間の壁にはフィールドウォーク用の絨毯が掛けられている。

 

「おお、マモル殿、久しいの。ちょうど良い所に来た、余も今から出る所じゃ。ベルガー達は先発して準備を整えている。マモル殿も一緒に行かぬか?」

 

「辺境伯様、ご無沙汰してます。ご同行するのは構いませんが、何処に行くんですか?」

 

「マモル様、久しぶりね。今朝、全エルフ最高代表者会議の騎士団に張り付いているウチの手の者から連絡が入って、『スパルタクス団』を捕捉したって。これから急襲するらしいから、皆で観に行くの。マモル様も一緒に行きましょうよ。ベルガーのパーティが先発して、一番良い場所を確保しに出てるわ。」

 

「ヒルデガルドさん、それは滅多に無い機会、ぜひご一緒させて下さい。でも、手前共のような部外者が混じっちゃって良いのですか?」

 

「マモル殿、何を言ってるのだ。ヒルデガルドも、余の死後はマモル殿が相続するのだぞ。もう遺言も変更してある。ならば、マモル殿と余とベルガーの3人は義兄弟も同然ではないか。一緒に盗賊討伐の観戦を楽しもうぞ!」

 

「うふふ、マモル様、よろしくね。」

 

しまった、油断した。貴族の調略を甘く見てた。アーデルハイトの相続を明確に拒否しなかった以上、なおさらヒルデガルドを拒否できない。絡め取られたわ。これ、完全に辺境伯家の息のかかった者になってて、もう逃げられないじゃん。ベルガーは打ち手が早いわ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

辺境伯家の冒険者からパーティへの招待が来て、3人パーティで、絨毯に開かれた黒いゲートから出た。なるほど、ベルガー達が先発するのは、有利な場所にフィールドウォークの出口にする絨毯を立てる為か。絨毯は物干し竿に似た道具で、荒野の丘の上に設置されている。

 

「マモル様、いらっしゃい。どお、この辺で一番高い丘だから、観戦には良い場所でしょ。」

 

「アーデルハイトさん、辺境伯様とヒルデガルドさんが妙な事を言ってるんですけど、謀りましたね。」

 

「まあマモル様ったら人聞きの悪い、嫌だわぁ。そんな事より早く自分のパーティを連れて来ないと、もう直ぐ始まっちゃうわよ。もうエルフの騎士団の集結は7割方終わってるから、『スパルタクス団』の準備が整う前に仕掛けると思うわ。」

 

ベルガーのパーティが用意した絨毯から、辺境伯家の帝都事務所の絨毯にワープゲートを開く。間髪入れずソフィアからパーティへの招待が来て、承認すると同時に、再び丘の上の絨毯にとんぼ返りする。辺境伯のパーティ6人&ベルガーのパーティ6人、我々が5人で全部で17人の小集団だ。

 

「マモル殿、どうじゃ、ベルガーが隣の帝国騎士団より高い丘を占有したぞ。ここからなら一目瞭然で全体が見える。楽しみじゃの。」

 

辺境伯とベルガーが並び立ち、それぞれ左右にヒルデガルドとアーデルハイトを従えている。4人の後ろに強そうな騎士2人立ってるから、この6人でパーティを組み直したのだろうか?

 

鑑定!

聖騎士Lv49 魔道士Lv51 百獣王Lv35 百獣王Lv34 冒険者Lv49 沙門Lv46

 

うわ、強い。こんなのと戦ったら確実に勝てないわ。このパーティなら盗賊の攻撃など通らないだろうから、護衛の必要が無いのは助かるな。危なくなったら勝手に逃げるだろう。

 

「ヴァニーユ、フレイヤ、戦場の監視をお願いね。人間族は獣人より感覚が鈍いんだ。」

 

「ご主人様、装備が立派なエルフ騎士は100人くらいいます。エルフの左右それぞれに50人くらいの集団、8割方は硬革防具ですね。盗賊の方は、300人くらいが団子状態になってて、雑多な装備です。半分くらいは皮防具ですね。」

 

「ヴァニーユは目が良いね。この距離から防具を見分けられるのは役立つよ。」

 

「ご主人様、エルフの威張ってる人が時間差で突撃するって。冒険者・戦闘奴隷・騎士団の順番だって言ってるよ。」

 

「フレイヤも偉いな。可能ならだけど、盗賊で威張ってる人も見つけといてくれると、いざという時に助かる。」

 

「マモル殿のパーティメンバーは優秀じゃの。ウチのヒルデガルドとアーデルハイトも鼻が効くが、この距離でここまでの索敵は無理じゃぞ。」

 

「あら、私達も伏兵を見つけたわよ。少し離れて小集団4組が分散して隠れてるわ。軽く地面を掘ってるのかしら? 土の匂いがするわよ。盗賊の後方に1組と、向こう側に2組、少し離れた所に1組ね。@50人位だと思うわ。」

 

「え、何でそんな場所に伏兵を置くの? と言うか、ヒルデガルドさんは伏兵の位置が匂いで分かるの? いや、それは後にして、ヴァニーユ、盗賊の中に青いバンダナを被った奴は何人くらい見える?」

 

「え〜と後ろに3人かな。青いバンダナの奴は硬皮の防具ですね。」

 

「あ〜、これは決まりですね。『スパルタクス団』に渡った盗賊のバンダナが3枚だけって事は考え難いですもん。伏兵の@50*4=200人が精鋭集団で、盗賊のバンダナを装備してるんでしょう。見えている300人は囮で、騎士団と乱戦状態を作る捨て駒かな。自爆玉を使うとすれば乱戦で騎士を狙いますよね。ヴァニーユ、子供の姿は見える?」

 

「はい、後方の青いバンダナを被った奴の周りに20人くらい固まってます。」

 

「ベルガー殿、自爆玉を20個集めるのって大変ですよね。」

 

「そうじゃのう、15年前の打ち入りでも、使われた自爆玉は3つだったな。20個もの自爆玉を退蔵するなど、普通なら勿体なさすぎる行為よな。大変だが、不可能ではないな。」

 

「ご主人様、エルフの偉そうな人が『突撃〜』って言ってるよ。冒険者の人は『ちくしょう!』だって。6倍くらいの数なのに、何でそんなに嫌なのかな?」

 

「フレイヤ、普通はね、6倍の敵に突撃するのは危ないんだよ。」

 

「マモル殿、これはエルフ共の負けかのう?」

 

「はい、辺境伯様、盗賊側は隊列も何も無いですから、突撃して来た冒険者の集団に群がるでしょう。手薄になった反対側から戦闘奴隷の集団が突っ込んで、盗賊集団を混乱させます。最後にエルフ騎士団が混乱した盗賊集団を殲滅すれば、楽に勝てると思ったのでしょう。でも・・。」

 

「意図的に作った乱戦状態を利用して、『スパルタクス団』は高価そうな装備のエルフ騎士に、自爆玉を持たせた子供をぶつけるのだな。上位の貴族を失った騎士団は、撤退命令を出す者がおらん。エルフ共は、盗賊のバンダナを装備した精鋭の伏兵に、四方から狩られような。エルフ貴族からの剥ぎ取りは、さぞ儲かるであろうの。」

 

「ご主人様、また、エルフの偉い人が『突撃〜って』言ってる。戦闘奴隷の人は、『うおおお!』って雄叫びを上げてる。何か興奮してるよ。」

 

「フレイヤ、あれはね、突撃は怖いから声を出して誤魔化してるんだよ。」

 

「マモル様、囮の盗賊は結構殺られてるけど、何で崩壊しないのかしら? 普通の盗賊なら四散して逃げるわよね。」

 

「アーデルハイトさん、私もそこが不思議なんです。麻薬を使ってるか、女子供を人質に取ってるか、逃げずに生き残った場合のリターンが大きいのか、3つ全部かもしれませんね。いずれにせよ普通じゃ無いですよ。」

 

「お、マモル殿、エルフ共の騎士団が突撃を始めたぞ。例え伏兵に気付かなくても、余なら盗賊の退路を開けて包囲するがの。自分から乱戦に突っ込むなど、低脳としか思えぬわ。」

 

「辺境伯様の仰る通りですよね。乱戦とか死兵化した相手と戦うとか、効率が悪すぎます。退路を開けて、逃げた相手を追い打ちするのが基本ですよ。」

 

「ご主人様ぁ、盗賊の威張ってる人が『行け〜!』って叫んだよ。」

 

「ご主人様、見えます? 鎧も着てない子供だと、戦ってる騎士は気に留めてないです。不思議ですね、高そうな鎧を着た騎士の近くまで、何なく近付いてます。」

 

「ヴァニーユ、あれって敵だと認識してないから、視界に入っていても見えてないのよ。もう、せっかく我が主人のベルガー様が信書を書いて教えてやったのに、全エルフ最高代表者会議は気に留めなかったのね。親切が報われないのって、虚しいわ。」

 

「イリス、自爆玉が爆発した数を数えておいてくれる? エルフ側は殲滅されるだろうけど、情報だけは残して貰わないとね。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

高価そうな鎧を着た騎士が次々に吹き飛ばされた後、乱戦状態で拘束されているエルフ側の集団 は、戦場ごと『スパルタクス団』の伏兵に半包囲され、削られ始めた。ありゃ、最初に騎士団が布陣してた場所にも青い頭の盗賊集団が突入したぞ。なるほど。この世界の戦闘では、フィールドウォーク用の絨毯を切り裂く=『後方を遮断する』なんだ。

 

「ベルガー殿、エルフの騎士団も頑張りますね。こちら側に退路は空いてるのに、なぜ逃げないのでしょう?」

 

乱戦の戦場は3方向から包囲され、エルフ騎士も倒され始めた。青い”盗賊のバンダナ”を被って身体強化された奴は、50人が4個集団で計200人くらいか、結構多いな。

 

「マモル殿は自由民の発想だから理解できぬのも当然よの。騎士団というのは上意下達の組織で、末端の騎士は独自判断をしないのじゃ。指揮系統が寸断されたら、立て直すのは至難の技じゃの。それに、生き残ってる最高位の者が貴族なのだろう。貴族社会での面子が邪魔しての、撤退の決断ができない愚か者は決して少なくないぞ。」

 

そういう事か。騎士団も、役所や軍隊と同様の縦組織なんだな。その後、セバスチャンが帝都の拠点から運んだ飲み物と軽食が全員に配られ、さらに1時間ほど殲滅戦の観戦を継続すると、盗賊側から勝ち鬨が上がった。

 

「ご主人様、あっけなかったですね。自爆玉の爆発音は18回でした。」

 

「うん? マモル殿、盗賊共が何やら動いているぞ。」

 

「いや、まさか、あいつら舐め過ぎでしょ、連戦するの? 青い盗賊のバンダナを被った連中は、隣の丘の帝国騎士団に向かって移動してる様に見えます。」

 

「あ〜、帝国騎士団の観戦武官って、見るからに高そうな装備で30人くらいでしょ。盗賊からは美味しそうに見えたのかも。あ、帝国騎士団もアホよ。フィールドウォークで帰ればいいのに、返り討ちにしようと陣形を組んでるわ。」

 

「ふむ、もう1戦見れるとは運が良いの。おや、囮役を務めた部隊まで我々の方に移動してるではないか。見るからにボロボロで、数も100人を切ってるのに、働き者よのう。それとも、余が舐められてるのかの?」

 

「いやいや、辺境伯様、我々の方が帝国騎士団の連中より人数が少ないですし、半分近くが女性ですから与し易いと判断を誤ってるのでしょう。」

 

「ねえ、マモル様、どうする? 殺っちゃう?」

 

「ヒルデガルドさん、あんなの狩ったって何のメリットも・・、いや、ヴァニーユ、青い盗賊のバンダナを被った偉そうにしてる奴、何人見える?」

 

「3人、集団の真ん中を歩いてますね。」

 

「ご主人様、偉そうな奴が『あそこに女がいるぞ〜!』だって。皆『ヒャッハー』って喜んでるよ。」

 

「辺境伯様、もう自爆玉を持った子供もいないでしょうし、私のパーティで、盗賊のバンダナを被った指揮官らしき奴を拉致ってきます。尋問はお任せして宜しいですか?」

 

「マモル殿は何を言っているのだ? いくら囮を務めたボロボロの盗賊とはいえ、100人弱いるぞ。たった5人で切り込むのは危険ではないか?」

 

「いえ、『スパルタクス団』はせっかくの勝ち戦の直後ですから、ここは20〜30人も倒せば死ぬのが惜しくなって集団崩壊しますよ。盗賊のバンダナを被ってる連中も最後尾から督戦すれば良いのに、前に出過ぎですね。丘を頑張って登って来た所で『逆落し』をかければ、簡単に届くでしょう。あ、辺境伯様とベルガー殿は参加しちゃ駄目ですよ。貴族の気品が出過ぎていて目立ちますからね。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ウチの女の娘達が何やら相談しているが、ご主人様は切り込み用の設定に調整する。盗賊を切っても経験値は少ないので、経験値系の設定を切ってBPを使い放題にする。

 

辺境伯家がいるから可能な限り魔法は使わなし、久しぶりにデュランダルを取り出す。スキル結晶が融合されてないヴァニーユの”ウエストチェーン”は、BP3で取り出したボーナス装備の”決意の指輪”を貸し与え、アクセサリー装備を交換させる。7thジョブに変更し、ジョブは神官・英雄・遊び人・魔道士・賞金稼ぎ・戦士・剣士をセット、敏捷(中上昇)を遊び人の効果に設定し、スキルにはメッキでも付けておく。

 

「じゃあ何時もの様に、自分とフレイヤが先頭ね。盗賊のバンダナを被った奴を確保したら撤退するよ。イリス・ソフィア・ヴァニーユは背中をよろしく、退路の確保を意識してね。」

 

鑑定!

 

思った通り、囮だった盗賊のレベル低く、生き残りでもLv20前後がほとんどだ。一番低い奴が盗賊Lv16か。鑑定の範囲に探索者も見当たらないから、盗賊達はパーティ効果も失ってる可能性が高い。

 

丘を登って来た盗賊集団に、オーバーホエルミングを発動してデュランダルで切り込む。1人、2人・・・5人まで切った所でオーバーホエルミングの効果時間が切れた。盗賊Lv16に等価交換を発動すると爆発して四散し、周りの盗賊は何が起こったのか分からずに固まる。けれどもウチの女の娘は動けているので、固まってる盗賊に切り込む。

 

2回目のオーバーホエルミングが切れた所で、一番手前に居た盗賊のバンダナを被った奴まで到達する。フレイヤも瞬発力上昇を連発してるな。その後ろにヴァニーユ、ソフィアとイリスも大して離れていない。

 

鑑定!

盗賊Lv38 

 

思ったより、指揮官らしき盗賊のレベルは低い。ゼロ距離からサンダーボールを打ち込むと、盗賊Lv38は1発で麻痺してくれて、難無く確保できた。チェインメイルを着てる相手にサンダーボールだから、効きが良いのかも。雷の球は自分の体の正面至近で出したし、後ろから見ている辺境伯家にはバレてないと思いたい。

 

行きよりも、麻痺した盗賊を引きずって撤退する帰り道が難儀する。追い付いたイリスに麻痺した盗賊を引き渡すと、イリスは槌をアイテムボックスに収納して、ドワーフの力で盗賊を引き摺り丘を登って行く。戦術目的は達成したので、イリスを中心に半月陣形を組み撤退だ。丘の上部で逃げ遅れている盗賊はベルガー達が始末してくれていて、既に積極的に襲い掛かってくる盗賊はいない。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ただいま。ベルガー殿、援護のバーンボールは盗賊など即死でしたよ。流石ですね。ありがとうございます!」

「そんな事より、今、マモル殿の奴隷達が撃ち込んでるのは何かの? 石を投げたくらいで、若い魔法使いのサンドボール程度の威力が出てる気がするが・・?」

「お恥ずかしい、あれは研究中の投擲武器で、まだまだ精度が悪いんですよ。彼女達は真面目ですから、良い的を見つけたので練習してるのでしょう。丘の上からの打ち下ろしですから、威力が出てますね。」

 

「それより、マモル様とフレイヤって私達より速いじゃない、何あれ、おかしいわよ!」

「ヒルデガルドさんも、”移動力増強”が付いた靴を使うと良いですよ。動きが速くなりますから。」

 

「途中で、マモル様の目の前の盗賊が爆発したわよね、何かしたの?」

「いや〜アーデルハイトさん、あれは危なかった。自爆玉の暴発でしょう。残弾ゼロと思って切り込んだんですけど、私の読みが甘かったです。まだまだ修行が足りませんね。」

 

「マモル殿の両手剣は凄まじいの。盗賊の武器や防具ごと一刀で切り落としていたが、余のオリハルコンの剣でもああは切れぬぞ。」

「これは先祖伝来の剣で、我が家の家宝です。5代前のご先祖様が固定で授かった品で、鉄の剣ぐらいまでなら切り落とせるんですよ。売れませんからね!」

 

真顔で適当な返事をしておいたが、これで誤魔化されて欲しいものだ。 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

捕虜にした盗賊の意識が戻ったが、既に辺境伯家の騎士によって、全ての防具が引き剥がされ後ろ手に縛られている。盗賊の服には金貨5枚が隠して縫い付けてあって、金貨と防具と青魔結晶はウチの戦利品として持ち帰ることで合意した。捕虜の盗賊は、辺境伯家でインテリジェンスカードを確認して、アーデルハイトに拷問尋問される予定だ。可哀想に。

 

「辺境伯様、隣の丘の帝国騎士団は小競り合いを続けてますが、ほっといても問題になりませんよね。」

 

「そうよの、天下の帝国騎士団が、田舎貴族の手助けなど望むまい。膠着しておるし、我らは先に帰るとしよう。」

 

「じゃあ、ウチのパーティが殿をやります。明後日にでも、帝都事務所に捕虜の尋問の結果を聞きに行きますよ。」

 

囮となった盗賊の集団は、丘の麓まで撤退しており、もう50人程度しか残ってない。200mは距離があるが、フレイヤのスリングなら届いたそうだ。イリスが銅弾を武器製造するので盗賊の人数以上の銅弾も用意可能だが、女の娘達も満足した様子だし我々も撤退する。

 

フィールドウォークの出口に使っている絨毯って、使い捨てるんだ。当然ながら機械織りなんて存在しない世界だから、絨毯は高価な品で、産地の店も悪徳商人っぽかった。捨てるなら貰って帰りたいが、近くにワープゲートを開けるほどの太い幹は見当たらない。しかし、絨毯を床に敷きたい。惜しいな。

 

アイスウォール!

ワープ!

 

うん、いつもと同じ漆黒のワープゲートが、氷の壁に作れた。

ヴァニーユが絨毯を回収して、露天風呂までワープで帰る。

 

5人とも、返り血でベタベタだ。家に上がる前に洗い流さなくては。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

観戦から帰った当日

 

 

【辺境伯家の帝都事務所での会話】

 

「マモル殿のパーティは、出鱈目な強さじゃの。ヒルデガルド、どう思う?」

 

「ご主人様の全盛期とマモル様は、総合的には同等かな。でも、いくらボロボロの盗賊とはいえ、あの人数で1撃も入らなかったのは驚異的よ。人間族とは思えない動きで、底が見えないわ。マモル様は、私達の質問には適当に答えて誤魔化してたわよね。」

 

「一対一なら、マモル殿をヒルデガルドやアーデルハイトなら抑える事も可能でしょうが、あのパーティの対人戦に慣れた動きも目を見張りましたな。魔道士の我などは、フレイヤのお嬢さんが真っ先に狙うでしょう。マモル殿やフレイヤの素早い動きだと、単体攻撃魔法を避けるかもしれませんぞ。もう1人、恐らく魔法使いが居るとすれば、全盛期を過ぎた我々のパーティだと勝てるとは断言できませんな。」

 

「ベルガー、やはりマモル殿とは友誼を結ぶ方向性で正解だったの。未だに我らが辺境伯家最強パーティでは、先が暗いわ。ヒルデガルド、アーデルハイト、いつまでも美しさを失うなよ。余とベルガーの死後、2人はマモル殿に気に入られねばならぬからの。」

 

「ご主人様、エルフの騎士団は壊滅させられちゃったけど、今日1日で、それなりの数の盗賊が削れたわ。間髪を入れずに帝国騎士団を動かせば、『スパルタクス団』は潰せるんじゃないかしら? マモル様が捕虜を取ったから、情報は引き出せるし。」

 

「ヒルデガルド、帝都の貴族共に盗賊を一網打尽にする能力があるとは疑問よ。良い所まで行っても、詰めが甘く残党を取り逃がすのではないか? とは言え、帝国騎士団にも働いてもらうべきであろう。そちらはベルガーとアーデルハイトで頼む。余とヒルデガルドは、辺境伯領まで落ちて来た盗賊や不良商人を狩る体制を整える。ふふ、先日も儲かったしのう。」

 

「御当主様、『スパルタクス団』の件でのマモル様の献策は、一介の冒険者レベルを遥かに超えています。我らは以前からの借りもマモル様に返し切っていませんし、早急に、マモル様への褒美を考える必要があります。利害関係ほど信頼に足る関係はありません!」

 

「ベルガーに聞いたが、マモル殿の主計官も優秀で、アーデルハイトは懇意らしいの。素直に、マモル殿の主計官とアーデルハイトで”握り”を入れるのが最も誠実ではないか? マモル殿も余と同じく変わり者ゆえ、その辺の貴族や冒険者に送る褒美では喜ばぬであろうしの。しかし、辺境伯家の誇りも絡む話だ。マモル殿には、褒美をキッチリ受け取ってもらわねば困るしの。」 

 

 

 

【マモル側の露天風呂での会話】

 

「久しぶりの盗賊戦だし、魔法が使えなかったから疲れたわ。返り血でグチャグチャだから、洗うのが大変だよ。」

 

「収入は、金貨5枚と硬革の防具一式に青魔結晶、絨毯は細かい柄が入っている高級品ですから金貨2〜3枚の価値でしょう。悪くはないですが微妙な所です。ご主人様、盗賊のバンダナは燃やしちゃいます?」

 

「いや、イリス、洗濯したら一度試してみるよ。盗賊のバンダナで身体能力がどの程度上がるか、実験したいんだ。」

 

「ご主人様、『スパルタクス団』ってエルフ騎士団の装備品を手に入れたよね。強くなって暴れ回るのかな?」

 

「う〜ん、フレイヤ、どうだろう。『スパルタクス団』の人数も半分以下の200人強まで減った筈だから、エルフ達の装備品を狙いに冒険者や中小貴族達が襲うかもね。別に盗賊を狩るのに、今日みたいに正面決戦する必要は無いんだし。少しづつ闇討ちして削れば、狩れるんじゃないかな。」

 

「ご主人様、探索者ギルドのジャンヌ経由で、帝都のベテラン冒険者に情報を流してはいかがでしょう? 『スパルタクス団』が人数を回復させる前なら、盗賊狩りでエルフ騎士達の装備品を奪える筈です。冒険者にとっても悪くない話だと思いますけど・・。」

 

ソフィアの提案を、お湯に浸かりヴァニーユを侍らせ、乳を揉みながら考える。

 

最初に突撃した冒険者50人は駄目っぽいが、仮にエルフ騎士の生き残りが戻れば報告は盛るよな。身代金を取る手段が無いから捕虜は取らないだろうけど、いくら何でも野戦で玉砕ってのは考え難い。帝国騎士団の観戦武官も、盗賊の残存戦力を盛って報告するかも。まあ、探索者ギルドの常連は市井のベテラン冒険者らしいから、情報を提供すれば自分で判断するだろうが・・、言うだけ言っとくか。

 

「ご主人様、ヴァニーユが辺境伯家の帝都事務所に泊まった夜、アーデルハイトお姉様は丸1時間もベルガー様に”よがり泣き”させられてました。死後相続の件は、当分先の話になると思います。ご報告が遅くなり申し訳ありません。」

 

人生50年の世界で、69歳で色魔も無しにバリバリか。ベルガーは侮れないなぁ・・。




春の63日 午後
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