早朝の迷宮は、ソマーラの41階層の続きをやる。
昨夜の夜伽で、ご主人様の色魔とエゲリアの淫乱はLv32→33に上がっていた。戦闘力は、昨日より少し上がったはずだ。
「ご主人様、昨夜のエゲリアの鳴き声にはイリスも興奮しました。今夜もやります?」
「いやイリス、遊び人も使った色魔*2は気持ち良いんだけど、昨夜のエゲリアはビクビク痙攣して過呼吸気味になっちゃったんだ。大きさに慣れて感度が上がり、限界が来るのも早まってる。少し可哀想だし、迷宮探索に影響すると危ないよね。エゲリアは、暫くは優しく抱くよ。」
「旦那様ぁ、ありがとう。昨夜は中イキが止まらなくてヤバかったの。処女じゃあるまいし、朝になっても入ってる感覚が抜けないんですよ。旦那様の女がエゲリアとユリアの二人だけだったら、身体が持たなかったわ。」
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ワープで41階層の小部屋に移動する。
パーティメンバーは昨日と同じだ。起床して最初の探索なので各人で軽くウォーミングアップするが、エゲリアも走れそうで問題ない。
サンダーボール!
サンダーボール!
メテオクラッシュ!
朝イチでMP満タンだし、最初に出た魔物集団6匹にはメテオクラッシュも使う。
今日は、遊び人の効果を知力(中上昇)→精神(中上昇)に変更し、ビープシープのビープ音への耐性実験をしてみる。精神の効果は状態異常耐性だから、ビープ音で睡眠に陥る確率を抑えられる。当然、魔法の威力も下がるが、雷魔法は破壊力より魔物の麻痺を狙って撃ってるので、比較的影響は少ないだろう。
この世界の理を、ゼロからここまで解明したミチオ君には感謝だ。最適解は、コツコツ実験してみないと判明しないんだよ。
小休止を挟みながら2時間ほど探索を続けるが、ビープシープに眠らされたパーティメンバーは出ていない。精神を増強した効果はあったと思う。
「あ、ご主人様、アイテムボックスの数が増えてます、やりました!」
鑑定!
ソフィア:探索者Lv47 30歳 女 人間族
「おめでとう、ソフィア。確かに探索者Lv47に上がってる。今日は、辺境伯家とのランチ会食でドープ薬を受け取る段取りだったよね。ドープ薬3個飲めば、探索者→冒険者にジョブチェンジ可能になる筈だ。ソフィアが冒険者になれば凄く楽になる。楽しみだよ。」
「ご主人様、ありがとうございます! ご主人様の鑑定でアイテムボックスの無いジョブでもレベルが見えますから、探索者以外もLv47→Lv50にして上位ジョブを取れますね。ドープ薬はオークションでも入手可能ですから、お金でレベル3つが買えます。ブルーノ伯爵家では、高価なドープ薬を大量に買う経済力はなかったので、最後のLv49→Lv50を上げる程度にしか使えなかったんですよ。ウチは、その辺の貧乏騎士団より凄く有利です!」
う〜ん、ブルーノ伯爵家の騎士団は、資金繰りが厳しかったのか? 元一番奴隷のソフィアが言うのなら、そうなんだろう。貴族も大変なんだな。
フィールドウォーク可能な距離がレベル依存なのは確実だから、ある程度は冒険者のレベル上げも必要になる。
ソフィアの冒険者が育ったら、孕ませて後方支援業務に移動させるつもりだが、慎重にやらなきゃ。イリスとアルフリーダに相談しとく時間も十分ある。この世界の奴隷制は、元の世界の近世奴隷制度より社畜や農奴に寄った距離感だし、万が一、女の修羅場になったら目も当てられない。
ちょうど麻痺した魔物を殴ってMP回復できたので、早朝の迷宮探索は早めに切り上げる。
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朝食はカメリアオイルで白身を揚げ、フィッシュフライにしてみた。
白パンにフィッシュフライは我が家で最も人気のメニューで、女の娘達はガツガツ食べている。我が家の人数も12人まで増えているが、肉食化が進んだ分、一人当たりのパン消費量は減っていて、量的には十分っぽい。焼かれてから3日目のパンは少し固いので、ご主人様はスープでふやかして食べている。
孕んでるユリアとヴァニーユも、フィッシュフライは大好きでバクバク食べる。せっかくのカメリアオイル=椿油が勿体無いので、ご主人様は”かき揚げ”を作ってみた。兎人族のフレイヤと猫人族ヴァニーユはネギや玉ねぎを普通に食べていて、『獣人と人間族で食材は変わりませんよ』と言ってたから大丈夫だろう。
「アフロディア、フィッシュフライは美味しい? エルフは肉や揚げ物を食べないイメージだけど、嫌いだったら遠慮しないで言ってね。」
「ご主人様、そんなのエルフの都市伝説です。カメリアオイルなんて最高級の油を使った揚げ物、奴隷に売られる前にも食べたことなかったですけど、肉も揚げ物も超美味でアフロディアは大好きですよ。あの、『侍女の嗜み』をヴァニーユから習いました。食べまくって、アフロディアはご主人様好みの肉付きの良い身体になります!」
”女は揚げ物が好き!”と言うが、うちの女性達にも間違いなく当てはまる。しかし迷宮とベットでの肉体労働からか、食べる割には脂肪少な目で皮膚も薄い。腰回りが育った女の方が、美味しいんだけどなぁ。
「ご主人様、辺境伯家とのランチ会食ですけど、誰が同行しましょうか?」
「イリス、そうだね、面識のあるイリス・フレイヤ・ソフィア・アルフリーダ・ヴァニーユが一緒に行こう。揃いのスカートにハイヒール姿が、会食で映えると思うよ。辺境伯家との付き合いは政治の側面も強いし、風呂で髪と肌を磨いてから早目に出ようか。」
「ご主人様、スカートを摘んでお辞儀する挨拶、あれ、フレイヤもやった方が良いの?」
「う〜ん、カーテシーのことだね。教養として身に付けて損は無いと思うけど・・、ソフィア、どうなんだろ?」
「貴族社会では、女性の嗜みとしてカーテシーは必須です。メイド教育でもやりますし、ソフィアも練習しましたよ。ただ貴族の習慣ですから、自由民のご主人様の奴隷は知らなくても問題ありません。ただ逆に、カーテシーが美しい奴隷なんて希少ですから、ご主人様の評価が上がるかもしれませんね。」
「ヴァニーユも、カーテシーは出来るの?」
「はい。繁殖の女は、子供の頃の奴隷教育で叩き込まれてから、お屋敷のメイド奴隷に上がります。猫人族の女は尻尾も持ち上げてお辞儀するので、狼人族より可憐に見えて得なんです。何故か、人間族に男受けしますね。スカートの長さでも美しい持ち上げ方が変わるので、練習しといた方が良いと思います。」
良い機会だろう。朝食を終えてから、イリス・フレイヤ・アルフリーダはハイヒールを履いて、ソフィアとヴァニーユを教官にカーテシーの練習をする事になった。
ヴァニーユは、ハイヒールウォーキングも教えられると言っている。また性奴隷の礼儀作法は、家の中では足を組まず常に股を開いているのが正しいが、外では脚をピッタリ閉じて椅子に座る。性奴隷がこれを忘れると、主人の程度が低いと侮られるらしく、ソフィアが厳しく指導している。
練習→即実戦の流れは効率的だし、この機会に集中特訓させておこう。
淑女の特訓を優先するので、午前中の迷宮探索は休みだな。
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時間が空いたので、久しぶりに太陽の下を散歩する。
ノラとアフロディアに見つかったので、二人を誘って一緒に出た。背が高い女性を二人も引き連れて歩くと、承認欲求強めのベンチャー経営者みたいだ。
村の通りを歩いていると、村人が「ふき」の皮を剥いているのを目にする。陽が長くなって来たから、「ふき」の季節だなぁ。ソマーラの村では、どこの家の北側にも「ふき」が大量に自生していて、台所の排水で水やりしている。もちろん春には茎を食用にするのだが、本命の用途は、「ふきの葉」をトイレでお尻を拭くのに使う。
原作には、帝国解放会のロッジの資料室で、セリーが「パピルスで書かれた報告書を羊皮紙に筆写するバイト」のシーンがあった。”羊皮紙”と”パピルス”が存在し、まだ「製紙が発明されていない文明」なのは100年前から変わっていなかった。帝都のスークや、ベイル・ドブロー・ザビルの商店でも紙を見たことがないから、本当に無い。
元の世界でも、大抵の田舎の旧家の庭には、アジサイ・イチジク・フキが自生してる。我が家の北の日陰でもフキが大量に自生しているが、問題は、葉っぱ枯れる冬だ。異世界で「ふきの葉」が枯れて摘めない秋〜冬はどうするか、ノラに聞いたら、「イチジクの落葉を取っておくんですけど、すぐに無くなります。冬〜初春にかけては『麦わらの縄』を切って拭きます。」との事だ。
冬までにトイレの文明化は急務だ。異世界に来てから一度パピルスで拭いてみたが、あれも無理だわ。現代の日本人にとって、トイレの大の問題を甘く見てはいけない。パピルスで尻は拭けない。ミチオ君はどうしてたんだ?
「ノラ、『ふき』の茎から剥いた皮って、何かに使ってるの?」
「え、そんなのゴミです。『ふきの皮』は硬くて食べられないから、捨てるんです。」
フキを煮る前に剥く皮って繊維=セルロースだから、”ちり紙”が作れるんじゃないか?
製紙とは、木質からリグニンを分離し、残ったセルロースをバラバラに分解して、薄く乾かす作業だ。ちり紙程度の品質なら、セルロースを取り出す原料は何だって良い。柳の樹皮から化粧水を作った時も、煮出した後の樹皮は捨てず、乾燥させ物置に保管してある。夏至の頃の紫外線で、多少なりとも木質のリグニンを分解させてから、セルロースを取り出して紙にしようと思ってた。ただ、ソマーラの村の水源は井戸しか無いので、水を大量に使う製紙には根本的に向いてない。煮る熱源にブランチを使うのも、勿体無いんだよな。
しかし、せっかく目の前に『ふきの皮=セルロース』が山積みなのはチャンスだ。捨てられる前に回収して、紙漉きの実験を始めるか。
「ノラ、『ふきの皮』は捨てるんなら、集めときたいんだ。どうすればいい?」
「え〜と、乾燥させないと腐っちゃいますよね。家々を回って『ふきの皮』を集めて、天日干しするだけの作業です。あの、子供にやらせて手間賃を渡せると助かるんですけど・・。」
「今の季節だけのアルバイトだね。それで良いよ。人選も手間賃もノラに一任するから、早急に手配して。」
「はい、旦那様、ありがとうございます!」
ノラは、村の西に走って行く。
ノラは迷宮探索に入るパーティメンバーだが、つい30日前まで処女だった。しかし、入れて以降の身体は急成長していて、特にノラの腰回りはお気に入りだ。ご主人様が、「ちょっとした利権」をお気に入りの愛人に与えるのは自然だろう。たぶん、問題ない。
その後は全員で風呂に入り、リビングで、帝都の高級服屋で作った一張羅に着替える。
風呂では「ハニトラ対策です!」とアルフリーダが強く主張して、ヴァニーユにサクッと抜かれている。
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パーティ編成をイリス・フレイヤ・ソフィア・アルフリーダ・ヴァニーユに入れ替え、6人でザビルの冒険者ギルドまで一気にワープしてみる。MPはギリギリ持った感じで、気持ち悪くならずに済んでいる。MP容量も確実に成長してるな。
「あら、マモル様、お久しぶり。今日は御当主様とランチ会食なんでしょ。ヒルデガルド様が楽しみにしてたわよ。」
ザビルの冒険者ギルド受付の女性には、ガッチリ顔を覚えられている。連絡も受けてる様子だな。
「久し振りだね。仕事は忙しいの?」
「帝都事務所に人を抜かれたから、以前に増して忙しいわよ。春と夏の間の休日が待ち遠しいわ。」
ザビルの冒険者ギルドは人が多かったが、忙しいと言ってるうちは、まだまだ働ける。
辺境伯家は週90時間労働をやるブラック企業の雰囲気じゃないし、フィールドウォークの拠点は大事にされるよ。
冒険者ギルドからザビル騎士団の事務所まで、街並みを観察しながら歩くが、人が多く賑わっている。人間族より獣人やドワーフが多い上に、ギリシャ・ローマ風の布を巻きつけた服の人も多い。女性の普段着は、ドイツ語圏南部のディアンドルっぽい服装かな。帝都やクーラタル以上に、ザビルの町はカオスな多種族多民族都市に見える。
「アルフリーダ、アーデルハイトさんがザビルの町に『迷宮の淑女』商会の拠点をくれるって言ってたよね。何に使おうか?」
「最初は、ザビルの町からさらに東方、カッシームの物産を調べる拠点にします。お金に困ったらソマーラの周辺で安くザビルの町で高い物品を探して売りますけど、極端な話、嵩張らなくて価格差が大きい商品なら何でも良いんですよ。あと、ソマーラの村には金物屋がいないので、信頼できる職人が見つかれば囲い込みたいですね。」
この世界には大量輸送手段が無いから、商材が限定されるよなぁ。嵩張らなくて単価が高い物って、染料・薬品・書籍・スパイス・植物の種・香料ってとこか。この世界にもサフランやバニラが存在するのか、そのうちアルフリーダに聞いてみよう。移動魔法で飛行機より早いんだから、パーティ6人で背負子(しょいこ)を背負い、強壮剤を飲みまくってMP回復しながら運ぶんだよね。持てる範囲の限界はあるだろうが、ある意味、元の世界より効率的なんだよな。
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冒険者ギルドから騎士団へ先触れを走らせたのだろう、騎士団事務所の入口で、辺境伯の一番奴隷であるヒルデガルドに出迎えられる。
「ザビルへようこそ、マモル様。今日は美味しい物を用意したから、楽しんでいってね。ウチのご主人様もベルガーも、奴隷と一緒のテーブルで食事するの気にしない人だから、皆も普段通りで大丈夫よ。」
ヒルデガルドに連れられ、小綺麗なレストランに案内される。騎士団事務所のすぐ裏にある店は貸し切りにしていて、ザビル辺境伯・ベルガー・アーデルハイトが既に歓談していた。
「おおマモル殿、よく来てくれた。ここは我らの親の代から使ってる店での、スタッフも”分かってる者”を選りすぐっておる。微妙な話をしても問題無いゆえ、大いに会食を楽しもうぞ。」
やはり、単なる会食と言うよりパワーランチらしい。
「辺境伯家のお招きを賜り、恐悦至極に存じます。本日は、私の信頼する奴隷達も連れて参りました。ご同席賜れれば幸いで御座います。」
ご主人様の口上が終わると同時に、イリス・フレイヤ・ソフィア・アルフリーダ・ヴァニーユの5人が一斉にスカートをつまむ。辺境伯とベルガーは、カーテシーに驚いた顔色だ。皆、ハイヒールで綺麗にお辞儀できてたんだろう。
「おお、見事な挨拶である。この辺の貴族の子女では、ここまで華麗なカーテシーの披露は少ないぞ。マモル殿の口上は冒険者とは思えぬと思っておったが、所有する奴隷まで礼儀作法を身に付けてるとは、流石よのう。」
「お褒めに預かり光栄で御座います。ヒルデガルドさんやアーデルハイトさんには遠く及びませんが、皆、自慢の性奴隷なんですよ。」
「ふふ、彼女達は単なる性奴隷ではあるまい。マモル殿は、冒険者なのに腰が低いのう。」
ベルガーに即され席に座ると、ランチなのに前菜から始まるフルコースだった。うん、普通に美味しい。領地に海を持ってるから、料理に海産物が豊富で羨ましいな。
「マモル様、急ピッチで進めていた海岸部から領都への街道整備も、形になりつつあるの。漁港に今朝上がったカジキが、もう店に届いたのよ。」
「アーデルハイトさん、それは凄いよ。ベルガー殿が、肥料運送用に整備を始めた道でしょ。早くも付随効果が出るとは、投資判断は当たりだね。」
会食では重い話も出た。ヒルデガルドによれば、『スパルタクス団』絡みの違法奴隷を連れた不良商人は10名捕縛し、拉致された数十人の女を保護した。しかし帰る家そのものが、『スパルタクス団』に皆殺しにされて消滅している女ばかりだ。その上、保護した女達は輪姦されていてボロボロだったそうだ。
「でね、保護したけど親類縁者も死んじゃってる女が多いのよ。帝国西部の零細貴族の子女はウチの騎士団に入れて使うけど、商家出身の女はマモル様の所で引き取らない? 人間族の商家だと、盗賊に輪姦されてるってだけで行き場所が無いの。マモル様なら、そんなの気にしないでしょ。」
「アルフリーダ、どうする?」
「商家の娘なら、ザビルの町で頂ける『迷宮の淑女』商会の拠点で使いましょう。輪姦など、ご主人様が上書きすれば全く問題になりません。むしろ、帰る場所が無い娘はご主人様へのロイヤリティを期待できます。秘密保持の観点からは、望ましい人材かと。」
「ヒルデガルドさん、ご主人様は凄いんだよ!」
フレイヤが威張ってるが、何故か辺境伯もベルガーも喜んでるから不問にしよう。
「余も、マモル殿と出会ってから大分儲けさせて貰った。これからも、友誼を深めたいものよの。アーデルハイトから褒美の件も聞いておる。用意してあるから、後でアイテムボックスに納めてくれ。しかしマモル殿は、いささか遠慮し過ぎではないか? 余とマモル殿とベルガーの三人は、義兄弟も同然じゃぞ。」
いやいや、ヒルデガルドとアーデルハイトを死後相続するのは先の話だろうに。グイグイ来るよなぁ。
「御前のお言葉に有難く甘えさせて頂ければ、私の一番奴隷のイリスに、辺境伯家の鍛治師と情報交換をする機会を頂きたく存じます。彼女は鍛治師を超えて、隻眼まで育てるのが目標なんです。」
「なんだ、そんな事ならお安い御用だ。直ぐに我が家の鍛治師を集めさせよう。イリス殿に伝授されたサイハイブーツは大好評で、女性騎士ばかりか、最近は文官の女まで履いているぞ。」
ヒルデガルドの後ろで控えていた若い騎士が、店を出て走る。辺境伯家の鍛治師に集合命令を出すんだろう。できた部下だ。
「それはそれは、イリスが役に立てて良かった。『竜革のサイハイブーツ』の製造にも成功しましたから、レシピなどお譲り致しましょう。ところで、昨日、私どもの村にドライブドラゴンが来襲したのです。あれを撃ち落とすのに凄くに苦労しました。そもそも、迷宮から外に出たドライブドラゴンを討伐する定石ってあるのでしょうか? 秘伝でなければ御教授いただけると幸いなのですが・・。」
「マモル殿、魔道士の我でもドライブドラゴンは落すのに大変じゃぞ。魔法に抵抗力がある魔物は、ヒルデガルドのような脳筋向きなのだ。騎士に”鋼鉄の鎧”を装備させた上、”防御”スキルを発動させる。これで簡単には死なないゆえ、”惰眠”がスキル付加された武器を持たせ囮にするのだ。ドライブドラゴンが囮の騎士に食い付いたら、百獣王のスキルを叩き込んで仕留める。一撃で決めれば、空に逃げる暇を与えないからの。」
「なるほど、”防御”に”ビーストアタックの上位スキル”ですか。やはりドライブドラゴンには、魔法より物理なんですねぇ。」
会食も既にデザートまで進み、生クリームケーキが出た。
この世界で乳製品は貴重だ。辺境伯領は帝都と変わらぬ文明レベルだと、暗にアピールしてるのか?
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食事は終わったが、辺境伯とベルガーは飲み足りなさそうだ。
辺境伯がアルフリーダを、ベルガーがソフィアを、横に侍らせながら幸せそうにワインを昼飲みする。二人とも仕事人間の雰囲気がプンプンする人種だから、領地経営の話に着いて来れる女は楽しいんだろう。銀座だったら座って5万円だな。バブル期は、座って10万円だったらしいぞ。
辺境伯と家令のベルガーから娯楽を取り上げるのは不敬だろう。気にせず放置する。
「ヒルデガルドさん、つかぬことだけど、ザビルの迷宮って討伐不可能な階層まで育ってるの?」
「100年前からある迷宮だから、かなり成長してると思う。でね〜、64階層からは最大魔物数が7匹になってキツいのよ。私とアーデルハイトで2匹づつ抑えても、ご主人様達の所に3匹が行っちゃうでしょ。さらに67階層からは難易度は一段上がって、34~44階層のボスが通路に複数出るの。私とアーデルハイトには多少の余裕があったけど、ご主人様とベルガーは全盛期を過ぎてたから、万が一の事があると辺境伯家が終わっちゃうでしょ。私達の迷宮探索は、67階層を突破した所で終わりにしたわ。」
「ボス部屋まで2パーティで探索する手は? 67〜77階層のボスは最上位種だけど、魔物の総数は3匹だけですよね。」
「それも検討したんだけど、ウチの騎士団には、私達に付いて来れる人材が育たなかったのよ。私達の次に強いのが54階層まで突破してるパーティなの。世間的には十分強いんだけど、流石に67階層以上に連れて行くのは自殺行為なのよね。マモル様達が一緒に来てくれる?」
「いやいや、ウチは単なる自由民のパーティで、迷宮には生活の為に入ってるんだもん。安全第一だから、戦闘時間が長くなる階層には上がらない方針なんですよ。ちなみに、迷宮討伐してギルド神殿を入手したら自由民でもギルド開設して良いの?」
「う〜ん、それって違法じゃ無いんだけど、既存のギルドがある町で新しくギルドを開設すると、きっと既得権益を持っている側から決闘を申し込まれるわよ。面倒だから、自由民は叙勲されて領地を貰うまでギルド神殿は使わずに取って置くべきかもね。」
なるほど、良い話を聞いた。そりゃ、転職料収入の既得権益は守りたいよ。逆に考えれば、ソマーラの村で”こっそり”ギルドを開く分には問題にならないのでは? お宝のソマーラの迷宮は討伐しないから、討伐用にサブで入る迷宮が欲しいな。
隣にアーデルハイトが座り、話に割り込んで来る。
「ヒルデガルド、あなたはマモル様に気に入られた? アルフリーダとソフィアは、私たちのご主人を籠絡しちゃったわよ。兎人族の生足と人間族の微乳に免疫が無かったなんて、まさかの盲点だった。あの二人、チヤホヤするの上手よね。」
「でも、ハニートラップに引っかかる前に分かって良かったじゃない。アルフリーダとソフィアに時々相手してもらえば、ハニトラ対策になるわ。マモル様、お尻ぐらいは揉むの許してあげてね。」
「ヒルデガルドさん、あの二人は大人の女だし、お尻や胸を触るぐらいまでなら嫌じゃないと思うよ。で、つかぬ事だけど、辺境伯様やベルガー殿には人間族の性奴隷はいるの?」
「貴族の正妻や側室はね、結納金目当てで押し付けられるのよ。性奴隷は、奴隷オークションで買う貴族が多いわね。でも辺境伯家では、借金を残したまま死んだ騎士の未亡人を、ご当主様やベルガーが買う習慣にしたの。もし旦那様の種で孕めれば、子供が15歳で成人するタイミングで、未亡人や連れ子も一緒に奴隷解放して臣下にするわ。これなら、任務で死んでも家族の生活は安心でしょ。騎士団員のレベルが上がっても、冒険者に人材が流出しなくなったのよ。」
う〜む、なるほど。大貴族の当主だろうが、領地運営の歯車なんだ。このエグい女二人が死後相続で来るのも、辺境伯とベルガーの死後、辺境伯家に不利益になる行動は取らせないって調略だよなぁ。時々、情報を抜きに会うべきかもしれない。アルフリーダとソフィアなら簡単には飽きられないだろうが、諸刃の剣でもある。悩ましいな。
春の67日 午後