昨日の朝食前、ベイルのレストランへ焼き立てパンを受け取りに行き、帰りはソフィアの冒険者を試してみた。ベイル→ソマーラの距離なら、フィールドウォークで問題なく飛べている。少なくとも帝都やクーラタルまで飛べる程度には、冒険者のレベルを上げておきたい。
また昨日から神官を外して6thジョブに戻し、昨日の午後にソマーラの迷宮42階層は突破した。
ちなみに42階層のボスはエルダーウッド(創作)で、ドロップ品はケーン(創作)だった。イリスは辺境伯家の鍛冶師とに情報交換で、ケーン10本→ロット1本の武器製造レシピを入手している。通常のアフロディアは魔法使いジョブにしているから、近いうち、イリスに武器製造させよう。
今日の早朝の迷宮は、昨日の続きでソマーラの43階層に入る。
オーバーホエルミング!
サンダーストーム!
サンダーストーム!
ビープシープのビープ音には詠唱中断が効かないので、混じっている場合、ご主人様がダマスカスステッキで殴り倒している。
ただ、最初からご主人様も突撃するのは、女の娘たちは良い顔をしないんだよな。
「ご主人様、スキル結晶があった。どの魔物から落ちたのかな?」
鑑定!
羊のスキル結晶
「フレイヤ、えらいぞ。羊のスキル結晶だからビープシープだね。一撃入れると目覚める”睡眠”は全体攻撃魔法と相性が悪いから、武器に融合してもウチのパーティだと使いにくいな。フレイヤの防具に融合して”睡眠防御”にしようか?」
「う〜ん、魔物に眠らされたことないから要らない。それより、適当な武器に融合して売っちゃおうよ。獣戦士は眠らせた魔物に”ビーストアタック”を打ちこむのがセオリーって、ヒルデガルドさんが言ってた。なら、睡眠の武器は狼人族に需要があるよね。きっと高く売れるよ。」
適当な装備品にスキル結晶を融合した品は、商人ギルドのオークションに出さず、ザビルの町で『迷宮の淑女』商会が捌けないか? この辺も、アルフリーダと相談しなくちゃ。
「ご主人様、43階層はホワイトキャタピラー(糸)・ウドウッド(水)・ビープシープ(睡眠)・パーン(全体攻撃魔法)と、厄介な攻撃をする魔物しか出ない階層ですね。ウチのパーティならフレイヤ・エゲリア・ノラの3人が一気に距離を詰めて詠唱中断しますけど、普通のパーティなら被弾が多くなって難しい階層だと思います。」
「イリスの言うとおりですね。ソフィアも、コボルトのスキル結晶抜きで『詠唱遅延』にしてたら解除が間に合わなかったと思います。『詠唱中断』の武器を5本揃えて探索するパーティなんて聞いたことないですし。」
「メッキが掛かってるから1発なら直撃を喰らっても大丈夫だと思うけど、まだソフィアの冒険者はレベルが低いから細心の注意を払って。ところで、仮にブルーノ伯爵家のパーティだったら、どんなパーティ編成で攻略するの?」
「戦闘奴隷の竜騎士を盾にして進むのが定石です。竜騎士は竜人族の種族固有ジョブで、”ダメージ軽減”のパッシブスキルを持ってますから。ただ竜人族の人口は少ないゆえ奴隷も高値になりがちで、奴隷オークションで見目美しい竜人族の処女奴隷が出品されると、60万ナールを超える落札も珍しくありません。亡き伯爵様は『そこまで出すなら良い防具を買い揃える方が安上がり!』が持論でした。」
なるほど、被弾前提の迷宮探索なのか。そもそもウチのパーティとは前提が異なるし、60万ナールもする竜人族の奴隷には興味が湧かない。ただ実際問題として、スポーツカーと軽自動車のコスパが比較検討されることが無いのと同様、奴隷を嗜好品として購入する人には損得なんて二の次だろう。
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焼き立てパンと肉野菜スープの朝食後、迷宮探索に戻り1時間ほどでボス部屋を発見する。
「ご主人様、シルバーキャタピラーはベイルの迷宮で経験済みですから気が楽ですね。魔物の正面はイリスが抑えますから、ご主人様はサンダーストームの砲台をお願いします。」
「ごめん、イリス。待機部屋で小休止にしよう。設定を調整したいから少し時間が欲しいんだ。皆は水筒のお茶を飲んで休憩してて。」
考えを総合的に整理し、シルバーキャタピラーでボス周回を重ねる予定にする。
①ミスリルスレッドと芋虫のスキル結晶を集めたい
②流石に1日1階層のペースでは、女の娘たちのレベルアップが付いてこない。
理由は主に上記二つに集約される。しばらく43階層に留まるなら、ならばジョブ構成もシルバーキャタピラー2匹相手に最適化しておくべきだ。
【マモル】 硬革の手袋
武器:フラガラッハ(31)
頭装備:盗賊のバンダナ
胴装備:ダルマティカ(空き)
足装備:駿馬の硬革靴(移動力増強)
アクセサリー:ひもろぎの聖銀ミサンガ(知力二倍)(ダメージ逓増)
5ジョブ(15) キャラクター再設定(1) 詠唱省略(3)
獲得経験値二十倍(63) 必要経験値五分の一(15)
MP回復速度五倍(15) 合計143
英雄Lv45:腕力HP体力MP知力精神器用敏捷(中上昇)
遊び人Lv42:腕力(中上昇)
盗賊Lv28:敏捷(小上昇)
魔道士Lv27:知力(中上昇) MP(小上昇) 精神(微上昇) 体力(微上昇)
剣士Lv14:腕力(小上昇) HP(微上昇)
【イリス】 革のサイハイブーツ
武器:強権の槌(詠唱中断)or全麻の槌(麻痺添加)orスリング
頭装備:竜革のカチューシャ(空き)(空き)
腕装備:竜革の手袋(空き)(空き)
胴装備:頑強のダマスカス鋼プレートメイル(物理ダメージ削減)(空き)(空き)(空き)
アクセサリー:いかりの指輪(攻撃力五倍)(ダメージ逓増)
鍛冶師Lv34:腕力(中上昇) 体力(小上昇) 器用(小上昇)
【フレイヤ】硬革の鎧
武器:強権のダガー(詠唱中断)orスリング(空き)
盾 :木の盾 (空き)
頭装備:竜革のカチューシャ(空き)(空き)(空き)(空き)
腕装備:竜革の手袋(空き)(空き)(空き)(空き)
足装備:革のサイハイブーツ(空き)
アクセサリー:頑強のボディークリップ(物理ダメージ削減)(ダメージ逓増)(攻撃力二倍)
闘兎Lv33:器用(中上昇) 敏捷(小上昇) HP(小上昇)
【エゲリア】
武器:全麻のダマスカス剣(麻痺添加)(詠唱中断)(空き)(空き)
頭装備:身代わりの硬革帽子(身代わり)
腕装備:鋼鉄のガントレット(空き)(空き)(空き)
胴装備:硬革の鎧(空き)
足装備:駿馬の竜革のサイハイブーツ(移動力増強)(回避力二倍)
アクセサリー:増撃の指輪(ダメージ逓増)(物理ダメージ削減)
淫乱Lv34:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)
【ソフィア】 硬革の鎧
武器:激情のレイピア(攻撃力二倍)(麻痺添加)(詠唱中断)
盾 :身代わりの鉄盾(身代わり)
頭装備:ダマスカス鋼の鉢金(空き)(空き)(空き)(空き)
腕装備:硬革の手袋(空き)(空き)
足装備:駿馬の革サイハイブーツ(移動力増強)(回避力二倍)
アクセサリー:頑強の指輪(物理ダメージ削減)(ダメージ逓増)
冒険者Lv9:体力(中上昇) 精神(小上昇) 器用(微上昇)
【ノラ】 硬革の鎧
武器:強権のダマスカス槍(詠唱中断)(麻痺添加)(空き)(空き)
頭装備:身代わりの竜革カチューシャ(身代わり)
腕装備:竜革の手袋(空き)
足装備:頑強の竜革サイハイブーツ(物理ダメージ削減)(移動力増強)(回避力二倍)
アクセサリー:増撃のイアリング(ダメージ逓増)(空き)(空き)
錬金術師Lv36:知力(小上昇) 器用(微上昇)
この世界の住人に設定画面は見えないので、外部からは、集中して考え込んでる様子に映るらしい。
ご主人様が考え込んでると、何故かは分からないがフレイヤが膝の上に乗ってくる。女の娘には、フレイヤの身体を撫でながら考えるのが好きと思われてるのか? まあ、無言で身体を撫でられてるフレイヤには癒されるし、邪魔でもないから否定せず習慣にしてる。
「イリス、43階層のボス戦も魔物数2匹だから、効率的には全体攻撃魔法に向いてるわけじゃない。『遊び人』の効果設定も腕力(中上昇)に変更して、物理に振った設定を試してみるよ。久しぶりにボーナス装備の『フラガラッハ』を出して、剣士ジョブの『スラッシュ』スキルで斬り込む。魔法の威力は落ちるけど、どっちみち雷魔法は”麻痺”狙いだからね。」
「ご主人様、了解です。1周6分として1時間で10周=ミスリルスレッド 20個です。明日は帝都の高級服屋で肌着のオーダーで、ミスリルスレッドは前納ですから、チャチャっと集めちゃいましょう。シルバーキャタピラーなら、芋虫のスキル結晶も期待できますがら美味しいです!」
「芋虫は、割と得意な魔物なのよね。ソフィアのレベルは低いから、代わりにエゲリアが1匹受け持つわ。糸を吐くのを詠唱中断しちゃえば、あとは単純な体当たりしか攻撃がないもの。」
「では、ボス1匹につき3人ですね。ソフィアとノラが、イリスのサポートに回ります。ご主人様とフレイヤは、エゲリアが相手をするシルバーキャタピラーを殺っちゃって下さい。」
「フレイヤは、状態異常耐性ダウンの詠唱を唱えながらダガーで刺すのを試してみる。魔物2匹だと背後が気にならないから、詠唱と攻撃を並行できると思うの。」
「あの旦那様、ノラも頑張りますから、フレイヤみたいに触って欲しいです!」
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設定変更を終え、イリスとエゲリアを先頭に、ボス部屋に突入した。
いつも通り煙が集まって、ボス魔物のシルバーキャタピーラーが2匹出現する。
サンダーストーム!
サンダーストーム!
オーバーホエルミング!
エゲリアが正面から襲撃する芋虫の右側面に回る。
スラッシュ!
スラッシュ!
スラッシュ!
両手剣のフラガラッハは、MP吸収が付いてない以外はデュランダルと同様の効果を持つボーナス武器だ。『攻撃力五倍 HP吸収 詠唱中断 レベル補正無視 防御力無視』のチート武器だが、出すのにはBPを31も使う。ご主人様の経験値効率とジョブ数を犠牲にし、BPを捻出する設定に変更した。
43階層まで上がったボス戦ではあるが、イリスとエゲリアがそれぞれ、シルバーキャタピラーの正面を押さえる。ソフィアは盾をバックラーのように使う技巧派だが、イリスもエゲリアも魔物を滅多打ちにするパワーファイタータイプだ。鬼回避の前衛が魔物を押さえる戦闘スタイルの方が、普通じゃないんだよ。コツコツ防具も更新しないとな。
ボス周回を重ねるも、『MP回復速度五倍』では当然の如くMP回復が追い付かない。デュランダルなら『MP吸収』があるが、BP63も必要なので出し難い。『獲得経験値20倍』は自分以外のパーティメンバーにも有効だから、動かしたくないんだよな。
実験も兼ね、遊び人のスキル設定を、サンダーストーム→ラッシュに変更してみる。
サンダーストーム!
スラッシュ!
ラッシュ!
もしかしてと試したが、剣士のスラッシュと戦士のラッシュは併用できた。
MP消費量は、ラッシュ<サンダーストーム の感触なの、MPが節約できる。物理戦闘には使える手法かも。
「あの〜旦那様、なんか剣の威力が尋常じゃない気がしますが何かしてます? ボス周回のペースも、1周4分程度まで速くなりましたし・・。」
「うん、エゲリア。どうやらスラッシュとラッシュは併用可能で、一撃に両方のスキル効果を乗せられるみたい。フラガラッハ自体の威力がダマスカスステッキの二倍として、攻撃力五倍の効果も上乗せされてる。さらにスラッシュで二倍、ラッシュでも二倍と仮定すると、トータルで40倍程度の威力になってるかもしれない。ダマスカスステッキを使うより魔法の威力が弱くなるデメリットもあるから、もう少し戦術実験が必要なんだよね。」
20周回ほどで、今日2個目のスキル結晶が落ちる。通路のホワイトキャタピラーも含めれば相当数の芋虫を狩ったから、確率的な善し悪しは、今一つ判断できないんだよな。
「ご主人様、上位の魔物ほどスキル結晶を落とす確率が上がるので、芋虫のスキル結晶が集め放題です。この場で融合しちゃいましょう。誰の防具に付けましょうか?」
「う〜ん、しばらくの間は43階層でのボス周回を続けたいんだ。シルバーキャタピラーの正面を担当するイリスのカチューシャに融合しよう。」
「了解です、此処は良い狩場になりそうですものね。では融合します。光ますよ!」
鑑定!
身代わりの竜革カチューシャ(身代わり) (空き)
「イリス、今回も成功だ。スパルタクス団のせいで、自爆玉の特攻を受ける可能性が現実になっちゃってるからね、最終的に”身代わり”の装備品は全員分を揃えたい。ホワイトキャタピラーのボス周回で、量産できるかもね。」
「旦那様の分の”身代わり”装備も必要です。シルバーキャタピラーは43階層のボス魔物ですが、今のところ、かする程度の攻撃しか受けてません。エゲリアも、狩場にするのが良いと思います。」
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キリの良い所で帰宅し、テーブルを囲んで昼食を取っていると、ユリアから悪い報告が来た。
「麦の生育なんですけど、やはり例年より遅いです。もうすぐ夏至なのに今年は気温も上がらないし、曇りの日ばかりで日照時間も少ないんです。もう十中八九、この辺りの麦は不作になると思います。もちろん小麦の売値は上がるでしょうが、種籾を取った残りの量じゃ、人頭税の納税額に届かないかもしれません。大麦やライ麦まで不作になる、村人全員が冬を越す食料も足りないです。」
「ユリア、因みにだけど、エルニーニョって言葉を聞いたことある?」
「何それ、美味しいんですか?」
「そうだよねぇ。それと食料不足の時って、ベイルの領主貴族から援助は出ないの? 領民が逃げて流民になったら、人頭税の納税額が減って損だと思うけど。」
「え、援助って何ですか? 領主家って貴族ですよ。徴税額が予定より少なかったら騎士団が臨時徴税に来るだけです。食料不足の時は、娘を売って口減しするor流民になるor他の村を襲うの三択ですね。」
元の世界の暗黒の中世と同様、修羅の国の治安レベルなんだよなぁ。ご主人様は『充実した異世界ハーレム』が目標だが、危なくて安心できないじゃん。困ったものだ。面倒だが、自分の周りだけは何とかすべきなのか?
ナーロッパではトマトやイチゴは栽培されている。この世界でも唐辛子は存在した。異世界独自の作物はキュピコぐらいだ。
しかし今まで回った帝国領で、確認できてない作物も多い。
・トウモロコシ
・ジャガイモ
・さつまいも
・かぼちゃ
・落花生
・インゲン豆
・ヒマワリ
見事なまでに、コロンブス交換で世界中に広まった高カロリー農作物が無い。ソマーラ村近辺で産出する糖質は、麦だけの縛りプレイだ。ちなみに、帝都でさえチョコレートは売ってなかった。カカオも無いらしい。
旧大陸産物は、竹・米・バナナ・人参・玉葱・ゴマの存在を確認している。カッシームの更に東まで行けば、他にも見つけられるかもしれない。砂糖キビや砂糖大根が存在しないのは、迷宮でコボルトスクロースがドロップするからだろう。南方にゴムの木はありそうだが、ゴムタイヤとかコンドームとかの生産でボロ儲けは無理だ。硫黄が極めて高価な世界だから、SS結合で生ゴムの分子結合の強化が難しい。硫酸も作れないから、化学を産業化する難易度も無茶苦茶に高い。
有機リン系殺虫剤が無い前提の防虫だと、樟脳・除虫菊・タバコ・わさび・唐辛子ぐらいしか思い出せないが、今までこの世界では唐辛子以外は見た事がない。タバコなど、我が家の女性達には存在すら認識されておらず、『煙を吸って楽しむ』を誰も想像できない。
異世界がシミュレーションの中だと仮定すれば、迷宮のドロップ品が存在する代わりの制限なのか? 管理者は嫌煙家か?
資金さえ潤沢なら、世の中、大抵のことは解決する。が、地道に食料増産と備蓄で対応しろって意味なのか?
それに、ソマーラ村が不作を切り抜けたとしても、村に余裕がある様子だと襲われるよな。冬までに村の防衛力も上げとくべきだろうが、他の村からの襲撃やベイル騎士団の”たかり”って、返り討ちにして大丈夫なの?
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昼食後のシエスタで、肉布団にミラとアルフリーダを連れ1時間ほどベッドで眠る。
アルフリーダに寝物語で聞いたところ、『自力救済が自由民の本源的価値』なので、『返り討ち』は当然の権利らしい。帝国法的にも全く問題なく、誰かの『庇護下に入る』より上位の価値観と言っている。まあ、そうだよね。
ミラが腰を振っていたのに、ご主人様は、アルフリーダの尻肉を掴んだまま寝落ちしてしまった。
元の世界だと怒られ案件なので昼寝明けに謝ったが、この世界の女性は別に何とも思わないらしい。そう言えばイリスもソフィアも、入れっぱなしの肉布団は好きと言ってた。異世界の素晴らしい風習だよね。
さて、午後の迷宮もシルバーキャタピラーのボス周回だ。
明日は、帝都の高級服屋で女性全員の肌着をオーダーする。ミスリルスレッド110個を先渡しだから、頑張って集めなきゃ。
春の69日 午後