12階層から魔物が一段階強くなる。イリスが言うには、弱点魔法がある魔物が増えるので”魔法使い”がパーティメンバーに欲しいのだが、魔法使いは”ほぼ”貴族パーティが独占している。『幼児期に自爆玉を飲ませ不発させる』のが魔法使いの製造方法だもんな。稀に奴隷オークションで魔法使いが出品されると、白金貨1枚=金貨100枚以上の値になる。
魔法使い無しのパーティだと、中層からは階層突破の難易度が急上昇し、特に最大魔物数が5匹に増える16階層以上はキツいだろう。ソフィアも、『最大魔物数が6匹に増える32階層以上を、魔法使い無しで挑むパーティは皆無に等しい』と言っていた。
「ご主人様、盗賊が釣れたようですよ。13階層に飛んで暫くしてから、フレイヤが後を付けている連中を感じ取ってます。13階層で探索してたパーティとは別に、新たに来た連中に付けられていて、30分ぐらい付かず離れずです。私たちが通った通路の魔物は狩り尽くしてますし、凄く不自然で怪しいですね。」
「迷宮の中では、普通の冒険者でも信用できないよね。証拠が残らないし、魔物との戦闘中に背後から挟み撃ちにされちゃうと厳しいもん。」
兎人族のフレイヤの感覚は鋭く、聴覚が発達している。猫人族のヴァニーユの視覚は、薄暗くても普通に見えている。加えて兎人族と猫人族とも、振動とか気配を人間族より敏感に察知している。イリスとアフロディアにも聞いてみたが、人間族&ドワーフ&エルフの感覚器官は3種族とも同程度で、獣人とは明確に差があるとの認識だった。
「まあフレイヤとヴァニーユがいるから、奇襲される心配がないのは大きいよね。でも対人戦は相手の技量次第で厳しくなるから、緊張感を切らさないようにね。無いとは思うけど、万が一、魔法使いっぽい奴がいたら優先して潰そう。」
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「13階層に入ってから1時間くらい経ちます。ふふ、まだ付いて来るのって私達が小部屋に入るのを待ってますね。冒険者を襲い慣れてる盗賊は、予め小部屋の壁に遮蔽セメントを塗っといてダンジョンウォークを封じるのですけど、昨日突破されたばかりの階層ですから遮蔽セメントを塗る時間は無いハズです。小部屋の出入口は一つだけなので、単純に袋の鼠にしたいんでしょう。冒険者狩りの玄人じゃないですね。」
ヴァニーユも実に楽しそうだ。5人の女の娘たちは、互いの鎧の中に手を突っ込み乳寄せを始めた。これも、襲って来る男に殺すのが惜しいと思わせる対人戦術なのか? 乳寄せは、アルフリーダから教わったんだろうな。
「ご主人様ぁ、『スパルタクス団』の残党だったらいいね。エルフ貴族の装備品を奪ってるんでしょ。剥ぎ取りが楽しみだよ。」
「フレイヤ、相手のパーティから何人くらい感じられる?」
「人間語の声が6人だけど、内、女の声が1人する。仲間っぽいけど、これ何だろ?」
「ご主人様、奴隷契約ではインテリジェンスカードを見られるので、盗賊の奴隷所有は困難なんです。だからその女も、盗賊の可能性が高いですね。生け捕りにすれば奴隷商人に売れますから、女盗賊にはサンダーボールを2発撃ち込んで下さい。上手く麻痺になると良いですけど、死んじゃったら諦めましょう。」
イリスも対人戦を躊躇しない肉食獣化してる。元の世界とは正義の定義が異なるのは理解できるが、イケイケなのは引く所もあるな。ともかく、鑑定で相手のレベルが見えるアドバンテージがある。ヤバいLvの相手だった時はワープで撤退する、ここまでが基本戦略だ。
通路の左先に小部屋を見つけ、小部屋の入口から最も奥の壁際で腰を下ろし、盗賊を待つ。
【マモル】硬革の帽子&手袋
武器:吸精のダマスカスステッキ(MP吸収)
胴装備:ダルマティカ(空き)
足装備:革の靴(空き)(空き)
アクセサリー:ひもろぎの聖銀ミサンガ(知力二倍)(ダメージ逓増)
7ジョブ(63) キャラクター再設定(1) 詠唱省略(3)
獲得経験値二十倍(63) MP回復速度三倍(7) 鑑定(1)
ワープ(1) 等量交換(1) 敏捷上昇(2) 合計142
神官Lv44:MP(小上昇) 知力(微上昇)
英雄Lv47:腕力HP体力MP知力精神器用敏捷(中上昇)
遊び人Lv44:腕力(中上昇)
探索者Lv42:体力(小上昇) 魔道士Lv31
魔道士Lv31:知力(中上昇) MP(小上昇)精神(微上昇)体力(微上昇)
暗殺者Lv30:知力(小上昇) 精神(小上昇)
賞金稼ぎLv30:器用(小上昇) MP(微上昇)腕力(微上昇)
女盗賊は生け取りにしたい。サンダーボールがクリティカルで入ると殺してしまう可能性が強くなるので、博徒 Lv20は外す。代わりに賞金稼ぎ Lv30と入れ替え、BPも微調整しておく。”生死不問”は極めて成功率の低いスキルだったが、盗賊相手にも実験しておこう。
「それじゃ、ご主人様のサンダーボールを合図に、イリスたちが襲いかかる手筈でやります。アフロディアは、一番偉そうな奴にファイヤーボールをお願い。男の盗賊5人は私たちで始末するわ。みんな、ご主人様は予想外の事をする人だから、釣られないようにね。」
「ご主人様、相手が強過ぎるのが鑑定で見えたら、小声で言ってね。闘兎には”瞬発力上昇”のスキルがあるから、フレイヤが殿(しんがり)をやるよ。しくじって捕まっちゃっても、輪姦される程度で殺されないよ。あ、奴らも「小部屋があった!」って喜んでる。う〜ん、ヒャッハーって言ってないから、盗賊かどうか自信無いな。」
「全員にメッキを掛け直し、完了しました!」
「ファイヤーボールの呪文詠唱、開始します。」
念の為、印籠から強壮剤を1粒取り出し飲み込むと、満タン状態にMP回復した感触になる。
さて、準備完了だ。
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「お、先客のお姉ちゃんなんて珍しいな。一休みに、お邪魔するよ。どうだい、休憩の間に情報交換でもしないか? 俺たち、帝国騎士団の先遣隊として雇われてるパーティなんだ。」
鑑定!
探索者:Lv35 人間族 男
盗賊:Lv31 人間族 男
盗賊:Lv29 人間族 男
盗賊:Lv28 人間族 女
盗賊:Lv27 人間族 男
盗賊:Lv26 人間族 男
話かけてきた探索者の男の後には、盗賊だらけじゃん。女盗賊だけは全身を竜革防具で揃えていて、男たちの防具は鋼鉄かな? 武器は、全員が両手剣を腰から下げている。見た目は小綺麗なパーティで、普通に盗賊には見えない。良い装備のパーティから紳士的に声をかけられてたら、恐縮しちゃうのが普通なのか? 格下の冒険者を狩って手堅く稼ぐ予定だったんだろうが、お前ら、運が無かった。
サンダーボール!
サンダーボール!
問答無用で先制攻撃を始めた。詠唱省略ゆえ無言だが、女盗賊にサンダーボールの2連射を撃ち込む。同時に、お揃いのスカートを履いたイリス・フレイヤ・ヴァニーユ・ノラの4人が飛び出す。う〜ん、女盗賊は倒れたが、麻痺なのかはハッキリしない。
ファイヤーボール!
事前詠唱で準備を整えていたアフロディアが、単体攻撃魔法を発射し先頭の探索者に当てる。着弾と同時に、アフロディアは次の魔法詠唱を開始している。あれ、これってチャンスなのでは? 多少MPに不安はあるが、せっかくアフロディアが探索者のHPを削ったのだから、活用せねば損だ。
等量交換!
うぉ〜、一気にMPが抜けていく感触、底はついてないが気持ち悪い。
ご主人様のMP残と探索者のHP残を交換するボーナススキルは、相手のHPが多過ぎるとMP切れになるリスクで、使い所に神経を使う。探索者Lv35に使うには微妙なラインだったが、アフロディアがファイヤーボールを当ててHPを削ったのが功を奏してる。強壮剤の在庫は残っており、1粒取り出して飲み込むと落ち着いた。
女盗賊にサンダーボールを撃ち込まれた上、いきなり探索者が爆ぜるのだから、残りの盗賊4人は固まっている。人間、理解が追いつかない状況ではそうなるよね。ミチオ君も得意としていた対人戦の必勝パターンだ。探索者を潰したので、盗賊のパーティ効果も消滅したハズだ。
イリス・フレイヤ・ヴァニーユ・ノラが、残り4人の盗賊に取り憑く。
ヴァニーユは先頭で飛び出していて、盗賊の腕を掴んで腋下から剣鉈を差し込んだ。ほぼ瞬殺に近い。
フレイヤは、瞬発力上昇を発動したのだろう、最も小部屋の出入口に近い盗賊の後輩に回り込み、首筋にダガーを突き刺す。
イリスが、盗賊Lv31の腕を『グチャ』っとガントレットごと潰す。ドワーフが振り回す槌が当たれば防具が意味をなさず、二撃目で頭を潰した。
ノラは、強権のダマスカス槍(詠唱中断)(麻痺添加)(空き)(空き)で、アウトレンジで盗賊をメッタ殴りにしている。あの子、最初から槍で防具の隙間を突くとか考えてないわ。程なく”麻痺”が発動する。
ノラが最後の盗賊にトドメを刺し、戦闘終了だ。
盗賊の左手を、イリスとフレイヤが死体から切り落とし始めている。盗賊の左手まで迷宮に吸収されてしまうと、排出されるインテリジェンスカードが取れない。それを防ぐ為、切り裂いた盗賊の服の上に左手を重ね置いているな。
「旦那様、剥ぎ取った装備品が綺麗なのは良いんですけど、服に縫い付けてる金貨が全部で8枚だけでした。持ってた魔結晶は全て紫で、コイツら全然貯めてないです。ポケットから『盗賊のバンダナ』が1枚回収できましたが、そんなの売れませんし。ショボイ盗賊でガッカリです。」
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幸いなことにLv28の女盗賊は生きていて、ノラが半裸に剥いて縛り上げた後、ご主人様の『手当て』でHPを回復させた。女盗賊は麻痺から回復し、意識もハッキリとしている様子で、ヴァニーユが尋問している。
「ご主人様、女盗賊は自分からペラペラ喋ってくれて、もう敵対の意思は無さそうです。この6人は零細貴族の次男坊三男坊の出身で、いわゆる強盗騎士って奴らですね。エルフ貴族達の戦闘団が『スパルタクス団』に壊滅させられた戦闘の日の夜、剥ぎ取った装備品を装着して脱走し、今日がベイルでの初仕事だと言ってます。」
「ねえ、まだ私は殺しをやってないし、見逃してよ。あんた達の主人が飽きるまで抱かれるし、零細だけど元貴族の令嬢を犯せるなら良い取引でしょ。ちなみに、女同士も嫌じゃないわよ。」
「あなた、令嬢じゃなくてビッチ? 病気持ってそうな女が、ご主人様に抱かれるなんて無理よ。せめて、実家に身代金を払ってもらうとか言ったらどうなの?」
ヴァニーユの言う通りなのだが、そもそもハーレムメンバーが美味しいので、女盗賊の味見なんて食指が動かない。それにしても、元貴族令嬢の身体ってのは交渉ネタになる程の希少価値なのか?
「大店商家の第6夫人として売られそうになったから、14歳で家出したんだもの、私に身代金なんて払わないわよ。と言うか、お金なんて無いから娘を商家に売るの。実家は、黒パンを食べてる貧乏貴族なんだから。」
「イリス、この女盗賊を奴隷商人に売るとして、どの程度の価値があるのかな?」
「盗賊ジョブに需要は無いんですけど、女盗賊なら性奴隷として買いたがる男はいますね。それに、たとえビッチでも貴族出身の女なら、叙爵を狙っている冒険者が欲しがるんです。殺しをやってないのが本当なら懸賞金は雀の涙ですから、騎士団に引き渡すより奴隷商人に売るのが断然有利ですね。インテリジェンスカードで家名が確認できれば、割と高い買い取り価格になるんじゃないでしょうか?」
「ヴァニーユも、その話は聞いたことがあります。裕福な商人も、貴族の女を嫐る (なぶる)代替品として買うんですよね。新興商人は、性的倒錯者になりやすいって話で、竜人族の男に他種族の女が回されるのを見ながらワインを飲むんですって。人間族の女は貧弱だから、ガバガバになっちゃうそうですよ。」
なるほど、元の世界でもベンチャーの連中にそんな女癖の奴いたな。異世界でも同じらしい。
鑑定!
イシュタル・ミナモト 25歳 女 人間族 盗賊Lv28
ありゃ、自分やミチオ君以外にも、かつて異世界に来た人っぽい名字だ。迷宮討伐すれば貴族に叙爵されるシステムに乗ったつもりが、痩せた土地の領主とか、ババを引いたのか?
「イリス、女盗賊は石鹸で綺麗に洗ってから売るのが良いよね。奴隷商人のナタリーに買い取ってもらおう。」
「そうですね。まだ膣の中は調べてませんから、私とフレイヤで処理します。ご主人様の手は煩わせません。」
「ちょっと待って、盗賊の女を捕まえたら、男が喜んで尋問するのが常識でしょ! 私の名前はイシュタル・ミナモトで、名字持ちの身体を飽きるまで好きにできるし、良い声で鳴くって定評なんだから勿体ないわよ。それに、我が家の初代からの秘伝も教えるから。お願い、見逃してよ。」
「ご主人様、秘伝とか女の涙って買っちゃ駄目なんだよ。そこら中で怪しいのが売ってるって、お母さんが言ってたもん。」
アルフリーダは、娘に何を教えてるんだ?
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尋問の続きは露天風呂でする事にした。イシュタルには、迷宮でサンダーボールを撃ち込んでるから魔法はバレてる。湯を魔法で張るのを、今更隠す理由もない。
「イシュタル、兎人族のフレイヤと猫人族のヴァニーユは、人間族より遥かに感覚が鋭い。逃走を試みるのは自由だけど、冗談抜きでお勧めしないよ。自分には女を傷付ける趣味はないけど、ウチの女性たちは、かなり容赦無いんだ。」
「えっ、ほぼ瞬殺された位の実力差があるんだから、大人しくするわよ。寝首を掻いたって逃げられないでしょ。ねえ、見逃してくれるなら、無理矢理入れられるのも我慢するわ。自慢じゃないけど、結構具合が良いみたいよ。」
イリスが、手桶の湯をイシュタルの頭からぶっかける。モップで洗い出すのかと思ったら、拘束したまま運んだイシュタルの縄を解き、石鹸とボロ布に近くなった手縫いを渡し『自分で綺麗にしろ』と言い放つ。
「え、あんた、これって石鹸じゃない。良い装備品だから金持ちって言ったのに、死んだ仲間が襲撃に拘るから…。あ、スカートの女を5人も囮に揃えて、私たちは囮に引っかかった間抜けなのね。」
Q:金持ちのパーティだって話なら、どうしたんだい?
A :私が色仕掛けで落として抱かれるの。で、賢者タイムに仲間が踏み込んで縛り上げるのよ。嘘泣きも上手なんだから。
なんだ、美人局(つつもたせ)が得意な盗賊だったのか。貴族令嬢に手を出したとかの設定だろう。武闘派じゃなかったんで、『スパルタクス団』とは合わず脱走したのかもな。
「で、ミナモト家って珍しい家名だけど、秘伝って何かな? 」
「初代皇帝の偉業で、クーラタルの迷宮91階層に到達した話は有名よね。でも、いくら伝説の英雄ジョブだからって、個人の武勇だけで91階層は異常だと思わない? 64階層からは最大魔物数が7匹になる上に、67から77階層の魔物グループは弱点魔法が極端に少ないのよ。」
「ひょっとして、ミナモト家の初代は初代皇帝の迷宮探索に関わっていて、何か伝承されているのか?」
「そう。実は、67階層以上に出る最上位種のボスが落とすスキル結晶は、66階層以下のスキル結晶より、効果が倍以上高いの。」
あ、イリスのアクセサリーは凶賊Lv21から剥ぎ取りした『いかりの指輪』で、攻撃力五倍の効果が付いていたな。サイクロプスとコボルトのスキル結晶を融合しても攻撃力二倍だから、固定で”極めて稀に出たアイテム”ゆえに攻撃力五倍なのだと誤解してた。
我ながら間抜けな思考停止だ。固定で出ようがドワーフの鍛冶師が製造しようが、この世界の仕様なら『いかりの指輪』は何らかのスキル結晶が指輪に融合された物と理解するのが理屈だよ。『いかりの指輪』=サイクロプス最上位魔物のスキル結晶+ハイコボルトのスキル結晶
「イシュタル、実物を見た事はないが、『ハイコボルトのスキル結晶』の噂は聞いた事がある。その事を言っているのか?」
「え〜と、コボルトに限らず67階層以上のボス魔物、つまり最上位種が落とすスキル結晶は、全て上位互換なのよ。それを『ハイコボルトのスキル結晶』と一緒に融合した場合のみ、倍以上高い効果が得られる。ミナモト家初代のパーティは、初代皇帝から、クーラタルの67階層で『ハイコボルトのスキル結晶』を集める役目を与えられていたの。」
「旦那様、この手の女は、息をする様に嘘をつくんです。アバズレビッチの妄言かもしれません。」
イシュタルの家名のミナモトは『源』か? イシュタルの先祖か初代皇帝か、もしくは両者とも自分と同じ世界から異世界に流れて来たっぽい。帝国と言っても中央集権とは程遠い政体に違和感があったが、初代皇帝たちが平安〜鎌倉期の日本人なら納得できる。源頼光の5人パーティが酒呑童子の鬼集団を討伐した伝説話もあるし、現代人より異世界に順応し易かっただろうな。
複数の迷宮の67階層を回り、上位のスキル結晶を集め、効果が倍以上強い融合装備品を作ったのだろう。ミチオ君や初代皇帝は迷宮討伐しまくっただろうが、その前なら、討伐不可能として放置されている迷宮なんて山程あるだろう。ヤギ(知力)・アリ(毒)・牛(移動力)・羊(睡眠)・サンゴ(石化)が倍以上の効果になるスキル結晶とか、段違いの装備品になる。それを融合できるのが、鍛冶師の上位ジョブである隻眼か。なるほどな。
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「ありがとう、イシュタル。初代皇帝もコツコツやって91階層まで到達したんだね。ミナモト家の秘伝は極めて有用な情報だよ。襲って来たのを見逃すのに十分な価値のある取引材料だ。ところで、解放したらイシュタルはどうするの?」
「どうするって、盗賊ジョブから転職させてくれる所なんてエリーヌの神殿くらいよ。転職料が高くて無理だもん。また違う町で盗賊やるわよ。」
ふむ、この娘、自身の自覚以上に価値があるんじゃないの?
惜しいけど、盗賊ジョブの娘をソマーラの村で抱える訳にもいかないよな。
「ちなみに、就職先を紹介可能だぞ。忙しいけど上司は有能、衣食住が付く上に報酬も悪くないと思うよ。」
「盗賊の女に、何でそんな好条件の職場があるのよ。どうせ反社会的勢力でしょうけど、まあ紹介がある方が舐められないから有利よね。」
「じゃあ夕方にも、帝都まで面談に行ってみようか。イシュタル、これから昼食にするから肉を山盛りで食べろ。昼食の後は、また頭と身体を石鹸洗いだな。ノラ、盗賊の服は捨てちゃって、淑女っぽく見える古着を分けてやって。」
「何それ? 石鹸って高価だから、そんなに気安く使う物じゃないわ。帝都って、就職先は高級娼館なの?」
「ご主人様、まさかベルガー様の所に紹介するんですか? 女盗賊ですよ。この女が何か問題を起こしたら、ご主人様の評価も下がります。」
「イリス、ベルガーの所は慢性的な人手不足でしょ。イシュタルぐらい吹っ飛んだ人材を採用するツテなんか無いだろうから、逆に感謝されるよ。それに、あそこの一番奴隷二人から逃げ切れる訳が無いじゃん。まともな頭があるなら、裏切りとか問題にしないよ。」
「ねえ、別に怪しい店なのは大丈夫だけど、輪姦されるのは嫌よ。濡れないまま回されると穴の入り口が擦り切れて、数日はオシッコするのも辛いんだから。」
イシュタルは、ビッチだが逞しい女だな。念の為、万金丹を飲ませておくか。性病を持ってたら洒落にならないからな。
彼女のリュックと、6人分の小銭が入った皮袋、紫魔結晶6個は返却しよう。飴と鞭は、人心把握の基本だしね。
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露天風呂で返り血を洗い流した後、遅い昼食を取る。
オーブンで、ラムチョップと豚肩ロースを焼いていてくれたが、イシュタルにも十分に食べさせたいので、追加でハラミ肉の肉野菜炒めも作ってしまった。
「あなた、サンダーボールを撃ったんだから魔道士よね。何で料理作ってるの?」
「いやいや、自分はマモル・モノベって名前で家名持ちだけど、単なる自由民で貴族じゃないよ。故郷では男も普通に料理するんだけど、帝国では珍しいみたいだね。」
「ここには女が11人もいるのに、色魔でもない男が大丈夫なの? どんだけ精力があるのよ。」
「イシュタルさん、ご主人様のは凄いのですが、余計な詮索は身の破滅に繋がりますよ。あと、この村では『内密』が美徳とされています。就職先で余計なことを喋っていると、ご主人様に嫌われますね。何かあって逃げて来ても、匿ってもらえなくなりますよ。」
アルフリーダは大人の女性だ。言っとくだけタダだからか、それとなく上品に釘を刺している。
「え、ああ、そういうことね。私って14歳の時に家出したから、貴族っぽい会話は忘れちゃったわよ。マモル様のことについて、外でペラペラ喋るなって意味でしょ。その方が、私にもメリットが来るかもしれないのよね。あ、それと仲間を殺されたのは恨んでないから。マモル様、そのうち上書きしてね。」
対人戦の後は精神が高揚してるのか、食後に、パーティメンバーだった5人も食べている。
ベッドルームからの喘ぎ声はイシュタルにも聞こえるだろうが、嫌がる娘がいなくて良かった。たまには、こういうのも興奮するな。