今朝はアルフリーダで目覚めた。
32歳のアルフリーダのフェラは歳相応に上手だが、手で握られる感触も心地良い。兎人族も口でする習慣は一般的では無く、アルフリーダも、フレイヤを妊娠してから初めて咥えたそうだ。ただ、アルフリーダの腰の魅力は圧倒的に好みなので、今朝もシックスナインでお願いした。締まらないハズが無いと言わんばかりの説得力を、アルフリーダのお尻が振り撒いてる。その上、目の前の穴でフレイヤを産んだかと想像するのが堪らない。アルフリーダも闘兎を取って、”鋭敏”を発動できる日が楽しみだな。
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1日の始まりの習慣に、『ソフィアに僧侶の”手当て”を掛けること』も加わった。今更”手当て”でソフィアの脚が完治するとも思えないが、少しでも良い方向にとの淡い期待だ。ソフィアも”手当て”は気持ち良いと言ってるので、無意味でも無いだろう。
アルフリーダのアイテムボックスの中身は、昨晩のうちにソフィアへ移動したようだ。アルフリーダのジョブを探索者から剣士Lv1に変更、2人目の闘兎ジョブの取得を目指す。村にも『鋭敏』の早期警戒警報レーダーを設置したい。アルフリーダはリーダーシップも発達してるから、これに投擲武器があればイージス艦だな。
当面の基本方針について、結局、バブルの波には乗るべきだという事で、今は金策を優先することにした。『芋虫のスキル結晶』があれば『身代わりのミサンガ』が作れる。ミサンガは『糸』から鍛冶師が最初に鍛冶する品だから、(空き)スキルスロットがあるミサンガのコストは無視できる。
なので、ベイルの迷宮2階層にワープした。いつもは閑散としているのに、珍しく今日は人が多い気がする。ボス部屋の前にも男女2人ずつの4人パーティが並んでいた。バブルを嗅ぎつけたのは我々だけじゃなかったってことか? 探ってみるか。
「おはようございます。今日は迷宮が混んでますね。」
「あ、おはようございます。地元のパーティですか? 俺達はクーラタルから遠征して来たんですよ。」
「ひょっとして、あなた方も芋虫のスキル結晶狙いですか?」
「え〜、もうベイルの町まで情報が届いてるんですか。ちょっと遅かったかなぁ? ホワイトキャタピラーはクータタルの迷宮だと11階層なんで、手が出ないんですよ。ベイルの迷宮は人気が無いので空いてると思ったんですが、考える事は皆同じですね。」
そんな会話をしてると、ボス部屋のドアが開いた。
「それじゃ、お先に!」
まあそうだろう。『身代わりのミサンガ』が高騰してるなら、『芋虫のスキル結晶』の相場も上がるのが道理だ。我々と同じで、普段はもう少し上の階層で探索してるんだろうけど、狙ってみたくなるよね。ただ、ボス戦で列に並ぶんじゃ時間効率が悪くて合わない。昨日ボス部屋周回しといて良かった。
しかし、なかなかドアが開かないな。
「イリス、さっきのパーティがボス部屋に入って7〜8分経つけど、なんか遅いね。」
「ご主人様、これが普通なんです。11階層が無理と言ってたパーティですから、普段は私達と大差無い階層に入ってると思います。とすれば、10分でボスを倒せれば相当早いですよ。ベイルの3階層はコボルトがメインですが、何割かはグリーンキャタピラーが混ざりますから、2階層じゃなく3階層を狩場にするつもりだと思いますよ。普通はボス戦の周回なんてやりませんから。」
「なるほどなぁ。皆、色々考えてるんだ。しばらくはベイルの低階層は混みそうだね。魔法を見られるのも嫌だしなぁ。」
15分近くかかって、やっとボス部屋のドアが開いた。こんなに時間が掛かるんじゃ、ボス周回は無理そうだな。
「ご主人様、残念です。先ほどのパーティはボスを倒して3階層に抜けたみたいですね。」
迷宮がある世界だと、そういう感覚が普通なんだろうな。ボスが残っていれば、倒されたパーティの装備品が手に入るって意味だし。
3階層に上がった所で、ソマーラの迷宮に移動しようかとも思ったが、フレイヤが何やら気付いたみたいで、何かにピクピク反応し『鋭敏』を発動したようだ。イリスに向かって何か言っている。イリスがポケットからメモ帳を取り出し、何やら見返してる。
「ご主人様、多分ですが、魔物部屋で戦ってるパーティがいると思います。6〜7分ぐらい先ですので、行ってみませんか?』
「フレイヤが、魔物部屋の中で戦ってる気配まで感じられるとは、凄いな。確かに確認しておくべきだろう。」
途中で3回コボルトが出たが、全ての魔法が弱点なのに魔法を撃つ機会が無い。お嬢さん方が囲んで倒してしまう。
「ここですね。フレイヤが言うには、まだ戦っているみたいです。もう少し様子を見ましょう。」
そうだよね。助けに入るって発想は無いよな。完全に想像だが、管理されているクーラタルの迷宮に入ってるパーティだと、管理されてないベイルの迷宮で魔物部屋への警戒が薄いんだろう。時間的にさっき会ったパーティでは無いから、ベイルから遠征しているパーティは結構多いのかな。
「ご主人様、たたかっている人がへりました!」
「皆、魔物部屋に入ってるパーティが全滅したら突入しよう。魔物はコボルト、グリーンキャタピラー、ニードルウッドだ。3階層だから、全体攻撃魔法を2発撃てれば殲滅できる。出来るだけ距離を取って、グリーンキャタピラーの糸だけは気を付けてね。少し危ないけど、魔物部屋を経験するには、これ以上無い絶好の機会だ。」
『必要経験値十分の一』から『必要経験値五分の一』に減らしてBPを抽出し、シックスジョブまで付ける。錬金術師を有効にしてメッキを掛けるのと、錬金術師の知力(小上昇)の効果で、多少なりとも魔法の威力を上げる為だ。
【マモル】ワンド 革の手袋 革の帽子
足装備:硬革の靴(移動力増強)
6ジョブ(31) キャラクター再設定(1) 詠唱短縮(1)
獲得経験値二十倍(63) 必要経験値五分の一(15)
ワープ(1) パーティ項目解除(1) 鑑定(1)
合計114
探索者Lv16:体力(小上昇)
英雄Lv9:腕力HP体力MP知力精神器用敏捷(中上昇)
魔法使いLv16:知力(小上昇) MP(微上昇)
色魔Lv9:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)
神官Lv2:MP(小上昇) 知力(微上昇)
錬金術師Lv2:知力(小上昇) 器用(微上昇)
【イリス】 革の鎧 イヤリング
武器 :槌(空き)
頭装備:革の帽子(空き)
腕装備:鋼鉄のガントレット(空き)(空き)(空き)
足装備:皮のサイハイブーツ(空き)
鍛冶師Lv9:腕力(中上昇) 体力(小上昇)
【フレイヤ】 木の盾 革のミトン 革の鎧
武器 :強権のダガー(詠唱中断)
頭装備:ダマスカス鋼の鉢金(空き)(空き)(空き)(空き)
足装備:皮のサイハイブーツ(空き)
アクセサリー:ボディークリップ(空き)(空き)(空き)
闘兎Lv5:器用(中上昇) 敏捷(小上昇) HP(小上昇)
【エゲリア】 革の帽子 イヤリング
武器 :鋼鉄の剣
胴装備:革の鎧(空き)(空き)
腕装備:革のミトン(空き)(空き)
足装備:皮のサイハイブーツ(空き)
淫乱Lv6:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)
【ユリア】 革の帽子
武器 :鋼鉄の剣(空き)(空き)
腕装備:革のミトン(空き)
足装備:皮のサイハイブーツ(空き)
アクセサリー:イヤリング(空き)(空き)(空き)
淫乱Lv5:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)
「ご主人様、うごかなくなりました。おとがしません。」
魔物部屋の前に来てから10分ぐらいだ。あと5分待って誰も出て来なかったら全滅したと思って間違い無いだろう。
「皆、全員にメッキを掛けてあるから、魔物からの攻撃を1発は受けても全く問題無く耐えられる。回復は神官のジョブを付けているから、遠慮しないで言うんだよ。」
「「「はい、ご主人様!」」」
「「了解です、旦那様!」」
初めての魔物部屋だ。何の変哲も無い壁を押すと、魔物部屋に吸い込まれる。何だぁ、うじゃうじゃ魔物がいる。全然倒してないじゃん。
「ファイヤーストーム!」
かなりMPが吸い取られた感覚だが、ほとんどの魔物が煙になった。変だな、コボルトが1匹も残ってないのはともかく、残りはグリーンキャタピラーが4匹と、ニードルウッドが5匹だけだ。ボス部屋よりかなり広いので、魔物に包囲される恐れは無い。イリス、フレイヤ、エゲリア、ユリアがグリーンキャタピラーに向かって走り出す。残りの魔物も物理の2〜3撃で煙になる。最後に2匹残ったニードルウッドは、2発目のファイヤーストームで煙になった。脆すぎるな。
「旦那様、凄い戦果です! 完勝です!」
エゲリアは興奮しまくってる。ドロップ品が辺り一面に散らばって、コボルトソルト、コボルトナイフ、糸、ブランチ、山ほど落ちている。アイテムボックス放り込むが、16*16=256個の全て使える訳じゃない。足りなくなりそうなので、ブランチは、イリスのアイテムボックスに入れることにした。
魔法使いの武器である、杖のケーンが落ちていた。なるほど解った。あまりに魔物の数が多かったので、魔法使いは、初撃に放った全体攻撃魔法でMP切れになったんだろう。MP小回復する強壮丸は持っていたかもしれないが、魔物が多くて全体攻撃魔法1発のMP必要量が多すぎ、2発目を撃つほどには強壮丸では回復できない。MP中回復する強壮剤を大量に持ってるならともかく、強壮剤は一粒600ナールもするから買えないよな。
前衛は4人いたが、詠唱中断が付いてる武器を一つも持ってないし、グリーンキャタピラーに『糸』をに吐かれ捕まっていったんだろう。魔法使いがいるパーティだけあって、下層に入るパーティにしては良い装備品だが、魔物の数に飲み込まれたんだ・・。
ケーン*1
レイピア*1
鋼鉄の剣(空き)*1
鉄の剣*2
硬革の鎧*1
革の鎧(空き)*1
革の鎧*3
革の帽子*5
硬革の手袋*1
革の手袋*4
革の靴*5
鉄の盾*1
「杖のケーンが落ちていたから、魔法使いがいる5人パーティだった可能性が高いね。それにしても、管理されてない迷宮が危険過ぎるのが良く解った。冒険者がクーラタルに集まるのも道理だ。ベイルの騎士団も、こんなに魔物が溜まるまで放置しちゃ駄目だろ。やっぱり無能なんじゃないか?」
「ご主人様、ソマーラの迷宮1階層にも魔物部屋がありましたよね。今なら迷宮が生まれてから20日ぐらいしか経過してないので、魔物も大した数は溜まってないと思います。今のうちに探索しといた方が良いんじゃないでしょうか? 村人が魔物部屋に入っちゃったら、間違い無く死にますから。」
「流石はイリスだ。大事な事に気付いて偉いぞ。全くイリスの言う通りだろう。まだ少し早いけど、色々準備もあるし一旦家に帰ろうか。」
念の為、忘れ物が無いかチェックしてから退室する。
鑑定!
鑑定!
鑑定!
鑑定!
コボルトのスキル結晶
「エゲリア、隅っこにスキル結晶が落ちてる! コボルトだ!」
「わぁー、気付いて良かったです。よく見つけましたね。」
「別に目が良い訳じゃなくて、鑑定のスキルで見つけたんだ。いやー、念の為に鑑定しておいて良かった。」
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「ただいまー。」
「おかえりなさいって、早かったですね。何かありましたか?」
エマ・ミラ・ノラはまだ出勤してないようで、アルフリーダとソフィアの二人で、打ち合わせをしてる様だった。テーブルの上に、何やら書いたパピルスが散乱している。
「ソフィア、気分が良くない話かもしれないけど、ベイルの迷宮の3階層で、魔物部屋に入っちゃったパーティをフレイヤが見つけたんだ。冒険者パーティは全滅したけど、我々は誰も怪我なく魔物部屋をクリアできた。ドロップ品から見て100匹以上の魔物が溜まったんだけど、こういう事は普通なのかな?」
「迷宮攻略は貴族の責務です。ただベイルの迷宮は『いわく着き』で、事実上攻略は無理と判断してるのでしょう。だからと言って放置せず、魔物部屋も定期的に掃除した方が経験値的なメリットも大きいのですが、もう、騎士団にそこまでする体力が無いんだと思います。盗賊にやられまくっている現状ですから優先度的には町への流通網の確保が先です。しかし、基本的に騎士団って対人戦のプロって訳じゃないですから負荷が大きいんです。アルフリーダさんに聞きましたが、ご主人様がソラーマの村で盗賊26人を無傷で殲滅する方が異常です。こんなのバレたら警戒されますよ。」
「なるほどなぁ。騎士団はベイルの迷宮ですら手が回らず、管理出来てないと考えるべきか。なら、ソマーラの迷宮なんか当然放置だろうね。」
アルフリーダがお茶を入れてくれた。イリスが台所で、アイテムボックスからブランチを出しているのに、ソフィアが驚いている。ブランチを台所の熱源にするなど、勿体無くてブルーノ伯爵家でもやってないと言ってる。人頭税10万ナールも取っているのに、貴族はなんでそんなに貧乏なんだ?
「まあそんなこともあって、ソマーラの迷宮1階層にある魔物部屋も、危ないから魔物が溜まる前にコツコツ潰しとこうと思うんだ。ソマーラの村人が間違えて入っちゃうと危ないからね。休憩したら、朝飯前に行ってくるよ。」
今回得た装備品で、全員が、全て革装備以上に更新できた。杖もワンド→ケーンに強化されるから、魔法の威力が上がる。魔物部屋で一度に多数を討伐すると、レベルも一気に上がる。パーティメンバーは獲得経験値二十倍の効果が効いてるから、魔物2,000匹分以上の経験値が入ったことになる。剣士Lv1を付けてたアルフリーダは、剣士Lv6まで一気に上がっているな。
「フレイヤ、鉄の盾があるけど、どうする?」
「かるいたてがいいです。」
フレイヤは盾で受け止めると言うより、受け流したり殴ったりに使っている。重い盾は使いにくいよね。
「ソフィアは、盾を使う?」
「はい、片手剣と盾を頂ければ、盗賊程度なら何とかなると思います。」
「それじゃ、レイピアと鉄の盾はソフィアに、硬革の鎧と硬革の手袋はフレイヤが装備しよう。」
装備を強化し、今度はソマーラの迷宮1階層にワープで跳んだ。魔物部屋の場所は覚えてないから、迷宮の入り口から魔物部屋までイリスの案内で歩いて行く。途中で出てくるスローラビットは一度に1匹だけで、ユリアとエゲイラが処理して進む。フレイヤの耳がピクピクし始めた。魔物部屋の前まで来たのかな。
「ご主人様、まものべやだけど、おとはしません。」
「皆、今回も全員にメッキを掛けてあるから、スローラビットの攻撃を1発は受けてもダメージは軽い。あと、スローラビットに弱点魔法は無いけど、魔法はさっきより強化されてるから、全体攻撃魔法2発撃てば倒せると思う。苦戦するとは思わないけど、油断せずに行こう!」
「「「はい、ご主人様!」」」
「「了解です、旦那様!」」
今回も何の変哲も無い壁を押して、魔物部屋に吸い込まれた。
「ファイヤーストーム!」
魔物部屋も2回目だと、落ち着いて観察できている。魔物の数もさっきより大分少ない。お嬢さん達がウサギの群れに突撃していったが、スローラビットに一撃当たると煙に変わる。イリスの槌は一撃で2匹に当てまくってる。これ2発目のファイヤーストームを撃ったら、また怒られるな。
「旦那様、一撃で煙になる魔物を斬りまくるの気持ち良いですね。これ定期的にやりましょう。」
ユリアは一番迷宮の経験が少ないし、一撃で倒せるのは気持ち良いわな。ドロップ品は、ウサギの毛皮22枚とウサギの肉5枚だった。スキル結晶が落ちなかったのは残念だ。次回からはメッキを掛ける必要も無いな。
8階層に上がって魔物を確認すると、チープシープだったが戦えてる。8階層から魔物は最大4匹出て来て、チープシープは『睡眠』の魔法を放ってくる。ちょっと厄介だな。錬金術師を外すとメッキも剥げてしまうから、朝食まではこのままで戦う。やっぱりチープシープはドロップ品を落とさないな。さっさとボス部屋まで進むのが良いだろう。
「じゃあ、朝食に戻ろう。8階層でも戦えそうだね。」
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帰宅すると朝食の準備は出来ていたが、ソフィアが再び驚いている。
「ソフィアはメイド教育も受けていますが、毎朝、こんな豪華な朝食を全員が食べるんですか?」
「え、何を言っているのか全然分かんない。アルフリーダ、どういう事なの?」
「ふかふかの白いパンと、具沢山のスープに肉、野菜に果物、一回の食事で全てを出すのは凄く贅沢です。少なくとも庶民の食事ではありません。」
「イリスは『ドワーフの水』を毎日飲みたいんじゃない?」
「ご主人様、ドワーフは酒に強い種族であって、アル中ではありません。」
「エマ・ミラ・ノラ、うちの食事って豪華なの?」
エマ:美味しい食事をお腹いっぱい食べられるなんて、幸せ過ぎて怖いです。
ミラ:毎日お肉が出るなんて夢みたいです。一生お仕えしますから捨てないで下さい。
ノラ:旦那様の奴隷になりたいです。そうなれば、ずっとこの食事が食べられます。
もう、従業員の思考じゃなくなってきてるな。早くブラヒム語を喋れるようになってほしい。
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「ソフィア、コボルトのスキル結晶が魔物部屋から一つ出たので、人魚(水)のスキル結晶と銅剣を合わせ融合してみようと思うんだ。ソフィアは見たことある武器かな?」
「それだと『いすずの銅剣』で水蝕剣のスキルが付きますが、アクティブスキルが付いた武器は珍しく、私は見たこと無いです。狼人族の種族固有ジョブの獣戦士が放つビーストアタックもそうですが、原則アクティブスキルの発動には呪文の詠唱が必要なので、戦闘中の使い方が難しいんです。獣戦士の場合は、睡眠付与された武器で魔物を眠らせてから、ビーストアタックを叩き込むのがセオリーですね。」
「なるほど、ソフィアの知識は参考になる。でも、やろうとしてる主目的は違うんだ。イリス、説明してあげて。」
「昨日、ソフィアさんも温水シャワーを浴びましたよね。あれは『ほむらの銅剣』の火炎剣のスキルを、水の中で発動してお湯にしてるんです。それと同じ考え方で、手元から水が出し放題だったら便利だと思いませんか? 井戸から水を汲むのは重労働ですし、運ばなくても使いたい場所で水を出せれば効率的ですよね。今はご主人様の魔法ウォーターウォールで水を作ってますが、スキル結晶を融合した剣で、魔法使いじゃなくても水が出せれば飛躍的に生産性が上がります。」
「・・・・・・・。」
ソフィアが絶句している。少なくとも、スキル結晶を融合した貴重な装備品を民生用に使ってる貴族家は無いってことが分かった。
「じゃあイリス、人魚とコボルトのスキル結晶を銅の剣(空き)に融合してみて。」
「はい、ご主人様。今ぞ来ませる御心の、言祝ぐ蔭の天地の、スキル結晶融合!」
いつものように、イリスの手が光って、後には銅剣一本が残った。
鑑定!
両手剣:いすずの銅剣
「よしイリス、今回も融合に成功だ。『いすずの銅剣』ができてる。ちょっと試してみよう。」
シャワー室で『いすずの銅剣』を握り、頭の中で表示される呪文を詠唱してみる。案の定、水蝕剣とは水を高速で噴射し水圧で切断するスキルでは無かった。ウォータージェット加工って、ガーネットとかの研磨剤を水で加速して当てて切ってるんで、水だけじゃ羊羹ぐらいしか切れない。水蝕剣がやっているのは、剣の周りに水を纏わせて、刀身ごと相手にぶつける質量攻撃だろう。使い手が、出した水の分の質量を感じないだけだ。ウォーターウォールを出しても重さを感じないのと一緒だと、勝手に納得しておく。
魔法の発動時間が終了すると、『いすずの銅剣』から大量の水がシャワー室の床に落ちた。成功だ。想定通りだ。ウォーターウォールには及ばないが、水が取れる!
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朝食後、皆でベイルの町に行ってみる。食事テーブルを拡張する材料の『板』もギルドで買うし、今日は5日に1回の市が立つ日だからソフィアの服も買えるな。アルフリーダが留守番で、いつもの村の男達に、テーブルの改造を頼むことになった。
冒険者ギルドに『板』を買いに行ったが、素材と言うより、長さ90cm幅30cm厚さ3cmぐらいの硬い化粧板のような物だった。しかし何だこのサイズ、尺貫法か?
『板』は1枚160ナールだったので、30枚買って帰ろうとしたが在庫が無いと言う。@160*25枚=4,000ナール、金貨1枚を出し、お釣りに銀貨60枚を貰う。テーブルを拡張してもらう工賃に銀貨が必要だからね。『板』は迷宮のドロップ品だからアイテムボックスに入る。嵩張るのに便利だわ。
イリスによると、水に強いので、台所の流しは『板』を材料に作るのだと言う。『板』は水に強い木材なのか・・。
「ソフィア、洗濯板って知ってる?」
やばい、失敗した。誤解されたら印象最悪だ!
「それ何ですか? 洗濯の時に使う道具ですか?」
よかった、セーフだ。冷や汗が出た。
「ユリアは洗濯板って聞いたことある?」
ユリアなら確実に大丈夫だ。アルフリーダ>ユリア>フレイヤ>イリス>エゲリア>ソフィアの順で成長している。ユリアは、まだ少しなら大きくできるかもしれないし。
「洗濯の時に使う”たらい”のことですか?」
我が家では洗濯物を、水を張った”たらい”で、『手』で揉み洗いしてるのしか見たことが無い。洗濯板は未だ発明されてない道具なのかな?
「洗濯物を押し付けて洗う為の板なんだけど、イリスは知ってる?」
イリスはアンダーが無さすぎて、貧乳に見えてるだけだ。
「うーん、想像できないです。ドワーフの村でも洗濯は揉み洗いで、人間族と同じだと思います。」
確定だ。異世界では洗濯板は発明されていない! 帰ったら作ろう。
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「エゲリア、脚が悪いソフィアは戦闘要員じゃないものの、我々の戦闘スタイルは見せておく必要があると思う。ソフィアは探索者Lv39だから、1階層だったら魔物の攻撃も通らないんじゃないかな。『頑強の指輪』も装備してるし心配無いだろう。」
「そう言えば、ベイルの迷宮1階層にも魔物部屋がありましたよね。ソフィアさんにトラウマが無ければ行ってみましょう。今朝のソマーラの迷宮1階層の魔物部屋と同じ強さの筈ですから、旦那様は全体攻撃魔法1発だけですよ。」
フレイヤとユリアは「楽しいから凄く行きたい!」などと言って、イリスだけが「うーん」と言っている。
「ソフィアさんは脚が悪くて走れないんだから、ご主人様と一緒にじっとしてて下さい。」
誤解してた。一番奴隷のイリスは、伯爵家当主の一番奴隷だったソフィアを意識してるんだ。1階層の魔物部屋は問題にしてないわ。
「ご主人様、魔物部屋の話ですよね。」
「魔物部屋の話だ。ソフィア。」
「なんで、皆楽しそうなんですか?」
「今朝行った、ベイルの3階層とソマーラの1階層の魔物部屋が楽しかったからだね。」
「いくら低階層だからって、うじゃうじゃいる魔物に包囲されたら死にますよ。」
「ごめん、魔法重視の戦闘スタイルを言ってなかった。1階層なら全体攻撃魔法1発撃った後は、物理攻撃1発当てると煙になるから、そんなに危なくないんだよ。他人の目があると良くないから、続きは帰宅してからにしようね。」
「・・・・。ソフィアも行きます! 頭は混乱してますが、これに慣れないとご主人様のパーティではやっていけないことが分かりました。ソフィアには『頑強の指輪』があるので、1階層の魔物なら攻撃は通りませんから足手纏いになりません!」
冒険者ギルドの壁からベイルの迷宮の入口まで、ワープで跳び、イリスがメモを見ながら魔物部屋まで案内してくれる。フレイヤによると「人のけはいがする。」らしい。まだ2階層に上がってないパーティもいるようだ。
意気込んだソフィアには悪かったが、魔物部屋も1階層なら危なげない。ニードルウッドの群れにファイヤーストームを撃つと、躊躇なくお嬢さん方が突撃する。イリスの槌にニードルウッドは相性が良く、真っ直ぐ最短距離で突っ込んで一撃で2匹に当てまくってる。ユリアとエゲリアには淫乱の心肺持久力増強があるし、フレイヤに至っては闘兎の瞬発力上昇を発動し90秒の時間限定で無双モードだ。お嬢さん方、一撃で魔物が煙になるのは気持ち良いよね。
「ソフィア、前衛の背後に魔物が回らないよう、一緒に少し前進するよ。獲物を横取りしちゃうと怒られるから、積極的に攻撃する必要は無いからね。」
「皆さんの動きが、いくら何でも・・。はい、了解です!」
フレイヤの瞬発力上昇が切れた後、最後のニードルウッドはエゲリアが仕留めた。ドロップ品ブランチは51個拾ったが、3階層の魔物部屋に比べると少ないな。
鑑定!
鑑定!
鑑定!
鑑定!
皮装備一式*4組、銅の剣*4本
部屋の隅に落ちてた装備品だが、(空き)スロットが無い皮装備と銅の剣だった。これは村の武器庫に寄付だな。
「ご主人様、楽しかったね。」
フレイヤはご機嫌だ。
「ご主人様、ソフィアは雑魚です。皆のあんな動きは見たことありませんし、私には無理です。」
ソフィアがブルーになってる。良くない。
「ソフィア、実験だ。『移動力増強』のパッシブスキルが付いた靴を履けば、ある程度は脚の怪我をカバーできるのではないか? 魔物部屋にいるうちに靴を交換しておこう。効果を試してみたい。」
「ご主人様、天才です! イリスにはその発想がありませんでした。ひょっとしたら・・、コウモリのスキル結晶の『回避力二倍』でも何か効果が出るかもしれません。ソフィアさん、ご主人様と靴を交換して下さい。早く実験しましょう!」
「え〜と、よく分かりませんが、ご主人様と靴を交換すれば良いんですね。」
ソフィアの革の靴(空き)(空き)と、硬革の靴(移動力増強)と交換して履き替える。
「旦那様、2階層のグリーンキャタピラーで実験しましょう。これ、旦那様の想定通りだったら凄いことになりますね。働ける人が増えれば、貧乏村脱却のきっかけになるかもしれません。ソマーラの村にも迷宮の怪我で脚が動かなくなって、娼館で働かざるを得なかった人がいます。」
ユリアに、何やら心当たりがあるようだが、まずはソフィアでの実験結果次第だ。
ベイルの迷宮2階層の魔物は最大2匹、グリーンキャタピラーとニードルウッドだ。ソフィアは探索者Lv39まで上がったのだから、脚の怪我がなければ余裕の階層のハズだ。
「ご主人様、硬革の靴(移動力増強)を履くと走るとまではいきませんが、動いて戦えます。でもバランスを取るのが難しいし、踏ん張りが利かない感じなのは変わりません。それでも動けるので、2階層の魔物だったら問題ありません。盗賊とも十分やれそうです。」
「イリス、やっぱり体の動きとかバランス感とかの改善に、コウモリのスキル結晶で回避力二倍も付けた方が良いな。実験することが増えたね。」
「はい、楽しみです。」
春の18日 午前