春の25日 夕方
クーラタルの迷宮の1階層から外に出ると、迷宮前広場の屋台で、レモネードとミード(蜂蜜酒)が売っていた。
どちらもコップ一杯10ナールと、蜂蜜が入っている割には安い。5人分で50ナール、銀貨1枚出して銅貨50枚のお釣りを貰うが、硬貨がジャラジャラ貯まるのが嫌だな。
屋台前のテーブルで、5人でレモネードを飲みながら休憩だ。
「イリス、迷宮に入ってる人を観察してると、腰のベルトから、小さな箱を下げてる人がチラホラいるな。故郷で150年位前まで使われていた、『印籠』と呼ばれる携帯用薬入れに似ている。ベルトで押さえてる紐は『根付』って言ってたけど、何か知ってる?」
「ドワーフでは使わない小物ですが、16〜17階層のパーティでも、目に付きましたね。ユリアとエゲリアは、どう?」
「あれ、一族や家を示す小道具だとばかり思ってましたけど、薬入れだったんですね。エゲリアは初めて知りました。」
「いや、家紋を示す小道具”でも”合ってる・・。なんか、似過ぎてるな。」
「じゃあ、フレイヤが、あそこのチャラい人に聞いてみるね〜。」
「イリス、心配だからフレイヤに付いて行ってくれ。イリスなら、15歳で通用する。」
「はあぁ〜い、行ってきまぁ〜す。」
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「ご主人様、聞いて来たよ。印籠って言って、クーラタルの冒険者の伝統だって。」
「クーラタルの冒険者は、薬入れとして使ってますが、クーラタル土産の定番でもあるらしいです。冒険者ギルドの裏にある店で売ってるって、言ってました。ご主人様、行ってみましょう!」
う〜ん、単に薬入れが欲しかっただけなのに・・。
「こんにちは、薬を入れる印籠が欲しいんだが、こちらのお店で扱ってるかな?」
「はい、実用品から美術品まで、印籠は当店で製作しています。冒険者の方でしたら、実用的な漆塗りの印籠がお勧めです。」
「へ〜、漆があるとは思わなかった。」
「そうでしょうとも。当店の初代が、伝説の冒険者”カガ・ミチオ”様から伝授された技法です。」
ああ〜、ここでもミチオ君、自分の欲しい物を作らせてら。まあ、助かるな。
「それでは、漆塗りのシンプルな印籠を10個欲しい。根付はいらない。」
「せっかく一族郎党で揃えるのでしたら、オリジナルデザインで製作してはいかがでしょう?」
「いや〜、駆け出しの冒険者だからね。印籠に家紋を入れるのは恐れ多いよ。」
「それでは、朱塗りの無地はいかがでしょう? 生地だけで華やかですし、10個3,000ナールと、お求めやすい価格に勉強させていただきます。」
「うん、女性も使うし、朱塗りは良いね。その値段でお会計しようか。」
家紋や絵を描いてなければ、そんなに高くないんだな。”赤備え”ってのもカッコいい。さて、根付と組紐はどうしようか・・。イリスが作れないかな?
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印籠屋を出て、広場の周辺を、玉子屋を探して歩く。
夕食に、フィッシュフライを作らなきゃ。レモンに似た柑橘類は、気化式冷蔵庫の中に、何かあるだろう。
パン屋の並びに、玉子屋を見つけた。ニワトリ・ウズラ・アヒルの玉子を売っているようだ。弁当を売ってる様子は無いな。あとは牛乳じゃなく『酪』も売っている。『酪』は迷宮のドロップ品だ。
「エゲリア、玉子が高級食材とは聞いてたけど、やっぱり高いね。1個8ナールもするよ。故郷では、1個1ナール程度だったな。」
「玉子は割れやすいから、輸送が難しいですし、これくらいの値段が普通ですよ。おが屑を詰めた木箱はサービスです。クーラタルは昔から冒険者の街で、帝国の中でも裕福ですから、この価格帯の食材でも売れるんでしょうね。」
「じゃあ、玉子は12個買って帰ろうか。フィッシュフライに使わなかった玉子は、何かデザートにするよ。『酪』は160ナールもするから、試しで1個だけ買おう。」
玉子が入った木箱は、フレイヤが嬉しそうに持ってる。アルフリーダが夕食の準備を始める前に、早く帰らなきゃ。
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「ただいま、アルフリーダ。今日の夕食はフィッシュフライにしよう。玉子も買って来たよ。揚げ物が続くけど、大丈夫かな?」
「フィッシュフライは高級品ですし、嫌いな人はいません。アルフリーダが作れますから、お任せ下さい。エマ・ミラ・ノラにも、作り方を教えますね。」
タルタルソースは、マヨネーズを作るのが大変だから、レモンでいいや。うちには、酸っぱいの、食べれない娘はいないしね。『白身』は高級品とか言ってるし、10個出しとけば良いかな。昼も、掻き揚げ食べたしね。
「ありがとう、アルフリーダ、お願いするよ。ところで、クーラタルの屋台で、レモネードを飲んだんだ。割と安かったんだけど、蜂蜜ってドロップ品なの?」
「グラスビーのボス、キラービーのドロップ品ですね。蜂蜜はパンに塗っても美味しいですから、うちでも使いたいです。蜂蜜があれば、ミードも簡単に作れますし。蜂蜜と水を混ぜて、放置しとくだけですもん。レモネードより簡単です。」
キラービーは毒持ちだけど、ボス周回やろうかな。
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石鹸で手を洗い、部屋着に着替える。
フレイヤのボディークリップを外すのは、ご主人様の専権事項なので大事にしたい。
「あれ、フレイヤのおっぱい、少し大きくなった?」
「えへへ、そうなの。ご主人様ぁ、エマ・ミラ・ノラのおっぱいも揉んで、大きくしようよ。3人とも待ってるよ。」
「フレイヤ、やめて、羨ましくなんて無いから。」
「旦那様、フレイヤは天然だから、聞き流して下さい。」
「私達のおっぱいなんか、楽しくないから、旦那様が迷惑よ。」
まあ、おっぱいぐらいなら・・。異世界は、セクハラの基準が違うみたいなんだよね。
「イリス、おいで、ボディークリップを付けるよ。」
「ご主人様、イリスのおっぱいも揉んで下さいね。手遅れかもしれませんけど、まだ可能性は残ってます!」
イリスを全裸に剥いて、胸を揉みながら、小さな乳首に吸い付く。一番奴隷だし、お尻も揉んで大丈夫だよね。胸は、もう少しなら大きくなると思うよ。
「んっ」 「あっ」
勃起した乳首に、ボディークリップを装着して準備完了だ。
「イリス、まずは、帝都の図書館でわかった盾の作り方、記憶が新鮮なうちに試してみよう。素材はいくつ必要なの?」
「木の盾なら、板を2枚ですね。とりあえず、木の盾は3枚作っときますね。光りますよ!」
鑑定!
盾:木の盾
盾:木の盾
盾:木の盾(空き)
「うん、最後に作ったのに(空き)スロットが付いた。これはフレイヤの装備品にしよう。残り2つの盾とフレイヤが使ってた盾には、(空き)スロット付いてないから、村の武器庫に入れといて。」
「旦那様、ありがとうございます。ソマーラ村の防具が3つ増えました!」
「次は、ミサンガを作って欲しいんだ。さっき、携帯用薬入れに”印籠”を買ったじゃん。印籠に通してベルトに引っ掛ける紐に、ミサンガを使おうかと思う。印籠1個につき、ミサンガ2個かな。」
「え〜と、ミサンガ20個作るには、MPが全然足りない感じです。限界まで作りますから、足りない分は、『迷宮の淑女』商会の在庫を使って下さい。今度も、ミサンガは次々に作ります。光りますよ。」
鑑定!
アクセサリー:ミサンガ
アクセサリー:ミサンガ(空き)
アクセサリー:ミサンガ
アクセサリー:ミサンガ
アクセサリー:ミサンガ
アクセサリー:ミサンガ
アクセサリー:ミサンガ(空き)
アクセサリー:ミサンガ
アクセサリー:ミサンガ
「はあ、もう駄目、限界です。」
「9個中、2個に(空き)スロットが付いたね。2番目と7番目が(空き)スロットのあるミサンガだから、イリスのアイテムボックスに入れといて。”ただのミサンガ”7個を流用して、ユリア・エゲリア・イリス・フレイヤの印籠に紐を通そう。鍛冶師イリスのアイテムボックスには10種類しか入らないから、薬を入れとくには勿体無い。アルフリーダ、ソフィア、エマ・ミラ・ノラの印籠の分の紐は、明日だね。」
ただのミサンガは、7個だけだな。
「ソフィア、『迷宮の淑女』商会が在庫してる”ただのミサンガ”、1個出してくれる?」
「はい、かしこまりました。あと旦那様、クーラタルの印籠屋で言ってた、”根付け”とは何でしょう? 印籠に使う物っぽかったですが・・。」
「印籠は、通した紐を、腰のベルトで押さえて携帯するんだけど、紐が落ちないようにベルトに引っ掛ける塊かな。機能的には、引っ掛かれば石でも枝でも結び目でも、何でも良いんだ。」
ユリアと一緒に印籠に紐を通し、ズボンのベルトに引っ掛けて、ユリアの腰につるす。
「お揃いの朱色が、カッコいいです!」
「そうだね、フレイヤ。故郷の習慣で、皆で朱色の装備品にすることを『赤備え』って言うんだ。強そうに見えるとされてるね。」
「ご主人様、赤備え、カッコいいです!」
フレイヤは、大層気に入ってくれた様だ。もうひと推しするか。
「イリス、印籠屋の主人が話してたが、印籠はミチオ君が伝えた品だね。推測だが、セリーも使ってただろう。ほぼ間違い無いと思うよ。」
「ああ、セリー様と同じ持ち物なんて、素敵です。イッちゃいそうです。」
「ご褒美は、お姫様抱っこでシャワー室までだったね。イッちゃおうか、イリス。」
迷宮から帰る時間に合わせ、シャワータンクの水は、湯に温められている。エマ・ミラ・ノラの仕事で、ほむらの銅剣(火炎剣)を使い回している。シャワールームにも水瓶を置いていて、使用者が勝手に湯にし、洗面器に汲んで使う。
イリスの全身と、絹糸のような髪の毛を、石鹸で軽く洗う。
「ご主人様ぁ、あの、ご褒美、もっと・・。」
一番奴隷の謙虚なおねだりだ。石鹸を流さないまま、風呂椅子に座り、対面座位でイリスが跨る。直ぐに夕食なので、手早くイリスを満足させなきゃ。
風呂上がりは、シャワー室の前で、ノラがタオルを持って待っていた・・・。イリスは膣に指を入れ、中の精子を掻き出して洗っている。
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イリスとシャワー室に行ってた間、アルフリーダがフィッシュフライの用意をしている。固くなった最後のパンで作ったパン粉を、溶き卵を潜らせた白身にまぶす。台所で白身を見ると、結構、一切れが大きいな。
夕食が出来るまで、少し考えを整理する時間にしよう。
クーラタルの迷宮は17階層まで進んだが、ソマーラの迷宮は、まだ13階層を突破していない。ちょっとバランスが悪い。13階層で発見した魔物部屋の、掃除もしなきゃならない。明日は、ソマーラの迷宮の探索を優先だな。
クーラタルは人気の迷宮だから、どうしても他のパーティと被る。ソマーラの迷宮なら、外から来る冒険者は見た事が無い。騎士団でさえ、来てないと思う。うちのパーティの独占使用状態なのは、結構大きなメリットだろう。
あと、ワープで全ての移動をやってるのも、効率を悪くしている。ソフィアの探索者Lv40が、冒険者のフィールドウォークに一番近いが、Lv40→Lv50の10ポイントが遠いんだよなぁ。経験値稼ぎしてるのが17階層では、ソフィアを冒険者にするのは、まだ先の話だよね。
ソフィアは、駿馬の革サイハイブーツ(移動力増強)(回避力二倍)を得てから、迷宮の戦闘で問題なく動けている。脚の怪我の影響は、十分にスキル効果でカバー出来てる。しかし現状、ソフィアは、ソマーラ村に縛りつけ、遊兵になっちゃってる時間の方が長いのが問題だ。原因は、アイテムボックスが他に無いからだ。
印籠を全員に持たせるので、薬を持ち歩く分、ほんの少しだがアイテムボックスの節約になる。ただ、焼石に水だな。
もう一人、純粋にアイテムボックス目的の奴隷を買うか・・。お金で解決できる問題ではあるけど、これ以上、人が増えるのがなぁ。
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夕食メニューは、フィッシュフライ、サラダ、小盛りのパスタだ。
エマ・ミラ・ノラも、ナイフとフォークを使うのが上手になったな。アルフリーダとフレイヤは、箸も使う様になっている。「兎人族は、力は人間族程度しか無いけど、器用ですから。」だそうだ
夕食の後、ソフィア・アルフリーダ・エマ・ミラ・ノラが、迷宮に行く準備を始めているが、食べ終わったテーブルの食器を、流しに運んでいたら、「ご主人様が、そんな事しないで下さい。」と、イリスに真面目に怒られた。
「う〜ん、ソフィア、何が悪かったのか分かんない。解説して。」
「食事の後片付けは、ご主人様の仕事じゃないです。あれじゃ『仕事の出来ない無能な一番奴隷が、ご主人様の手を煩わせてる。』と、他人からは思われてしまいます。ソフィアだったら泣いちゃうかもしれませんが、はっきりと言い切ったイリスは立派でしたね。流石、ご主人様の一番奴隷です。」
そういうことか、家父長制なのを忘れてた。くつろいでて、すっかり油断してたが、細かい所まで知らないしなぁ。そう言えば、以前アルフリーダも似たような事を言ってたっけ。
「イリス、ソフィア、ありがとう。これからも至らない事があったら、遠慮せずに教えて欲しい。故郷とは、習慣が違うからね。」
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夕食後、ソフィア達が迷宮に入る。
パーティメンバーを、ソフィア・アルフリーダ・エマ・ミラ・ノラに入れ替え、ソマーラの迷宮2階層に跳ぶ。パームオイルが無くなったので、ボス周回するそうだ。今日も、1時間後に、迎えに行く。
一旦家に帰り、1時間ほど軽く仕事しよう。オークションで落とした、手持ちのスキル結晶の残りを確認しとく。
・トカゲ(火)*2
・ゴーレム(土)*2
・サイクロプス(攻撃力)*1
・蜂(ダメージ逓増)*6
・人魚(水)*1
・灌木(麻痺)*1
・ヤギ(知力)*1
・コボルト*1
まだ、戦力強化のネタはある。ただ現状、魔物が最大5匹出て来るし、上の階層ほど魔法を撃って来る。詠唱中断の武器を増やさないと、少し不安だ。コボルトのスキル結晶は、キープしといた方が良いだろう。
イリスに、ソフィアが勿体無い件を相談すると、「『迷宮の淑女』商会を、午後営業のみにしましょう。」で、あっさり対応可能だった。アルフリーダとも話しているそうだ。ユリアも、「じゃあ、村の事務所も、午前中は閉めちゃいましょう。」とか言っている。まあ、人口100人未満の村だし、決めの問題か。
玉子が残っているので、デザートにババロアとマシュマロを、フレイヤ・エゲリアと一緒に作る。
玉子をボールに割り、黄身だけすくって別の器に移し、黄身と白身を分離する。黄身と酪と砂糖を混ぜ合わせ、沸騰しない様に加熱し、ゼラチンで固めたのがババロアだ。
マシュマロは、玉子の白身からメレンゲを作る所が面倒くさい。しかし、玉子の白身には細菌がほぼ繁殖してないので、大量の砂糖を入れてゼラチンで固めるマシュマロは、かなり日持ちするメリットがある。ただ、メレンゲにする動力がね・・、手じゃ量産したくないよね。
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1時間ほど経ち、ソマーラの迷宮2階層の待機部屋に、ソフィア達を迎えに行く。
「ご主人様、ありがとうございます。パームオイルが取れたので、また、天麩羅ができますよ。石鹸も、オリーブオイルよりパームオイルで作った物が良いですね。」
アルフリーダが上機嫌だ。
「ソフィア、今後のエマ・ミラ・ノラの装備品なんだけど、向いている武器ってあるかな?」
「エマは、今のまま両手剣が良いと思います。ミラは器用な方ですから、片手剣と盾を使いこなせるかもしれません。あと、ノラは背が伸びそうなので、槍を試してみたいですね。」
ソフィアは、流石、伯爵家の元一番奴隷だ。育成に慣れてるっぽい。まあ育成以前の話として、3人とも14歳だから、成長が止まる前に、カルシュウムだよなあ。
さあ、家に帰ろう。
今日の夜伽は、フレイヤとイリスの奉仕を楽しみたいな。
春の25日 夜