春の26日
夜明け前だが、今日もアルフリーダは起きていて、燭台の蝋燭は灯り、台所で家事をしている。お湯を沸かしているのかな? 常夜灯の小さな灯明皿の明かりがあるので、ベッドを抜け出し、一人でリビングに向かうのが楽になった。
「ご主人様、おはようございます。早いですね。」
「おはよう、アルフリーダ。今日は、焼き立てパンを取りに行く日だね。」
今朝も、アルフリーダを立ったまま抱きしめ、お尻を直に揉んで楽しむ。アルフリーダの胸が潰れる感触と、朝立ちをアルフリーダの下腹部に押し付ける感触も楽しめ、これだけは他の娘には真似出来ない。
何も言ってないのに、アルフリーダが、お尻を突き出してきた。手にはタオルを持っている。
「ご主人様、昨日より乱暴に入れて大丈夫ですよ。タオルも咥えますからね。」
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イリスが限界までミサンガを作ったので、全員分の印籠の紐が揃って、皆、腰から朱色の印籠をぶら下げる。改善は、細かいとこからコツコツと、が現実的だ。
昨晩作ったババロアは、良い感じに固まっていた。ゼラチンを使うデザートは、失敗が無いから楽だな。でも玉子がなぁ。高価な上に、サルモネラ菌とか、今一つ信用出来ないんだよね。アニサキスじゃ死なないけど、サルモネラ菌は万が一があるからなぁ。
今日の早朝の迷宮は、途中まで探索済みの、ソマーラの13階層に入る。
ドロップ品の『板』は、いくらでも欲しい。原木じゃなく、製材済の『板』が落ちるなんて、バグに近い仕様だと思う。13階層は戦い難いのがデメリットだが、まあ、慣れだな。
・13階層:ラブシュラブ=火魔法が弱点
・12階層:クラムシェル=土魔法が弱点、火魔法に耐性
・11階層:コボルト=全ての魔法が弱点
魔法主体の戦闘スタイルだと、出現数が多い方の魔物を優先するから、大抵の場合は低い階層の魔物=グラムシェルが残り易い。まあ、魔物の数が最大4匹までの階層だし、殲滅まで少し時間が掛かるというだけで、致命的と言う程では無い。最後にクラムシェルが残るパターンは、毒針を投げつけちゃうしね。
ボス部屋を見つけた所で、少し早いものの、キリが良い。
今日は、ベイルのレストランが高級パンを焼く日だ。朝食に食べたいし、村の野菜も持って行かねば。野菜は、二箱の木箱に山盛りだ。
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ベイルのレストランの外壁から、ワープで出る。
アルフリーダと一緒だが、え、荷馬車じゃん。馬、・・いや耳が長いからラバだ。去勢済みの牡♂だな。早朝のレストランの前に、求めていた動物がいる! 欲しいなぁ。奥さん、どこで調達したんだ?
「おはようございます! 奥さん、野菜、持って来たよ。」
「マモル様、お待ちしてました。表の荷馬車、見てくれた? 売主を呼んでるわ。ベイルの町の行商人なんだけど、治安の悪化で行商が難しくなったから、行商は廃業するの。店の在庫は高値で捌けたんだけど、こんなご時世だから、馬車が捌けてないのよ。で、マモル様がラバを探していたから、話してみたの。紹介料を貰ってる仕事じゃないし、別に断ってもらっても、全然問題無いのよ。」
鑑定!
コーネフ:商人Lv30:48歳:男
「行商人のコーネフです。とは言っても、廃業しましたけどね。表のラバと荷馬車はどうでしょう、買って頂けないでしょうか?」
どうしよう、ラバと荷馬車の相場なんか、知る訳が無い。木製の荷馬車は使い込まれていて、減価償却済みって感じの古さだ。大した価値は無いだろう。ラバは、牝馬にロバの牡を繁殖させた雑種強勢の役畜で、輓獣(ばんじゅう)の最終形態みたいな動物だ。でも、異世界の奴隷と役畜は、どちらが高いんだ? 軽トラと同じだったら金貨6枚、奴隷と同じだったら金貨12枚、トラックと同じだったら金貨18枚ってとこかな。
「良いラバだし、まだまだ荷馬車も使えると思う。普通なら即決で買いだけど、盗賊が出る今現在は、荷馬車を引いて村まで帰ること自体が、リスクなんですよねぇ・・。」
「普通そうですよね。皆さん同じですから、ラバと荷馬車は、最後まで売れずに残ってしまいました。どうでしょう、本当の在庫処分価格です、金貨7枚で引き取って頂けませんか?」
金貨7枚ならオプション付けた軽トラ価格だ。買おう。アルフリーダを横目で見ると、頷いてる、本当に安いんだろう。
「わかりました。あれが金貨7枚で入手できるなら、リスクを取る価値がありますね。買わせて頂きましょう。」
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商人のコーネフは、金貨7枚を受け取ると、さっさと帰って行った。
「奥さん、ありがと。良い買い物が出来たよ。お礼に・・、そうだ、『白身』が10枚あるけど、欲しい?」
「欲しいに決まってますよ。『白身』こそソースの腕の差が出る食材です。マモル様、ありがとうね!」
買った荷馬車に、野菜と交換した、エールの樽や押し麦の袋の積み込みをしてると、おもむろに、アルフリーダが腕を組んできた。
「ご主人様、気付かないふりを。見られてます。アルフリーダの後ろ20mぐらい。盗賊だと思います。」
早朝で人が居ないので、アルフリーダを抱き寄せ、お尻をスカートの上から揉みながら、横目で盗賊を確認する。二人組だな。
鑑定!
盗賊 男 Lv12
盗賊 男 Lv10
「ご主人様、ナイス判断です。美味しそうと思わせれば、きっと、城壁を出たら襲ってきますよね。返り討ちにしちゃいましょう。」
「アルフリーダ、鑑定で確認したら、確かに盗賊だったよ。よく気付いたね。」
「早朝だから、音が良く聞こえるんです。うふふ、アルフリーダのこと強姦しようって言ってますね。ご主人様、スカートを捲り上げて、お尻を揉んで下さい。餌蒔きして、いっぱい狩りましょう。そうだ、イリスとソフィアに貫頭衣を着せて、馬車に積み込むのを見せましょう。美味しい餌に見えますから、きっと襲って来ますよ!」
2〜3分、見張っている盗賊に見せ付けたので、十分だろう。サイハイブーツを履いてるアルフリーダの巨尻は、実際堪らないよね。
アルフリーダが楽しそうで、レストランに戻って作戦会議だ。荷馬車は目立つからなぁ。やっぱ盗賊としては、普通にロックオンしてるよねぇ。
「マモル様、早朝だからって”さかり”過ぎです。羨ましい。」
「ごめん、奥さん。盗賊に見張られててさ、気付いてないフリしてたんだ。盗賊から襲ってくれれば、返り討ちに出来るじゃん。」
「ご主人様、アルフリーダをパーティから外して、急いで皆を連れてきて下さい。店の中から跳ぶんですよ。」
アルフリーダのテンションが上がってる。完全に、儲け話の認識だなぁ。急いで帰宅し、ピックアップしなきゃ。
ワープ!
「皆、急だけど、ベイルの町で盗賊戦だ。急いで準備して。詳しくは、ベイルのレストランでアルフリーダが説明する。イリスとソフィアは、貫頭衣も持って付いてきて。エマ・ミラ・ノラは、危ないから留守番だよ。」
「「はい、旦那様、盗賊は皆殺しです!」」
「「了解です、ご主人様、楽しみですね!」」
この子達も、盗賊でテンション上がるんだよなぁ。
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ベイルのレストランの店内の壁に、ワープの出口を繋ぐ。
石窯に火が入ってるのでシェフは厨房だが、奥さんとアルフリーダが談笑してる。そう言えば、あの二人、似てる所があるな。早速ブリーフィングだが、何故か奥さんも参加するらしい。アルフリーダから、今回の作戦案の説明を受ける。
・荷馬車が”美味しそう”に見えることがポイント。
・麦袋やエールの樽を、さらに荷積みする。奥さんへの支払いは、次回分の野菜での充当で構わない。
・貫頭衣の奴隷として、イリスとソフィアを荷積みする所も、見せびらかす。
・御者は、アルフリーダ一人で、護衛はいない。
・城壁を出てから、イリス・ソフィアは馬車の荷台で防具を装着。
・城壁の外5分の街道で、トラブルを装い馬車を止め、盗賊に襲っていただく。
・盗賊の襲撃は、レストランで待機しているフレイヤに、アルフリーダが”おはなし”で伝える。
・マモル・フレイヤ・エゲリア・ユリアは、城壁にワープで出て、街道を駆け付ける。
「荷馬車で5分の距離、ご主人様達は、どのくらいで駆けられますか?」
「自分とフレイヤだけなら1分半かな。エゲリアとユリアは3分ぐらいだね。」
「イリス、ソフィア、ご主人様達が来るまで、戦えそう?」
「余裕です。盗賊の攻撃なんて、ソフィアには通りません。」
「対人戦には、ドワーフの槌です。打撃武器には、盗賊の防具なんて意味をなしません。」
「アルフリーダにも、闘兎の瞬発力上昇が90秒ありますから、安心ですね。ご主人様とフレイヤが来るまで、十分保ちますよ。」
「フレイヤ、レストランの中から、見張りの盗賊を感じられる?」
「うん、二人、人間語で兎人族がどうとか言ってる。意味が良く分かんない。」
「奥さんが、ディープな話、全部聞いちゃってるよね。アルフリーダ、どうしよう?」
「あらやだ、マモル様。さっき、アルフリーダさんの『迷宮の淑女』商会とうちのレストラン、包括業務提携に合意したの。守秘義務は商道徳の基本よ。ユリアの村だと、内密ってことよね。だから、問題無し!」
「でも、奥さんの店から、アルフリーダ達が出て行く所を、盗賊に見られてるよ。危なくない?」
「え、マモル様、盗賊は皆殺しにするんでしょ。うちの店は、盗賊を返り討ちにした『迷宮の淑女』商会の親密取引先ですよ。誰もチョッカイ出せません。当店は、今日から、ツケ払いが利かない店になりました!」
あっという間に、提携先が『親密取引先』にすり替わってる。『庇護下』との違いが微妙だけど、うちに何の義務も無いよね。
「それでは、急いでおめかししましょう。ご主人様は、追加の荷積みを始めて下さい。一個ずつ、盗賊が確認できる様、お願いしますね。ユリア、エゲリア、フレイヤは、窓やドアに近づいちゃ駄目ですよ。イリスとソフィアは出発直前に荷積みしますから、貫頭衣に着替えてね。」
イリスとソフィアが服を脱ぎ出すのは分かるが、アルフリーダまで上半身裸になった。ボディークリップを付けた素肌に革の鎧を着込み、その上からシャツを羽織るのかぁ。うわ、乳寄せして、普段より大きくしてるぞ。
奥さんが、化粧道具を持って来て、絹の貫頭衣に着替えたイリスとソフィアを、順番にメイクしている。5割増しで綺麗になってる感じだな。
「奥さん、凄いテクだな。イリスもソフィアも、見違えるように綺麗だ。」
「美味しそうな見た目の料理だと、お客さんが沢山来るんですよ。でも、性奴隷っぽい感じって、よく分からないわ。」
「奥様、仕上げで、チークカラーを強めに入れて下さい。口紅は、真っ赤が良いですね。アイシャドーは不要です。イリス、口元はだらしなく、少し開けるの。目は見開かないで、眠そうな感じで。そうそう、それが性奴隷の顔。」
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「では皆さん、準備が出来たので、お芝居を始めましょう。」
「アルフリーダ、盗賊は馬車の行き先を知らないよね。どうやって、待ち伏せるの?」
「ベイルの町の東門で、門番の人と、お話しする予定です。その間に、盗賊が追い抜いて行くと思いますよ。」
「え、何で?」
「奥さんが、素敵なこと教えてくれました。うふふ。」
「何故か東門の門番達は、娼館にお気に入りの娘がいて、貢いでるの。門番なんて安い給料なのに、不思議よね。ハニートラップって怖いわ。」
君達も、怖すぎだよ。奥さんも、肉食系に違いないわ。そうだ、急いで盗賊戦の設定に調整して、錬金術師のメッキを掛けなきゃ。
【マモル】 革の帽子・鎧・手袋
武器 :デュランダル(63)
足装備:駿馬の硬革靴(移動力増強)
アクセサリー:決意の指輪(3)
6ジョブ(31) キャラクター再設定(1) 詠唱省略(3)
鑑定(1) ワープ(1) 等量交換(1) 敏捷上昇(20)
合計124
探索者Lv26:体力(小上昇)
魔法使いLv24:知力(小上昇) MP(微上昇)
英雄Lv14:腕力HP体力MP知力精神器用敏捷(中上昇)
神官Lv21:MP(小上昇) 知力(微上昇)
剣士Lv8:腕力(小上昇) HP(微上昇)
錬金術師Lv10:知力(小上昇) 器用(微上昇)
【イリス】 革の鎧
武器 :槌(空き)
頭装備:ダマスカス鋼の鉢金(空き)(空き)(空き)(空き)
腕装備:鋼鉄のガントレット(空き)(空き)(空き)
足装備:皮のサイハイブーツ(空き)
アクセサリー:指輪(空き)(空き)
鍛冶師Lv14:腕力(中上昇) 体力(小上昇)
【フレイヤ】
武器 :強権のダガー(詠唱中断)
盾 :木の盾 (空き)
頭装備:硬革のカチューシャ(空き)
胴装備:革の鎧(空き)
腕装備:革のミトン(空き)(空き)
足装備:革のサイハイブーツ(空き)
アクセサリー:頑強のボディークリップ(物理ダメージ削減)(空き)(空き)
闘兎Lv13:器用(中上昇) 敏捷(小上昇) HP(小上昇)
【エゲリア】革のサイハイブーツ 硬革の手袋
武器 :強権の鋼鉄剣(詠唱中断)
頭装備:革の帽子(空き)
胴装備:革の鎧(空き)(空き)
アクセサリー:指輪(空き)(空き)
淫乱Lv12:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)
【ユリア】 革の帽子 硬革の鎧
武器 :鋼鉄の剣(空き)(空き)
腕装備:革のミトン(空き)
足装備:革のサイハイブーツ(空き)
アクセサリー:イアリング(空き)(空き)(空き)
淫乱Lv11:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)
【ソフィア】レイピア 鉄の盾 革の帽子・鎧・手袋
足装備:駿馬の革サイハイブーツ(移動力増強)(回避力二倍)
アクセサリー:頑強の指輪(物理ダメージ削減)(空き)
探索者Lv40:体力(小上昇)
貫頭衣を着せたイリスとソフィアを、馬車の荷台に積み込む。もちろん、見張ってる盗賊に、たっぷり見せびらかしてだ。最後に、たった今焼き上がった高級パンの入った箱を積み込み、アルフリーダが御者席に座る。護衛が乗ってない荷馬車だ。襲い易い荷馬車が、東門に向けて出発した。
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「フレイヤ、見張りの盗賊はどうしてる?」
「1人は馬車の後ろ。もう1人は、どっか行っちゃった。」
「あ、お母さんから。奥さんに、お茶入れてもらって待ってて、だって。」
奥さんが、アップルティーとクッキーを出してくれた。石窯に火を入れる日だから、ついでにクッキー焼いたのか。
「お母さんが、やっと今、東門を出たって言ってる。追い越して行ったのは、人相が悪いのに、商人を名乗った男が10人だって。」
「お母さんが、ボロい馬車で街道を塞いでるのが見えたって。でも盗賊の姿が見えないから、もう少し待ってって。」
「街道横の草むらから、盗賊が出て来たって。これから荷馬車が囲まれるから、ご主人様も来て良いって、早く行こ!」
「それじゃ奥さん、色々有難う。皆、東門の城壁にワープで出たら全力疾走ね。盗賊は10人だけみたいだから、追い付いた順で各個に戦闘開始だな。フレイヤが、先頭で突撃して良いよ。」
東門の城壁に、ワープの黒い扉を開き、フレイヤ、マモル、エゲリア、ユリアの順で飛び出す。フレイヤは、最初から闘兎の瞬発力上昇を使っているな。なんか速いってより、街道の上を滑ってる感じだぞ。エゲリア、ユリアも少ししか遅れないな。こっちは、デュランダルをアイテムボックスに収納して手ぶらで走ってる上、駿馬の硬革靴(移動力増強)も着けてるのに、心肺持久力増強で強化されてる淫乱と、対して変わらないのかぁ。
アルフリーダ達が見えたな。イリスとフレイヤは、戦闘開始している。もう少し。
キャラクター再設定!
走りながら、デュランダルを出す。
オーバーホエルミング!
フレイヤに追い付けそうだ。効果が切れる前に、ファイヤーボールを1発撃っておきたいけど、ギリギリかな。ファイヤーボールの着弾と同時に切り込みたいよね。
ファイヤーボール!
一番手前の男を、ターゲットスコープに捕らえた。鑑定で確認する前に撃ち込んでしまったが、この状況なら100%盗賊だろう。気にしない。
鑑定!
うん、全員盗賊だな。
お、ファイヤーボールを撃ち込んだ奴は、盗賊Lv41じゃん。他の盗賊のレベルは皆10台だから、こいつが首領かな。Lv41なら、ファイヤーボール1発程度は耐えるな。こいつは、デュランダルで襲っとこう!
オーバーホエルミングの効果が切れると同時ぐらいに、ファイヤーボールが盗賊Lv41に着弾する。
着弾から刹那、盗賊Lv41に辿り着く。デュランダルで袈裟懸けにし、走って来た勢いのまま体当たりで盗賊を弾き飛ばした。盗賊Lv41は、何が起こってるのか認識できてないうちに、切り込めたハズだ。デュランダルを、転がってる盗賊Lv41の首筋に刺し、息の根を止める。”身代わりのミサンガ”を持ってる可能性があるから、念の為だ。
フレイヤは、既にイリスとソフィアの周辺に到達し、盗賊の背後を取っている。エゲリアは、手前の盗賊に斬りかかった所だ。ユリアも追い付いたから、もう心配無いだろう。アルフリーダは馬車を背に剣を構えている。自分から積極的に攻撃する気は無さそうだ。
イリスが振り回した槌に、盗賊2人がグチャっと当たった。ソフィアのレイピアも、盗賊の首筋に刺さったな。もう盗賊の数も減ったし、ご主人様は直接戦闘より支援に回った方が良いだろう。全体回復魔法だけ掛けておいて、イリスとソフィアには、もう一度メッキも掛けておこうか。
鑑定!
立っている5人の盗賊のうち、ソフィアと戦っている盗賊Lv19が最高位だ。問題無いとは思うが、念の為、単体攻撃魔法を撃っとこう。
ファイヤーボール!
盗賊Lv19に、単体攻撃魔法のファイヤーボールが背後から直撃する。即死か否かの判断は微妙だが、当然、正面のソフィアが止めを刺している。ほぼ同時に、フレイヤ、エゲリア、ユリア、イリスも盗賊を倒したので、盗賊は、全員返り討ちにしてるハズだ。
「アルフリーダ、逃げた盗賊はいる?」
「いえ、最初から見張ってましたが、逃げ延びた盗賊はいません。死体も10体ありますから、間違いありません。」
ソフィアが、慣れた手つきで盗賊の左腕を切り取っている。盗賊のインテリジェンスカードを収穫する為の作業だ。イリスとフレイヤは、盗賊の装備品や荷物の『剥ぎ取り』をやってる。ユリアとエゲリアは、盗賊の服に縫い付けてある金貨の『剥ぎ取り』だ。財布替りの皮袋には、銀貨や銅貨しか入ってないからね。
「イリス、こいつら全員『革』の防具を装備してるね。全員、武器も『鉄』だし。以前2回戦った盗賊より、装備が良いよね。」
「ベイルの町を拠点にしてる盗賊だからでしょう。ベイルの迷宮で冒険者を襲える分、森に潜む盗賊より装備が良くなるのだと思います。」
草を食んでいたロバを、アルフリーダが確保して来た。盗賊が、街道を塞ぐのに使った荷馬車を引いていたのだろう。
「アルフリーダ、結果的に金貨7枚で、ラバ1頭と牝ロバ1頭と、荷馬車2台が入手できた。凄くラッキーだったね。」
「うふ、儲かりました。ソマーラの村には、既に牝馬1頭と雄ロバ1頭がいますから、計4頭に倍増しますね。溜め池の近くに小さな牧場を開いて、誰かに管理させましょう。」
盗賊の死体を放置するのは、公衆衛生的に不味いな。万が一、疫病でも発生したらソマーラの村も飲み込まれる。
「イリス、盗賊の死体をベイルの迷宮に捨てに行くから、手伝って。『剥ぎ取り』が終わった順に、担いでワープしよう。」
最近、ベイルの迷宮の探索をやってないけど、5階層なら人も少ないだろう。すぐ近くの木の幹が、ワープ可能な太さなのは幸運だった。後始末にイリスと一緒に5往復した後、村に向け出発の準備が完了した頃、インテリジェンスカードが出てきた。切り取られた左腕も、迷宮に捨てとこ。
春の26日 午前