※この作品はR-18です。

迷宮資源で奴隷娘とハーレムを   作:prime67

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春の30日 


58.石鹸を手土産に

昨晩のバーベキュー大会は、遅くまで飲み食いしたようだ。

 

アルフリーダ、フレイヤ、ユリア、エゲリアは、まだ熟睡している。台所で洗顔と歯磨きをし、起こさないよう配慮をするが、イリスとソフィアは絶好調みたいだ。二人とも、昨晩の夜伽でイキまくったまま熟睡したし、二日酔いの気配は微塵も無い。

 

「ご主人様、今日はウサギ肉の納品ですよね。何個欲しいって言ってます?」

 

「30個だね。時間が勿体無いし、ラピッドラビット狩りに行こうか? ソマーラの1階層ボスだから、三人だけで十分でしょ。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ラピッドラビットなら、1周2分程度でボス周回できてる。慣れた作業だ。

 

イリスがラピッドラビットを弾き飛ばし、空中でソフィアが切り付け、地面に落ちたラピッドラビットに単体攻撃魔法を撃ち込んで終了だ。オーバーキルだとも思う。あと、戦士のジョブは必要無いので、この機会に商人に変更してみる。

 

【マモル】 革の帽子・手袋

武器 :吸精のダマスカスステッキ(MP吸収)

胴装備:ダルマティカ(空き)

足装備:駿馬の硬革靴(移動力増強)

アクセサリー:ひもろぎの聖銀ミサンガ(知力二倍)(空き)

5ジョブ(15) キャラクター再設定(1) 詠唱短縮(1)

獲得経験値二十倍(63) 必要経験値十分の一(31)

MP回復速度三倍(7) 知力上昇(6) 鑑定(1) ワープ(1)

合計126

魔法使いLv28:知力(小上昇) MP(微上昇)

英雄Lv17:腕力HP体力MP知力精神器用敏捷(中上昇)

色魔Lv19:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)

神官Lv24:MP(小上昇) 知力(微上昇)

商人Lv3:知力(小上昇) 精神(微上昇)

 

【イリス】 革の鎧

武器 :強権の槌(詠唱中断)     

頭装備:ダマスカス鋼の鉢金(空き)(空き)(空き)(空き)

腕装備:鋼鉄のガントレット(空き)(空き)(空き)

足装備:皮のサイハイブーツ(空き)

アクセサリー:指輪(空き)(空き)

鍛冶師Lv16:腕力(中上昇) 体力(小上昇)

 

【ソフィア】 鉄の盾 革の帽子・鎧・手袋

武器 :激情のレイピア(攻撃力二倍)(麻痺添加)(空き)

足装備:駿馬の革サイハイブーツ(移動力増強)(回避力二倍)

アクセサリー:頑強の指輪(物理ダメージ削減)(空き)

探索者Lv41:体力(小上昇)

 

「いや〜、一人一撃入れると倒せるのは楽だね。1時間でウサギの肉30個だから、効率良くなったわ。」

 

「ご主人様、昨日のバーベキューで、ペッパーを使い切ったって言ってました。採りに行きませんか?」

 

「ペッパーは、4階層のボス、スパイススパイダーの通常ドロップ品だったね。15匹ぐらい倒しとこう。ソフィアが正面で、お願いね。」

 

ソフィアのダンジョンウォークで、4階層の待機部屋まで行く。ボスの出現と同時に、単体攻撃魔法を撃ち込み、ダッシュし3人で囲む。ここも、一人一撃入れる程度で、スパイススパイダーは煙になる。

 

このペースでドロップ品を収集できるのは、本当に楽だ。獲得経験値二十倍と必要経験値二十分の一が同時に設定可能になって、400倍の効率で経験値が貯まる様になったら、無理に上位階層に上らなくても良いんじゃないか?

 

「ご主人様、流石に、もう皆も起きてるでしょう。一旦、帰って3人をピックアップして、クーラタルの22階層に行きませんか? 経験値的にも美味しいし、シェルパウダーと板はいくらあっても腐らないし、あそこの階層は理想の狩場です。」

 

「そうだね、ユリア、エゲリア、フレイヤを迎えに行こうか。起きてると良いね。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ワープで家に帰ると、ユリア達が暗い雰囲気で、お詫びの連チャンだったが、何事も無かった様にふるまう。

 

「お酒飲んだ翌朝は、起きるの辛いよね。二日酔いが残ってる人は、正直に言って。流石に危なくて迷惑だから、迷宮探索には連れて行けないよ。別に怒ってないから、遠慮せずに言うんだよ。」

 

「あの、ユリアは妊娠してるから飲酒NGで飲ませなかったんですが、その分、エゲリアが倍飲むことになっちゃって・・、二日酔いです。ごめんなさい。」

 

「うん、エゲリアは正直に言って偉いね。午前中の迷宮探索は欠席にするから、ちゃんと水飲んで回復するんだよ。」

 

労務管理は合理的にやろう。その昔は、インフルエンザで休んでる社員を無理矢理出社させ、フロアの全員を集団感染させる管理職が珍しくなかった。あれは何だったろうな? 単純に無能なだけか、バイオテロしたかったのか、世の中には、意味不明な人って普通にいるんだよ。恐ろしい。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ユリアとフレイヤも合流し、5人でクーラタルの22階層にワープする。

 

「フレイヤ、他のパーティも沢山入ってそう?」

 

「うーん、人がいっぱいいます。4組かな。急いで狩らないと魔物が足りなくなっちゃうかも。」

 

「ご主人様、23階層からの魔物グループは一段階強くなるので、境目の階層は人気なんです。混雑してる迷宮って厄介で、他のパーティの魔物を横取りすると、トラブルになります。ですから、相手から『助けて』と懇願されない限り、無視が迷宮マナーです。盗賊と勘違いされて、襲われることもありますし。」

 

「うん分かった。フレイヤ、イリス、なるべく他のパーティと出会わない場所に案内してね。」

 

「「了解です、ご主人様。」」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

昨晩、ソフィアのレイピアに『麻痺添加』を付けた。ので、攻撃をサンドストームを撃つだけに控え、戦術の実験をしてみる。

 

最大射程で魔法を撃つと、接敵まで全体攻撃魔法をギリギリ3発撃てる。その間フレイヤも、『状態異常耐性ダウン』を3匹に掛けるのは余裕で、慣れれば4匹まで行けそうだ。現在の最大魔物数は5匹なので、ソフィアが1匹麻痺にすれば、魔物の戦力は20%減になる。戦闘時間が長くなりそうな魔物の場合は、毒針が効果的だが、通常戦は麻痺が出れば単純に安全性が増す。

 

状態異常は、毒→睡眠→麻痺→石化の順に出易い。別に石化じゃなくても、麻痺で動かなくなれば、同時対処する魔物は減る。一定時間、魔物が動かなくなるだけで十分だ。麻痺より睡眠の方がより出易いものの、睡眠では攻撃を当てると解除されてしまう。全体攻撃魔法に依存する我々のパーティと、睡眠は相性が悪い。

 

「フレイヤは、どの魔物から『状態異常耐性ダウン』を掛ければ良いか、判断が難しいよね。暫くの間、ソフィアがフレイヤに教えてあげて。」

 

「はい、ご主人様。でもこれって、魔物毎の弱点魔法と耐性魔法を暗記した上で、魔物を見た瞬間に最適解を導き出す作業ですから、難易度高いですよ。」

 

「え、フレイヤなら大丈夫でしょ。まだ15歳だから記憶力も十分だし、母親がアルフリーダだよ。脳みそも、ガンガン鍛えようよ。巨乳なのに才女で感度が良いとか、フレイヤは1,000人に1人の逸材を目指し育てたいんだ。ソフィア、手加減せず、詰め込み教育で鍛えてやって。」

 

「了解しました、ご主人様。ついでにブラヒム語の勉強もできますし、フレイヤも頑張りましょうね。ソフィアは優しいから大丈夫ですよ。」

 

 

クーラタルの22階層で1時間ほど戦って、後衛からソフィアを観察してみた。『状態異常耐性ダウン』付きで麻痺が出る確率は、10%程度か。結構高いな。毒針で毒化した魔物にも『状態異常耐性ダウン』の効果は継続していて、ソフィアの『麻痺』が発動する確率に違いは出ない。

 

ミチオ君は、暗殺者にしたミリアの『石化』で無双してたが、うちは『麻痺』を使っていこう。前衛全員の武器に、『詠唱中断』と『麻痺添加』を付けるのを最終形にすれば良い。フレイヤは、戦闘の前半は『状態異常耐性ダウン』を掛けまくり、後半は『瞬発力上昇』を使って遊撃だ。う〜ん、マルチロールも極まる。やはり脳みそも鍛えないと、判断力が厳しいわ。イリスは業務多忙でキツいけど、フレイヤは勉強でキツくなりそうだ。

 

22階層のクラムシェルと20階層のラブシュラブは、動きが遅く大きさも手頃なので、イリスの『一撃で二発当てる』攻撃が当て易い傾向だ。この辺の情報は、イリスから、勝手にソフィアに伝わるだろう。

 

「そろそろ朝食の時間だから、帰ろうか。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

朝食は、昨日買った高級パンに、チーズを掛けた贅沢トーストだ。春野菜が余るほどあるので、押し麦の入った野菜スープも付いてる。

 

「旦那様、今日は、村事務所の隣の馬小屋を解体して、畜舎を新しく作った道沿いに移転します。建物と言っても”掘っ建て小屋”程度ですから、1日でやっちゃいます。道路と同じ様に村民の勤労奉仕でやりますが、お昼にスープ程度は出そうと思います。」

 

「ユリア、倍以上の広さにしなきゃならないけど、建設資材は足りる?」

 

「撤去した左隣との垣根板と、馬小屋の古材を流用し、それでも足りない分は村の古材を掻き集めます。多分、新品の『板』は使わなくて大丈夫だと思いますね。畜舎ですので、勿体無いですから。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

朝食後、帝都の高級服屋へ定期納品だ。アルフリーダとソフィアが一緒に行く。

 

「おはようございます、ご主人。暖かくなりましたね。ウサギの毛皮100枚とウサギの肉30枚、持って来ました。」

 

「お待ちしておりました、マモル様。やはり、貴族家の方々からウサギの肉を頼まれました。30枚も入れてもらって、本当に助かります。」

 

早速、アルフリーダとソフィアは、オーダーメイドの貫頭衣を担当してるマダムと打ち合わせに、別室に向かう。

 

既に、カウンターにトレーが並べられている。ウサギの肉を5枚ずつ積み上げ、女性店員が木箱に収納していく。これも、慣れた作業になった。ウサギの毛皮も、女性店員が10枚づつ数え、紐で束ねて積み上げていく。

 

「ところで、ご主人、帝都の景気は如何です?」

 

「そうですなあ、不思議と帝都の景気は良いのです。貴族家の御家族が、帝都に避難され集まってますから、物も動きますので。特に、パーティ需要がバブルでして、当店も恩恵を頂戴致しております。」

 

「なるほど、それは良かった。これからも良い取引が出来そうですね。」

 

しばらく情報交換をしていると、別室からマダムが出て来て、呼ばれる。アルフリーダの貫頭衣の最終確認かな。

 

「マモル様、ご覧下さい。やはりアルフリーダさんは、腰回りを強調するデザインが映えますね。ここまでの腰の奴隷は、大貴族や大店の商家でも、なかなかいませんよ。」

 

もはや、貫頭衣では無かった。絹地は薄手で、透け感がある。胸は完全に隠しているが、本来腰回りで結ぶ帯を巨乳の下で結み、膨らみを強調している。サイドはスリットと言うより、下に行くほど布の横幅を絞り、腰回りは半分以上露出させている。完全にパンツを履かない前提で、全裸では無いが、お尻の割れ目と盛り上がりを露出させるデザインだ。前垂れ状の布が全面を隠すものの、兎人族はパイパンだし、アルフリーダの性器は後ろ付きだから、そもそも隠す物が無い。反面、盛り上がった尻を隠す布は極小さいから、軽く前屈みになるだけで、性器が露出する。

 

「アルフリーダ、綺麗だよ。マダム、想像以上の出来栄えだ。素晴らし過ぎる。作って良かったよ。」

 

「次の、ソフィアさんのも、打ち合わせ終了してます。凄いの作りますから、ご期待下さいね。」

 

 

先に別室から出ると、納品の精算書ができていた。

ウサギの毛皮 100枚 @25ナール=2,500ナール

ウサギの肉   30枚 @160ナール=4,800ナール 合計:7,300ナール

 

「マモル様、申し訳無いのですが、次の納品日にもウサギの肉30枚、お願い可能でしょうか? 貴族家の依頼が非常にキツくて・・。」

 

「解りますよ、ご主人。次回も今回と同じ量、『迷宮の淑女』商会が用意しましょう。困った時はお互い様ですから。」

 

普通の冒険者は、ボス周回なんてしないのだろう。そして、ウサギ肉を、通常戦のレアドロップだけで30枚集めるのは大変だ。レアドロップ率7.5%として、400匹も通常魔物のスローラビットを倒さなきゃならない。そりゃ、恐縮する訳だ。

 

高級服屋の裏口の壁から、家までワープで帰る。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

次は、気が重いけどザビルの町だ。

 

長距離移動用の設定で、『MP回復速度二十倍』を、経験値を犠牲にして付ける。あと商人のジョブも、(MP微上昇)が付いてる僧侶に入れ替える。イリス・フレイヤ・ソフィアが同行するが、4人でここまでの長距離ワープは初めてだ。

 

「ご主人様、手土産の準備は出来ています。石鹸は、1個ずつパピルスで綺麗に包み、最後に蜜蝋で封蝋しました。」

 

ソフィアは、こういうの慣れてるな。伯爵家の元一番奴隷の価値が大きい。ノウハウも、お金で買えたんだもんな。

 

「ありがとう、ソフィア。念の為なんだけど、強壮丸をアイテムボックスから出しといて。ザビルの町は帝国領の東端で遠いから、MP切れで倒れるかもしれない。強壮丸を握りしめて行くよ。」

 

「それなら、ソフィアが強壮丸を持ってますね。ご主人様が倒れたら、口移しで飲ませます。」

 

まあ良いか。ザビルの町の冒険者ギルドに、目的地セットする。色々怖いが、ワープ!

 

 

やっぱり、3人連れてザビルの町までのワープは、倒れる寸前でキツい。片膝を突くと、イリスが支えてくれ、ソフィアが口移しで強壮丸を飲ませてくれた。

 

「ご主人様、少し椅子に座って休みましょう。」

 

イリスが、ギルドのロビーにある長椅子まで運んでくれ、フレイヤが背負い鞄の中からステンレス水筒を出し、お茶を注いでくれる。念の為、もう一つ強壮丸を受け取って、呑み込む。

 

「イリスは小さいのに凄いな。どこからそんな力が出て来るんだ?」

 

「これでもドワーフ娘としては、村で一番背が高かったんですよ。ご主人様の万が一の時は、イリスが背負って逃げますからね。」

 

「イリス、ソフィア、フレイヤ、ありがとう。だいぶ回復したから、もう大丈夫だ。ただ、武器屋までは歩いて行こうか。MPが全回復するまで、まだ時間が掛かるから節約ね。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

武器屋に入ると、店のカウンターに魔導士Lv51 のベルガーがいた。 辺境伯の臣下だが、ベルガー・フォン・ザビルの名前からすると、自身も貴族で伯爵家の一族だ。瞬殺されても不思議じゃないレベル差だし、細心の注意を図ろう。

 

「こんにちは、ベルガー殿。先一昨日ぶりです。またお邪魔してしまいました。」

 

「これはこれは、冒険者殿。再度のご来店、ありがとうございます。いかがです、時間がありましたら、お茶でも飲んでいきませんか?」

 

「では、せっかくですので、お言葉に甘えさせていただきます。」

 

別室に案内され、革張りの応接セットに座るが、イリス・フレイヤ・ソフィアは、椅子の後ろで立ち控えてる。もう奴隷持ちであることがバレてるので、主人の後ろで控えるのが、正式な奴隷マナーだそうだ。それもあるのだが、フレイヤが、感度ビンビンで護衛すると意気込んでる。先一昨日、ベルガーに背後を取られたけど、二度目は無い!って感じらしい。

 

お茶を運んで来たのは、狼人族の女性だ。フワフワの黒い尻尾が綺麗で、背が高い。

 

鑑定!

ヒルデガルド 百獣王Lv34 46歳 女

 

うわ〜、百獣王Lv34って、この店は化け物だらけかよ。それに46歳って、見た目はどう見ても25〜26歳ってとこだろ。美魔女って奴かぁ。

 

 

「あら、あなた、伯爵家の一番奴隷の娘じゃない。確かソフィアさんだったわね。そう、あなたは生き残ったの。伯爵様は残念だったわね。お悔やみ申し上げるわ。」

 

「おお、思い出した。どこかで見た事があると思ってたら、いつもブルーノ伯爵の隣にいた一番奴隷の娘では無いか。いや〜、年を取ると記憶力が駄目だな。これは失礼いたした。私からも当主に代わり、ブルーノ伯爵をお悔やみ申し上げる。」

 

「ご丁寧なご挨拶、痛み入ります。亡き伯爵も喜ぶでしょう。しかしベルガー様、ヒルデガルド様、今のソフィアは、御前の自由民マモル・モノベの奴隷になりました。何卒、新しい主人をお引き立て賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。あと、こちらは手土産でございます。手前共の産物をお持ちしましたので、ご笑納頂ければ幸いです。」

 

「聞いたかヒルデガルド、立派な口上じゃないか。お前には無理だな。流石は、ブルーノ伯爵の一番奴隷だ。いや、今はマモル殿の奴隷か。これほどの奴隷を従えるとは、マモル殿の器量が測れると言うもの。ヒルデガルドも見習えよ。」

 

「私は、夜伽と戦闘が専門だから良いのよ。うちは、そういうのベルガーが専門でしょ。早速だけどソフィアさん、また手合わせしましょうよ。マモル様、ちゃんと寸止めしますから是非許可して欲しいわ。」

 

「ソフィア、意見を。」

 

「ぜひ、やらせて下さい、ご主人様。一年前にヒルデガルド様と手合わせした時は、全く相手になりませんでした。今回も勝てるとは思いませんが、ご主人様に恥をかかせるような試合には致しません。」

 

「ベルガー殿、私は別に貴族じゃない単なる自由民ですから、面子とかどうでも良いのです。今回はソフィアの希望もありますので、お受け致しますが、今回だけですよ。」

 

「すまないのう、マモル殿。ヒルデガルドは我が当主の一番奴隷で、我の言う事などに従わんのだ。昔は可愛かったのに、いやはや月日とは残酷じゃのう。」

 

「ベルガー、お客様に余計な事を言うと、あんたの一番奴隷に言い付けるわよ。さあマモル様、中庭に移動しましょう。今日は良い天気で良かったわ。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ヒルデガルドは両手剣で、ソフィアは片手剣と盾だ。手合わせなので、真剣じゃなく木刀での試合だ。はあ、ミチオ君は竹刀(しない)は作らなかったのかぁ。いや、そもそも、竹そのものを見た事ないな。異世界では竹が無いのか? う〜ん、木刀の試合だって事故ったら危ないよ。

 

中庭に出て、手合わせが始まる。ベルガーが審判を務めるようだ。小声なら聞こえないだろう。

 

キャラクター再設定!

 

経験値系のBPを全て外し、7thジョブ、詠唱省略、ジョブ設定にチェックを入れる。英雄・剣士・戦士・農夫・盗賊・錬金術師・探索者、何もしないよりはマシ程度だろうが、少しだけソフィアを援護しとく。メッキ!

 

それでも、探索者Lv41では、百獣王Lv34には全く歯がたたない。5分ぐらいで寸止めが入り、ベルガーの「そこまで!」が響いた。

 

(この娘、一年で別人の様に強くなったわ。何をしたのかしら?)

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

応接室に戻ると、濡れタオルが用意されていて、ソフィアとヒルデガルドに手渡される。う〜ん、用意が良すぎる。このパターン、しょっ中やってるのか? 辺境伯家だけあって、基本は武闘派なんだろうな。

 

さて、手土産も受け取らせたし、ソフィアとの”手合わせ”も受けたし、本題に入るタイミングだ。

 

「ベルガー殿、ご存じかも知れませんが、迷宮がドホナの町で三つ、うち一つは城壁内に出現したようです。帝国政府は、ドホナ・シュポワール・ベイルの騎士団に盗賊討伐を切り上げさせ、迷宮討伐に行かせるとの噂です。」

 

「なんと、それはいつの情報ですか?」

 

「昨日の夕方から、帝都の商人ギルドで出回った噂です。」

 

「なるほど、ザビルは帝都から遠いですから、その情報には非常に価値があります。これは、マモル殿に借りが出来ましたな。」

 

「で、お願いと言っては何ですが、ザビルの町で、信頼出来る店を紹介していただきたいのですが・・。」

 

「おお、紹介状ですな。そんな事なら容易いですぞ。」

 

「いや、ベルガー、それじゃ駄目よ。私が一緒に、マモル殿の買い物に同行する。人間族の鼻では解らないだろうけど、さっき受け取った手土産の袋から、石鹸の匂いがするわ。それをソフィアは『手前共の産物』って言ったんだ。マモル殿は、石鹸を作れるって事だろう。そんな賓客に、万が一、商家の者が無礼な商いをしたら、領主たる我が主人の面目が立たない。」

 

「石鹸・・、そうですか。マモル殿、そんな高価な品を手土産に頂戴し、ありがとうございます。ヒルデガルドが、ザビル辺境伯の一番奴隷であることを知らぬ者など、この町におりませぬ。どうぞ、ご自由にお使い下さい。」

 

「ベルガー殿、ヒルデガルドさん、ありがとう。実は、鏡と砂時計と化粧用品一式が欲しいんです。他にも、ザビルの町ならではの産物があったら入手したい。」

 

「そうね、ガラス製品はザビルでも作れる様になったし、化粧道具には自信があるわ。辺境伯領は、ほぼ全ての種族が暮らしているから、文化の多様性が高くて、化粧の道具も手法を発展してるの。当然、食べ物もね。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ヒルデガルドから、最初に、ガラス製品屋に案内される。

 

辺境伯家が3代の時間を費やし、ペルマスクから技術を盗み出して、今日に至ると説明された。盗むと言っても『ペルマスクから売りに出された奴隷は全て購入する』と、資金力に任せ、周辺の奴隷商人を抑えただけらしい。膨大な点のデータが繋がり、最終製品として反映されペルマスクに追いついたのは、この10年と言っている。

 

いやぁ、実に素晴らしい。鏡に砂時計、温度計に体温計まである。ただ鏡は平面が出てない。文明レベルからして、手吹きガラスだから当然か。おお虫眼鏡だ、レンズも作れるのか。えぇ、ガラスペンじゃん。ホーローバットも。持てる限り、全部買って帰るぞ。

 

それでも、最高級品のクリスタルガラスだけは、製法が皆目解らないと教えてくれた。クリスタルガラスって、確か、酸化鉛で融点を下げるんじゃなかったけ? まあ、今は黙っとこう。板ガラスもあるけど、分厚過ぎるからパスだ。こんなに厚くたって、強化ガラスじゃないから、すぐ割れるんだろう。エナメル塗料も作れてなさそうだな。

 

次に、高級化粧品屋に連れて行かれるが、正直何もする事がない。ので、トイレに抜け出す。用を足し、売り場に戻ろうとした所で、中年の店員に声を掛けた。

 

「ごめん、ちょっと聞いて良い? なんか店長さんが怯えてる感じなんだけど、うちの者達、何か悪いことした?」

 

「いえいえ、逆です。お客様は、ヒルデガルドさん直々の案内じゃないですか。狼人族は主人に対する忠誠心が高い種族特性で、彼女のジャーマンシェパード種は、狼人族の中でも特に忠誠心が高いんです。その上、彼女は辺境伯様の一番奴隷です。万が一、手前共が非礼な取引をしたとヒルデガルドさんに判断されたら、店長は物理的に瞬殺されます。『辺境伯様が侮れた』と彼女が感じるからです。」

 

「なんか、面倒なことに巻き込んじゃって、ごめんね。」

 

「いえ、お気になさらず。ザビルの町では、この試練を乗り切った回数が多い店こそが、名店なんですよ。ここでは誠実な商人でないと、文字通りに生き残れません。悪徳商人の淘汰が、ザビルの町に取引が集まり繁栄する理由の一つですから、この件は良い事です。」

 

イリスとフレイヤも、化粧品については、正直よく解ってない。ほぼ全て、ソフィアとヒルデガルドがするメイクアップにお任せだ。何やかんやで、今日一日で金貨2枚も使った。それでも、武器や防具の値段に比べ、格安なのは何でだ?

 

大満足で、梱包された大荷物を抱え、帰宅する。ヒルデガルドには「辺境伯様によろしく。」と、定番の挨拶で別れた。

 

帰りは、一旦、ドブローの冒険者ギルドに出て、強壮丸をがぶ飲みしMP回復を図る。ガラス製品を大量に買ったから、できるだけ寄り道せず、家に安置したい。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

別れた日、その後の会話。

 

【辺境伯側の会話】

「ベルガー、余が留守の間、冒険者殿が来たんだって。どうだった?」

 

「どうもこうも、謎が深まりましたよ。手土産が石鹸で、1ダース(12個)も頂きました。さらに、故ブルーノ伯爵の一番奴隷が、マモル殿の所有になっています。彼女の口調では、石鹸は『手前共の産物』だそうです。わざと、情報を漏らしていますね。」

 

「いや待て、故ブルーノ伯爵の一番奴隷なら覚えているぞ。ヒルデガルドと手合わせした、小柄な人間族の女性だろう。生きていたのか。」

 

「詳しくは知りませんので、調べてみましょう。ただ、石鹸の件は想像が付きます。帝都方面を拠点としている口振りでしたから、石鹸の既得権益を持ってる貴族と揉めるのが嫌で、自家消費に毛が生えた程度の生産しかしてないのでしょう。見て下さい。石鹸の包み紙の封蝋に、印璽(いんじ)を使っていません。これ、売り物じゃないですよ。」

 

「なるほどな。それでも、我々が個人的に使う程度の量なら、供給可能かも知れんな。」

 

「もう一つ、情報自体を貰いました。ドホナの町で迷宮が三つ、うち一つは城壁内に出現し、帝国政府は、ドホナ・シュポワール・ベイルの騎士団に、迷宮討伐の勅命を出す口振りでした。マモル殿は、昨日の夕方入手した情報と言ってましたね。おそらく、帝国政府の意図にも気付いてます。そうでなければ、取引の対価に使おうとは思いますまい。」

 

「ドホナの町か、少し遠いが、ギルド神殿を取りに行っても良いな。とりあえず、うちの騎士団から偵察を出してくれ。」

 

「ご主人様は、一年前に、私がブルーノ伯爵の一番奴隷と手合わせしたの、覚えている?」

 

「なんだ、ヒルデガルドも冒険者殿に会ったのか。確か、帝国解放会の何回目かの勧誘に来た時だな。」

 

「今日も、手合わせしてみたの。彼女、一年前より強くなってたわよ。でもブルーノ伯爵が魔物部屋で死んだのって、前の冬でしょ。時間の割に強くなり過ぎだったわ。」

 

「ほう、それも気になるな。ところで、冒険者殿は何が欲しかったんだ?」

 

「それが変わってるのよ。単純に、買い物したかっただけみたい。信頼出来る店を紹介してくれって。それと彼、お金持ってるのに、佩刀がダガーよ。丸腰って訳にいかないから仕方無く、ダガーを佩刀に吊るしてるんでしょう。これ、ジョブも分からないわね。」

 

 

【マモル側の会話】

「ご主人様、どうでした?」

 

「アルフリーダ、想像以上の品が入手出来たよ。あれなら、ガラス製品は自分達で作るより、ザビルで買っちゃった方が良いわ。」

 

「え、ご主人様はガラスの製法も知ってるんですか?」

 

「理屈は難しくないよ。ただ石鹸とは違って、技術とかノウハウの部分が大きいんだ。ソマーラの村で始めても、十分な品質に上げるのに、年単位の時間が必要だと思う。それよりイリス・フレイヤ、ヒルデガルドさんの印象はどうだった?」

 

「フレイヤじゃ、瞬発力上昇が切れた瞬間に終わっちゃいます。」

 

「イリスじゃ、攻撃を避け切れません。一撃では殺られないとしても、カウンターが当たるかさえ微妙です。間違い無く死にます。」

 

「ソフィアはどうだった?」

 

「それが、敵わないとしても、一年前より距離が縮まった感じでした。」

 

「彼女、百獣王Lv34の46歳だったよ。実戦では、麻痺した魔物に、ビーストアタックの上位版を打ち込む役目かもね。」

 

「ええぇー、あの見た目で、46歳! どう見ても20代でしょ。」

 

イリスは、そこかあ。

 

「違うの、イリス。獣人は大人になったら、見た目が、あまり変わらなくなるんだよ。それで、寿命で死ぬ数年前から急速に老け込むの。兎人族のお母さんやフレイヤも、そこは一緒。ソフィアの方が、人間族なのに変だと思うな。」

 

「ところでソフィア、辺境伯家は、ドホナの町に介入して来るかな?」

 

「普通なら、貴族は、他人の領地の迷宮に無関心ですが、辺境伯家は変わり者ですからね。自分達の領地に入る迷宮が無ければ、経験値稼ぎを兼ね、ギルド神殿を取りに行くかも知れません。50階層の迷宮なら、辺境伯家のパーティは、何度も攻略経験がある筈です。」

 

「出来れば、運良く三分の一の確率で、ベイルの騎士団が担当の迷宮に入って欲しいものだ。このままベイルの騎士団が町から出払ってると、盗賊が寄って来て危ないからね。隣のベイルで、盗賊が大集団に育っちゃったら、ソマーラの村にも飛び火が来るかも知れないし。」




春の30日 午後
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