今朝は、一番最初に目が覚め、皆を起こさないようにリビングに向かう。
エマ・ミラ・ノラが、空き時間に蜜蝋をミサンガの芯に絡め蝋燭に加工してるので、蝋燭は惜しみなく使える。買えば高価なんだけどね。それでも早朝や夜の家は暗い。迷宮の中は、太陽とは関係なく、いつも同じぐらいの薄暗さで一定になっている。ひょっとして、暗い時間帯に迷宮に入る割合を増やすのが得策なんじゃないか? 1日のスケジュールを再考すべきなんだろうか?
燭台の蝋燭に火を付けて回り、リビングでお茶を飲んでいると、アルフリーダが起きてきた。
「おはようございます、ご主人様。早いですね。サクッと抜きます?」
「いや、今は迷宮で色魔を付けてないから、夜伽の時しか精力増強の効果が効いてないんだ。でも、アルフリーダの身体を触っていたいから、膝に乗ってほしいな。」
「まあ、ご主人様ったら。イリスやソフィアと違って重いですけど、アルフリーダのお尻の感触を楽しんで下さい。」
アルフリーダの尻肉と内腿を撫でながら、乳に顔を埋める。熟した柔らかい身体を揉むのは癒されるな。蝋燭の灯りで照らされる肌も素敵だ。アルフリーダが、股を大きく開いてくれたので、秘部に指を這わせると、さしたる愛撫をしてないのに濡れている。しばらく膣壁のザラザラを指で撫でると、アルフリーダは声を殺して身体を震わせる。良い女だよなぁ。貫頭衣も作って良かった。皆も起きて、リビングに集まり始めてる。
「クーラタルの26階層は魔物の取り合いだから、急いで迷宮に行かなきゃ。指だけでお預けしてごめんね、アルフリーダ。」
「うふ、軽イキできたので我慢しときます。でも、夜伽では無茶苦茶にして下さいね。あとノラですが、生娘は最初が肝心ですから、今晩もスボっと入れちゃって下さい。」
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早朝の迷宮は、今日もクーラタルの26階層から。
「皆、昨日より少しだが攻撃力も防御力も上がってる。戦術は昨日と同じだが、気持ち積極的に狩っていこう。フレイヤ、今日も他のパーティの気配はいっぱい感じる?」
「うーん、多分、昨日と同じパーティかな。2組いるよ。他のパーティが居ない方向に集中して、魔物を探すね。」
クーラタル26階層の魔物は、鯉・カエル・亀・スライムだから、フレイヤが感度ビンビンにしても感じ難いのが難点だ。それでも1時間強は、結構な頻度で魔物を見つけている。
「ご主人様、もう魔物の気配があんまりしないの。場所を移した方が良いと思う。右奥にいるパーティが『全然いねー』ってイラついて喧嘩してる。仲間割れしたって魔物は湧かないのに、アホだよ。」
「面倒な奴がいるな。魔物が少ないなら、ソマーラの22階層に移動して、迷宮探索の続きにしようか。」
ソマーラの22階層は、ファイヤーストームを撃つだけの簡単なお仕事になっているが、戦闘時間が短くなっているので、ソフィアの『麻痺添加』は出難い。吸精のダマスカスステッキで殴り付ける魔物が不足するので、MPの回復が間に合ってない感じだ。まあ、もうすぐ朝食だし、このままでも大丈夫かな。
1時間強で見つけたのは、待機部屋ではなく、魔物が入ってこない小部屋だった。残念だがしょうがない。キリが良いので朝食に帰宅するか。
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台所では、ヴァニーユとアルフリーダが、大量のフィッシュフライを作っている。
「皆、朝から揚げ物って大丈夫? お腹がもたれない?」
「え、フィッシュフライは美味しいですよ。皆大好物です。」
「カメリアオイルで『白身』を揚げたら、もっと美味しくなると思います。ご主人様、楽しみですよね。」
「ご主人様、さっき、新しい食べ方を発見しました。フィッシュフライに、オリーブオイルをたっぷり掛けて、パンに挟んで食べるんです。メチャクチャ美味しいですよ。」
「アルフリーダ、それって禁断の食べ方で、1人1個までね。デブになるから。」
高カロリー食品って概念は無いよな。まあ、地中海沿岸の人だと、何にでもオリーブオイルを大量に掛けるから、体を壊す事は無いと思うけど・・。健康の為に、オリーブオイルは飲む物らしいし。北米だと、フレンチフライを主食にしてる人も珍しくないが、あれこそ油を食べてる様なものだし。異世界でも、油って人を惑わすのは同じか。
昨日に引き続き、フレイヤがシャツを脱ぎ捨て、膝の上に乗ってくる。
「ズボンとパンツも脱いだ方が、ご主人様は楽しい?」
フレイヤは、鋭敏を連続で発動しっぱなしの、感度ビンビンで探索してた。なので、ボディークリップを外し、カチカチに立った乳首を舐めるのは、ご主人様の責務だろう。
「フレイヤの”おっぱい”だけでも立っちゃうし、入れたくなっちゃうからね。ズボンは履いてて。」
乳房を丁寧に揉みながら、左右の乳首を口に含む。小さなな乳首は固く勃起したままで、しばらくすると、フレイヤの上半身がプルプルしてきた。
「うっ、はぁっ、ご主人様ぁ、好きぃ。」
毎朝、15歳の兎耳が膝の上で悶えるのは、日課にしよう。当分、クーラタルの26階層は外せない。フレイヤが、新しいかぼちゃパンツを持って、シャワー室に向かった。びしょびしょで、気持ち悪いんだろう。
テーブルに移り、フッシュフライをパンに挟んで食べる。悪阻(つわり)が出てるヴァニーユとユリアも、バクバク食べる。食べながら、薬草採取士の生薬生成で、附子(トリカブト)を滋養丸に変える。しかし、附子30個*3=90個の滋養丸を生薬生成した所で飽きた。これ、コツコツやらないと駄目だわ。
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朝食後も、ソマーラ22階層の迷宮探索を継続する。午前中にはボス部屋を発見できるかもしれない。
商人ジョブが、もうLv22まで上がっていた。経験値20*20=400倍を付け、低レベルの初級ジョブだと、あっという間にレベルが上がる。商人には知力(小上昇)の効果が付いてるので、レベル上昇に伴い魔法の威力も加算されてる筈だ。
【マモル】 革の帽子・手袋
武器 :吸精のダマスカスステッキ(MP吸収)
胴装備:ダルマティカ(空き)
足装備:駿馬の硬革靴(移動力増強)
アクセサリー:ひもろぎの聖銀ミサンガ(知力二倍)(ダメージ逓増)
3ジョブ(3) キャラクター再設定(1) 詠唱短縮(1)
獲得経験値二十倍(63) 必要経験値二十分の一(63)
鑑定(1) ワープ(1) MP回復速度上昇(1)
合計134
魔法使いLv36:知力(小上昇) MP(微上昇)
英雄Lv24:腕力HP体力MP知力精神器用敏捷(中上昇)
商人Lv22:知力(小上昇) 精神(微上昇)
【イリス】 硬革の帽子・手袋
武器 :強権の槌(詠唱中断)
胴装備:ダマスカス鋼のプレートメイル(空き)(空き)(空き)(空き)
足装備:皮のサイハイブーツ(空き)
アクセサリー:いかりの指輪(攻撃力五倍)(ダメージ逓増)
鍛冶師Lv19:腕力(中上昇)体力(小上昇) 器用(小上昇)
【フレイヤ】 硬革の鎧・手袋
武器 :強権のダガー(詠唱中断)
盾 :木の盾 (空き)
頭装備:硬革のカチューシャ(空き)
足装備:革のサイハイブーツ(空き)
アクセサリー:頑強のボディークリップ(物理ダメージ削減)(ダメージ逓増)(空き)
闘兎Lv18:器用(中上昇) 敏捷(小上昇) HP(小上昇)
【エゲリア】革のサイハイブーツ
武器 :強権の鋼鉄剣(詠唱中断)
頭装備:硬革の帽子(空き)
胴装備:硬革の鎧(空き)
腕装備:鋼鉄のガントレット(空き)(空き)(空き)
アクセサリー:増撃の指輪(ダメージ逓増)(空き)
淫乱Lv18:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)
【ユリア】 硬革の鎧・手袋
武器 :強権の鋼鉄剣(詠唱中断)(空き)
頭装備:ダマスカス鋼の鉢金(空き)(空き)(空き)(空き)
足装備:革のサイハイブーツ(空き)
アクセサリー:増撃のイアリング(ダメージ逓増)(空き)(空き)
淫乱Lv17:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)
【ソフィア】 鉄の盾 革の帽子 硬革の鎧
武器 :激情のレイピア(攻撃力二倍)(麻痺添加)(空き)
腕装備:硬革の手袋(空き)(空き)
足装備:駿馬の革サイハイブーツ(移動力増強)(回避力二倍)
アクセサリー:頑強の指輪(物理ダメージ削減)(ダメージ逓増)
探索者Lv42:体力(小上昇)
「ご主人様、やりました! 『お頭付き』です!」
「お〜、やっと落ちたね、ソフィア。マーブリームは相当討伐してるけど、『お頭付き』は初めてだ。スキル結晶並みとは言わないけど、相当に低い確率なのは本当だね。美味しいらしいから、後で、白ワインで煮つけてみよう。料理人のジョブが取れたら、ドロップ率が上がるらしいから、1人1匹食べられるようになるよ。」
さらに迷宮探索を続け、お昼近くなった頃、イリスとフレイヤが、独特のチャンポン言語で高速会話を始めた。相変わらず全く意味が取れないが、異常を見つけたようだ。
「ご主人様、マッピングした迷宮の壁の構造からして、そこの壁の裏に、魔物部屋があります。結構広いですね。あと、ボス部屋の位置も見当が付きました。突き当たりを左にある筈です。」
「ご主人様、グラスビーの羽の音が少し混じって震えてるから、魔物部屋に間違い無いよ。壁は危ないから触っちゃ駄目だから。」
イリスの言う通り、突き当たりの左でボス部屋を発見した。
ソマーラの22階層のボスは、アニマルトラップだ。食中植物の魔物なのは変わらない。ボスの正面にはソフィア、お付きの魔物はイリスが担当し、残り1匹のフライトラップを残りの全員で囲む。勿論フレイヤは、ボス魔物に『状態異常耐性ダウン』を掛けておいてる。
全員でボス魔物のアニマルトラップを囲って、袋叩きを始めた所で、ソフィアの『麻痺添加』が発動した。
「ご主人様、MP吸収しちゃって下さい。それにしても、ボス戦で麻痺が出ると、凄く楽ですね。」
吸精のダマスカスステッキで、めった打ちにし、MPを回復する。途中で麻痺が解けないか心配もあったが、無事、アニマルトラップは煙になった。しかし、この辺の階層だと”ダメージ逓増”の効果を体感するのは無理かな。
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色々と強化したし、ソマーラの迷宮の23階層に上がっても大丈夫だろう。
見つけた23階層の魔物は、ハーフハーブだった。ドロップ品で麻黄(マオウ)を落とし、万能丸が作れる。弱点は火魔法だ。これって、火魔法が弱点の魔物が3連続してるってことになる。やった、ボーナスステージだ! それに、ハーフハーブだ!
え、エゲリアとユリアを先頭に、お嬢様達が突撃を始めてる。そっか、23階層以上の魔物は全体攻撃魔法を撃ってくる確率が上がるから、距離を詰めようとしてるのか。ハーフハーブ3匹だけの集団だから、相手の力を測るには丁度良い。ファイヤーストーム4発を撃ち終え、5発目を撃つ前に、ハーフハーブは全て沈んだ。
「皆、極めて重要な情報なんで、集まって説明を聞いて。何よりも、23階層の魔物がハーフハーブなのが、将来的に凄い有用になるぞ!」
フレイヤとユリアは、麻黄を拾い、集まってきた。
「迷宮の魔物は、34階層から一周回って1階層のボスが通常階層に出る仕様で、ボス戦は新たに最上位の魔物が出現する。つまり23+33=56階層で、ハーフハーブ→ハートハーブ→ハーブの最上位魔物が出現する。そして『ハーブの最上位魔物のレアドロップ品』、つまり『威霊仙』に至極の価値がある。エリクシール(万能薬)の素材になるんだ!」
「え、旦那様、言い換えると、ソマーラの迷宮って、最も簡単にエリクシール(万能薬)が入手可能な迷宮ってことですよね。確率1/11を引いての当たりなのかぁ。」
「そうだね、ユリア。56階層まで行ける強さのパーティにとって、最も価値のある迷宮になると思う。これ、50階層で迷宮討伐しちゃうより、57階層以上まで迷宮を育てて、『威霊仙』からエリクシール(万能薬)を取った方が良いと思うよ。迷宮討伐した時に落ちる『ギルド神殿』も欲しいけど、取れるのは迷宮ボスを倒した1回だけじゃん。レアドロップ品の『威霊仙』なら、何回も取れるもん。」
「イリスも賛成です。クーラタルの迷宮なら、30+33=63階層じゃないと、『威霊仙』は採れません。上位階層だと1階層の重みが凄まじいとされてますから、56階層との差は大きいです。ご主人様、大目標が出来ましたね。」
マイルストーンは、こんな感じか。
・クーラタル26階層 ←ドロップ品・魔物配列良好=肝=竜革
・クーラタル34階層 ←(ボス)コボルトイエーガー狩り=コボルトのスキル結晶
・ソマーラの35階層 ←(ボス)カナリアカメリア狩り=カメリアオイル
・どこかで出現し立ての迷宮の50階層 ←ギルド神殿
・ソマーラの56階層 ←エリクシール!
「エリクシールが採れれば、ソフィアの脚の怪我は完治する。その為には、ソマーラの迷宮を56階層まで育てなきゃならないんだけど、おそらく、今までソマーラの迷宮のエサになった人は皆無じゃん。ソフィア、迷宮って、どうやって育てれば良いのかな?」
「迷宮の餌は、別に冒険者じゃなくたって良いんです。これからは、盗賊戦の死体をソマーラの迷宮に捨てましょう。1階層分の成長に30人必要と仮定すれば、30人*6階層=180人分ぐらいで56階層まで成長するかもしれません。不可能な数字じゃないですし、餌をやれば、迷宮が外に魔物を吐き出さなくなりますし、一石二鳥です。」
「旦那様、それって、私達のパーティが56階層まで塔達できる前提の話ですよね。そもそも、エゲリアやユリアが、そこまで強くなれるんでしょうか? 56階層なんて肌感覚として想像出来ないです。」
「エゲリアもLv50をまで上がって、派生する上位のジョブを取った頃じゃないと難しいだろう。多分だけど、エゲリアやユリアの淫乱にも、上位ジョブがあると思う。同じ種族固有ジョブで、鍛治師→隻眼、獣戦士→百獣王、は明らかになっている。なら、淫乱/色魔にも上位ジョブがあると考える方が、自然じゃないかな。」
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昼休憩に帰宅するが、エマ・ミラ・ノラが、テーブルの上に完成した石鹸を並べ、パピルスで包み、蜜蝋で封印する作業をしている。ランチには、少し早かったようだ。
「さっきレアドロップした『お頭付き』を軽く煮てみようか。一匹しか無いから、一人一口ぐらいで味見程度だけど。」
見た目は、まるっきりタイ科の魚だが、残念ながらウロコを引く道具が無い。仕方が無いので、コボルトナイフの刃を使い、シャワー室でウロコを飛び散らせながら処理する。内臓とエラを外し、シャワーの水で洗う。最後に飛び散ったウロコを集めて、内臓やエラと一緒にトレーに分けておく。35cm程度のタイ科っぽい魚なので、下処理は楽な方だ。
醤油が無いので、白ワインに細切り昆布と塩を入れ沸騰させ、『お頭付き』を入れて煮るが、鍋に入り切らず、尻尾も落とした。
ヴァニーユは、大量のアスパラガスを処理してる。普通に茹でたり、焼いたのや、スープ、肉巻きにもしている。アスパラガスがあまりに大量なので、白ワインでチーズソースも作っておくか。
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軽い昼食を食べながら、アルフリーダとヴァニーユ、エマ・ミラ・ノラの5人にも、ソマーラの56階層でエリクシールが入手可能になる件を、イリスから話してもらった。
ご主人様は、食べながら、薬草採取士の生薬生成で、遠志(オンジ)を強壮丸に変えるので少々忙しい。目標は、遠志30個*3=90個の強壮丸だ。
「ご主人様、確かにエリクシールは凄い利益になりますけど、迷宮利権なので、どっかから介入されませんか?」
「そうだよね、アルフリーダ。だから、ベイルの騎士団がポンコツで、ソマーラの村が放置された状態ってのは好都合なんだ。出処の迷宮がハッキリしなきゃ、介入しようが無いからね。もし、やる気を出して調査に来たら『村人が12階層まで入ってる』って嘘つこう。それに、ベイルの領主が改易されないように、我々も気遣いした方が有利かな。ベイルの町の盗賊も、定期的に間引いてあげないと。」
「旦那様、午前中の発見したソマーラ22階層の魔物部屋、掃除をせずに永久に残しておきましょう。もし、どっかの冒険者か騎士団が来ても、魔物部屋に入ってくれれば、23階層に上がれない可能性も生じます。」
「なるほど。エゲリア、ソマーラ22階層の魔物部屋は”あえて”討伐しないで、トラップとして残しておこうか。」
「ご主人様、いっそ独立して、ザビル辺境伯家の後ろ盾を得る手は、どうでしょう?」
「ソフィアの言ってる意味は分かる。遠いザビルの町から、ここまで直接統治するのは難易度高いから、迷宮を横取りされる恐れは小さいと思う。それでも、今は話しちゃ駄目かな。我々の方が圧倒的に弱いから、対等な交渉にはならないよ。それに、政治的な独立ってのも微妙だよなぁ。帝国政府とか、関わり合いになりたくないし。」
「あの、ヴァニーユの思い違いかもしれませんが、ご主人様って、貴族に叙勲される事が最終目標じゃない感じがするんですけど・・?」
「え、皆と充実したハーレム生活が目標だよ。貴族とか、面倒なのには興味無いし。」
「あの、ソマーラの村は・・。やっぱり、ユリアとエゲリアの身体だけじゃ不足ですよね。」
「ユリア、流石に、我々だけで全てに対処するのは無理だからね。ソマーラの村は拠点として重要だよ。村の生産力を底上げし、娘の身売りを止めて人口を増やさないと。それに、不作に備えた備蓄も必要だと思うな。外敵に対する防衛力もね。」
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という訳で、ソマーラの村の根本的な課題、穀物生産の問題だ。
ソマーラの村の辺りの気候は、年間を通じて雨は多くないが、それなりには降る。冬は低温だが溜め池は凍らず、多湿で暮らしやすい。農業生産力が低い理由は、火山灰土(黒ボク土)で土地が痩せてることにある。その割には、ユリアもエゲリアも、温泉や硫黄を知らなかった。この土壌って、どっから来たんだ? もともと酸性土壌の上、雨でOH基が流出するので、基本的に土壌の酸性化は進む。
ブルーベリーや茶は、Ph4.5ぐらいの酸性土でも育つ。ちなみに、ソマーラの村の周辺で、野生でブルーベリーが勝手に大量に実るのも、土壌phが適してることが一因だと思う。言い換えると、ソマーラの村の辺りは、基本的に酸性土壌って事だ。
小麦や大麦は、Ph6.5〜Ph7.5は欲しいので、そもそもソマーラの村に適した作物じゃない。それでも、換金作物としての価値が、小麦>大麦>ライ麦>燕麦だから、小麦を作らないと村人の人頭税が払えない。根本的な矛盾が有るよな。里芋や大豆はPh6.0〜Ph6.5、えん麦やライ麦はPh5.5〜Ph6.5、さつまいもや蕎麦はPh5.5〜Ph6.0ってとこだった記憶がある。
「ユリア、収量が低い小麦や大麦の畑は、ライ麦の冬作に転作しようよ。その上で、残った小麦の畑に、馬糞堆肥を集中投入する。ボレーも、砕いて一緒に鋤込んで、phを上げよう。小麦栽培面積は減っても、単収が上がれば一緒じゃん。ライ麦に転作した分だけ、村で食べる黒パンが増えるよ。クーラタル26階で『寄生ワーム』が獲れるようになったけど、全ての麦畑の土壌改良に使う程の数は無いから、『寄生ワーム』も小麦畑に投入だね。」
「でも、馬・ラバ・ロバ2の家畜4頭まで、今の村の生産力で維持出来るか、秋まではともかく、草が無くなる冬の餌が・・。正直微妙ですよ。」
「エゲリア、ソマーラの村の家って、村長家の屋根だけは高級な茅(かや)葺き屋根だけど、村人の家は藁(わら)葺きの屋根じゃん。あれって、10年くらいしか持たないから、順番に葺き替えてるよね。でも23~33階層の迷宮素材で『銅』が採れるから、村の建物の屋根を全部、銅板葺きにして、藁は家畜の餌に回そうよ。銅板の屋根は一世代は持つから、一石二鳥だよ。」
「今の屋根は、確かに持たないんです。銅板で屋根を葺くなんて想像できないですけど、材料が迷宮で採れるなら・・。」
「あと、麦を製粉した時の”フスマ”を、馬の餌として外から買おう。それと、休耕地の一部も、堆肥を鋤込んで燕麦を作って、晩秋〜初冬に青刈りして冬の餌にしちゃおう。でも、何はともあれ、肥料が足りないんだよなぁ。」
特に、リンが絶対的に足りない。迷宮から上質な肉がドロップ品として供給されるので、この世界が、そもそも家畜の絶対数が少ない。だから、骨粉(リン酸カルシウム)も極く僅かしか生産されない。かと言って、人糞肥料を使うと村中が臭いし、第一、寄生虫が蔓延する。異世界人としては、とても耐えられないわ。
その辺でリン鉱石が出ないかな? いや、硫酸も無い世界だから精製できないかぁ。オシッコだけなら無菌で寄生虫も無いから、回収して、リン酸塩と尿素に含まれる窒素を肥料にするってベンチャー、昔っから話題にはなるけど、成功した試しが無い。尿だけを集める難易度が高いから、そりゃそうだよね。ソマーラの村だって、『小便用のトイレを別に作って回収しろ』って命令してもなぁ、そんなの従わないよなぁ。
ちなみに、『お頭付き』で食後に残った魚の骨と、下ごしらえで出た魚のアラは、ノラの実家の庭に生えてる柑橘(かんきつ)の根本に埋める事にした。30~40cmは掘って埋めないと、ネズミとかの小動物に掘り返されるから、畑に使える手法では無い。深く埋めるのも面倒だし。
「ユリア、この辺で山芋って取れる?」
「聞いた事ないですね。そもそも、芋って何ですか?」
うわー、芋を食べる習慣が無いのか。異世界転生し37日目で最大の驚きだわ。どうやって炭水化物の絶対量を確保してんだろ?
「えーと、聞き方を変えると、冷害や日照不足や長雨で、麦が取れない年は何を食べてるの?」
「口減しに娘を売って、次の収穫まで我慢します。あと飢饉の時には、食料が有る村は襲われますね。ソマーラの村は貧乏なので今までは大丈夫でしたが、今後は、危ないかもしれません。」
我慢するはともかく、貧乏脱却して食料蓄えたら襲われるって、どんな罰ゲームなんだよ。ああ、それで村民皆兵なのか。ユリアもエゲリアも考えてるんだな。
「ドングリって、食べないの?」
「あれ、アク抜きしないと渋くて食べられないですね。麦が取れなかった年の秋は、村人総出で山に拾いに行きますよ。」
「飢饉に備えて、蕎麦って作らないの?」
「蕎麦って、収量が少ないし、ボソボソして不味いから高く売れないので、畑で栽培しちゃうと人頭税が払えないんです。高く売れる小麦を作らないと、お金になりませんから。」
蕎麦は『種まきから収穫まで70日程度』の短期植物で、収穫まで放置出来るのがメリットだが、反収も50〜90kgしか無い。イネ科じゃないから収量はしょうがない。種だけ確保しといて、飢饉になってから種蒔きすれば良いのか。未耕作地に撒けば勝手に育つだろう。
「この辺って、ブルーベリーの木が多いよね。」
「ブルーベリーの実だけは夏に沢山生りますが、酸っぱすぎて食用に向かず放置してます。砂糖が大量にあればジャムにできるのですが、ソマーラの村では高くて手が出ません。あ、今年からはコボルトスクロースを買わなくて済むから、ジャムを作れますね。できたジャムを分けてあげれば、村の女達を動員できますよ。ご主人様、素晴らしいです!」
「うん、ジャムは良いかも。ところでソフィア、今後の装備品だけど、防具は竜革装備を少しずつ揃えていくとして、武器はどう強化するのが良いだろう?」
「イリスとソフィアにはアイテムボックスがありますから、魔物戦と盗賊戦とで、武器を使い分けるのが合理的だと思います。例えば、魔物戦では『詠唱中断』のスキルは非常に有用ですが、魔法を使う盗賊はいません。一方、対人戦なら『毒牙』は有用でしょうが、魔物戦では『毒針』を投げ付ければ十分なので、武器に『毒牙』を付けると(空き)スロットが勿体無いです。『催眠』も、全体攻撃魔法でキャンセルしてしまいますから、私達のパーティでは迷宮で使えません。しかし、対人戦では使える状態異常だと思います。」
「ご主人様、ダマスカス鋼は、23〜33階層で出てくるボス魔物”レムゴーレム”のレアドロップ品です。レムゴーレムに弱点魔法はありませんが、ボス部屋のレムゴーレムは、眠っていることがあります。魔法使いがいないパーティでも比較的楽に倒せる最後のボスとされていて、大変人気があります。ですから、私達が魔物を独占出来るソマーラの迷宮で、比較的浅い階層で出てくれば、お宝です。」
「ソフィアやイリスの言う通りだろう。なら今後は、ダマスカス鋼の装備品を見つけても、(空き)スロットが4つじゃなきゃ買わないことにしよう。ダマスカス鋼より上の装備品は、何があるのかな?」
「う〜ん、そこまで行くと武器屋や防具屋での入手は難しくなって、オークションですね。ミスリル(=聖銀)か、オリハルコンの素材になります。狙うなら、オリハルコンの剣、聖槍、エナメルのハイヒールブーツ、アームロングですね。(空き)スロット4つあれば、ダマスカス鋼の剣、エストック、ダマスカス鋼の槍、ダマスカスステッキ、この辺は買っても良いと思います。ただ金額を考慮すると、無理して上位の装備品を買うより、スキル結晶の融合で強化した方が、コスパは良いですよね。」
「ご主人様、こないだの凶賊Lv21で、死にそうになったよね。やっぱり、『芋虫のスキル結晶』で”身代わり”は付けた方が安心だとフレイヤは思うよ。”身代わり”は、コボルトのスキル結晶が要らないから、お得だし。」
「フレイヤの意見も尤もだね。まだまだ、やるべき事が多いな。」
「ご主人様ぁ、なんか吐きそう・・。」
ユリアの悪阻(つわり)が来た。そろそろだとは思っていたが、ユリアは暫く産休だな。
春の37日 午後