※この作品はR-18です。

迷宮資源で奴隷娘とハーレムを   作:prime67

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春の39日


72.情報を商材に

荷馬車で往復6時間揺られた昨日は、早めの夕食を取って早々に寝てしまった。おかげで、かなりの早朝に目が醒める。

 

トイレの後、リビングに向かうと、既にイリス、アルフリーダ、ユリアも起きていて、小声で歓談しているな。

 

「おはよう。皆、早いね、疲れは取れた?」

 

「ご主人様こそ、昨日はお疲れ様でした。ベイルの町まで荷馬車で日帰りは、少し大変でしたね。」

 

アルフリーダがお茶を入れてくれる。

 

「ところでイリス、『肝』を集めて竜革を採取する作戦、思ったより手間だね。なんか良い方法は無いだろうか?」

 

「う〜ん、クーラタルの26回層は、混んでるのが嫌ですよねぇ。どうしても、最後の美味しい狩場なんで人が集まります。どうでしょう、今日から、クーラタルの26階層に入る朝の時間帯を、1時間前倒しにしませんか? そして、迷宮探索は今より1時間早く、明るいうちに終了します。」

 

「1時間早く帰宅するなら、ヴァニーユ・アルフリーダ・エマ・ミラの4人パーティに、ご主人様も入って下さい。セカンドパーティの4人で、ソマーラの1階層で魔物に『肝』を投げつけて、ドライブドラゴンにして竜革採取する作業をやっときます。ご主人様がパーティに入れば、獲得経験値二十倍とジョブ効果を活用できて美味しいですから。少しですけど、ご主人様にも経験値が入りますしね。夕食は、用意して置いときますし、村人が迷宮に入る時間帯とも被りません。」

 

「旦那様、ユリアは悪阻(つわり)なのでノラと交代する件、昨日にエゲリアから聞いてます。しょうがないですよね。でも、竜革集めはユリアも行きますよ。ドライブドラゴンといえど1階層で1匹だけなら安心です。多少、お腹が大きくなっても大丈夫ですよ。ドライブドラゴン狩りは、ユリアも絶対に行きますからね。」

 

少し心配だけど、イリスもアルフリーダも頷いてる。これ、ユリアの意見を却下するのは無理だなぁ。

 

「この数日はセカンドパーティを組んでなかったね。それじゃ、イリスとアルフリーダの案で、夕方から試してみようか。ユリアがパーティに入れば、更に安心だしね。でも、ユリアとヴァニーユは妊娠してるんだから、くれぐれも慎重にね。」

 

皆も起きてきたので、日課の水補給とソフィアの脚への”手当て”を行い、クーラタルの26階層に出発する準備をする。

 

ユリアが装備してる『ダマスカス鋼の鉢金』と『増撃のイアリング』は、ノラの装備に借りていこう。(空き)スロットの付いたアクセサリーは、早急に探さないとな。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「やった!ご主人様。今日は他のパーティが来てないから、狩り放題だよ! 早起きして良かったね。」

 

「よし、今のうちに乱獲しちゃおう。フレイヤ、イリス、他のパーティに会うとトラブルになる可能性があるから、可能な限り避けてね。」

 

「了解です、ご主人様。あ、突き当たりを右で、魔物がいる感じです!」

 

魔法使いがLv37まで成長して、4thジョブまで取れるようになった。これで商人と戦士の両方を育てられる。Lv30まで育てれば、遊び人の取得が見えてくるな。遊び人が取れれば、魔道士の取得も射程内だろう。

 

さらに、フレイヤがLv20まで上がって、イリスに追い付いた。確証は無いが、イリスの伸びが鈍化したと言うより、この所のフレイヤは鋭敏を一日中使ってるのが影響してると思う。

 

「ノラ、全員に錬金術師のメッキを掛けて。メッキは、物理攻撃だけじゃなく魔法攻撃のダメージも減らすんだ。防御するのは一回のみだけど、小まめにメッキを掛け直せば問題無い。ユリアの淫乱の効果、『精神(中上昇)』が無くなって魔法防御力と状態異常耐性は少し落ちるけど、ノラのメッキがあれば、むしろ安心度は高まるからね。」

 

 

【マモル】 革の帽子・手袋

武器 :吸精のダマスカスステッキ(MP吸収)

胴装備:ダルマティカ(空き)

足装備:駿馬の硬革靴(移動力増強)

アクセサリー:ひもろぎの聖銀ミサンガ(知力二倍)(ダメージ逓増)

4ジョブ(7) キャラクター再設定(1) 詠唱短縮(1)

獲得経験値二十倍(63) 必要経験値二十分の一(63)

合計135

魔法使いLv37:知力(小上昇) MP(微上昇)

英雄Lv25:腕力HP体力MP知力精神器用敏捷(中上昇)

商人Lv25:知力(小上昇) 精神(微上昇)

戦士Lv21:体力(小上昇) HP(微上昇)

 

【イリス】 硬革の帽子・手袋

武器 :強権の槌(詠唱中断)     

胴装備:ダマスカス鋼のプレートメイル(空き)(空き)(空き)(空き)

足装備:皮のサイハイブーツ(空き)

アクセサリー:いかりの指輪(攻撃力五倍)(ダメージ逓増)

鍛冶師Lv20:腕力(中上昇) 体力(小上昇) 器用(小上昇)

 

【フレイヤ】 硬革の鎧・手袋

武器 :強権のダガー(詠唱中断)

盾  :木の盾 (空き)

頭装備:硬革のカチューシャ(空き)

足装備:革のサイハイブーツ(空き)

アクセサリー:頑強のボディークリップ(物理ダメージ削減)(ダメージ逓増)(空き)

闘兎Lv20:器用(中上昇) 敏捷(小上昇) HP(小上昇)

 

【エゲリア】革のサイハイブーツ

武器 :強権の鋼鉄剣(詠唱中断)

頭装備:硬革の帽子(空き)

胴装備:硬革の鎧(空き) 

腕装備:鋼鉄のガントレット(空き)(空き)(空き)

アクセサリー:増撃の指輪(ダメージ逓増)(空き)

淫乱Lv19:精神(中上昇) 知力(小上昇) MP(小上昇)

 

【ソフィア】 鉄の盾 革の帽子 硬革の鎧

武器 :激情のレイピア(攻撃力二倍)(麻痺添加)(空き)

腕装備:硬革の手袋(空き)(空き)

足装備:駿馬の革サイハイブーツ(移動力増強)(回避力二倍)

アクセサリー:頑強の指輪(物理ダメージ削減)(ダメージ逓増)

探索者Lv42:体力(小上昇)

 

【ノラ】 硬革の鎧・手袋

武器 :鉄の槍

頭装備:ダマスカス鋼の鉢金(空き)(空き)(空き)(空き)

足装備:竜革のサイハイブーツ(空き)(空き)(空き)

アクセサリー:増撃のイアリング(ダメージ逓増)(空き)(空き)

錬金術師Lv10:知力(小上昇) 器用(微上昇)

 

 

クーラタルの26階層で、ファイヤーストームを撃つ仕事だが、全体攻撃魔法は5発で済むまで強くなっている。4thジョブにして戦士の”ラッシュ”が使えるし、エゲリアかフレイヤが前線を突破してスペースが空いたら、積極的に前に出て、物理でもダメージを与える。毎回とは行かないが、ソフィアが麻痺させる魔物もいるので、MP吸収が捗るな。

 

1時間ほど狩りまくった頃から、魔物を捕捉するペースが落ちてきた気がする。

 

「ご主人様、他のパーティが2組、増えたよ。魔物も少なくなったし、撤収した方が良いと思う。」

 

「フレイヤの言う通りかな。この辺が切り上げ時かもね。”肝”も貯まったし、ソマーラの迷宮24階層に移動しようか。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ソマーラの24階層はシザーリザードで、レアドロップ品で『革』を落とす。

 

しかし魔物配列は、かなり悪い。23階層まで3連続で火魔法が弱点だったのが、24階層のシザーリザードは火魔法に耐性があり、全体攻撃魔法と単体攻撃魔法の両方を撃ってくる。その上、弱点の土魔法は、23階層のハーフハーブが耐性持ちだ。

 

やはり、戦闘時間は長くなった。

 

「イリス、この階層は魔物配列が悪くて面倒だわ。マッピングは、ボス部屋の発見を最優先でお願いね。魔物との戦闘は、出来るだけ避けて進むのが、効率的かな。」

 

「ソフィアとイリスで、シザーリザード以外を担当します。ご主人様は、サンドストームを撃ちまくって下さい。」

 

とは言うものの、戦闘時間が長くなると、ソフィアが魔物を麻痺にする。フレイヤが状態異常耐性ダウンを掛けてることもあって、麻痺は、ほぼ毎回出るから、戦闘時間の割にはキツイ感じはしないな。ノラも後列から槍を突くから、ここまで魔物の攻撃は受けていないし、魔法も”ほとんど”キャンセルできている。撃たれたのは、全体攻撃魔法が1発だけだ。

 

小部屋を発見したので、ウォーターウォールで出した水を飲みながら小休憩だ。

 

「イリス、革はレアドロップって言うけど、結構な頻度で落ちるね。硬革はどの魔物が落とすの?」

 

「硬革は、シザーリザードのボス、マザーリザードのレアドロップ品です。マザーリザードの特徴は、魔物を産み出すことで、魔法でもスキル攻撃でもないので詠唱中断では防げません。攻撃力が低く短時間で殲滅できないパーティにとっては、かなり厄介な魔物と言われています。」

 

「なるほど。硬革の防具が高いのは、それが理由か。オーバーホエルミングを使えば、戦闘時間は短縮できるから、ウチのパーティ向きかもね。うん、マザーリザードのボス部屋まで行くのが、今日の目標かな。防具をノラと交換してくれたユリアに、新品の硬革の防具をあげたいしね。」

 

休憩を切り上げ、再び迷宮探索に戻る。1発たりとも魔法を受けたくないので、ノラにも、詠唱中断のスキルを付けた槍を持たせなくては。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

朝食に帰宅するが、今までより1時間以上長く早朝の迷宮に潜ったので、空腹感がいつも以上だ。

 

フレイヤの乳からボディークリップを外すが、昨晩は抜いてないので、ビンビンになってしまう。それを見たフレイヤが、ズボンとパンツも脱いで全裸になってしまった。朝食の前に、バックでフレイヤを食べるが、すぐ横でエマ・ミラ・ノラが女の子座りで囲み、観察されている。

 

昨日に焼かれたパンは、まだフカフカで美味しく食べられる。パンとスープに果物の朝食の後、お茶を飲みながら、生薬生成で、遠志(オンジ)を強壮丸に変えている。昨日の荷馬車の中で相当やったから、遠志20個*3=60個も作れば売りに行けるだろう。

 

「ご主人様、昨日の盗賊の剥ぎ取り品を整理したんですが、少し変なんです。服に金貨を縫い付けず、財布の皮袋に入れてました。それに17人もいたのに全部で5万ナール程度しか持ってないんです。その代わり、リュックに入ってた魔結晶は、『緑』が7つもあって、残りも全て『青』でした。」

 

「アルフリーダの言う通り、貧乏なのに魔物1万匹以上の魔力が貯まった魔結晶を持ってるって、変だね。装備品はどうだった?」

 

「防具は1人分だけ硬革装備、残りは全て革装備です。盗賊にしては良いです。武器は、全員が両手剣ですね。これから拭き掃除するので、まだ武器庫には入れてません。」

 

鹵獲した装備品は、物置の前にまとめて置いてあった。

 

鑑定!

硬革の防具が一組あった以外は全て革防具で、残念ながら(空き)スロットは付いてない。

 

鑑定!

・鋼鉄の剣(空き)(空き)(空き)×1本

・鋼鉄の剣 ×1本

・妨害の鉄剣(詠唱遅延)  ×8本

・鉄の剣(空き)(空き) ×1本

・鉄の剣 ×6本

 

うをぉぉ、武器の方は大漁じゃん! しかし、詠唱遅延が付いた鉄剣が8本もあるって、盗賊が迷宮探索特化の装備品ってのも変だな。

 

「ソフィア、妨害の鉄剣(詠唱遅延) が8本もあるよ。ひょっとしてだけど、ブルーノ伯爵家の騎士団も、詠唱遅延の両手剣は装備してた?」

 

「ええ、コボルトのスキル結晶を使わない分、詠唱中断より詠唱遅延の方が圧倒的に安い武器です。詠唱遅延でも魔法を撃たれる前に仕留めれば良いのですから、低階層に入る人には定番の武器ですね。騎士のジョブを取得前の、見習い騎士団員に持たせます。多分ですけど、無理な階層に入ることを命じられた騎士団員が、装備品を持ったまま集団脱走したものの、盗賊に狩られて装備を奪われたのでは? お金は、ベイルの町に流れてくる資金に使っちゃったんでしょう。」

 

「う〜ん、それだと少し面倒かも。我々が妨害の鉄剣(詠唱遅延)を 8本も売りに行ったら、盗賊からの鹵獲品なんて信じる方が普通じゃないよ。我々が騎士団崩れの連中を襲って奪ったって、誤解されても仕方ないよね。下手に換金すると危ないな。」

 

貴族絡みの妨害の鉄剣(詠唱遅延) 8本、どうするかなぁ。オークションで売ると身バレして、脱走された貴族家に難癖を付けられる可能性があるかも。武器屋に引き取ってもらうにしてもなぁ。たいして悪い事してないのに、ブラック企業認定されるのは割に合わないわ。

 

しかし、どこの騎士団からの脱走だろ? 人手不足で無理な迷宮探索をやったら、さらに人が減る悪循環に入ってるって事だから、兵隊が足りない状況だよね。帝国政府から勅命を受けた騎士団かな。ベイルの騎士団から脱走してベイルの町には流れないから、ドホナか、シュポワールの騎士団なら辻褄が合うな。

 

あれ、あの爺さん達、ザビル辺境伯家だったら、この情報を利用できるかも。弱ってる貴族家なんて、付け込み放題だよね。我々が妨害の鉄剣(詠唱遅延) を売り捌くのも、遠く離れたザビルの町なら、足が付く可能性は小さい。でもなぁ、爺さん達に誤解されたら、瞬殺される可能性がある。あ、盗賊のインテリジェンスカードを、先にザビルの街の騎士団で換金すれば、盗賊を返り討ちにした証拠になるのか。

 

「ちょっとザビルの町まで、商談に行くよ。同行者はイリス、アルフリーダ、ソフィア、でお願いね。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ザビルの冒険者ギルドまで、ワープで移動する。

 

前回よりレベルも上がっているので、MP不足は足りているものの、あの爺さん達と相対するのは気が重い。それでも、冒険者ギルドの受付に、ザビル騎士団の事務所の場所を聞かねば。

 

ところが何も言ってないのに、受付カウンターから、女性が駆け寄ってくる。

 

「失礼ですが、冒険者のマモル・モノベ殿ではありませんか?」

 

「その通りですが、私ども、サビルの冒険者ギルドと揉めた記憶はありませんけど・・。」

 

「いえ、辺境伯家のベルガー様から通達が回ってまして、マモル殿が来たら騎士団まで丁重にお連れせよと。あの、どうか、お願いですから、一緒に騎士団まで同行して下さい。毎日、ヒルデガルドさんも冒険者ギルドに来て、マモル様の来訪を楽しみにしてるんです。もし、このままマモル殿が帰ってしまったら、私なんか瞬殺されるかも・・。」

 

う〜ん、爺さん達の定置網に入っちゃった魚の気分だ。

 

「ちょど良かった。私達も騎士団の事務所に行こうと思って来たのです。歩いて行きたいのですが、案内をお願いできると助かります。」

 

フィールドウォークで連れて行かれるのは避けたい。万が一があるから、少しでも時間を使ってMP回復をせねば。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

騎士団のロビーで、ベルガーの出迎えを受けた。冒険者ギルドは”先触れ”を出したのか?

 

「お久しぶりです、マモル殿。またザビルを訪問いただいて、嬉しい限りですなぁ。」

 

「ベルガー殿も、ご健勝そうで何よりです。しかし、冒険者ギルドの受付の女性が、何やら怯えていましたよ。」

 

「すまんのぉ。ヒルデガルドが迷惑をかけているようじゃ。さて、年寄りに立ち話は厳しい、応接室で話しましょうぞ。」

 

何が、年寄りには厳しいだ。魔導士Lv51の上に、気配を消して背後を取る化け物だっただろ。

 

「おお、マモル殿ではないか! またザビルの町を訪問してくれて嬉しいぞ。誰か、ヒルデガルドを呼んでやれ。彼女もマモル殿に会いたがってるからのう。」

 

サビル辺境伯も、応接室の前で現れた。まあ騎士団の詰所だから、武器屋にいるよりは自然なんだろうけど、この人も聖騎士Lv49の化け物だからなぁ。この上、ヒルデガルドも来るのか。彼女も百獣王Lv34の化け物で、辺境伯の一番奴隷だ。単なる自由民って言ってるのに、信じてないわ。集結するなよ、過剰反応だろ。

 

ザビル辺境伯がさっさとソファーに座り、我々にも着席を薦めてくるが、イリス・ソフィア・アルフリーダは『奴隷ですから』とソファーの後ろに立っている。

 

「実はのう、ヒルデガルドがマモル殿の石鹸を気に入って、もっと欲しいと言っているのじゃ。余も使ってみたが、サッパリと汚れが落ちる。帝都で流通している石鹸より、遥かに質が良いと思うぞ。」

 

石鹸なんて、誰が作ったって同じだろ。いや、塩析を知らなくて不純物が多い石鹸なのか。社会が迷宮に依存してるから、化学が未発達なんだろうなぁ。

 

「辺境伯様に評価いただけて、光栄でございます。まだ在庫はあったと思いますから、明日にも持ってきましょう。」

 

「すまぬの、マモル殿。それで今日は何用であるか?」

 

「ソフィア、説明をお願い。」

 

ソフィアが、アイテムボックスから、盗賊のインテリジェンスカードと妨害の鉄剣(詠唱遅延) 8本を出し、昨日の盗賊戦の経緯を話す。無論、戦闘場面の描写は曖昧にしている。

 

「なるほど、誰か、インテリジェンスカードを騎士団のギルド神殿に通してくれ。さて、ベルガー、どう思う?」

 

「うちの騎士団の報告では、シュポワールの騎士団が担当している迷宮が、かなり難航しているそうです。マモル殿の仮説と辻褄が合いますな。ふふ、これは大変良い話を聞きました。うちの騎士団で迷宮探索を助けて、シュポワールに恩に着せましょう。見返りに、うちの分家に、何人かシュポワールの貴族家から嫁を取ります。いや、マモル様の若さでこれに気付くとは、末恐ろしい。本当に単なる自由民ですかな?」

 

「いやいや、辺境伯様とベルガー殿なら、何か良い思案をされると思っただけです。なるほど、貴族家の子女は幼児期に自爆玉を飲んでるから魔法使いになれる。奴隷オークションに魔法使いが出品されれば、白金貨1枚は軽く飛んでいくと聞きます。貴族家の子女を一方的に嫁に取れるなら、価値がありますね。いや〜、お役に立てて良かった。」

 

アルフリーダが何かに反応し、ドアの方向に身構えた。

 

「マモル様、また会えて嬉しいわ。ご主人様、例の件、マモル様に頼んでくれた?」

 

「ヒルデガルドさん、お久しぶり。うちの石鹸を気に入ってくれて良かった。多分、他の石鹸より一手間多いだけだと思うんですけどね。」

 

「謙遜は不要よ。あそこまで、肌がスベスベのツルツルになる石鹸は初めてなんだから。マモル様、あれ市販しないの? 馬鹿売れするわよ。」

 

「いやいや、石鹸って買うと高いでしょ。だから目立つと危ないんですよ。」

 

「利権ってやつの事を言ってるのね。そんなの心配無用よ。20〜30人も返り討ちにすれば、何も言ってこなくなるから。」

 

「マモル殿、ヒルデガルドが無理を言って申し訳ないの。じゃがどうじゃ、石鹸を、我が辺境伯家の贈答品用に納品するのは。市販でなければ、マモル殿に迷惑は掛かるまい。利権を持ってる貴族家が何か言ってくるとは思うが、ベルガーが上手く処理するじゃろ。」

 

う〜ん、向こうのペースに乗ったまま取引して良いのだろうか?

 

「旦那様、マモル殿が困ってますぞ。ここは一旦、ベルガーが引き取りましょう。マモル殿にも利がなければ、取引など成立しませんからな。」

 

「そうよね、こういうのはベルガーの専門だし。ところでマモル様、引き連れてる女性3人とも、髪の毛がサラサラだわ。それも何か秘密があるの?」

 

流石に辺境伯の一番奴隷だけあって、ヒルデガルドは”ぐいぐい”来る。こういう役割分担なんだろう。辺境伯の爺さんが楽しそうだし。

 

「ベルガー殿、後ろに控える兎人族の女性は、我が家の主計官でして、この先は、彼女に一任します。私のような若輩者では力不足ですから、ベルガー殿も楽しめないでしょう。」

 

「初めまして、主人がお世話になっております。私、奴隷がてらに家内を任されておりますアルフリーダと申します。辺境伯家の方々におかれましては、引き続き、マモル・モノベをお引き立ていただければ、この上ない幸せに存じます。さてご主人様、ヒルデガルドさんには、髪の毛のコンディショナーについて、秘伝をお伝えしたいと思います。皆様、サラサラの髪の毛になったヒルデガルドさんを想像してみて下さい。今後の彼女は、より一層、美しく輝くでしょう。素敵ですよね。」

 

ヒルデガルドの目が輝いて、明らかに喜んでる。

 

「アルフリーダ殿は、流石にマモル様の主計官ですなぁ。交渉を楽しむどころか、一撃で決められてしまった。ヒルデガルド、いつも言っているが、そなたは分かりやす過ぎなのじゃ。コンディショナーとやらの情報、おそらく高く付くぞ。」

 

辺境伯の爺さんが大笑いしている。楽しそうで良かった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「さて、石鹸の納品やヒルデガルドの髪の毛のについては別途詰めてもらうとして、マモル殿への褒美について、先に決めてしまわねばならん。ベルガー、どうすれば良い?」

 

「そうですな、マモル殿にしてみれば、有益な情報を持っていく先として、”わざわざ”当家を選択したのです。ならば、十分な褒美で応える必要があります。ただマモル殿は、金にも女にも余裕がある様子。やはり、ここは装備品でしょうな。」

 

「いえいえベルガー殿、うちは、妨害の鉄剣を適正価格で引き取って頂ければ十分ですから。辺境伯家の庇護下にある訳でもないし、過分な報酬は頂けません。」

 

「マモル殿、貴族の矜持というのがありましてな、ここで褒美を惜んでは、辺境伯家の鼎の軽重が問われるのです。それに、ここで褒美を弾んでおけば、マモル殿は今後も辺境伯家に情報をもたらしてくれるでしょう。貴族の打算ですからな、受け取ってもらわねば当家が困ります。」

 

「なら丁度良い、先日は武器屋と防具屋の在庫を見せたから、今日は騎士団の武器庫から、好きに1つ持って行くと良い。ベルガー、マモル殿を案内してやってくれ。余はヒルデガルドと、髪の毛のコンディショナーとやらを見学させてもらおう。ソフィア殿、ご教授願えるかな。」

 

「それではマモル殿、武器庫の方にご案内させましょう。その間に、私はアルフリーダ殿と詳細を詰めておきます。」

 

やはり大貴族は侮れない。流れるように取り込もうとする。こんな連中との交渉で勝てるのか?

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ベルガーの直属であろう中年の騎士団員に、武器庫に案内される。

 

「なんか、物凄いストック量ですね。流石は辺境伯家の騎士団だ。」

 

「まあ普通の騎士団なら、ここまで装備品をストックする必要は無いんですけど、ザビル辺境伯領は帝国の最東端ですからね。万が一への備えです。まあ、8割方は鹵獲品なんですけど。」

 

あれ、おかしいな。『戦争の少ない世界』を選択したと思ったけど・・。

 

「やはり、対外戦争があるのですか?」

 

「いえ、隣接してる他国でも、最大の脅威が迷宮なのは変わりませんから、戦争なんてしてる暇はありませんよ。ただ、群雄割拠しようとする連中は、どうしても国境地帯に拠点を構えるんです。連中は、人身売買と麻薬を資金源にして盗みはやらないので、盗賊に落ちないからジョブが強いんですよ。迷惑な話なんです。」

 

ああ、統治者側が暴力装置を独占できないなら、そうなるよね。元の世界も異世界も、この辺は同じか。とりあえず、そんな事はどうでもいい、今は”ご褒美”の選択を楽しむ時間だ。

 

鑑定!

 

オリハルコンのや聖銀(ミスリル)の装備品は、置いてない。まあ騎士団なら、持ってたら普通に使うよな。魔法使い用の装備品も無い。群雄割拠する武装集団に貴族の子弟が入るなんて考え難いから、鹵獲品も無いんだろう。

 

鑑定!

ダマスカス鋼の槍

ダマスカス鋼の槍(空き)(空き)(空き)(空き)

ダマスカス鋼の槍

 

見つけた! (空き)スロットが4つも付いてるダマスカス鋼の槍は貴重だ。これを貰って、ノラに使わせよう。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

騎士団の応接室に戻ると、ベルガーの爺さんとアルフリーダが、談笑している。

 

「ベルガー殿、ありがとうございます。ダマスカス鋼の槍を頂戴することに致しました。」

 

「それは良かった。もし、マモル殿が気に入る装備品が無かったらどうしようかと、心配でのう。」

 

「ご主人様、ベルガー様ったら、お口がお上手で知的な方ですの。アルフリーダは、ついつい滋養丸と強壮丸の値段の件も喋ってしまいましたわ。」

 

いやいや、アルフリーダ、その情報も纏めて売り付けるつもりだろ。やり過ぎるなよ。

 

「マモル殿、今日は良い取引でした。1日で3つも新たな情報を得られるのは、なかなか無い。ついでに4つ目の情報を売ってもらえないだろうか?」

 

「ベルガー殿、闘兎の取得条件でしたら、お断り致します。」

 

「人間族の女性の種族固有ジョブの話が対価では、どうじゃろうか?」

 

「”淫乱”ですよね。私には情婦が2人いますが、彼女達のジョブは”淫乱”です。それに淫乱のジョブは、使い方によっては人間族が滅んでしまう可能性があります。お互い、秘匿しておいた方が宜しいかと。」

 

「既に知っておるとは流石ですのう。試したようで悪かったが、まあ、次の機会もあるでしょう。」

 

「ご主人様、ベルガー様とは石鹸の納品については合意しました。ベルガー様の方で、ザビル辺境伯家の紋章が入った”石鹸の型”を用意して下さるとの事です。また妨害の鉄剣は、@2万5,000ナール*8本=20万ナールで引き取って頂けました。盗賊のインテリジェンスカードも、ザビル騎士団のギルド神殿で換金してもらって、@8万ナールが1人、@1万ナールが4人、計12万ナールでした。加えて、コンディショナーの件と滋養丸や強壮丸の価格情報の対価として、騎士団の書庫への入室許可を頂いています。」

 

「ベルガー殿、書庫への入室など、本当によろしいのですか? いくら何でも破格の待遇で、釣り合ってないのでは・・・。」 

 

「情報には至極の価値がありますが、マモル殿が負担に思ってくれれば、追加で何か出てくると思ってるだけですよ。」

 

まったく、試されてるのかよ。しょうがない、もう1枚カードを切るか。

 

「アルフリーダ、ザビルの町は、ベイルの周辺より、さらに乾燥しているね。『気化式二重ポット冷蔵庫』の効率も良くなると思うよ。」

 

「あ、なるほど。ベルガー様、我が主人の知恵ですが、魔導士のアイスウォール無しに食料を冷やし貯蔵する方法があります。興味ございます?」

                                    

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

割と時間を使ってしまったので、一旦、サビル辺境伯家の騎士団からはお暇し、明日に再び来ることで合意した。せっかく書庫に入れるなら、ヴァニーユも伴いたいのが本音だ。彼女は、ブラヒム語&バーナ語&人間語の読み書きまで、奴隷教育されている。

 

今日は、昼食を取ってないから、お腹が減ったな。帰って、明日の準備をしなくちゃ。さて、冒険者ギルドまでは歩くか。

 

 

【辺境伯側の会話】

「ベルガー、ソフィアとイリスの二人からコンディショナーとやらの理屈を説明されたが、今一つ理解できなんだ。酸とかアルカリとか言ってたな。それでも、確かにヒルデガルドの髪はサラサラになった。彼女達が言うには、マモル殿の家では、毎日お湯のシャワーを使って石鹸で洗うらしいぞ。お湯は、ほむらの銅剣のスキルで作るそうだ。それにな、靴は玄関で脱いで、家の中は土足厳禁と言ってたぞ。」

 

「私の方は、『気化式二重ポット冷蔵庫』なる食物を冷やして腐り難くする瓶について、情報を引き出せました。ただ、アルフリーダ殿が理屈を説明してくれたのですが、私も今一つ、理解できてません。気化熱とか言ってました。ただ、パピルスに書いてくれた材料を用意しとけば、明日、実物を作ってくれるそうです。」

 

「なあベルガー、我々は帝都の貴族連中より豊かな町を造ったと自負し、彼らを少し馬鹿にしてた。だが、マモル殿達からすれば、我々は蛮族に見えてるのではないか?」 

 

「そうかもしれません。しかし彼らも、騎士団の書庫を解放すると言ったら、恐縮し喜んでいましたよ。明日も来るのは、まる1日、書庫に入るつもりでしょう。ともかく、情報に対する感度や欲求が、尋常じゃないですわ。少なくとも、我々がマモル殿の歳の頃は、脳筋でしたな。」

 

「どうだ、取り込めそうか?」

 

「やれるでしょうが、貴族的な主従関係を持ち出すのは悪手でしょう。しかし、こちらから下手に吹っ掛けない限り、自ら信義則を裏切ることはやらないタイプですな。少しずつ、取引深耕していきましょう。どっち道、地位とか名誉に興味が無い人間など、他の貴族家では御せませんよ。逆に、他の貴族家がマモル殿に難癖を入れた時が、辺境伯家として介入するチャンスです。」

 

「そうだな、ベルガー。マモル殿が盗賊を返り討ちにした話からすると、おそらく、ベイル近郊の村が拠点であろう。あんな遠くからザビルの町までフィールドウォークで来るとは、相当なものだ。しかし、ベイル辺りの凡庸な貴族家では、まず御せないだろう。好都合なことだ。」

 

 

【マモル側の会話】

「アルフリーダ、よくやった。辺境伯家の書庫に入る許可を得たのは、予想外の大きな成果だ。」

 

「いえ、あれはベルガー様が、我々に恩に着せようと差し出したのでしょう。ご主人様、ここはチャンスです。石鹸に加え、グリセリンも供給しましょう。ザビルは乾燥してますから保湿剤の効果が大きいですので、一度使ってしまえば、まず虜になります。依存させれば、逆にこちらが手綱を握れますよ。」

 

「グイグイ行くのは良いとして、石鹸や保湿剤の供給価格はどうするの?」

 

「原価がほぼゼロですし、正直、いくらでも良いんですよ。ベルガー様には、受け取ったお金はそのまま、ザビルの町で買い物をして帰ると伝えています。辺境伯家にすれば、ザビルの町から資金流出せずに経済が回りますよね。我々にとっては、ザビルの町の方が帝都より物価が3割以上安いですから、物資調達には有利です。そうですね、1回のお買い物に1万ナールも貰えれば十分でしょう。」

 

「辺境伯家との関係が深くなり過ぎて、使い潰される心配はどうかな?」

 

「ザビル騎士団に出入りしていた人を観察しましたが、最低でも硬革装備でした。クーラタルの騎士団と同等に潤っている感じですから、よほど新規に集中して迷宮が発生しない限り、我々の戦力を当てにする事は考え難いと思います。」




春の39日 午後
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