※この作品はR-18です。

迷宮資源で奴隷娘とハーレムを   作:prime67

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春の59日 昼


96.自爆玉の憂鬱

昼食まで少し時間があるので、アフロディアをユリア達に預け、ソマーラの37階層を突破しておく。

 

37階層のボス魔物は、スパイクスパイダーで蜘蛛の魔物だ。スパイスパイダー → スパイススパイダー → スパイクスパイダーと上位の魔物になる。この世界の魔物名称では、屈指の難易度だ。

 

ファイヤーストーム!

サンダーストーム!

サンダーストーム!

 

ボス魔物2匹のうち、1匹が麻痺になれば後は作業になる。麻痺になったスパイクスパイダーは、吸精のダマスカスステッキで殴り、MP吸収の糧にできる。

 

殲滅したものの見逃しそうになったが、スパイクスパイダーのドロップ品で、”釘”が10本落ちていた。それもステンレス釘っぽい。(独自設定)

 

「ソフィア、この”釘”って、ひょっとして錆びない釘?」

 

「ええ、スパイクスパイダーがドロップする釘は錆びない高級品で、釘の大きさは毎回異なります。普通の釘は折れた鉄の剣を原料に作られますが、強度も低いし錆びるんですよね。」

 

普通の釘は和釘で、ドロップ品はステンレスの洋釘のイメージか。一般的な18-8ステンレスとすれば、クロム18%、ニッケル8%、残り74%が鉄の合金だ。伝説のダマスカス鋼がドロップ品で落ちるなら、ステンレス鋼が落ちても全く不思議じゃない。その上、釘の形に成形されて落ちるのは親切だわ。青銅もコボルトナイフの形でドロップするし、この世界を設定した存在は意外と柔軟だわ。いや、迷宮で入手出来る素材で事足りるなら冶金学が発達しない。親切じゃなくて、文明進歩を抑える意図かな?

 

注:この世界のダマスカス鋼は、地球世界のダマスカス鋼(=インドダマスカス鋼=ウーツ鋼)と同等の鋼材とし、バナジウム入りの最上級刃物鋼の設定です。ファンタジー金属の立場は採用しません。

 

 

そのまま38階層を少し探索してみる。

 

新しく登場する魔物はハントアントで、37〜38階層は毒持ちの魔物が連続するのが難点だ。しかしハントアントは、34〜44階層の魔物グループでは貴重な弱点魔法持ちでもある。

 

ウォーターストーム!

アクアストーム!

アクアストーム!

 

弱点の水魔法3連射*2回でハントアントは煙に消え、弱点魔法が無いスパイススパイダー&ハチノスだけが残る。女の娘達が突撃を開始するが、ご主人様は38階層も移動砲台だな。

 

3回目の会敵でノラが毒に倒れた時は、イリスがノラを後方に引きずり、印籠から『毒消し丸』を取り出して、口移しでノラに飲ませた。賞金稼ぎ→神官に変更し、1回全体手当て掛けたが、ノラも大過なく戦列に復帰し幸いだった。

 

それにしても、男同士の口移しは精神的に相当にキツそうで、ご主人様は無理だわ。しかし我が家の女性達は、女同士でも別に気にならないと言っている。お掃除フェラも奪い合っている感じだし、今更なのかな。他のパーティは、どう対処してるんだろうか? 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

昼食に帰宅すると、パームオイルも潤沢にあるからか、フィッシュフライを揚げている最中だった。アルフリーダとヴァニーユが辺境伯家の帝都事務所に出向してるから、食事メニューはエマ・ミラ・ノラの好物になる。アフロディアは揚げ物を作るのは初めてらしく、エマ・ミラと一緒に”こわごわ”油で揚げている。

 

フレイヤが膝の上に乗って来て、ご主人様がボディークリップを外すのがルーティンだ。そのまま人形の様に動かず乳を揉まれるのが好きな兎耳の15歳で、成長期なのに乳を揉んでも痛がる様子は皆無だ。それどころか、既に3回に1回は身体を震わせ乳イキ出来るまで感度が上がってる。将来が楽しみだな。

 

「イリス、夕方には再び帝都に行くよ。商人ギルドのオークションで落札してるだろうから、清算しに行かなくちゃ。」

 

「昨日アレックスに入札依頼した、ボディークリップですよね。帝都に行くなら、硬革の防具を一式製造しときます。鍛冶師の修行としての製造ですから、商人ギルドに行く前に売っちゃいましょう。」

 

ソフィアが硬革の在庫を全て出して、イリスが両手を眩しく光らせながら、次々と硬革の防具を製造していく。

 

鑑定!

硬革の帽子(空き)

硬革の鎧

硬革の手袋

硬革の靴

 

「イリス、硬革の帽子に(空き)スロットが1つ付いた。勿体無いから我が家で使おう。帽子だけ、もう1回作ってくれる?」

 

「はい、ご主人様。あと1つくらいなら気持ち悪くならないと思いますけど、硬革の素材もこれが最後です。行きます!」

 

鑑定!

硬革の帽子

 

「うん、今回は(空き)スロットの無いただの硬革の帽子だ。防具屋にはこっちを売ろうね。ところで、イリスの鍛冶師の修行としては、次は何を製造すべきなのかな?」

 

「次は鋼鉄の武器を一式作っときたいですけど、素材が足りません。でも先に、このまま38階層のハントアント狩りを継続して、蟻のスキル結晶を狙いませんか? 夕方には商人ギルドに行くのですよね。『スパルタクス団』の件で換金売りが出るでしょうが、『毒付与』の武器なら対人戦向きですから、オークションの落札価格はそんなに下がらないかも知れません。(空き)スロット付きの適当な剣に融合して、売ってみたいと思います。」

 

「イリス、良い考えかも。確か、物置きに鉄の剣(空き)があった筈だ。おや、フッシュフライも揚げ終わったっぽいな。先に昼食にしようか。」

 

 

昼食のフィッシュフライは、エルフの口にも美味らしく、17歳のアフロディアもバクバク食べる。

 

「ご主人様、アフロディアは揚げ物って初めて食べましたけど、凄く美味しいです。朝食にも肉を頂いたのにお昼は魚なんて・・、夢みたいな贅沢です。あの、一生懸命お仕えしますから、捨てないで下さい。」

 

「アフロディア、ご主人様はね、感じやすい性奴隷が好きなんだよ。オッパイも大きさより感度が大事なんだって。あと最近は、ノラのお尻が大好物かな。アフロディアも背が高いから、ご主人様に気に入られるよ。」

 

本当は、イリスの熱い膣とアルフリーダ・ソフィア・エゲリアの締まりが群を抜いて良いが、黙っておこう。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

アルフリーダとヴァニーユが出向中で人手不足だが、明日の夕方には帰って来るので、それまではブラック労働も致し方無い。イリスが、物置から”鉄の剣”を持って来た。念の為に鑑定するも、(空き)スロットは1つ付いている。

 

アフロディアを、ユリア・エマ・ミラの3人に任せ、午後も再びソマーラの迷宮38階層に入る。

 

 

ウォーターストーム!

アクアストーム!

アクアストーム!

 

ハントアントの弱点が水なので、水魔法の3連射が最も効果的なのだが、どうしてもMPが不足気味だ。なので、フレイヤを後衛に下げ”状態異常耐性ダウン”を発動させるのに専念させる。殲滅する前に麻痺になる魔物が増えてMP不足はマシになったが、それでも”MP回復速度二倍”の設定では全回復には至らない。かなり積極的に吸精のダマスカスステッキで魔物を殴らないと、MPの収支は均衡しないんだよなぁ。

 

しかしながら、イリスは絶好調だ。槌での近接戦闘に入る前、最初にスリングで一撃を叩き込む戦闘スタイルに変化している。イリスが使う銅弾の方がフレイヤの銅弾より明らかに大きいし、スリングの長さも短いな。

 

「ふふふ、ご主人様、スリングの長さを短いイメージで武器製造したら、狙った所に当たります。遠心力が落ちて弾速が遅いのなら、銅弾を重くすれば良いのです。イリスはF(物体に働く力)=m (物体の質量)*a(加速度)を理解しました! ドワーフは力の強い種族特性ですから、他の種族とは扱える重さが違うのです!」

 

イリスの指輪には”攻撃力五倍”のスキルが融合されているからか、銅弾でスパイススパイダーが弾け飛ぶ。

 

「ご主人様ぁ、フレイヤは詰まらない。スリングで撃っていい?」

 

「え、後衛からスリング撃つと、間違って前衛に銅弾が当たっちゃうよ?」

 

「こんなに近いし魔物は大きいんだから、的は外れないよ。そうだ、エゲリアとノラは動きが早くて、イリスとソフィアは動きが遅いの。イリスとソフィアの方向に撃つなら安心だよ。間違ってもイリスとソフィアには当てないからぁ。」

 

ソフィアも移動力増強が付いた駿馬の革サイハイブーツを装備してるんだが、脚に古傷があるから”そもそも”が遅いと評価されてるのか。まあノラのメッキも常に掛かってるし、万が一、誤射があっても1発じゃ死なないだろ。

 

「フレイヤ、分かったけど、くれぐれも誤射に気を付けてね。絶対にイリスとソフィアに当てちゃ駄目だよ。」

 

 

3時間ほど迷宮探索を続け、そろそろ切り上げようと思った頃、スキル結晶が落ちた。

 

鑑定!

蟻のスキル結晶

 

「ご主人様、やりましたね、スキル結晶です。早速”鉄の剣”に融合しちゃいますね。」

 

売却目的で、適当な武器にスキル結晶を融合するのは初めてだ。イリスには、コボルトのスキル結晶抜きで融合してもらう。

 

鑑定!

武器:毒付与の鉄剣(毒付与)

 

「イリス、今回も融合成功だ。”毒付与の鉄剣”になってる。少し早いけど、売り捌きに帝都に行こうか?」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ソマーラの迷宮38階層から、直接、帝都の防具屋の壁にワープで移動する。

 

「こんにちは、ご主人。景気はどうです? 今日も売却の品を持って来ましたので、査定をお願いします。」

 

「おやおや、今日は6人お揃いで、華やかなパーティですな。お嬢さん方にケーキでも用意させましょう。査定する装備品は、奥の部屋に出して貰えますかの。」

 

ソフィアが、硬革の防具一式をアイテムボックスから出す。

 

「どれ、ほう、全てドワーフのお嬢さんの作ですな。どれも丁寧に作れていて良い出来栄えです。今回も、新品の高品質品としてセット販売しますかな。通常買取価格に1,000ナールを上乗せしましょう。」

 

硬革の帽子:500ナール

硬革の鎧 :3,200ナール

硬革の手袋:600ナール

硬革の靴 :700ナール

小計:5,000ナール

割増:1,000ナール

合計:6,000ナール

 

「今回も買取価格に色を付けてもらって、ありがとうございます。悪いですね。」

 

「いえいえ、若い鍛冶師の方は大事にしませんと。お嬢さんの鍛冶は、どれも良い仕上がりですから適正価格ですよ。それに、全エルフ最高代表者会議が組織する騎士団が、『スパルタクス団』の討伐を受けたそうですからな。この品質なら、すぐさま売れるでしょう。戦闘奴隷を買っても、鎧を着せねば戦えませんからなぁ。」

 

防具屋の店員が、お茶とケーキを配り始めた。生クリームが乗ったケーキで、この世界では高いだろうに。

 

「ところで、ご主人は”盗賊のバンダナ”の件を聞いてますでしょうか?」

 

「ええ、どこぞの商人が『スパルタクス団』に流してるのでしょうよ。真っ当な防具商人なら”盗賊のバンダナ”は扱いませんから、食うに困った商人ギルドの仲買人が、鍛冶師に作らせて流しているのです。盗賊なら最低でも@1万ナールは出しますから、鍛冶師から@500ナール程度で仕入れて転売する手口ですな。昔から手を出す愚か者が時々出るのですが、皆、ろくな死に方はしませんのに。」

 

「え、盗賊に殺されちゃうんですか?」

 

「いえいえ、今回でしたら、全エルフ最高代表者会議が”賞金稼ぎギルド”に始末を依頼するでしょう。まあ、出回ってしまった”盗賊のバンダナ”は回収できませんが、放置しとくと無尽蔵に『スパルタクス団』の戦闘員が増殖します。”盗賊のバンダナ”は、装備した盗賊の身体能力を強化しますからな、エルフが愚かでなければ、今頃は、もう始末を依頼してるでしょうよ。」

 

「なるほど、エルフ貴族もお金が掛かって大変ですね。勝てるんですかね?」

 

「さて、どうなることやら。『スパルタクス団』の討伐に参加する冒険者は、まあ1.5流の連中でしょう。エルフ貴族も昔は強かったんですが、近頃は往年の戦闘力は期待できそうに無いですからなぁ。戦闘奴隷も、どのくらい買えるものやら。それに、他種族を見下す傾向が強いエルフが、種族混合の集団を率いるとは並の苦労じゃ済まないでしょう。」

 

世間話をしているうちに、買取明細書と6,000ナールの用意が出来た様子だ。ケーキも美味しかった。また売りに来よう。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

防具屋を出て、商人ギルドのロビーに飛ぶ。

 

昨日より更に人が多く見え、ロビーもざわついている。空いているベンチも無いな。オークションの結果を記した掲示板の前も、人集りで一杯だ。オークションの下見室も混んでるので、イリスとソフィアだけを連れて一周することにした。

 

「ご主人様、いつもの倍くらいの数が出品されてますけど、やたら”身代わりのミサンガ”の数が多いですね。」

 

「そうだね、イリス。諸侯会議で『スパルタクス団』の討伐に出るのが決まったから、買い占めてた在庫は売り時だよ。うわ〜、滋養剤*30個だって。高値で落札されるんだろうなぁ。」

 

『鑑定!』を発動しつつ下見室を見回すが、装備品は何らかのスキル結晶が融合済みの物が多い。おや、アームロングなんてのが出てる。初めて見た。

 

鑑定!

腕装備:アームロング(空き)

 

「ソフィア、あそこのアームロングって知ってる?」

 

「魔法の威力が増すと言われてる手袋です。魔法防御力は高いのですが、物理防御力は革手袋と大差無いので、後衛の女性魔法使い専用装備ですね。貴族の子女が割と使ってますよ。」

 

「イリス、アームロングって作れそう?」

 

「う〜ん、素材がミスリルスレッドですから・・、現時点では無理だと思います。」

 

「じゃあ、アフロディアの腕装備に使えるし、入札参加しとこうか。将来イリスが製造するとしても、実物があった方がイメージを掴みやすいでしょ。」

 

 

ロビーに戻り、エゲリア・フレイヤ・ノラと合流する。6人で商人ギルドの受付カウンターに向かおうとするも、仲買人のアレックスが小走りに出て来た。商人ギルドのカウンターには、アレックスの彼女とおぼしきポニーテール女性がいたので、我々に気付いたんだろう。

 

「マモル様、お疲れ様です。本日は女性5人連れですか、羨ましい限りです。談話室を取ってますので、移動しましょう。」

 

「うん、商人ギルドは景気が良さそうな賑わいで、何よりだね。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

談話室には既にアレックスの彼女とおぼしき受付嬢が、全員分のお茶を用意している最中だった。うん? 今日は首にスカーフを巻いてる。アレックス、人に見られる女性の首に吸い付いちゃ駄目だろ。首筋に跡を付ける様じゃ、まだまだ若いな。

 

「マモル様、ボディークリップは2万ナールで落札出来ました。本気で入手しようとする仲買人はいませんでしたから、割安だったと思います。次に話は変わりますが、蟻か羊のスキル結晶を融合した武器をお持ちじゃないでしょうか? さる貴族家より早急に求められていまして・・・。」

 

鑑定!

アクセサリー:ボディークリップ(空き)

 

防具商人のアレックス・アシッド、ミチオ君が取引してた仲買人がルーク・アシッドで、エルフのハルツ公爵家と代々取引してたんだっけ。アレックスも、ハルツ公爵家に頼まれてるんだろう。

 

「なるほど、毒か睡眠のスキル付きの武器は、対人戦で有用ですものね。イリス、お願い。」

 

イリスが、アイテムボックスから”毒付与の鉄剣”を取り出す。

 

「アレックス様、毒付与が付いています。念の為、鑑定してもらって構いませんよ。」

 

「いえいえ、マモル様の”毒付与の鉄剣”ですよね。お願いします、3万ナールで譲って頂けないでしょうか?」

 

「え、少し高過ぎじゃない? コボルトのスキル結晶無しだから、2万ナール台だと思ったんだけど・・。」

 

「いえ、早急に入手したい訳のある貴族家からの依頼ですので、この値段でも私に転売益が出ると思います。いかがでしょうか?」

 

アレックスは切羽詰まってる感じだな。イリスの予想が、儲かる方向に上振れしている。

 

「うん、今は使って無い余剰装備だし、3万ナールで手を打つよ。あと、オークションの下見室に出てた”アームロング”だけど、予想落札価格はどのくらいだろう?」

 

「アームロングですか、あれは女性魔法使い専用装備ですから需要も弱くて、あまり競合しないんです。2万5,000ナールを超えたら高いですね。」

 

「そうなんだ。では、2万5,000ナールを上限に入札しといて。”ボディークリップ”と”毒付与の鉄剣”を含めて、精算は明日で構わないよ。」

 

「了解しました。ボディークリップは、本日お持ち帰り下さい。」

 

「ありがとう、アレックス殿。引き続き、コボルトのスキル結晶は4,900ナールでお願い。それと、格安なスキル結晶が出たら引き取るから、抑えてもらって構わない。イリス、ボディークリップはアイテムボックスに入れといて。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

商人ギルドからは、露天風呂に直接ワープする。

 

お湯張りをしてると、珍しく不機嫌な顔をしたフレイヤが、報連相に寄って来た。

 

「ご主人様、仲買人ってカスだね。盗賊のバンダナだけじゃなくて、滋養丸や自爆玉も盗賊に売ると儲かるって話してたよ。支払を奴隷商人に中抜きされても、『スパルタクス団』は払いが良いから十分に儲かるんだって。」

 

「え、自爆玉? 嫁入り道具に持たせるって訳ないし、盗賊が何に使うんだろ?」

 

「ご主人様、それヤバいですよ。自爆玉って、3歳以下では確実に自爆が失敗して魔法使いの取得条件を満たします。以降、年齢が上がるにつれ自爆の成功率が上がるのですが、10歳ぐらいの子供なら、それなりの確率で不発になるんです。」

 

「ソフィア、それって、運が良ければ魔法使いになれる事を餌に、特攻させるって意味だよね。しかし、いくらなんでも、そんなのを実行する子供がいるんだろうか? それに自爆玉を買う資金があるなら、良い装備品を買った方が有利だと思うけどな。」

 

「ソフィアが15歳の時、とある貴族家のお家騒動で、劣勢側が「スーサイド・アタック」をやって勝利したんです。しかし、あまりにもヤバい思考集団と判断され、後日に大貴族が連合して討ち入り、実行した側を”根切り”にしたそうです。討ち入りには亡きブルーノ伯爵様も参加され、ソフィアは後日教えて頂きました。自爆玉の不発で魔法使いになれれば、食うに困りません。たとえ低確率で分が悪い賭けでも、貧乏が参加させるんです。」

 

“十死零生”と”九死に一生を得る”で全く違うのは分かるんだが、刹那的だよなぁ。盗賊や魔物が跳梁跋扈する長生きし難い世界だからだろうが、賭け金にする命って安いんだな。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

お湯を張り終えると、一旦ワープで家に戻る。お風呂の準備をし、リビングで服を脱いで、露天風呂まで2往復だ。

 

17歳のアフロディアにとって露天風呂は初体験で、「お湯がこんなに沢山、信じられない!」と騒いでいる。アフロディアにとっての風呂とは、夏の日向に大きな「たらい」を出して水を張り、夕方近くに温まったぬるま湯で行水をする行為らしい。エマ・ミラ・ノラも頷いていて、同一見解なのだろう。3人が風呂の入り方をアフロディアに教えているが、最初にアフロディアの身体を洗って楽しむのは、ご主人様の特権だ。

 

その後、ご主人様をユリアとエゲリアが洗ってくれ、最後はイリスが『侍女の嗜み』をやってくれている。体温が高いドワーフのイリスは気持ち良く、『侍女の嗜み』に向いてるかもしれない。

 

「イリス、風呂から上がったら、帝都のベルガー殿の所まで打ち合わせに行こうか。同行者はイリス・ソフィア・フレイヤの3人かな。」

 

「そうですね、奴隷商人のナタリーさんは使えそうですし、フレイヤが商人ギルドで聞いた話は情報共有しとくべきでしょう。あ、なら抜きますね。アーデルハイトさんって美味しそうですから、ご主人様が惑わされるのを防ぐのも一番奴隷の役目です!」

 

「イリス、アーデルハイトさんってご主人様の好みだから、交代で跨って2発は抜いとかないと危ないわ。最初にソフィアが入れるから、イリスはご主人様に栗を吸わせてあげて。サクッと抜くわよ!」

 

イリスとソフィアは、ベルガーの一番奴隷に過剰反応してるんじゃないか? アーデルハイトは好みと言えば好みだが、あんなヤバい女に手を出す事はないぞ。ベルガーの死後相続でウチに来るらしいが、今日明日の話じゃないしな。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

今日も、ご主人様は湯船でくつろぐ暇がなかったが、アフロディアとエマ・ミラ・ノラは入浴を堪能している。フレイヤが、アフロディアの胸を揉んでいるのは何故だ?

 

風呂から上がり、イリス・フレイヤ・ソフィアに小綺麗な服を着せ、装備品をソフィアのアイテムボックスに収納する。靴はサイハイブーツでも問題無い気がするが、辺境伯家の帝都屋敷へはハイヒールで行く様子だ。辺境伯家の帝都屋敷の玄関ドア横に、黒いワープゲートを開いて移動だ。手土産には、石鹸を持って行こう。アルフリーダとヴァニーユも、石鹸が潤沢に使えない環境は嫌だろう。

 

ドアノッカーを叩くと、執事らしき壮年の男性がドアを開き、ベルガー達も帰って来たばかりだと言う。執事らしき男性は、セバスチャンと名乗ってくれ、手土産の石鹸半ダースを渡す。『執事といえばセバスチャン』は、この世界でも健在らしい。ハイヒールで走るアルフリーダに手を引かれ、今日も当然の如く会議室行きだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ベルガー殿、申し訳ない、情報共有の為に寄らせてもらいました。」

 

「おお、マモル殿、アルフリーダ殿とヴァニーユ殿は癒されるのう。帝都の貴族どもの視線が心地良いわ。おかげで、普段の倍近く働けたぞ。」

 

「アルフリーダ、一体何をしたんだ?」

 

「エルフ貴族は性差による役割の違いが少ない社会、獣人貴族は男尊女卑ですから、相手に合わせた立ち振る舞いをするんです。あと、大抵の人間族の貴族は性欲が肥大化してますから、乳寄せして前屈みがポイントですね。ヴァニーユにも仕込みましたが、凄く筋が良いですよ。」

 

「マモル様、帝都の貴族どもへの根回しは順調だけど、エルフ貴族が何か隠してる感じなの。何か思い当たることあるかしら?」

 

「ああ、それなら、こちらの情報収集で引っかかったよ。全エルフ最高代表者会議が、”賞金稼ぎギルド”を使って、盗賊のバンダナを『スパルタクス団』に流している商人を排除する可能性があるらしい。帝都の防具屋のオーナーは、確信してる口振りだったな。フレイヤも、帝都の商人ギルドで盗賊との取引について語っている仲買人の会話を聞いてるから、そこそこの確度だと思うよ。」

 

「流石はマモル様ね、仕事が早いわ。あと、エルフ貴族どもは戦闘奴隷の確保に苦労してるらしく、更なる軍資金の援助を強請られたの。」

 

「う〜ん、それって資金力の問題とは違うかも。フレイヤが聞いた話から推測すると、仲買人が『スパルタクス団』に流した物資の決済で、間に帝都の奴隷商人が入ってるみたい。『スパルタクス団』は、奴隷の現物払いで決済してる気がするな。とすれば、奴隷商人は討伐する側の戦力増強に協力するのは損だから、思いっきり吹っ掛けた相場設定に誘導するよね。関与してる奴の固有名詞は分からないけど、偶然、ベイルの奴隷商館のオーナーを取り込めたんで、帝都の奴隷商人の探りを入れさせてる。親密取引先の奥さんが間に入ってくれたから、信用して良いと思うよ。」

 

「ご主人様、ベイルの奴隷商館のオーナーって、オリビエ様のことですか? 信用するのはどうかと・・。」

 

「いや、奴は無能だったけど、奴隷商館のオーナーはオリビエの奥さんで、彼女が詫びを入れて来たから使ってみる事にしたんだ。帝都の奴隷商人とは仕入れルートも異なる筈だから、戦闘奴隷の調達ルートに使えるかもよ。」

 

「なるほど、オリビエ様は婿養子だったんですね。それなら、明日の晩の打ち合わせはベイルのレストランでやりませんか? アルフリーダが手配します。ベルガー様、レストランを貸し切りにする資金をお願いします。レストランの奥さんのお尻も素敵なんですよ。触らせてあげますね。」

 

アルフリーダ、見切り発車もいいとこだろ。いや、客が辺境伯家の家令なら、あの奥さんなら喜んで触らせるのか?

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「次に、少し重い情報があります。ソフィア、頼むわ。」

 

ソフィアが、自爆玉の件を説明し始めると、ベルガーとアーデルハイトの顔色が変わって行くな。

 

「マモル殿、15年前の討ち入りは、我とアーデルハイト・ヒルデガルドの3人が辺境伯家から参加した。あれは胸糞悪かったな。我らは油断しなかったが、聖騎士が3人も吹き飛ばされたわ。分かってはいても、子供に剣を振り下ろすのは躊躇するからのう。」

 

「嫌な思い出よね。でもエルフ貴族は排他的だから、あの時の討ち入りに参加しなかったわ。だから『スパルタクス団』に自爆玉を使われたら、ほぼ初見だから避けるのは難しいわね。でもねぇ、私達が警告してもエルフは適当に聞き流すでしょう。あいつら、他の種族を見下してる所があるのよ。」

 

アーデルハイトのエルフ評価は、かなり微妙だな。

 

「アーデルハイトさん、自爆玉とは、簡単に入手可能な物なのでしょうか?」

 

「あれは出産祝いの贈答品で、ウチでは配下の者にも配るから常に不足気味よ。まあ、オークションに出品される品を、入手困難とは言わないわね。」

 

 

セバスチャンが軽食を運んできて、今回も会食 ≒ 飲み会となった筈だが、ご主人様とアーデルハイト、アルフリーダ、イリス、ソフィアの5人は、軽く食べながら打ち合わせを継続してる。

 

ヴァニーユとフレイヤの2人は、今日もベルガーを相手にチヤホヤだ。フレイヤなど、ベルガーの口元に果物を「あ〜ん」してるぞ。15歳なのにそんなキャバ嬢テクニック、男爵家で接待慣れしてるヴァニーユが教えたのか? 

 

「ベルガー様ぁ、アーデルハイトさん達は働いてるよ。私達、遊んでて怒られないかなぁ?」

 

「うむ、適材適所と言っての、仕事は最も向いている人材に一任するに限るのだ。今の我らは、遊んでても大丈夫じゃな。」

 

 

ご主人様はイリスとソフィアを左右に侍らせていたが、イリスがトイレに立った隙に、アーデルハイトが隣に寄ってくる。

 

「ザビルの冒険者ギルドには、『スパルタクス団』に関わる質の悪い奴隷商人を押さえる網を張ったわ。ご当主様が冒険者ギルドに執務室を移して、『生け取りにして取引関係を吐かせろ』って陣頭指揮してるの。ほら、ヒルデガルドって脳筋でしょう。こういうのに向いてなくて、すぐ殺しちゃうのよね。ヒルデガルドには騎士団と警備隊を引率させて、隣のアイエナ領に巣食う盗賊を根絶やしにさせてるわ。」

 

そうだよなぁ。万が一にも『スパルタクス団』の反乱が辺境伯領に伝播しちゃ、目も当てられないからな。

 

「不良奴隷商人から保護した者の中に、有益な人材がいれば良いですね。それと騎士団と警備隊の方々には同情しますが、過重労働させてでも、今の内に近隣の盗賊は根切りにするのが最善策ですよ。」

 

「そうよね。マモル様の所で欲しい人材があれば、ザビルで保護した者の中から優先して回すわよ。」

 

「戦闘系のジョブ持ちは不要です。それよりも、建築とか金属加工とかの技術を持った人材が欲しいですね。村の人口を増やしたいので、妊婦も受け入れますよ。」

 

「分かった。ご当主様に言っとくわ。ウチは、とにかく内政が出来る人材が欲しいのよ。有能な内政官が『スパルタクス団』に捕まってくれてると助かるんだけどなぁ。」

 

「あ〜、アルフリーダはあげませんよ。彼女は我が家の主計官で、それこそ貴重な人材なんですから。」

 

「そんなの無理でしょ。アルフリーダは、マモル様無しでは駄目な身体よね。英雄色を好むって言うけど、マモル様が凄いのを、アルフリーダもヴァニーユも自慢してたもの。」

 

『女子会の下ネタトークはえげつない』とは頻繁に聞いたが、まず間違い無くこの世界でも同じっぽい。少なくとも、エマ・ミラ・ノラ・フレイヤの間では、容赦なく情報共有されている。アルフリーダとヴァニーユも、アーデルハイトに何を話したんだ?

 

 

「アーデルハイトさん、とりあえず『スパルタクス団』の兵站を妨害して、正面はエルフ貴族に頑張ってもらうのが合理的だとは思う。でも、仮にエルフ貴族が『スパルタクス団』に負けると、先が読めなくなるんだ。辺境伯家って、帝国政府の乗っ取りとかやるつもりあるの?」

 

「ウチの内政人材不足は、ご当主様やベルガー様が陣頭指揮をやるレベルなのよ。帝国政府なんて乗っ取ったら、過労死しちゃうわ。マモル様だって、そんな面倒なの手伝ってくれないでしょ。叙勲されて貴族になるより厄介だもん。」

 

「当たり前ですよ。徴税して恨まれつつ貴族の責務を果たす為に一年中死ぬまで働くなんて、何の罰ゲームかと思うのが普通でしょ。ましてや帝国政府なんて論外です。愛人や奴隷達と豊かで幸せな生活がしたいのに、政治とか貴族とか面倒なのやる暇も興味無いですね。」

 

充実したハーレムライフの為にも、帝国政府にはキッチリ統治して欲しいし、全エルフ最高代表者会議も頑張って『スパルタクス団』を潰して欲しいが、あまり信用できないよなぁ。帝都からベイルの町のラインで、治安が悪化する事態は嫌なんだよ。念の為、事態が悪い方向に進んだ時の対処も、考えとかなきゃな。




春の59日 夜
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