その国では、皇帝の死後幼い曾孫が後を継いでおり水面下では家臣たちの権力闘争が行われていた。家臣団の一人である張春華は、他者を思い通りにする頭脳により国内で有力者に上り詰めて権力闘争の一角を担うまでになった。大事な評定を控える彼女は、ある青年文官に目を付ける。彼は生真面目で一見利益に靡かないように見えるが、その真面目さにこそ付け入る余地を見出した春華は淫らな一計を案じる……。
※この小説は以前短編形式で載せていたものを、連載形式として再掲したものです。
掲載していた同一タイトル・同一内容の短編小説は混同を避けるため削除しました。
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ある国にて皇帝が崩御した。常に死と隣り合わせにある戦乱の時代において、人生百年を迎えんとした矢先の大往生であった。
その跡を継いだのは、皇帝の幼い曾孫だった。その祖父と父、つまり皇帝の息子と孫は既にこの世にいない人となっていたからだ。未だ物心つかぬ新帝に権限など与えられようはずもなく、当面は重臣達の合議制となっていく。それが意味するところを、当事者たる彼らは誰よりも実感していた。
この国では、家臣たちを競わせる事で成果を出させ、勢力拡大につなげていた。それが純粋な切磋琢磨に留まっている内はまだいいが、勢力が大きくなり競い合う家臣の母数が増えれば不健全な思惑を抱く者も当然出てくる。そうなれば行く先は自然、水面下で血を流し足を引っ張り合う権力闘争である。老帝の在位中でさえそうなのだから、幼い皇帝を合議制で戴くとなればどんな事になるか……よほどの凡愚でない限り、思い描く未来予想図は陰惨たるものだった。
そんな状況に、泰然自若と向き合う一人の女傑がいた。
張春華。その慧眼と頭脳から他者を思い通りにする事に長け、その才能を駆使し権力闘争の渦を強かに生き抜いた彼女はいつしか国内での有力者の一人となっていた。
そんな春華にとって、多くの者が国の未来と自身の立場を憂うこの状況は寧ろ本領発揮する好機ともいえた。無論内輪揉めなどしないに越した事はないとは彼女も思ってはいるが、それでも同僚が保身と野心で右往左往する様を見るのが愉しくもあり、そんな逞しい感性こそが張春華最大の強みでもあった。
しかし、傍観者として愉しんでばかりもいられない。近いうち、国の今後の方針を決める非常に重要な評定が行われるのだ。そこでどれだけ爪痕を残せるかで、今後の立ち位置が変わってくる。
古参ではなく、権力闘争の中で成り上がった春華には政敵も多かった。されど、彼らを懐柔する余地がないわけではない。彼女はその中でも、ある青年文官に目をかけていた。彼は生真面目が過ぎる人物で決して卓越した才を持つわけではなかったが、篤実な人柄は多くの者から信頼を寄せられていた。彼を味方にできれば、自分への信用も同時に勝ち取れると春華は踏んだのだ。
「春華殿」
こちらから声を掛けるまでもなく、その文官から春華に話しかけてきた。しかし、その物腰はおよそ友好的とは言えなかった。堅物を絵に描いたようなこの男は、全てを見透かしているように飄々と振る舞う彼女に良い印象を抱いていなかった。
「なにやらこそこそと動いているようですが、くれぐれも自重いたしますよう。いつまでもそんな人を食ったような態度が通用するなどと思われますな」
「出会い頭から喧嘩腰なんて……もう少し穏やかに生きれない事?少し働きすぎじゃないのかしら」
春華の心配は、半ば本心であった。とは言っても、ここで評定の鍵となる人間に倒れられては困るという打算的な意味が大きかったが。
「貴女に心配される筋合いはありません。それでは」
その内心を知ってか知らずか、彼女の歩み寄りを突っぱねて立ち去る。相変わらず、頑固なんだから。春華は思わず苦笑いする。
(今回の評定には彼の協力が不可欠……。今のところは取り付く島もないといった処だけど、所詮は若い男の子、付け入る余地は十分あるわ。少しふしだらが過ぎるけど、ああいうお堅い子には『アレ』が一番手っ取り早いわね……。あまり時間もない事だし、久しぶりに一肌脱ぐとしようかしら)
春華は、既に彼を思い通りにするための策を描き切っていた。後は、それを形にするのみ……。
後日。城内の執務室で書類仕事に追われる青年文官を、友人が茶を持って訪れる。
「相変わらず精が出るな。だが、少し働きすぎじゃないのか?」
「他の者にも同じ事を言われたよ」
「そりゃそうだろう、今のお前を見てれば誰だってそう思う。ま、休めと言われて素直に休むお前じゃないのも分かる。せめて一服でもしたらどうだ、いいお茶を持ってきたぞ」
青年は、酒より茶を好む傾向があった。酒が飲めないわけではないが、酔う暇があったら少しでも多くの書類を捌きたい。そんな彼にとって、茶は好ましい飲み物であった。
「ああ、ありがとう。ご厚意に甘えて、いただくとするよ」
青年は一口飲むと、再び仕事の手を動かした。どこまでも仕事人間な彼を案じながら、友人はその場を去る。
「それじゃあな。無理はするなよ」
「ああ、またな。お茶、美味かったよ」
友人を見送ると、青年は再び茶を一口飲んだ……。
執務室から離れた廊下にて、青年の友人はある人物に拱手する。張春華だ。
「ご苦労様。お茶、飲んでくれてたかしら?」
「ええ。相変わらず、仕事の手は止めてくれませんでしたがね。一服しろと言ったのに……」
「困ったものね。でも、あれには疲れも毒も取れる作用があるから心配ないわ。そうね……飲み終わって一夜明ければ、あの子のトゲトゲしたものも無くなるんじゃないかしら。ふふ、楽しみに待っていて」
「一夜……?まぁ、春華殿がそう言うなら……」
「大丈夫よ。あの人のことは、私に任せて」
意味深な言葉を残し、春華はその場を去った……。
場所は執務室に戻る。茶を飲み干して数時間後、なおも仕事を続ける青年文官に異変が訪れた。
「……?なんだこれは、眩暈か……?」
視界がぼやけていく。まるで、頭に靄がかかっていくような。おかしい。ちゃんと睡眠は取っているはずだ。なのに、ここまで強烈な睡魔は……。青年は、そのまま気を失い倒れた。
[newpage]
青年が目覚めると、見覚えのない天井が視界に広がっていた。
「ここは……?」
周りを見るため、起き上がろうとするも力が入らない。まるで麻酔でも打たれたように。違和感はそれだけではなかった。体全体が、何やら熱い。だが風邪のようなだるさはなく、寧ろ何かを駆り立てられるような高揚感があった。それでいて、手足はまるで言う事を聞いてくれない。
状況が分からず戸惑う青年に、声が掛かる。
「ようやくお目覚めのようね。だから言ったのよ、少しは休んだらって」
聞き覚えのある、できればあまり聞きたくない声。かろうじて動く首をその方向に向けると、張春華がいた。
「貴女が……私を?」
「あなたが倒れているって聞いてね。でもあなたの家は少し遠くて間に合わないと思って、勝手だけど私の家で休ませることにしたの」
「そうですか……。とにかく、今回は助かりました。ありがとうございます」
政敵ではあるが、命の恩人に肩肘つっぱねるほど青年も頑なではない。ここは素直に、春華に感謝を述べる。
だが、彼女と話している内に何故だか青年の身体の熱はさらに高まっていく。特に、そう、ある部分が……。
「ところで、お茶は美味しかったかしら?」
「?何故、貴女がそれを……?」
「あまりにも根を詰めてて心配だったから、あなたの友人を通じて疲れが取れるお茶を差し入れさせてもらったの。ようく眠れたでしょう?」
春華がそこまで言って、青年は悟る。
「な…………!?まさか、薬を盛ったのか?手足が動かせないのも…………。」
「大丈夫よ、毒なんかじゃないわ。言ったでしょう?疲れが取れるお茶だって。手足もそのうち元通りになるから、安心なさって。まぁ、もう一つ効き目があるのだけれど……。」
「作用?いったい何を……。」
訝しむ青年にゆっくり近寄り、寝台に腰掛ける。
「体に溜まってる毒をあぶり出す作用よ。尤も、それを出すには人手がいるのだけど……幸運だったわね。丁度私がいるんだもの」
「え……?」
「分からない?私が手伝ってあげるって言ってるの」
「手伝うって、何を……」
「決まってるでしょ……こう言う事よ♡」
彼女は青年の下半身に手をかけると、その衣を引きずり下ろした。熱を帯びる男性器が、涼しい外気と美女の視界に晒される。
「なっ!?ちょっと……何のつもりで……!」
「あら……こんなに毒を溜めこんでしまって。よっぽど疲れていたのね」
確かに青年は疲れを溜めてこそいたが、執務中に倒れたのも陰茎を勃起させているのも毒のせいではない。先ほどの茶に混ぜられていた、麻沸散と媚薬による恣意的なものである。
(ふふ、よく効いているわね。それにしても、この何とも言えない大きさは……将器も性器も人並みといったところかしら。少々物足りないけれど、まぁ顎は疲れないからいいのかしら?)
自分で剝き出しにしておきながらなんとも失礼な感想を抱く春華。これから篭絡する対象を、布陣を分析するかのようにまじまじと観察する。
(あぁ……春華殿が、私のチ×ポを間近で見ている……!!)
男として有難くない分析をされているとは露知らず。丸出しの生殖器にまとわりつく妖艶なまなざしに、青年は羞恥と興奮の波に襲われる。あまりの唐突な体験でその相手が政敵である事も思わず失念しかけたが、
「何を考えているのです、春華殿!これ以上の勝手は……」
すぐさま我に返り、彼女の暴挙をとがめる。意に介さず観察を続ける春華は、いきり立つ彼をなだめるように欲棒の鈴口に軽く口づけてみせた。
「ひゃああん!?♡」
先端への唐突な刺激に、女子のような嬌声を上げる青年。その素っ頓狂な反応に、思わず春華は笑みをこぼす。
「ふふふ……これくらいでそんなに喘ぐだなんて、本当に初心なのね」
「だ、だって…………」
「分かってるわ。女性と関わる暇もないほど、仕事熱心だものね……でも、溜め込みすぎるのは感心しないわ。だってほら、毒でこんなに腫れ上がっちゃって……。」
大きくはないなりにびんびんと張り詰めた、青年の聞かん棒を握り締める。その絶妙な力加減に青年はまたも喘いでしまう。
青年の反応を面白がった春華は、そのまま手の前後運動を開始する。
「あっ、待ってっ!くださいっ、春華どのっ……」
麻沸散の名残で手足をまともに動かせず、されるがままの青年。春華の巧みな手の動きは聞かん棒へ確実に快楽を与えているが、青年の理性は政敵の手によって射精する事を拒んでいる。
「ああっ!やめてっ……、やめ……っ♡」
「恥ずかしい事なんてないわ。素直になりましょう?」
文字通り、春華の手の中で弄ばれる青年の分身。春華はとどめとばかりに手の動きを速める。あからさまに強くなる刺激に、青年の喘ぎ声はますます大きくなっていく。そして。
「あっ…………出るぅっ♡♡♡」
ビュルッ!!ドピュドピュビュルウッ!!!
呆気なく絶頂に達した青年の白濁液が、春華の掌中に吐き出される。気の遠くなるほど長い放精を経て、脈打つ聞かん棒はようやく大人しくなる。
「はぁ、はぁ、はぁ……こんな事、後でどうなるか……」
妖艶な才女の手淫に、欲棒は悦びながらも心は閉ざしたまま。
「ううん、まだ毒は抜けきってないようね……これじゃあ、回復してもまた根詰めて疲れをため込んでしまうわ。」
「春華殿……。さっきから、何を言って……」
「毒というのはね、物理的なものではないわ。貴方の心を蝕み、頑なにさせているものよ。そのせいで貴方は、肩肘張って疲れを無闇に溜め込んでる……その毒を抜かない限り、回復したとしても同じことの繰り返しよ?だから私が、あなたが素直になって毒が抜けるよう一肌脱いであげてるの」
もっともらしい事を言って、春華は次の手に打って出る。一度精を吐き萎びた海綿体を再び握ると、雁首をぺろりと一舐めしたのだ。
「あっ……そんなっ!!汚いで……すっ」
「余計な事考えないで。貴方はただ、気持ちいい事にだけ素直に身を委ねればいいの」
聞き分けの悪い子供をたしなめるように青年の抗議を遮ると、春華は彼の萎びた海綿体を口に含み舐め回す。場数を感じる巧みな口腔奉仕に、たちまち下腹部が熱と活力を取り戻す。
「ふふ、すっかり元気になったわね。それじゃあ、今度はこっちでおもてなししてあげるわ」
「……?っ、それは…………!!」
青年の目に移ったのは、衣服を脱ぎ捨て下穿きのみとなった張春華の上裸であった。肉まんを得意料理とする彼女であったが、その細くしなやかな身体の胸部でも、大きく形の良い一対の肉まんがその存在を主張していた。
彼女はその自前の肉まんで、唾液まみれの聞かん棒を包み込む。
「はあああっ……♡♡」
手で握られた時とは違う、母性そのものに包まれるような柔乳の感触。イッたばかりで敏感になっている聞かん棒には余りにも甘美すぎる快感。
慈母のような微笑みで、春華は左右から胸の肉まんを挟み上げる。波打つ乳房が聞かん棒をさらに刺激し、身も心も甘くまろやかにほぐしていく。
「あっ……、すごいっ♡なに、これぇっ……♡♡」
先ほどと比べると、明らかに青年の声色が蕩けている。その反応に春華は手ごたえを感じていた。この分なら、心までも軟化するのは時間の問題だろう……。
「あぁ、だめぇ……♡またっ……♡♡」
柔乳による奉仕をすること十分。青年は、再び近づく限界を訴える。
「出そうなのね?いいのよ、思う存分、溜まってるのを出して……」
「あぁっ、春華どの……い、イクううっ♡♡♡」
ブビュウッ!ブビュルルルッビュルー!!
二度目の射精は、慈母のような優しい快楽の中で。春華の顔と柔乳に、勢いよく白濁が襲いかかる。それに何ら動じることなく、春華は最後まで射精を受け止めた。そして付着する精を拭き取ると、下穿きも脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿になる。全てを晒した彼女の全裸は、妖艶さのみならず神秘的な母性も感じさせた。
「ほら、よくご覧になって?あなたに奉仕してるうちに、私のここもトロトロになっちゃったわ……。」
青年の顔面に跨り、すっかり出来上がった女陰を見せつける。その淫靡な造形に、言葉を失う青年。
「あぁ……あぁ…………!!」
「ここにあなたの素敵なオチンチンを入れるとね……手よりも、口よりも、おっぱいよりも……何倍も気持ちよくなれるの。ねぇ、入れてみたくならない?」
今まで受けた快楽の追憶が、青年の脳内をひた走る。それにもはるかに勝る悦び……。答えは、一つしかなかった。
「あぁ……入れたいですっ!春華殿のオマンコに……!!私の……チンポをっ……♡どうか……!!もてなしてください……!」
未知の法悦を目の前に、青年のタガは呆気なく外れた。はしたなく懇願するその様は、普段の彼からは想像もつかない。勝利を確信した春華は立ち上がると、青年の下腹部に跨る。
「そうよ、男の子は素直なのが一番かわいいもの……。それじゃ、ご褒美を、あげなくっちゃね……♪」
淫らな蜜をまとった小陰唇が、青年の先端を捕捉する。雁首までしっかり入ったのを確認すると、春華は一気に腰を沈める。若き文官の全てが、快楽の洞穴に呑み込まれた。
「あぁ……入ってるわ。ほら見て、繋がってる所……♡」
黒い茂みをまとった肉感的な女陰は、硬化した海綿体を美味しそうに味わっている。青年はただひたすら、その光景と法悦にうっとりとしている。
「ふふ、本当の快楽はこんなものじゃないわ……。そろそろ、動くわね……ほらっ♡ほらぁっ♡♡♡」
「ひああああっ……♡♡ぎもちいいっ♡♡♡」
美女が自分に跨って、貪欲に腰を振っている。多くの男が夢見る実に都合のいい光景が、青年の目の前で現実に繰り広げられている。これに悦ばぬ男は、果たして存在するだろうか?少なくとも、あれだけ春華を嫌っていた青年はものの見事に彼女の肉体と技に魅了されている。
「あぁ……春華殿ぉ……♡♡」
「嬉しいわ、やっと心を開いてくれて……いいわ、あなたの思いに応えてあげる……♡」
春華の腰捌きに、ますます気合が入る。上下運動だけでなく、円を描くように動いたりしてあらゆる方向から青年の聞かん棒をもてなしていく。自在に絡みつく彼女の膣肉、それは舌でしゃぶられるような能動的な締め付けと、まろやかな温もり。
厳しさと優しさが入り混じった快楽を絶え間なく浴びせ続けられる男に、再びの絶頂が迫り来ようとしていた。
「はぁっ、しゅんか、どの……また、でそうに……♡」
「ええ、いいわよぉ……私も、そろそろイキそうだから……♡どうせなら、二人一緒に……ね?」
不敵に微笑むと、春華は腰を最大速度で青年の下腹部に打ち付ける。熱く、激しく、淫らな摩擦は青年を三度目の頂に導く……。
「うぉあああああっ♡♡♡イクううううっ♡♡♡♡♡」
ビュルッッ!!ビュブルルルルルルルッ!!ドピュルルドプウウッ!!
「んんんっっ……♡♡♡」
情欲のつぶてが、まさに三度目の正直とばかりに春華の胎内を白く汚していく。春華もまた、子宮に牡汁を浴びながら一瞬の頂に酔いしれる。それでも童貞青年の手では彼女を浸らせるには至らず、精を出し尽くし放心状態の彼を尻目に、春華は女陰に突き刺さっていた肉竿を何の感慨もなく引き抜くと、何やら用意していた薬を飲み干す。
(私以上に優れた男の胤でなら、身籠るのもやぶさかではなかったけど。まぁそれでも、思ったよりは楽しめたかしら……思ったよりは、ね)
仄暗い思考を柔らかな笑みで覆い隠し、裸のまま青年に添い寝する。そして、彼を幼子のように胸元にそっと抱き寄せる。青年の顔を包み込む乳房の弾力が、彼の精神をますます弛緩させる。
「ねぇ、いいものでしょう?自分の欲求に素直になるというのは……。これからも、仲良くしましょう……国の未来のために、ね?」
「はい……。よろしく、お願いしますぅ……」
蕩けた声で返事をすると、青年は麻酔を打たれたように眠りについた。それは彼が、完全に春華の手に堕ちた瞬間だった。
数日後。青年文官の篭絡をはじめとする様々な策を巡らせた事が功を奏して、評定は春華にとって有利な結果に終わった。その帰り、春華は功労者である青年に声を掛ける。
「ありがとう、あなたのおかげで助かったわ。良ければお礼がしたいのだけど……今晩また、私の家に来てくれるかしら?」
彼女な誘いに、夢のようなひと時を思い出した青年の股間は再び熱を帯びていく。
「は、はい!喜んで!」
「じゃあ早速帰って、もてなしの準備に取り掛かるわね。貴方も色々と支度があるでしょう?それじゃあまた今夜……ね?」
彼の耳元で甘く囁くと、春華は踵を返し優雅に去っていく。『もてなし』を期待しうっとりする青年を背に、不敵な笑みを浮かべつつ。
(本当に、男って分かりやすい生き物ね……。あんな堅物も、少し身体を使えば思い通りになるんだもの。いえ、堅物だから……かしら?どちらにせよ、あの子はもう少し利用できそうね。そして用済みになったら……それは、その時に考えるとしましょうか。ふふ……)
春華の掌中で踊らされるばかりの青年は、その玩具として道化のような一生を送ったのか、あるいは役目を終えた駒としてあっけなく切り捨てられたのか。名もなき文官の顛末を語る史料は残されていない。
いずれにせよ、その慈母のような笑顔の裏にある黒い逡巡を、生涯彼は知ることはなかった……。