確率の見える世界 〜あの子とエッチできる確率は○○%!?〜 作:tomoki/名和朋樹
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【2023年6月26日】
「はいっあーん♡」
目の前の巨乳美少女の持つ箸に挟まっているたこさんウインナーが口に近づいてくる。
それをパクっと一口で食べると、肉汁が口の中に広がってくる。
「うん!おいしっ」
「今度はあつし君があーんして♡」
上目遣いでお口を開けてそうおねだりしてくる千春ちゃんは、完全に甘えん坊モードに入っている。
今ならキスしてって言っても受け入れてくれるんじゃ無いかなって思うくらいに。
そんな2人の間に漂う甘々ムードを邪魔しようと、怒号が飛んでくる。
「おにいちゃん!なんでこの女にはそんなに甘いのっ!私はおにいちゃんの妹なんだよ!私にもあーんしてよ!!」
勿論茶々を入れてくる女の子は妹のまりなである。
千春ちゃんと二人であえて注目を惹くようなことをしているとは言え、その大きな声で学食中の人の冷たい視線が集まってくるのが居心地悪くて嫌だからやめていただきたい。
「まっとりあえず落ち着いて。そもそも俺はメロンパンしか持ってないから出来ねぇぞ」
俺の手には先に購買部で買っておいた高校名物のメロンパンが握られている。
今日はチョコチップ付きだ。
まぁこれでひとまず争いが止まるだろうなと思っていたのだが、恋する女はそんな簡単には止まらない。
「じゃあ私の弁当のウインナーをあーんして♡」
「はいこの箸使って」と言いながら千春ちゃんはこの場の雰囲気を何も気にすることなくおねだりしてきた。
まぁ千春ちゃんはちゃんと目的を持ってやってるから正解といえば正解だけれども、自分の弁当をあーんされるとかよくわからんし、あなたさっき普通に自分で食べてたじゃないっすか……。
「おい!なんでおにいちゃんはそんなに簡単にこいつに餌付けされてるの!」
まりなが目を吊り上げて少し怒りながらそう言う。
ついでのようにテーブル越しに腕をつねるな痛いなぁぁ。
「いや別に餌付けなんてされてないから……」
「そうですよ、まりなさん。私たちは健全にお付き合いしてるのですから。2人の時間の邪魔をしないでいただけますか?」
「おにいちゃん!この女なんなのっ!彼女気取りもいい加減にしてよっ!重い女はおにいちゃん嫌いだから!!」
「あつし君……私ってそんなに重いかな」
まりなは目をかっぴらいて、千春ちゃんは目に涙を浮かべながら訴えかけてくる。
こんなめちゃくちゃな状況ではあるが、実はある女の子へのカップルアピール中なのであった。
時間は週明けのだるすぎる午前中に遡る。
4時間も嫌いな授業を乗り越えた先に来た大切な大切な昼休み。
「あつし君。今日も一緒にご飯食べませんか?」
千春ちゃんは俺と同じクラスであるという利点を存分に発揮して、授業終了後10秒で俺の昼休みの予定が埋まった。
美少女と陰キャの突然の会話を見ていたクラスメイトによって、勿論教室は阿鼻叫喚の嵐。
教室中から小声が聞こえてくる。
「やっぱ付き合ってるだろあの2人」
「俺、前の時から思ってたんだけどあの2人ってなんかお似合いだよな」
「え?俺もう付き合ってんのかと思ってたんだけど」
「あの二人ってほんとに付き合ってんのかな」
「付き合われる前に俺ちはるちゃんに告ってみようかな」
「やめとけ。お前なんか相手にされないぞ」
俺はあんまり目立つのは好きではないのでクラスのバカたちは放っておく。
そしてその千春ちゃんの誘いにOKを出したのだが、そこにもう一人の問題児が現れたことでこの問題が複雑化していった。
「おにいちゃんっ!一緒にご飯食べよっ……って千春ちゃんがなんでいるの?」
「私はあつし君の彼女ですから。一緒にご飯食べるのは当然ですよね」
千春ちゃんはまるで挑発するかのようにまりなにそう言う。
挑発の為に言ったはずの言葉がクラス中に何度目かのうねりを巻き起こす。
「彼女って今言ったよ!」
「ほらやっぱ付き合ってんじゃん」
「あんなに恋には興味無さそうだったのに。恋に落ちるのはやっぱ一瞬かぁ」
「なになに、そんな経験あったりするの?聞かせてよ~」
彼女という言葉の響きに今度は女子たちの黄色い声が上がってくる。
そのうなりの中で俺は一つ首を傾げていた。
そしてこの状況を気に入らない女の子が一人だけ。
「は?何なのこの女……」
まりなが手を机にバンと叩きつけ、怒りを顕にしてそう言った。
そんな鬼の形相のまりなを見て、急な修羅場が来たのか?と周りのクラスメイト達も少し焦っているように見える。
「おいおいあいつらやばいぞ……」
「あぁ、今暴れられたら俺らにも被害が及ぶんじゃねーか」
「どうするんだよこれ!あつし!お前のせいだぞ」
「おい、あつし!早くなんとかしてこいよっ!」
クラスメイト達から無言の圧がかかる。
「ねぇおにいちゃん?私じゃダメなの?」
そんな圧力をものともせずに、まりなは俺との距離をギュッと詰めて上目遣いでそう言ってきた。
「いや、ダメもなにも俺とまりなって別にそういう関係じゃないし、兄妹じゃん」
俺としては事実の確認というか、とりあえずの認識で言ったつもりだったのだが、その一言でまりなはさらに機嫌が悪くなった。
「は?別に兄妹2人で居ても良くない?やっぱりあの女邪魔。おにいちゃん、一緒にご飯たべよ?」
そう言って俺の手を引っ張るまりな。
「ちょっとあつし君!私は彼女ですよね?私と一緒に食べますよね」
千春ちゃんも負けじと反対側の手を引っ張ってくる。
このままだと腕がちぎれてしまいそうなのでどうにかしなければ。
「わかったわかった3人で食べようか。ね、いいでしょこれで。とりあえずみんなの視線集めてるから静かにしようか」
俺がそう言うと、周りの冷たい視線(と一部界隈からの熱い視線)に気づいて冷静になったのか、とりあえずこの争いは一旦の終結を迎えた。
そして3人で教室ではなく学食に向かう。
購買部でメロンパンを買ってある俺と、家から母親お手製の弁当を持ってきている千春ちゃんと、いつもなら学食行ってるまりなの3人で食べるとしたら、学食に弁当を持ち込んで食べるしか選択肢がなかった。
移動途中の廊下で千春ちゃんに肩を軽く叩かれた。
なんだろうかと横を見ると「耳貸してください」と柔らかい声で言われた。
俺は少し腰を曲げて耳を近づけてみる。
すると千春ちゃんは重要なことを話して来た。
「あつし君。ゆうり先輩は学食にいるはずですよ。早速私たちのカップル姿見せつけちゃいましょう」
おっと千春ちゃんとの2人でカップルする上での大切な目的を忘れるところだった。
それは昨日の話。
俺の『サーチ』能力復活を早めるために、手っ取り早く堕とせそうな女の子がいないかと聞いた時に、千春ちゃんから教えてもらったのが吹部のゆうり先輩だった。
そして話を聞けば、ゆうり先輩はリア充を喰う寝取り趣味のある先輩とのこと。
なんとも悪趣味で世の中のカップルの天敵とも言える女の子であるが、ヤレれば問題ない俺の立場的にはなかなかちょうどいい性癖である。
ならその女の子を堕とさない選択肢はないわけで。
そのためにまずカップル感を千春ちゃんと出そうということになった。
そうすれば、リア充を確実に狙ってくるゆうり先輩は自動的に俺のもとに寝取りに来るだろうという予測が立つ。
向こうから狙って来てくれるのなら俺としてもかなり助かるし、千春ちゃんも俺とはラブラブしたいとのことでウィンウィンの関係なのは間違いなかった。
そんな俺らの作戦を早速実行して、ゆうり先輩にカップル感を見せつけるチャンスが来たということになるな。
なるんだけど……さっき自分の想定とは全く違う問題が起こっていて。
「それは良いんだけどさ、さっきクラスメイトの前で彼女って言ったよね?彼女って明言はしないって約束じゃなかった?あくまで付き合ってる雰囲気だけだそうよって話だったよね?」
「それはたまたまの事故ですよ。でも、これでクラスのみんなには私たちカップルなんだって思われちゃいますね」
にやにやしながらこっちを見てくる千春ちゃんを見るに、絶対わざとやったんだろう。
女ってやつはなんでこんなに強かなんだろうねぇ。
こればっかりは一本取られてしまったようだ。
これで既成事実を作られてしまったのが、俺としてはさらに他の女の子を攻める時に動きにくくなってしまうことだけが懸念点だった。
まぁそもそも論、カップル感出してる時点でもう一緒かと開き直る自分もいるにはいるのだが。
「まぁ仕方ないか。これですぐに別れたとかなってもめんどくさいし、彼氏彼女しようか」
「あつしっ」
「どうしたんだよ。急に呼び捨てにしてくるなんて珍しいじゃん」
「えへっ。私彼女だから呼び捨てにしてみようと思って」
「仮のだからな」
「別にそれでもいいですもん」
急にテンションが上がりるんるんで歩いて行く千春ちゃんの後ろ姿を見ながら首を傾げる。
そんなこんなで遠く離れた学食についた。
俺らの教室からは2分くらいも歩いてかかってしまうから、基本俺は行きたくない。
今日は特別中の特別中のイレギュラーだ。
着いたと同時にまりなと千春ちゃんは学食の中をきょろきょろと見渡している。
「あっ!あそこに空いてるテーブルあるっ。おにいちゃん……と千春ちゃん行きましょう」
無事に席を確保した後、今は俺と千春ちゃん2人で座っていた。
ちなみにまりなは自分の昼ご飯を確保しようと学食の長蛇の列に並びに行っている。
まりなには今回のゆうり先輩を堕とす作戦は共有してないので、今のうちに作戦会議をしておきたいところだ。
「なぁ、ゆうり先輩どこかにいるのか?」
「さっき入口で探して……あ、あそこにいますよ。ほら、あそこのテーブルです」
千春ちゃんが指さした先を見ると、女の子4人できゃぴきゃぴしながら食事をしているグループがあった。
「あの、4人グループだよな。4人のうちどの女の子がゆうり先輩なんだ?」
「真ん中の右から2番目にいる子です。髪の毛がちょっと茶色がかってて髪型はショートボブって感じです」
俺は千春ちゃんの言う特徴の女性をじーっと見つめてみると、何かに気づいたのかその女の人が急にこっちの方を向いてきた。
そして俺と目が合うと、一瞬驚いた顔をした後にすぐににこやかな顔に戻る。
「どうかしましたか?」
千春ちゃんが俺にそう聞いてくるが、俺はなんでもないと答えて視線を戻す。
ゆうり先輩がこっちを見た気がしたけど気のせいだったかな?
まさかもう何かに感づかれたのか?
もし気づかれていたとすれば俺のことをアピールするチャンスだなと思い、俺は千春ちゃんにお願いをする。
「なぁ千春ちゃん。今からカップル感を思いっきり出そう。さりげなくゆうり先輩に届くようにアピールしてくれないか」
「え?アピールって具体的に何をすればいいですか?」
「そうだな。とりあえず俺とキスしてるところを見せつけて、その後は千春ちゃんが俺に対してめっちゃラブラブなのを見せればいいんじゃないか?」
その一言で千春ちゃんは顔を茹でタコのように真っ赤にする。
「えっ……ここでですか?む、むりです……。」
突然の提案に耳まで真っ赤にした千春ちゃんはとてもかわいくて、エッチとかしたりもしてるけど純情なところはまだまだ残ってるんだなと一つ安心した。
「ごめんごめん。冗談冗談だから」
俺がそう言うとさらに顔を赤くして俯く千春ちゃん。
「もうっ……。恥ずかしい……」
「じゃあ、もうちょっと簡単なやつであーんとかする?」
となって上の展開に至るのだが、本当にこれでアピールになってるのか?
ただの痴話げんかしてるだけのようにも見えるんだけど……。
「ちはる~。学食に来るなんて珍しいじゃん!どうしたん?」
俺たちの騒がしい雰囲気を一蹴したのは、さっきまで向こうにいたはずの茶色がかったショートボブの女の子だった。
千春ちゃんほどでもないがそれなりに大きい胸と、身長が150cm後半ぐらいでスラっとしたモデルのような体型。
高校生とは思えないほどの大人の色気が出ているように見える。
どこかでスカウトされたとか言われても違和感は全くないな。
「あ、ゆうり先輩!ちょっと友達とご飯食べてまして」
千春ちゃんがゆうり先輩と呼ぶということは間違いなくこの人がそうなのか。
千春ちゃんとアイコンタクトを交わしてそのことに確信を持つ。
「ふーん……ちはるの彼氏さん?」
「あ。紫門あつしといいます」
「君かっこいいじゃん。よろしくねっ」
勢いよく両手を握ってきてそう言ったかと思えば、腰を折り曲げて座ってる俺の顔に顔を近づけてくる。
まじまじと見つめられて目線を下に外すと、制服が少し浮いて空いた胸元がばっちりと見えた。
突然の出来事にゆうり先輩の方を見ると、ウインクをしてきた。
もう俺のこと完全にねらってきてるじゃないか。
これは高校生男子には刺激が強すぎる。
ただ少し性欲に負けた俺はもう一度ゆうり先輩の胸に目線を合わせてしまった。
そんな俺のことを笑いながら見ていたゆうり先輩は、顔を耳元に近づけて、
「ふふ。かわいいね君」
そう囁かれた。
肩にはおっぱいと思しき柔らかい感触もあった。
うわっこれやべぇ……。マジえっろ……。
そのあと少しお話をした後にゆうり先輩は手を振りながら元の席に戻っていった。
そんな様子を確認してから、小さい声で千春ちゃんが話かけてきた。
「ゆうり先輩どうでしたか?」
「明らかにわざと胸元見せてきてたし、ボディタッチもものすごく多い。これは間違いなく高校生男子レベルなら堕ちるわ。あれは魔性の女だよ」
「でもこれでいいんですよね」
「あぁぁ……。『サーチ』能力がこっちにはあるし、向こうの思う通りにはさせないよ。俺のために使わせてもらおうかな」
そんなひそひそ話をしている2人に対し、まりなはずっと睨みつけていたのだった。