確率の見える世界 〜あの子とエッチできる確率は○○%!?〜 作:tomoki/名和朋樹
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【2023年6月26日】
「はいはい。何の用事?」
俺は明らかにおかしなタイミングでかかってきた電話にだるそうに答える。
そもそも学校にはスマホ持ち込み禁止なんだけどな。
時代の流れか、先生たちがいちいち注意するのがめんどくさいだけなのか、もうそのルールは形骸化してるけど。
『ねっおにいちゃんちょっと来てよ。緊急の用事!』
耳に当てたスマホのスピーカーからは、叫んだかのように大きなまりなの声が聞こえてきた。
絶対家で会うんだからその時に直接言ってくれればいいのに、わざわざ今電話してくるなんておかしすぎる。
基本的にろくでもないことを企んでいそうなのはなんとなく理解した。
「来てってどこに?」
『写真部の部室!早く来てね!』
「わかったけど、何するかだけでも教えてくれよ。俺は写真部でもないんだし」
『まぁまぁ良いから良いから。来てね!』
>ツゥーー ツゥーー ツゥーー
言いたいことだけ言って電話を切るような妹の、勝手なわがままになんで俺が付き合わないといけないんだよ……。
しかも校舎の端っこのこのトイレから、写真部の部室は直線距離がめちゃくちゃ遠い上に4階にあって階段を上らないといけないんですけど。
「おにいちゃん遅かったじゃん。待ちくたびれちゃったよ」
これでも結構急いだ方なんだけどな……。
ついさっきまで千春ちゃんとエッチをして半賢者タイムだったのに、こんな運動させるなよな。
「はぁ……。結構遠くにいたからね……。で、なんで俺をここに呼んだんだよ。家でいいじゃねーかよ。わざわざここに呼ぶ必要なかっただろ」
「ここじゃないとだめなの!」
「ここじゃないといけないことはないだろ」
「おにいちゃんとこの部室でエッチしたいの。家じゃなくて学校で。だめ?」
はい?今あなたなんとおっしゃいましたか?
「だから~エッチしよっ!しよってば〜」
まりなは入口の近くに立っている俺に向かって抱きついてきた。
こういうときにだけ、甘えたような声を出しておねだりしてくる。
てか、にやにやしながら抱きついてくる我が妹はここが学校なのをちゃんとわかっているのだろうか?
もしエッチしていたとして、その瞬間に部室に誰か来たら俺もお前も退学待ったなしだぞ。
「あのな。ここは学校なんだから駄目に決まってるだろ。家でならまりなのやりたいことしてあげれるからね」
「いやだ。それにおにいちゃん、千春ちゃんとさっきまでトイレでエッチしてたんでしょ。自分はヤッておきながら、まりなにはダメって言うんだ~~。それってダブルスタンダードって言うんだよおにいちゃん」
的確に痛いところ突いてきやがったなこいつ……。
俺は良くてまりながだめという理由は皆無なわけで。
ってかおかしくないか?
なんで千春ちゃんとついさっきまでヤッてたのがバレてるんだよ。
『千春ちゃんとのエッチがバレる確率』は―0%―にちゃんとしていたはずなのに、まりなにはバレてるというおかしな状態に動揺が止まらない。
「なんでそれ知ってんだよ!」
「さっきここの部室にラプちゃんが来てね、おにいちゃんと千春ちゃんがエッチしてたことを教えてもらったの」
「あのクソ悪魔の野郎」
情報源はラプちゃんだったのかよ。
あいつ余計な置き土産をしていきやがって。
「しかもなんでかラプちゃん、うちの学校の制服つけててびっくりしたんだよなぁ」
そんな妹の言葉に疑問符が浮かんでくる。
うちの学校の制服ってどういうこと?
まさか俺の呼び出しに応えてトイレに来てくれた後、そのまま俺をおちょくるためか人間姿でそのまま部室来たってことなのか?
「おいもしかして、ラプちゃんの擬人化見れたってこと?」
「そうだよ〜」
まりなはあまりに軽く流しているのだが、悪魔が擬人化していることには違和感を持ってほしいんだけれど。
「あいつの擬人化姿はどんな感じだった?」
「え〜身長はまりなとおんなじくらいで~、顔は結構かわいかったよ。あとおっぱいが異常に大きかったって感じかなぁ。ボヨンボヨンすぎて手が埋もれていくんだよね」
まりなが両手を胸の前に、手のひらを上向きにおいてサイズ感をアピールしてくる。
そのサイズ感が本当なら、まりなの胸どころか千春ちゃんの胸とも比べ物にはならない巨乳っぷりである。
そのサイズはメロンだろ。
JカップかKカップくらい????
無意識のうちに、俺も手を身体の前に置いておっぱいの大きさの想像をしてしまっていた。
そんな様子を見ていたまりなは一言冷たいような声で。
「おにいちゃんってやっぱ巨乳好き?千春ちゃんもFかGカップくらいありそうだし、さやかちゃんも中3の時に一気におっぱい大きくなってたもんなぁ。私のおっぱい小さいからおにいちゃん嫌いだもんね」
千春ちゃんのおっぱいはまぁノーコメントで、さやかのことはまな板もまな板な時から好きだっちゃうの。
それにラプちゃんクラスまで行くとそれは逆に引くし、俺は根本的に巨乳が好きと言う訳ではない。
多分……。
「別に俺はそんなこと言ってないぞ。ちゃんとまりなにはまりなの良さがあるんだから」
「ふ~ん。まぁ今は許してあげる。でもやっぱさ、千春ちゃんと学校でエッチとかよくないと思うんだよね〜」
「そのよくない行為を俺に今ねだってるの気づいてないんか?」
さっきは俺に苦言を呈していたくせに、圧倒的ダブルスタンダードをかます妹に少し呆れつつ、これは学校でしてあげないとずっとうるさいパターンだなと若干諦めも覚えている。
とは言ってもさ、エッチするのは家でよくない?ベッドの上の方が色々やりやすいでしょ絶対。
「それはそれ。これはこれ。毎回千春ちゃんばっかだし、昼休みの時も千春ちゃんとばっかいちゃいちゃしてるし。色々あるのはわかってるけど、やっぱ許せないの!私のことを一番見てほしいの!」
「いやいやちゃんとまりなのこと可愛がってるでしょ。毎日エッチもしてるじゃんか」
「もっとしてほしいの!それに千春ちゃんだけ学校でしててずるい」
「そうかもしれないけど、わざわざ学校でする必要はないでしょ?家でならベッドとかあっていちゃいちゃしやすいしさ」
「えーー。千春ちゃんがしてるんだから、まりなにもしてよ〜。おにいちゃん好きでしょ?学校でするの」
「いやね、学校でするのは確かに興奮するけど、それにはリスクもあるんだからね。さっきは『エッチがバレる確率』を―0%―にしてたから大丈夫だったけど、これ1日1回しか使えないから」
確かに学校でするプレイは興奮するけど、バレる確率を踏まえた上やりたいかと言われればそうでもないんだよなぁ……。
―0%―だからこそできるし、さっきラプちゃんを乱入させたときに少しでもバレる確率があったら心配の方が勝っちゃいそうだなって思ってしまった。
ということで、今の自分はどうやって妹を説得するかを考えることにした。
「ここならそもそもバレないから!確率操作しなくても大丈夫だから!」
「いやいや他の部員とか来ることあるでしょ。いくらいつもサボりまくってるとはいえさ」
写真部は基本的に学校行事の前後に活動するため、何もない今みたいなタイミングだとたまり場のようになっているらしい。
だから自由に使っていいとはいえ、他の部員が来ない保証などどこにもないのだ。
「じゃあバレる確率見てみてよ!絶対0%だから!」
「はぁ。まぁわかったわかった。『この部屋に今日他の人が来る確率』な。ちょっと待てよ」
「100%ってほんと!?おにいちゃんとエッチできない!!」
俺たちの目の前に現れた数字は、まさかの―100%―。
「いやいやよかったじゃん。これでバレるリスクも判明したところだし、今日は素直に家でやろうね。まりなもそれでいい?」
「んん~~。しょうがないなぁぁ。次はヤッてよね」
口をとんがらせて不満そうにしてはいるが、納得はしてくれたようだ。
俺としても変なリスクを背負う必要が無くなったので非常に助かった。
次があるのは嫌なんだけれどもね。
「にしても―100%―が表示されるって珍しいな」
もしこの部室に誰かが来る用事があったとしても、何かの拍子に来れなくなる場合ももちろんある。
そういうことを考えた時に、表示されたのが99%ならまだしも100%って言うのが違和感しかないんだよな。
「おいまさかもうだれかここにいるっていうパターンあるんじゃないだろうな」
もし今の会話が誰かに聞かれていたのなら……。
これはまずすぎるぞ……。
俺が不吉な想像をしてしまっていたその時、後ろのドアから物音が聞こえてきたような気がした。
最悪のパターンが頭をよぎった俺が、そのドアを思い切り開くと――――。
「あ……。どうも……」
「あやねちゃん!今日は来ないんじゃなかったの?」
「あの……忘れ物を取りに来ただけなんですけど……お邪魔でしたね……」
今の状況が全く呑み込めていないのか、部室の入り口近くに立ち尽くしているその女の子――――あやねちゃんは相当気まずそうにしていた。
とりあえずあそこに立たれたままだと迷惑なので、部室に招き入れた後、俺たちは自己紹介をしあった。
髪の毛は胸当たりくらいまで伸ばした黒髪ロング。
笑顔が素敵なあやねちゃんは、まりなと同じクラスの高校1年生だったみたいで、クラスでは結構仲がいいみたいだった。
現に今もまりなと抱きつき合ってる。
可愛い女の子のハグ、尊い。
「なんだー。まりなちゃんのおにいさんだったんだねー。怖い人かと思っちゃった」
怖い人とか散々な言われっぷりだけれども、確かによくよく考えてみたら、明らか部外者の俺が急にドアを開けたらびっくりするに決まってるわ。
「おにいちゃん怖い人だって(笑)。確かに真顔の時多いし怖い怖い」
「俺そんなに怖く見える?」
「ちょっとね。まぁでもかっこいいよ。おにいちゃん」
「おっおぉぉう……」
まりなのやつ弄ってるだろ絶対。
でも彩音ちゃんが笑っているのが見れて、こっちまで笑顔になる。
なんか周りを照らすようなそんな明るさを持つ女の子だった。
「でもあやねちゃんはおにいちゃん大丈夫なの?男の人苦手なんでしょ?」
「扉が急に開いた時は拒否反応出てたけどー、まりなちゃんのおにいさんなら安全でしょー。大丈夫大丈夫!」
いつの間にか俺はまりなの兄というだけで無害判定されていたようだ。
「それに最近付き合い始めたんですよね!私のクラスでも噂になってましたよ!お相手は……えーっとなんて名前だったけ?」
「千春ちゃんよ。あの巨乳女の名前」
まりなは露骨に不機嫌になってるのをみて、手を上下させて落ち着けとジェスチャーしておく。
それにしても他のクラスにまで付き合ってる(ということになっている)ことが知られてるとなると相当広まってるなこれ。
恋の話は千里をも走るってことなのか?
「まりなちゃんのおにいさんって付き合い始めたのって最近なんですよね。どうやって仲良くなったんですか?」
「それはね――――
細かいところはぼかしておいて、慰めてたら仲良くなったみたいな話をしておいた。
流石に言えないことが多すぎるし、初手エッチしてましたなんて口が裂けても言えねーよ。
ちなみにまりなはこの話をしている間、ずっとにらんできていた。
困った妹だ。
それと同時に俺と千春ちゃんが付き合ってると思っているのであれば、さっきのまりなとの会話は絶対聞かれてはならないってことになるんだけど大丈夫だったんだろうか。
「あやねちゃんはさっきの俺たちの会話をどこまで聞いていたんだ?」
変に思い出させないようにスルーすべきなのだろうけれども、さすがに心配が勝ってしまって思わず聞いてしまった。
「会話?会話なんてなんも聞いてないよー。私がちょうど忘れ物を取りに戻ろうと思って部室についた時に急に扉が開いたんだよねー」
良かった良かった。兄弟ではしてはいけない会話をしていたからな。
これが聞かれてたら大問題まっしぐらだったよ。
「あーっ、なんかやましい会話してたんだー何話してたの?私にも聞かせてよー」
「いやいやただの世間話だからね。それより忘れ物はちゃんと見つかったのか?」
「ここにあるよー。家の鍵。昼休みの時に置いて行ったみたいでさー」
これ以上まりなとの会話を掘り下げられても困るので強引に話題を変えると、あやねちゃんは何種類かの鍵がついたリングを取り出して見せてくれた。
おそらく家の鍵とか自転車の鍵とか。確かにこれはないと大変だな。
そしてそこには黄色く塗装されたイルカのキーホルダーもついていた。
すかさず気になったまりなが絡んでいく。
「そのイルカのキーホルダー可愛い~~。見せて見せて~」
「いいよー。結構かわいいでしょ」
「めっちゃかわいい!でもあやねちゃんって生き物とかに興味あったっけ?」
「ぜんぜーん。全く興味ないんだけどさ、彼氏が水族館に行った時に買ってくれたの。色違いでお揃いなんだー」
彼氏……。いたのかよ。
まぁ普通にかわいいし、作ろうと思えば作れるって感じなんだろうけど。
「え!あやねちゃん彼氏いたの!」
お前も知らなかったんかい。
同じ部活の同級生なんだったら恋バナの一つくらいしときなさいよ。
「まぁーね。でももう別れそうかも。うちの彼氏さ一つ上なんだけど、高校別々で会う頻度も減ってきてるしさ、それになんか身体目当てなのかなぁって思うところもあってさー。ひどいんだよ。この前なんて家デートって言って家着いたら早々に身体触ってくるから叩いて出て行っちゃった。私がそういうの苦手なの知ってるくせにさー」
うーわ生々しい。
それに彩音ちゃんはおそらくエッチな事とかには拒否反応が強いタイプの女の子なんだ。
そういう子と、一つ上だから高2の思春期真っ盛りの性欲強い男はそりゃ合わないだろうなぁ。
千春ちゃんみたいに、ちょっと好奇心があって気になるみたいな感じなら、また話は違うんだろうけど。
「最近付き合ったおにいさんはどうなのー?千春ちゃん……で合ってる?その子とそういうことしたりするのー?」
「えっと……」
うわ答えにくぅぅ
毎日してるし、何ならさっきまでやってたし。
でもこういうことを言うとこのタイプからは引かれるだろうなぁ。
「おにいちゃんと千春ちゃんなら、今日もさっ――――んぐんぐぅぅぅ」
「そうだね~。千春ちゃんとは時々するかな。でもちゃんとお互いがしたいと思っていた時だけだけどね」
馬鹿正直に本当のことを言おうとしてきやがった妹の口を物理的に噤ませた後、完全でまかせ
「俺が言うのも何なんだけど、ちゃんと嫌な時は断るべきだと思うよ。それに恋って言うのは身体の関係だけじゃないんだからさ。身体ばっか求めてくる彼氏なんて別れてしまいなよ。もっといい男見つかるよ」
と身体の関係ばっか持っている俺が申しております。
よくもまぁこういう口から適当な言葉出てくるもんだとびっくりするな。
「はぁ?おにいちゃんと千春ちゃんなんてから――――んぐんぐぅぅぅ」
こいつはなんで俺が良いことを言ったところで邪魔をしてくるのかなぁ。
千春ちゃんに嫉妬しているのか、彼女が絡み始めるとすぐこうなるんだから。
「でも……長い付き合いで別れるなんて気まずいんですよね……」
「まぁまぁそこらへんはちゃんと話してみたら?俺でよかったら相談乗るよ!」
「何おにいちゃんにやにやしてんの?彩音ちゃんまで狙うつもり?」
歩きながらジト目でこっちを見てくるまりな。
「まぁ展開によっては。でも今はとりあえずスルーだな。それに他人から寝取る趣味はない」
帰り際に彩音ちゃんに対して、念のために『今後身体の関係を持つことができる確率』を見ておいたところ―36%―と出ていた。
なぜこんなに高いのかははっきり言ってよくわからなかったのだが、アタックすれば普通の女の子よりは落せるってことなんだろうな。
でも普通彼氏いるのにそうはならんくない?別れるフラグ?
こっちは要経過観測ということで。今はゆうり先輩の方が優先ではあるな。
「でもおにいちゃんと彩音ちゃんがエッチするようになるなんてことがあったらなんか嫌だなぁ。友達と兄のエッチ、想像するだけでうわ~~~」
「まぁそういう展開になってしまったら、その時はしょうがないだろ」
「じゃあ、今度こそ学校でエッチしてくれるなら仕方なく見逃してあげることにするね。おにいちゃん」
「しょうがないから次はしてあげるよ、まりな」