確率の見える世界 〜あの子とエッチできる確率は○○%!?〜 作:tomoki/名和朋樹
【2023年6月20日】
「おーい。いつになく眠そうだなあつし」
友達の一人が少し不安そうにこちらを覗き込んでくる。
「まぁ、昨日色々あってだな……。ちょっと寝れなくてさ」
「確かにクマができてるな。ちゃんと寝ろよ」
「ああ。次の授業でも寝ることにするよ」
「おいおい、さぼり宣言か? 俺は家で寝ろってつもりだったんだがな。しかも、次ってクソ老害先公の古典じゃねーか。当てられた時に寝てたやつガチギレされて呼び出し喰らってたの見てただろ。さすがにやべぇって」
「大丈夫、大丈夫だって。逆に言えば当てられなかったやつは寝てても怒られてないしな。当てられる確率がわかってたら勝負できるだろ」
「何言ってんだこいつ。秒針が指してる数字と一緒の出席番号に当ててるんだからランダムだろ。何人当たるかもわからないわけだし。まぁ寝るなら当てられないことを祈っとくよ」
あの激動の深夜から一夜明け、今は学校に来ている。
俺も妹もちゃんとした高校1年生であるから何食わぬ顔で登校はしている。
ちなみに俺たちは同じ高校だ。
兄弟そろってそこそこ勉強はできているため、公立高校の中では一番のところに入ることができたのだった。
妹は成績上位で、俺はぎりぎりでだが。
あの昨日の出来事は正直夢じゃないかと思ってしまう。
謎の悪魔が出現して、確率が見えるようになり、そしてそのまま妹と成り行きでSEXした。
はっきり言って意味が分からないのだが……。
少なくともこれらはすべて事実のようだった。
妹はちょっと疎遠気味だったのがウソのように、距離感が圧倒的に近くなり手組んで登校しない?とまで言われた。
兄妹でそれはギルティー過ぎる。
誰かに見られたらどう言い訳すりゃいいんだよ。
ただ、こんな風におかしな関係になっていることが昨日の行為の裏付けと化している。
さらに、もう一つこれを裏付けているのが今朝見た確率――――。
―7%―
これは、『妹が昨日の行為で妊娠する確率』だ。
そもそも、昨日の行為がなければ0%になることは容易にわかるので夢ではなさそうだ。
それよりも、この7%っていう数字がなかなかリスクをはらんでいるな……。
15の妹を双子の兄が孕ませたとかなると家族会議まっしくらだ。
いくら、双子2人で親元離れて生活しているとはいえ隠し通すのには無理がある。
産ませるのはもってのほかとして、もし堕ろすとなったとしても、未成年者ということで親を通さないといけないだろう。
てか、そもそも命を弄ぶような真似は正直したくないっていうのはある。
考えるだけでも嫌になる。
俺にだって常識はある。
とりあえずはこの7%は外れることを祈っとくか……。
それと今朝、例の悪魔から
≪今日はボーナスとして能力を無制限に使っていいことにするよ☆ 明日からは制限付くから今のうちだよ☆≫
と言われてしまった。
この能力実は発動回数に制限があることが分かった。
悪魔の話しぶり的に1日当たり何回って感じなんだろうが、せっかく使えるこの能力の使用回数に限界があるのは困るな……。
確かに無制限なら普通に神にでもなれそうだから仕方ないか……。
まぁ、そんなこと言っても今日は無制限に使えるわけで朝から使いまくっていた。
思ったほど有益な使い方はできなかったが、代わりに悪魔から授けられたこの確率が見える能力にも制約があることがわかってきた。
まず、この能力の対象とするには実物が視界に入ることが条件だった。
例えば、俺の登校中にすれ違う人に対し、『あなたに一か月以内に恋人ができる確率は?』とすると全員の頭の上にデジタル数字が表示された。
その数字は0から100まで様々だったが、全員に表示されたことで、俺と直接面識のない人でも発動することが分かった。
あと、100って表示されたそこの美人は爆ぜろ。
逆に、テレビの中のアナウンサーに発動しても変化はなかった。
あと、鏡に映ってる妹やスマホに保存されていた写真に写る友達とかにも発動したがうまくいかなかった。
使えたら世界中の有名人の秘密を握れたかもしれないのにな。
ちょっと残念。
次に過去の事柄には使えなかった。
『1か月以内に恋人が
そもそも確率として成り立ってるのかも疑問だが、とりあえず使えなさそうなのを確認した。
最後に、確定している事実はオレンジで表示されるようだ。
制服を着ている妹に対し『妹が今服を着ている確率』を発動するとオレンジの100%が出た。
これは確定していて100以外になりようがない。
あと、試しに『今俺が告ったらOKしてくれる確率』で、校内の女子をローラーしてみたところ1桁のオンパレードだったのはなかなか心に来たし、俺の通ってる学校にはめちゃくちゃ有名な2年の超絶バカップルがいるんだが、その彼女の方の頭の上には大きくオレンジ色の0が表示されていたのがはちゃめちゃイラついた。
俺にはどうやっても靡かないってか?
お前らも爆ぜろ。
「おい。紫門!!! 起きろ!!! お前居眠りしてただろ。昼休み職員室に来い」
眠い目を擦りながら見上げた先には古典の老害先公が、鬼の形相で立っていた。
あ。これやばいか????
俺が授業始まるときに『老害が授業中俺に当てる確率』が4%だったの確認してたのに……。
25回に1回でも当たるときは当たるのだ。パワプロのケガ率かよ。
おい、そこの悪魔。笑ってんじゃねーよ。
学校では姿見せて無かったけど居るんだな。
抑えきれてない笑い声が誰もいないはずの俺の頭上から聞こえてるぞ。
「お兄ちゃん!! 今日もしよ!!」
「あのな、毎日兄妹でする奴がどこにいるんだ。昨日は気の迷いってことにしてくれよ」
家に帰ってきてから、いつも通り妹の作ってくれた晩御飯をかき込みながらテレビのバラエティーを見るという、なかなか平穏な日々を過ごしていた。
はずだったんだけど、どうしても妹の顔を見ることができない。
俺の脳味噌は、妹を『妹』というタグではなく『女』というタグで認識してしまうように壊れてしまったみたいだ。
正直考え無いようにはしていたが、着ているTシャツのわずかなふくらみ、腰のくびれ、短パンからのぞかせる生脚など……。
意識をし始めると興奮を引き起こすトリガーがそこら中にあったことに気づき、さらなる悩みを引き起こしている。
そしてふとした瞬間に昨日の行為を思い出し、15年一緒に過ごしてきた中で聞いたこともなかった妹の甘美な音がリフレインしてくる。
あの可愛くて大切な庇護すべき対象が、淫らに喘ぐ。
そのギャップがさらに俺の思考を揺るがせる。
そこでさらなる追い打ちをかけてきたのがこの妹の発言。
俺だって性欲はそれなりにあって毎日一人でやってるくらいなんだから、その言葉に流されたい気持ちはもちろんある。
もし、彼女なら絶対即押し倒してる。
ただ、妹だからなぁ。
もう一回やってるとはいえ、さすがに……。
「と、とりあえず、ちょっと待ってくれ。一回風呂入ってくる」
考えをまとめようと一旦お風呂場に逃げることにした。
おい。くそ悪魔、居るんだろ出て来いよ。
どうせ、俺から見えないようにもできるんだろ。
≪さっすがぁぁぁ☆≫
星がキラキラと包み込むようなエフェクトと共に俺の目の前にサキュバスのような悪魔が再登場した。
無駄にそこを豪華にするな。
あと、角の形が昨日とちょっと違うぞ。
まさか?付け替えられんのかそれ?
自前じゃなくてつくりもんだったんか???
≪よくわかったね私がずっといるって≫
お前はさすがにいるだろ。
あんな意味の分からないことしまくった挙句、はいさようならってなるわけねぇだろ。
学校にもいたっぽいし。
それより呼び出したのはそれだけじゃない。
聞きたいことがある。
これどこまでが悪魔のシナリオなんだ?
少なくとも何かしら意図をもって俺に接触したはずだ。違うか?
≪せいか~い☆ じゃあ、少しだけ教えてあげる。まず、妹と近親エッチした話からっ☆≫
近親とか言うな。
いや、事実だけど一応俺にはもともとそういう性癖はないからまだ罪悪感があるんだ。
≪あっそ~。それで近親相姦した話だけど~、まずは昨日盛大に中出ししたね☆ それも2回っ☆≫
そんなキラキラした目でドロドロしたようなこと言うのやめてくれ……。
そこが一番罪悪感あるんだから。
やっぱ悪魔じゃん。
まぁ、事実だけど。
≪この能力は中出しに大きく結びついてるの。だから、まずは君に誰でもいいから中出ししてほしかったんだぁ~。妹さんがターゲットになったのはたまたまってこと≫
要するに、俺に中出しさせる相手に手っ取り早い相手が俺の妹だったってことなのか……。
確かに、家で一緒に住んでるけどな……。
それでインモラルの壁を簡単に越えさせないでほしい……。
≪まぁ~私たち目線、人間の家族って概念は正直どうでもいいからね~~≫
悪魔にはどうでもよくても、俺には重要なんだよ。
ま、ここは終わった話だからとりあえずよくはないけど置いておく。
それより中出しが能力にどうって話は何なんだ?
今のところ何かが変わったとは思わないんだが。
≪それは、明日になるとわかるかもね☆ 今の能力はいわばβ版。まだロックされてて使えない能力があるんだ~≫
この能力は実は不完全だったようだ。
正直十分すぎる能力のような気がするが……。
で?その能力とやらを教えてくれないのか?
≪それはレギュレーション違反だもん☆ 私から教えられることは少ないんだ~~。でも私、悪魔にしては口が滑っちゃう方だからいろいろ喋っちゃうんだよね~。例えば、今日も妹に中出ししといたほうがいいよ、とかさ≫
悪魔は急にトーンを落とし意味深にそう呟いた。
その言葉にはどんな意味が込められているのか、さっぱりわからない。
ただ、何かのトリガーに『中出し』という行為が設定されているのは間違いなさそうだ。
けど、そんな簡単に子づくりさせるな。
あまりに無茶苦茶が過ぎる。
さも当たり前に『みんなするでしょ?』みたいなノリで言ってるけどふつうしないんだよ。
俺未成年だし、15だし。
どうも悪魔には俺たちの常識は通用しないようだった。
そんなこと、俺に与えられた超常的能力の前では小さいことなのかもしれないけど。
≪そろそろ時間かな。まっ、頑張ってよ。私のためにも。ね☆≫
悪魔は、謎のセリフとエフェクトと共に視界から姿を消した。
今の短い会話だけでも意外と情報量があったな。
一旦整理したい。
ただ、俺にはそんな時間は訪れなかった。
悪魔が消えてから間髪入れずに浴室のドアが開く。
そして、生まれたままの姿になった妹の姿が視界に入る――――。