確率の見える世界 〜あの子とエッチできる確率は○○%!?〜 作:tomoki/名和朋樹
【2023年7月26日】
「よく手入れされた艶々の髪。
あどけなさの抜けない童顔。
長年アイドルを追ってきた私の経験上、
ああいう子はコッテリしたオタの人気を滅茶苦茶稼ぐ! いてっ」
「何を言ってんだ。どっかで聞いたことあるような台詞を使うな。それにお前が追ってるのは男性アイドルだろうが」
「うるさいなぁ。おにいちゃん」
めったに行かない3年生の教室が並ぶフロアに向かうと、目的の女の子は簡単に見つけられた。
綺麗に光を反射する艶やかな黒髪のツインテール
見るものすべてを魅了する大きくキラキラした瞳
童顔と形容するのが正しい表情だが、スラッと伸びる長い脚は細くモデルのようだった。
そんな彼女が窓際の席で携帯をいじりながら椅子に腰かけている様子はどこか気怠そうにも見えるし、逆に清楚なイメージにも見える不思議な魅力を持っていた。
最近中高生の間で人気急上昇中の高校生アイドル『Rainbow♥Magic』のセンターを張っているというだけあってそのオーラは計り知れない。
何か彼女の周りだけ空気が捻じ曲がっているように見えるくらい。
そのせいなのかどうなのか周りにはだれも近づいておらず、教室に謎の空白が生まれている。
そのことに誰も違和感を抱いていなさなそうなところが、この状況が常在化していることを表していた。
そんな彼女に近づくのはさすがに少し怖気づいてしまうところではあるが、誰もいないというのはむしろチャンスかもしれない。
そう思い教室の中へと足を運ぶ。
◇
「簡単だよ。おにいちゃんが持ってるその『能力』を使えばいいだけじゃん!人ひとりくらい操るの簡単でしょ?」
「あ……確かに……」
「それにれーにゃんとおにいちゃんが仲良くなれば、まりなとも仲良くなってくれないかなぁって」
「まさか知り合いになりたいからって……」
「まりなちゃんナイスアイデア!私もサインとかもらいたい!」
「先輩までも、もう……」
まりなと先輩は2人でワイワイ盛り上がっている。
こうなると女子はもう聞く耳持たないだろうから放置するしかないか……。
俺はそう思いながら自分のスマホで検索をかける。
雨宮玲奈、高校生アイドルね。
確かにこの子は超清楚系ロリとか言われてて、最近SNSとかで結構流れてくるな。
そのキャッチフレーズに負けないほどに可愛いなとは思っていた。
まさかこの学校に居たとは驚きだけれど。
この子に告白する日のファッションを見てもらう。
なかなか豪華すぎる使い方のような気もするが、雑誌モデルとかもやっている彼女ならそれなりにいいアドバイスをしてくれそうだ。
その意味ではかなりいい意見なのは間違いないだろう。
それにさやかへの告白の予行演習的な感じで、好感度0から極端に変化させたときのデータも欲しいな。
もちろん現状だと俺に対する好感度はもちろん0。
この状態で俺の誘いに乗る確率など全くない。これを今回ひっくり返すことが出来たら、本番のさやかの時も間違いなくうまくいくだろうという安心感も生まれてくる。
いや待て待て、ちょっと待てよ。
俺の持っている『確率を操作できる能力』って中出ししてない相手には1日1回しか使えないじゃん。
最近この4人にしか使ってなかったから忘れてたけどさ。
有名人ということもあって色々不都合な状況になる可能性もある。
何回も確率操作を使いたくなる場面が出てきたときに1日1回だと渋いな……。
じゃあ中出しする?アイドルと?世間的に処女性が求められてる人と?
「おにいちゃん。にやにやしてる顔めっちゃキモイよ。その表情はただの変態だよ」
「あれはエッチなこと考えてるか、エッチなこと考えてるかの2択だな」
「うるさい!黙っとけ。今真剣に考えてるんだよ」
高校生アイドルの処女とか多分凄く貴重なものだよな。
少なくとも俺みたいな普通のやつが貰えるようなものじゃない。
いや彼女が処女かはわからんけどよ。
全国区の現役アイドルと身体を重ねることが出来そうな立場に自分がいる。
そんな優越感が俺を支配して、心臓を高鳴らせる。
冷静な判断力を失っているのがわかる。
今の俺は確実に最低なことをしようとしているのがわかっているけれど、理性がそれを止めることが出来なかった。
◇
残念ながらこの期に及んでも理性が勝つことは無く、ずかずかと3年生の教室へ入って行く。
「こんにちは雨宮玲奈さん。ちょっとお時間よろしいでしょうか」
クラスの人達が一斉に俺の方を見てくる。
まぁただでさえ俺みたいな地味なやつがアイドルに話しかけるって珍しいしな。
更に相手は超人気アイドルの雨宮玲奈様だし、そりゃあ注目されるか。
俺がそんなことを考えていると彼女は一瞬驚いたような表情を浮かべた後、すぐに怪訝そうな顔に変わって
「は?何あんた。私忙しいんだけど。いきなり話しかけないでくれる」
うわめっちゃきつい態度だなおい。
いやでも大丈夫、想定の範囲内だ。
想定の範囲外なのは後ろ側からの冷ややかな目くらいだ。
「少し話したいことがあるので、今日の放課後とか一緒にどうですか?」
俺は周りに聞こえないように、でも彼女にだけ聞こえる程度の声量で呟く。
そうすると彼女は小さくため息をした後 ギロッと睨みつけるように俺のことを見てくる。
その目は完全に一般人のものではない凄みがあった。
「いい度胸ね。芸能界のアイドルに直接お誘いするなんて。あのねぇ私はあんたのこと全く知らないし、そんな人と二人きりで会うとかあり得ないから」
彼女は完全に俺のことを拒絶する、そんな目をしていた。
アイドルとは程遠いその反応に少々心を痛めつつ、心の中では『能力』の本領発揮といったところかなと楽観視はしていた。
久しぶりに使うなぁ緊張するぞ。
目の前の彼女に意識を集中させ、目に力を入れて発動させる。
『彼女と放課後エッチ出来る確率』
―0%―
だろうなぁ。けどね。
その数字の上にある矢印に意識を向けると、一気にこの数字が大きくなっていく。
そしてその数字の増加が止まった。
―84%―
やっぱこの『能力』えぐすぎる。
これで中高生に大人気のアイドルですらほとんどの確率でエッチできるということになった。
絶対こういう風に悪用始めたら止まらなくなると思ってしてこなかったけれど、まぁ最後だしパーッとやっちゃいますか。
「もう一度お聞きしますが、今日放課後とか一緒にどうですか?」
耳元でもう一度お誘いをする。
すると彼女は手を股の間に置き、身体全体を縮こませてもじもじしている。
見た目にもわかる明確な反応の差異。
これは確実にかかったな。
流石にアイドルの女の子とヤレるとなると、理性ではどす黒い性欲が抑えきれなくなる。
彼女に対しての罪悪感もありはするが、正直これ程のチャンスはない。
そんなテンション爆上がり中の俺に対して放たれた彼女の言葉は想定外のものだった。
「あのね。あんま調子乗らないで。さっさとこの場から消えて」
「おにいちゃん撃沈。やっぱ勝負所で振られる運命なんだね」
「うるせぇ。なんで妹が一番兄の心をえぐってくるんだよ」
まりなに慰めなのか追撃なのかわからない言葉を投げかけられながら、肩を落とし学校を出る。
『放課後エッチできる確率』ちゃんと80%くらいあったよなぁ。
絶対行けると思ったのに。
しかもさぁ、ちょっと顔赤くしてさ、意識し始めちゃったよみたいな感じ出しといてさ、女の子が恥ずかしがってもじもじしてますみたいな間の取り方してきてさ、その上で拒否られるとかまじありえないんだけど。
あのタイミングで浮かれて頭の中にれーにゃんの裸をイメージしていたのが恥ずかしすぎるわ。
こんなことが無いようにさやかの時はちゃんと100%にしてから行かないとだな。
いい反省。いい反省。次に生かしていこう。
「そんな可哀そうなおにいちゃんを慰めるために、さっきのうちに彩音ちゃんと千春ちゃんとゆうり先輩もちゃんと呼んでおいたから。みんな来るってよ。美少女4人と慰めエッチしようねー」
「それお前がやりたいだけだろうが」
あと自分で美少女とか言うな。
みんなめっちゃ可愛いとは思うけど。
「いや、でもどうするかなぁ。告白する時の服装もん――――え」
急に左手を誰かに引っ張られて、身体が車道へと飛び出していく――――