※この作品はR-18です。

どきどきな冒険の日常で ~のびのびTRPG~   作:混沌野郎

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 先輩さんに届いた荷物は「とてつもなく高性能だけど、とてつもなく危険なアイテム」だった。
 ノリノリで使った先輩さんは案の定大変なことになってしまって。
 先輩さんに泣きつかれた機械屋さんが後始末を始めるんだけど……、そんなお話。

 本作は、拙作『冒険と探検と日常と ~のびのびTRPG~』シリーズのパラレルワールド的な位置づけです。
 また、初めて記した成年向け作品ですのでいろいろと拙い部分があります件、ご容赦頂けると幸いです。

 本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGスチームパンク』の二次創作です。
 ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した世界観を使って記した二次創作です。
 
先に記しとく設定、
 機械屋(主人公)と先輩は女性、
 と言うことで。

クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.


第1話 どきどきな治療の仲良しで

 こんちは、アタイは機械屋。

 王都の倉庫街にある先輩の工房で働いてる。

 アタイは、先輩の助手、って言うか、工房の従業員、って言うか、そんな感じで仕事をしてる。

 先輩、『先輩』って呼んでるけど、アタイは『先輩』の『後輩』じゃない。

 雇ってもらった時に『私のことは先輩って呼んで』と言われた。

 今まで一度も『先輩』と呼ばれたことがなかったから『先輩』と呼んでもらいたかったらしい。

 だから『先輩』。

 先輩はシリアスな時とそうじゃない時のギャップがとてつもなく大きい。

 シリアスな時は立ちはだかってる何かをにらみつけてるような冷たい目だ。

 けど、そうじゃない時は気楽っぽい目つきで考えも行動もたいがい間抜けになる。

 そんなところが先輩の魅力に間違いない。

 

 朝から嫌な予感がする。

 今日の仕事、融合炉のメンテナンス、をしながら何かが気になる。

 ブルルルルル……。

 工房の前に小さなトラックが止まった。

 目をやると宅配便だった。

 荷物を持ってこっちにやってくる宅配便の兄ちゃん。

 アタイもそっちに行く。

「こんちはー」

「おつかれです」

 挨拶を交わす。

 荷物はテープでぐるぐる巻きにされてるそれなりに大きな箱だった。

 兄ちゃんが手にしてる伝票をインフォメーション端末に読み込ませる。

 ピッ、と音がした。

 次に箱に貼り付けられてる伝票を読み込ませる。

 もう一度、ピッ、と音がした。

 これで良し。

 兄ちゃんから箱を受け取った。

「ありがとございますー」

「ありがとです」

 トラックに向かう兄ちゃんに礼を言った。

 それなりに大きな箱、あて先は……、先輩。

 こいつが嫌な予感の正体か?

 先輩に渡さない方が良い、そう思う。

 けど、先輩あてだ。渡さなきゃならない。

 先輩は精密作業室で仕事してる。

 ……昼メシの時で良いか。

 食堂に入って、テーブルに箱を置いた。

 作業スペースに出て仕事を再開する。

 昼前までもう少しある時刻、作業が終わった。

 ちょっと早いけど。

 昼メシを作ることにした。

 だから、いつもより早めにメシが仕上がった。

「あー、はらへったー」

 メシの準備に合わせてか、いつもより早い時間に先輩が食堂に入ってきた。

 メシを盛り付けた皿を先輩に渡す。

「うん、今日も美味そうだね」

 と言ってくれた。

「そう言ってもらえるとありがたい」

 メシを盛り付けた皿、もうひとつを持ってテーブルについた。

 食いにかかろうとして、と、食う前に言った方が良いか。

「先輩、荷物届いたぞ」

 テーブルの端にあるそれなりに大きな箱を示した。

「おっ、届いたね。

 ?

 こんなにでかい箱?」

 箱に手を伸ばそうとする先輩にひとつ言う。

「メシ食ってからにしろ」

「だね」

 仕事の話をしながらメシを食う。

 アタイも先輩も作業は順調に進んでる。

 ありがたいことだ。

 メシを食い終わって、アタイは後片付け、先輩は箱を開けにかかった。

 洗い物をしてる後ろから、ビリビリとテープを剥がす音がいくらか続いて。

「よっと」

 先輩の声。

 箱から出したか。

 と思ったら、またビリビリとテープを剥がす音。

 それが何回かあった。

 えらく頑丈な梱包だな、と思う。

 後片付けが終わって、先輩を向く。

 先輩の前にはそれなりに大きな箱があって、それよりも少し小さい箱があって、もう少し小さい箱があって……。

 箱がいくつもある。

 加えて、梱包に使われてたらしいテープと緩衝材が大量にあった。

「これが最後かな?」

 小さな箱を手にする先輩。

 テープを剥がして箱を開けた。

 箱から出てきたのは緩衝材に包まれた何か。

 緩衝材を剥がすと中身は小さなガラスびんだった。

「うんうん、これ、1回試したかったんだよね」

 先輩はノリノリだ。

 この雰囲気、まず間違いなくとんでもないことになる。

 確信を持って言える。

 けど、とりあえず確認する。

「何だ、それ?」

「ん?

 『KRK5-51』、ほら、最強のオイル、ってやつ」

 ぞっとした。

 『KRK5-51』、超高性能なオイル。なんだけど、扱いをミスると大変なことになる。

 具体的には肌につくととてつもなく痒くなる。

 それも尋常じゃない痒さだ。

 なるほど、厳重な梱包の意味が分かった。

「先輩、それ、止めといた方が良いぞ」

「大丈夫大丈夫、痒くなるだけっしょ」

 いや、その「痒くなる」が悲劇的だ。

「てか、機械屋ちゃん、使ったことあるの?」

 ……ある。

 だから言う。

「1回だけな。

 そんとき、ポリ手袋に付いてたのが肌かすめただけで泣き入った」

「なるほど、

 じゃあ、ビニール手袋2枚重ねにして、徹底的に注意したら大丈夫だね」

 先輩は楽観的すぎる。

 けど、アタイは言うべきことは言った。後は先輩の判断だ。

 自分に言い聞かせた。

 

 午後。

 アタイの仕事は蒸気自動車の修理。

 不具合が出てると聞いたあたりのパーツをひとつずつ確認していく。

 先輩は……、

 オイル、KRK5-51を持って精密作業室に入った。

 細かい作業で試してみるつもりか。

 

 蒸気自動車の修理、確認を続けて故障してるパーツが分かった。

 パイプの1本が歪んでる。

 取り外して、歪みを直して、元の位置に取り付けた。

 運転席のスイッチを入れる。

 融合炉が機嫌良く動き始めた。

 近所を少し走って状態を確かめて、それで出来上がり。

 なんだけど、時計を見ると中途半端な時間だった。

 今から出ると晩メシに間に合わない。

 かと言って明日の仕事にすると晩メシまで時間がありすぎる。

 少し考えて……。

 明日の仕事にすると決めた。

 

 晩メシの準備。

 時間があるからちょっと手間のかかる料理を作ることにした。

 メシを仕上げて、皿に盛り付けて、テーブルにならべる。

 先輩が食堂に入ってきた。

 とびっきりの笑顔だ。

 上手くいったってことか。

「先輩、オイルどうだった?」

「ん?

 まだ使ってない」

 オイルじゃないのか?

「んじゃ、なに、にこにこしてんだ?」

「仕事が全部終わったからね。

 メシ食ったらいよいよオイルだよ。

 楽しみだね」

 不安になる。

「仕事で集中力落ちてるだろ。

 明日にした方が良いんじゃねぇか?」

「大丈夫だって、ちゃんと注意するから」

 これ以上言っても無駄だな。

 アタイは言うべきことは言った。後は先輩の判断だ。

 もう1回自分に言い聞かせた。

 

 メシを食って、先輩はまた精密作業室に入った。

 アタイは後片付けをして自分の部屋に移動。

 明日の予定を確認する。

 問題は何もない。

 それじゃ……。

 着替えを持って風呂に向かう。

 手早くシャワーを浴びて、すっきりして部屋に戻った。

 いくらか時間がすぎて。

 先輩が部屋の前を通った。

 オイルの件は終わったらしい。

 すぐに部屋の前を通って工房の奥へ向かう。

 着替えを持ってた。シャワーか。

 少しの後、先輩がまた部屋の前を通った。

 シャワーを終わらせたらしい。

 ちらっと見えた先輩の顔、何かつらそうな、耐えてるような、厳しい表情だった。

 何かあったのか?

 また時間がすぎる。

 かちゃり、ドアノブの音。

 ドアが開いて、先輩がいた。

「ん?

 先輩、どうしたん……、だ……?」

 言葉が止まった。

 先輩の服装。

 シャツは着てる。って言うか、シャツしか着てない。

 ズボンどころかパンツもはいてない。

 もちろん裸足。

 先輩の表情。

 思いっきり泣き顔になってる。

「えぐっ、えぐっ、

 機械屋ちゃぁん……、

 ……どうしたら良いかなぁ?」

 『どうしたら良いかな』、って言われても状況が分からない。

 だから何も言えない。

「がまん、できないよぉ……、

 えぐっ、えぐっ」

 涙をこらえながら先輩が言う。

 言いながらデリケートゾーンに手を伸ばす。

 指に力を入れて引っ掻く、って言うか掻きむしる。

 はっとした。

 もしかして……、

 ……最悪の事態、か?

 確認する。

「先輩、まさかオイル……」

 えぐっ、えぐっ、と泣き顔の先輩が言う。

「……うん、

 トイレに行ったとき……、付いちゃったみたい……」

 うわぁ……、

 先輩の言葉にアタイは真っ青になった。

 普通の皮膚でも泣きが入る痒さだ。

 粘膜、それもデリケートゾーンって……、

 がまんできるとかできないとか、そんな問題じゃない。

「ちょっと待っててくれ」

 食堂に急ぐ。

 冷凍庫から保冷剤を取り出して、シンクに引っかけてあったタオルを取って、部屋に戻った。

「ほら、座れ、な」

「……うん」

 先輩をベッドに座らせる。

 座らせながら保冷剤をタオルで包む。

「さ、冷やしたらいくらかマシだ」

 そう言って保冷剤を渡す。

 先輩はふとももの間、痒みがひどいところに保冷剤を押し付けた。

「どうだ? 楽になったか?」

「……うん、

 でも、まだがまんできない……」

 先輩が小さな声で言う。

 あとできることは……。

「とりあえず明日までそれで乗り切ってくれ。

 朝いちばんで痒み止め買ってくる」

 普通に考えるとこれしかない。

「ふぇっ!」

 驚いた声で反応して、また泣き顔が強くなる。

「朝までって……、えぐっ、

 ……無理、だよぉ、えぐっ」

 ぼろぼろと涙が流れ始めた。

「って言ってもこれ以上は何も……」

 言葉が途中で止まった。

 『普通に考えなければ』まだ手はある。

 とは言えこれはさすがに……。

 いや、先輩のためだ。

 先輩のために言うんだ。

 自分に言い聞かせる。

 ふーっ、と息をはいて心を落ち着かせる。

「……まだ手はある。

 けど、覚悟してくれ」

「えぐっ、どうにかなるの……?

 ……だったら覚悟する」

 OKしてくれた。

 だから良いんだ。

 もう一度自分に言い聞かせる。

「先輩さ、このオイルで痒くなる理屈は知ってるよな?」

 いくらか落ち着いて答えてくれた。

「汗腺とか皮脂腺とかから入って痒くなる、だよね?」

「そうだ、

 だから汗出すとかしてオイルを押し出したら治る、

 分かるよな」

 先輩は小さな声で『うん』と言ってくれた。

「つまりそう言うことだ」

 アタイは言葉を切り上げた。

「え!?

 『そう言うこと』ってどう言うこと?」

 思いっきり困惑してる。

 いつもの先輩だったらありえない。

 先輩の目にまた涙が浮かぶ。

「機械屋ちゃぁん、……はっきり言ってよぉ」

 えぐっ、えぐっ、とまた泣き顔になる。

 言うしかないか……。

「分かった、じゃあはっきり言う。

 要は痒くなってるところ、いくらか触ったら濡れてくるだろ。

 それでオイル押し出すんだ」

 先輩はきょとん、とした。

 理解の範疇を超えてる、そんな感じだ。

 けど、理解は少しずつ進んで。

 同時に頬が染まり始める。

「それって……」

「ひとりでする、そう言うことだ」

 先輩は一瞬固まった。

 だけどすぐに緩んで。

「そんなの無理だよぉ……、

 できないよぉ……」

 あきれる。

「できないって、

 したことくらいあるだろ。その通りにすりゃ良い。

 ほら、部屋に戻ってすることして楽になってくれ」

 これでめでたしめでたしだ。

 そう思いかけたんだけど……。

「……うん、する。

 でも……、機械屋ちゃん、……その、見ててくれないかな?」

 !?

 何を言い出すんだ、この人は……。

 本当にあきれるしかない。

「先輩さ、こう言うのって人の前でするんじゃなくて、自分の部屋でひとりでするもんだろ」

「そんなの……、自信ないよぉ……。

 お願いだから見てて……。

 それで……、変なとこあったら教えて……」

 最後は小さな声になっていった。

 『変なとこあったら教えて』って、そこがそもそも変なとこだ。

 けど、先輩を助けるため、助けるためだ。

「……分かった、見てるよ」

 アタイの言葉で先輩の表情がいくらか和らいだ。

 ベッドの端に座ってた先輩、押しつけてた保冷剤を置いてしっかりとベッドに上がった。

 アタイの方を向く。

「んっと、シャツ、脱いだ方が良いよね……」

 好きにしてくれ、そう言ってしまいたい。

 だけど、これ以上先輩を追い詰める訳にはいかない。

 だから、

「ああ、脱いだ方が良いな」

 言った。

 これって先輩のためか?

 アタイは先輩の裸を見たいから言ったんじゃ……。

 いや、そうじゃない、絶対にそうじゃない。

 自分に言い聞かせる。

 アタイの言葉に促されたこともあってか、先輩はシャツを脱いでベッドに置いた。

 産まれたままの姿。

 先輩は色白だ。それは知ってる。

 けど、裸になると余計に白く見える。

 胸は……、小さい、と言うか平坦。

 だけど、大きい、小さい、と魅力は別問題……。

 先輩……、綺麗だ。

 今まで見られなかった特別なものをついに見ることができた。

 胸のどきどきが強くなってきてる。そう感じた。

 先輩は改めてアタイを向いて。

「……足、開いた方が良いよね」

「だな」

 言ってから気づいた。

 足は開かなくても問題ない。

 つまり、先輩を見たいから言った、言ってしまった。

「……開くね」

 小さな声で言って、足を開いた。

 ふとももの間、「女の子」の部分が露になる。しっかりと見える。

 驚いた。

 アンダーヘアがない。きちんと整えてるのか……。

 とくんっ、

 胸が小さく跳ねた。

 いちばん大事なところ、本当は淡いピンクで可愛らしいんだろう。

 けど、掻きむしったからだ、真っ赤になってる。

 ?

 掻きむしったから真っ赤になってる?

 掻きむしったから?

 !

 アタイの考えは甘かった。

「始める……、ね……」

 先輩の手がそこに近づく。

「先輩!

 それじゃダメだ!」

 アタイの声に先輩の体がびくんっと揺れた。

 きょとん、とした表情になる。

「すまねぇ、アタイの考え、甘かった。

 それじゃ治んねぇ……」

 言葉の意味を考えて……、理解して……。

「え……、どゆこと……?」

 また泣きそうな顔になる。

「先輩、掻きむしったよな?」

「……うん、

 痒くてがまんできなくて……」

 悲しいような、つらいような、苦しいような、そんな表情で言った。

「ああ、だからだ。

 普通に付いたんだったら押し出したらどうにかなる。

 けど、傷口に付いたのはどうにもならねぇ」

 アタイの言葉が引き金になって、先輩の目、涙がぼろぼろ流れ始めた。

「えぐっ、もう……、がまんできないよぉ……、

 機械屋ちゃぁん……、どうにかしてよぅ……」

 ……まだどうにかできる。

 アタイはどうにかする方法を知ってる。

 けど、本当に最後の手だ。

 最後の手段……。

 先輩を治すためだ。

 アタイの欲を満たすためじゃない。

 先輩のためだ。

 何度も自分に言い聞かせて。

 覚悟を決めた。

 涙が湧き出してる先輩の目をまっすぐ見る。

「先輩、楽にしてやる。

 けど、本気で覚悟、してくれ」

「……え?

 どゆこと……?」

 深呼吸して息を整える。

 先輩の目をしっかり見て言葉を出した。

「いいか、口の中はいつも唾が出てる。

 だから口の中がオイルにやられることはねぇ。

 これは分かるよな?」

「……うん」

 こくりとうなづいて答えてくれる。

「のども同じだ。

 粘膜はいつも湿ってる。

 だから大丈夫」

「……うん」

 言葉を続ける。

「あとは、胃も腸も一緒だ」

「……うん」

 うなづいてくれた。

 ここからが重要。

 いちばん大事なことを言う。

「要はあのオイル、口から入っても何の問題もない。

 分かるよな?」

「分かるけど……、分かんないよぉ……」

 やっぱはっきり言わないとダメだよな……。

「じゃあ、はっきり言う。

 付いてるオイル、舐めてきれいにするんだ」

 言い切った。

 先輩の涙が止まった。

 替わりに顔がじんわりと赤くなった。

「え!?

 それって……、機械屋ちゃんが……、

 私を……、舐める……、ってこと……?」

「ああ、そうだ。

 するかしないかは、……先輩が決めてくれ」

 先輩は少し考えてから、

「……痒いの、治るんだよね?」

「この手だったら間違いない」

 もう1回考える。

「……うん、だよね。

 機械屋ちゃん……、お願い」

 先輩の瞳が変わった。

 弱々しい感じじゃなくていつもの元気のある目つきに戻り始めた。

 けど、そんな先輩を見たらアタイは卑怯だって思った。

 アタイは舐めたいって思ってる。

 だけど先輩に決めさせた。

 先輩だったら頼んでくれるって分かってるのに。

「じゃあ、どうしたら良いかな?」

 少し安心したらしい先輩が尋ねてきた。

「だな……、

 枕に腰乗せて……」

「……うん」

 先輩はベッドの上で体勢を変える。

 ベッドの上の方、枕をクッションにして体をベッドに委ねる。

 背中の方にもたれる感じ。

 先輩の動きが止まった。

 ?

 どうしたんだ?

「あの……、機械屋ちゃん……、良いかな?」

「何だ?」

 いつもの先輩に戻りかけたのは確かだった。

 けど、また弱々しいに少し戻ってる。

「その……、私だけ裸って恥ずかしいよ……、

 機械屋ちゃんも脱いで欲しい……」

 先輩の言う通りだ。

 アタイも脱いだ方が良い。って言うかアタイは先輩の前で脱ぎたい。

 だから、

「ちょっと待ってくれ」

 とだけ言って服に手をかけた。

 シャツを脱いで、ズボンを脱いで、最後にパンツを脱いだ。

 けどこれって、

 ……恥ずかしい。

「電気、消すぞ」

 その方が普通だと思う。

 だけど、

「待って、その……、消さない方が良い……」

 先輩に止められた。

「機械屋ちゃん、しっかり見たい……」

 やっぱりアタイは卑怯だ。

 電気、消したくないのはもちろんだ。

 けど、今度も先輩に決めさせた。

「機械屋ちゃん……、早く……、お願い……、

 痒いんだからぁ……」

「あ……、ああ」

 そう答えてアタイもベッドに上がる。

 先輩と向き合う。

「……じゃあ、

 足、開いてくれ……」

「……うん」

 ゆっくりと足が開かれる。

 先輩の「女の子」がしっかり見える。

 もちろんさっきよりも近くで。

 掻きむしったあとが痛々しいけど、やっぱり可愛い。

 アンダーヘアがないからよけいに可愛く見える。

「先輩、整えてるんだな……」

 無意識に出た言葉。

 答えは。

「ふぇっ……、

 ……機械屋ちゃん、それ……、言わないで……、

 コンプレックス……、なんだから……」

 ん?

 どう言うことだ?

 整えてるのがコンプレックス?

 じゃないよな。

 ってことは……、もしかして……、いや、先輩だったら……。

「整えて……、ないのか?」

 小さな声が返ってきた。

「……うん、……生えてない」

 先輩らしい……。

 とくんっ、

 胸が震えた。

「機械屋ちゃん……、もう……、良いよね……、

 早く舐めてよ……、恥ずかしいよ……」

 先輩の声で気持ちが戻った。

 そうだ、舐めるんだ。

 覚悟を決めてゆっくりと顔を近づける。

 ふわり、

 ほのかな先輩の匂いを感じた。

 ……アタイの好きな匂い。

 さらに顔を近づける。

 先輩の匂いをはっきりと感じる。

 ゆっくりと、けど確実に、匂いが強くなる。

 舐め始めるまでもう少し。

 むわっと濃密な匂いに囲まれた。

 頭がくらくらする。

 呼吸が早くなる。

 鼓動も早くなる。

 最後の覚悟、気持ちを強く持った。

 軽く口を開けて舌を伸ばす。

 先輩の秘密のところに舌が触れた。

 じわっと不思議な味が舌に広がった。

 ……先輩の、……味?

 たとえられない、たとえようのない味だ。

 けど、美味しいのは分かる。

 もっと味わいたい、そんな気持ちが心を満たしていく。

 流され始めた気持ちの中にほんの少しの理性。

 はっとした。

 そうじゃない! 先輩を治すんだ!

 心を落ち着かせて、また自分に言い聞かせる。

 『先輩を治すため』に、アタイは舌を動かし始めた。

 掻きむしったところをゆっくり舐める。

「んっ……、んぁっ……、

 ……はんっ、……んんっ」

 舌を動かすたびに先輩の小さな声が聞こえた。

 同時に体が小さく震える。

 小さな震えのたびに、じゅわり、じゅわり、と蜜がわく。

 アタイはそれを舐め取る。

 舌が動くたびにさらに蜜がわく。

 きりがない。

 これじゃ終わらない。

 だけど、って思ったからアタイはそこに両方の手を伸ばした。

 指先が割れ目に触れる。

 柔らかくて、ほのかに温かい。

 表現できない感触だ。

 指に少しだけ力を入れた。

 簡単に割れ目が開いた。

 隠れていたところ、今までよりも敏感なところに舌を這わせた。

「んっく……、はぁっ……、くんっ……、

 やんっ……、くはんっ……」

 やっぱり小さい声がする。

 ?

 先輩、がまんしてる?

 一旦舌を休ませて口を離す。

 ひと言告げる。

「声、がまんしなくても大丈夫だ」

 先輩はきょとん、とした。

 次の瞬間。

「えぇっ!?

 でも、こんな声、外に聞こえちゃったら……」

 冷静さが抜けてる。先輩らしくない。

「夜中の倉庫街だ、誰もいねぇ」

 きょとん、としたままで先輩は聞いてくれた。

「……うん、……だよね」

 少し笑顔になった。

「続けるぞ」

 アタイはまた指で開いて敏感なところに口をつける。

 舌を動かして熱い蜜を舐め取る。

「ひゃんっ……、あぅっ……、んくっ……、

 あぁっ……、くぁんっ……」

 先輩の声がしっかり聞こえる。

 応援されてるように感じる。

 だからもっと舐める。

 わずかな後、舐めるだけじゃがまんできなくなってきた。

 もっと違うこともしたい。

 けど、それじゃ先輩を治すことにはならない。

 けど……。

 理性と欲望のせめぎあい、ってやつ。

 ……理性が勝つはずがない。

 指で開いたところの少し上。

 可愛いピンクの突起。

 口をつけて軽く吸った。

「んぁっ!」

 先輩の体が、びくんっ、と揺れた。

 ちゅっちゅっ、と吸って、舌で転がす。

「あくんっ……、やぁっ……」

 先輩の声、がまんの余裕なんかぜんぜんない。

 ……もっと聞きたい。

 だから吸ったり転がしたり。

 そんなことを続けるけど欲望に限りはない。

 次は突起の下のいちばん大事な洞窟。

 先輩はやっぱり可愛い。

 舌を伸ばして穴の中に入れる。

 くにくにと動かす。

「やぁっ、くぁん……、ひぅっ……」

 先輩の声、こんなに可愛かったのか……。

 小さく感動する。

 アタイが動くたびに先輩の声が少しずつ強くなる。

「あはぁっ、んっくっ……、ダメ……、だよぅ……」

 喘ぎ声じゃなくて意味のある言葉が聞こえた。

 けど、その意味を考えてる余裕なんかない。

 もっと、もっと、アタイにはそれが全部。

 突起に戻って、舌で転がしながら強く吸った。

 吸引のピーク。

「んああぁぁんっ!」

 声が決壊して、体ががくがくと大きく揺れた。

 同時にプシャッと熱い蜜が吹き出した。

 顔に吹きかかった新しい蜜、指で拭って口に運んだ。

 今までのとは味が違った。

 でも先輩の味だ。

 先輩の味なのは間違いない。

 ……美味しい。

「はぁっ、はぁっ……」

 先輩は余裕のない荒い息をしてる。

 もしかして……、イッた……、のか?

 どくん、と胸が震えた。

 アタイの口で、舌で、先輩は絶頂した……。

 今までに感じたことのない、達成感と感動が混ざった感情がアタイの心に生まれた。

「はぁー、はぁー」

 先輩の呼吸が落ち着いてきた。

 すぐ少しの後、口を開いた。

「機械屋ちゃぁん……、

 ……切ないよぅ、……耐えられないよぅ、

 もっと……、欲しいよぅ……」

 確かにそう言った。

 先輩の顔に目をやった。

 潤んだ瞳で言う。

「こっち……、来てよぅ……」

 先輩は背中をベッドに委ねたまま、両方の腕を広げた。

 止めるとか止めないとか、そんな選択肢はない。

 腕の中に体が吸い込まれた。

 両方の腕がアタイの首にからんで、力が入れられて、先輩と密着する。

 先輩の体は温かくて、柔らかくて、それに、良い匂いがする。

 こんな時にすることはひとつだ。

 何も躊躇わない。

 先輩の唇にアタイの唇を重ねた。

 もちろん重ねるだけじゃない。

 舌を絡ませる。

 やっぱり先輩の味がする。

 ほのかに甘いけど、甘いだけじゃなくて爽やかな味もする。

 大事なところとはぜんぜん違う味。だけど間違いなく先輩の味だ。

 舌が動いて絡まって、唾液も絡まる。

 先輩の味が薄まるのが切ない。

 アタイはキスに集中してた。けど、先輩は次を考えてた。

 ふわり、と何かが胸を撫でた。

 もう一度、ふわり。

 気づいた。先輩だ。

 首にまわされた腕、いつからか片腕だけになってた。

 もう片方はアタイと先輩の間、アタイの胸にあった。

 どうしてだか冷静になってた。

 先輩は片方の手しか使えない。

 けど、アタイは両方使える。有利だ。

 それにこの体勢、これも有利。

 アタイと先輩の身長の差もあるから先輩の手はアタイの「女」には届かない。

 圧倒的に有利だ。

 すぐに先輩の胸に手をやる。

 できるだけ優しく撫でる。

 先輩のバストはぺったんこだ。

 だから、揉む、って言うより、撫でる、が相応しいと思う。

 アタイの胸、撫でられてたのが、ふにふにと揉まれ始めた。

 バストが温かくなる。

 もちろん反撃する。

 先輩の胸をさわさわと撫でて、本丸、可愛い突起を攻めに入った。

 指先に軽く力を入れて、くにくにと弄る。

 先輩がふるふると小さく首を振った。

 ぷはっ、キスが解けた。

「ふぁぁん……」

 先輩の蕩けた声が耳に入ってきた。

 勝てる!

 何に勝てるのか分からないけど、そう思った。

 胸を撫でて、突起を弄って。

 それを続けたままでもう片方の手を先輩の「女の子」に伸ばした。

 指先にわずかに力を入れて、優しく撫でて擦って、を繰り返す。

 指が動くたびに先輩の体が小さく震えた。

「機械屋……、ちゃぁん……、

 ……ダメ、……だよぅ」

 先輩の甘い声。

 もっと聞きたい。

 だから指を動かす。

 とろとろの声を聞くと何か分からないけど嬉しくなる。どきどきする。

「んくっ」

 不意打ちが来た。声が出た。

 アタイの大事なところに、くにんっ、と柔らかい刺激が入った。

 注意不足だった。

 先輩の体が動いて、アタイの体が動いて、先輩の手がアタイに届くようになってた。

「あふぅっ……」

 今度はアタイが甘い声をあげた。

 先輩の指が、くにくに動いて、ぐにぐに動いて、ぬるんっとアタイの中に入った。

 優しく指を動かされる。

「……あぅっ、……ひぁっ、

 くん……、んっ……」

 指の動きに合わせて声が漏れる。

 このままじゃダメだ。

 アタイも指を動かす。

 少しばかり乱暴に、先輩の中に指を入れた。

「んっ……、んくっ……、

 ひぅっ……」

「くっ……、くぁっ……、

 ふぅっ……、んぁっ……」

 先輩の声とアタイの声が重なる。

 お互いに片方の腕は胸を、突起を攻める。

 もう片方はお互いの中で動く。

 そんなのが続く。

 余裕なんかあるはずがない。

 だから、これで最後だ、って思った。

 先輩の胸の突起をちょとばかり乱暴につねって、先輩の中にある指に力を入れた。

「んっ、あぅっ、くぁんぁぁっ!」

 快感が弾ける声。

 けど、アタイは甘かった。

 同時にアタイの中の指に力が入った。ぐりんっ、と動いた。

 胸にあった手にも力が入った。突起が押しつぶされた。

 両方から刺激と快感が爆発する。

 体中に熱が走って、頭の中ががんがんして。

「くはぁんっ、んぐっんぁっ!」

 アタイも声をあげた。

 先輩もアタイも全身ががくがく震えた。

 震えが治まって、体中から力が抜けて、先輩の上に崩れ落ちた。

「はぁっ、はぁっ」

「ふぁっ、ふぅっ」

 先輩もアタイも荒い息のまま動けなかった。

 動けるようになったのはアタイが先だった。

 重い体を起こして、下にいる先輩を見る。

「はぅー、はふー」

 呼吸は穏やかになってきていた。

 先輩の顔、涙とか汗とか涎とかでぐちゃぐちゃになってた。

 ぞくぞくする。

 とてつもなく魅力的だ。

 絶対に美味しい、確信できる。

 だから顔を近づけて先輩の頬をぺろっ、と舐めた。

 思った通りだ。最高に美味しい。

 もっと、って思ったけど、「ふぅー」って大きく息を吐いて先輩が目を覚ました。

 アタイを見て言う。

「機械屋ちゃん……、もっと……、だよね……?」

 笑顔の先輩。

「あ……、ああ」

 反対なんかできない。

 距離を詰めて、もう1回キスをした。

 

 その後はお互いに指を這わせて、お互いに舌を這わせて、お互いを感じて、むさぼりあった。

 何回も何回も頭の中が真っ白になって、体中が熱くなって、意識が朦朧とした。

 そんなのが続いた。

 どれくらいの時間の後か、意識が消え始めた。

 

 眠りの闇の中から意識が浮かび上がる。

 目を少し開けると朝の光が感じられた。

 十分に明るい。

 枕元の目覚まし時計を探る。

 あった。

 時計を見るともう十分すぎるくらい朝の時間をすぎてた。

 朝寝坊にしても酷すぎる。

 慌てて体を起こす、としたかったけど体が酷く重たい。

 力を入れて体を起こした。

 ?

 違和感がある。

 毛布に包まれた体。

 毛布の中を見る。

 何も着てない、マッパだ。

 何があったんだ?

 ひとつずつ思い出しながら考える。

 !

 思い出した!

 ……とんでもないことだ!

 先輩があのオイルで大変なことになって、アタイが治してやるって言って……。

 あああああぁぁぁぁぁっ!!

 何やらかしてんだよ、アタイ……。

 これ、どんな顔して先輩の前に出りゃ良いんだ……。

 けど、仕方ないよな……。

 あるいは……、先輩のことだ、ぜんぜん気にしてない、なんてこともありえる。

 ……それに期待しよう。

 とりあえずタンスから服を出して、服を着て、部屋から出た。

 平静を装って食堂に入った。

 ……先輩がいた。

「ん?

 あ、機械屋ちゃん、おはよ」

「ああ、おはよう」

 やっぱりだ、先輩は気にしてない。

 もう大丈夫だ。

 安心した。

 ほっとしたアタイに先輩の言葉。

「そだ、機械屋ちゃんに良いこと教えてあげよう」

「良いこと? 何だ?」

 本当に何だろ?

「内緒だからね、

 ちょっと耳かして」

 そう言われて先輩に耳を向ける。

 ちゅっ、

 頬に柔らかくて温かい感触。

 えっ!?

 先輩に、キス……、された……?

 アタイは何も言えない。

 そんなアタイに先輩は平然と言った。

「今のは治してくれたお礼ね、

 痒いの、完璧に治ったよ」

 笑顔で言ってくれる。

 気にはしてないらしい。けど、これだともっとたちが悪い。

「いやー、でも、機械屋ちゃんってすごいね」

 先輩が話し始めた。

「舐めるの上手いし、

 吸うのも上手いし、

 キスも上手いし、

 触るのも上手いし」

 アタイの顔、どんどん赤くなってる。

 間違いない、絶対だ。

 先輩の声が続く。

「弄るのも上手いし、

 指使いも上手いし、

 それに美味しいし」

 そこまでで先輩の言葉は終わってくれた。

 ん? と思った。

 だから尋ねた。

「美味しい、ってなんだ?」

 あ、失敗だ。言ってから気づいた。

「ん? もちろん機械屋ちゃんのキス、

 本っ当に美味しかったね、

 機械屋ちゃんもだよね?」

「それは……、美味か……、った」

 『か』で気づいた。また失敗だ。

 先輩はにこにこしてる。

「うん、こう言うのってときどきあっても良いね」

「?

 どう言うことだ?」

 アタイの質問に答えてくれた。

「だからさ、昨日みたいなの、

 またしよっ!」

 先輩は言い切った。

 アタイの顔、最高に真っ赤になってる。だけじゃない、耳まで真っ赤だ。

 けど、先輩と、か。

 それって悪くない、じゃなくって、良い。

 うん、最っ高に良い!

 自信を持ってそう思えた。

 

 

了

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